データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 岸田内閣総理大臣記者会見

[場所] 
[年月日] 2022年4月26日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文] 

【岸田総理冒頭発言】

 まず、会見に先立ち、23日に北海道知床沖で発生した観光船の事故で亡くなられた方々に対し、心より哀悼の意を表するとともに、御家族の方々にお悔やみを申し上げます。

 依然15名の方の行方が分かっていないことから、引き続き関係省庁において、全力を挙げて捜索救助活動に取り組んでまいります。

 また、今回事故を起こした事業者への特別監査に加え、昨日より、全国の運輸局において、旅客船事業者に対する緊急安全点検を一斉に実施しており、安全・安心の確保に努めてまいります。

 そして、先ほど原油価格・物価高騰等総合緊急対策を決定いたしました。本日は、この対策を中心に、現下の状況を踏まえた経済財政運営についてお話いたします。

 新型コロナによる国民生活や経済への影響が続く中、ロシアによるウクライナ侵略などの影響により、世界規模で不確実性が高まり、原油や穀物の国際価格の上昇、一部の水産物や原材料等の安定供給の滞りなど、国民生活に不安が生じています。

 先月、豊洲(とよす)でお話を伺った食品関連産業の皆さん、今月訪問した新潟県燕(つばめ)三条の中小ものづくり企業の皆さん、また、石川県でお会いした農家や主婦の方々、皆さん、原油価格や食材価格の上昇に苦しみながらも、どうにかこの局面を打開しようと必死に取り組んでおられました。

 原油価格や物価の高騰が、コロナ禍からの社会経済活動の回復の妨げになることは何としても防がなければなりません。これまでも、昨年11月の経済対策においてエネルギー高騰対策、3月には原油価格高騰に対する緊急対策を取りまとめ、迅速に実施してきました。

 他方、ウクライナ情勢や、これに伴う原油、原材料、穀物等の価格の高騰、物流の不安定化は予断を許さず、引き続き中長期的視野を持ちつつ、先手先手で対応を進めていく必要があります。

 こうした考えの下、私は、2段階のアプローチで万全の経済財政運営を行ってまいります。

 第1段階は、本日決定した事業規模13兆円の総合緊急対策です。ウクライナ情勢に伴う原油価格や物価の高騰による国民生活や経済活動への影響に、緊急かつ機動的に対応し、コロナ禍からの経済社会活動の回復を確かなものとするため、今月中に一般予備費、コロナ予備費の使用を閣議決定し、速やかに実施に移し、皆様のお手元に各種支援策をお届けしてまいります。

 その上で第2段階として、6月までに新しい資本主義のビジョンと実行計画、骨太方針2022を取りまとめます。今年の夏の参議院選挙後に、これらを前に進めるための総合的な方策を具体化し、エネルギー分野も含め、経済社会の構造変化を日本がリードしてまいります。

 さらに、第2段階までの間、新型コロナウイルス感染症の再拡大や、ウクライナ情勢の長期化に伴う原油価格、物価の更なる高騰等の可能性など、状況は予断を許しません。

 こうした不透明な情勢に伴う予期せぬ財政需要にも迅速に対応し、国民の安心を確保していく必要があります。このため、今回の総合緊急対策の一環として、5兆円の新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費等の確保や、6月以降の燃料油価格の激変緩和事業を内容とする補正予算を今国会に提出、成立を図り、いかなる事態が生じても国民生活を守り抜けるよう、万全の備えをとります。

 それでは、本日決定した総合緊急対策について御説明いたします。

 対策の柱は4つです。

 第1に、原油価格の高騰への対応です。燃料油の価格対策については、4月までの間、1リットル当たり25円の範囲で補填をして、レギュラーガソリン価格を172円程度に抑えてきました。今般、3党の検討チームの結論を踏まえ、これまでの激変緩和措置を強化して、5か月分で約1.5兆円規模の新たな補助制度を設けます。

 新制度では、基準価格を当面168円に引き下げるとともに、燃料油価格の更なる高騰にも対応できるよう、補填の上限を35円に引き上げます。これによって、仮にガソリン価格が200円を超える事態になっても、市中のガソリンスタンドでの価格は、当面168円程度の水準に抑制します。

 さらに、万一、国際原油市場価格が、例えば1バレル150ドルといった前例のない水準まで高騰し、35円を超えて補填が必要になった場合にも、価格上昇分の2分の1を支援して、国内価格の上昇を抑制いたします。

 そして対象油種は、ガソリン、軽油、重油、灯油に加えて、航空機燃料も対象といたします。さらには、タクシー用LPガスにも同様に支援いたします。このほか、運輸、農林漁業、生活衛生関係営業など、影響が大きい業種への支援を進めます。

 第2の柱は、エネルギー、原材料、食料等の安定供給対策です。省エネ住宅の支援など、省エネ・クリーンエネルギー利用を一層推進し、極力、輸入資源に頼らないエネルギー構造に転換いたします。

 事態の長期化を見据え、ロシアやウクライナに輸入の多くを頼っていた半導体原料や、パラジウムなどの産業用原材料の調達の多様化を進めます。

 産油国への原油増産の働き掛け、エネルギー調達の多角化に加え、エネルギー源の多様化に向けて、再エネの最大限の導入と、原子力の活用を進めていくこともエネルギー市場の安定化、低廉かつ安定的なエネルギー供給確保のために極めて大切です。関係諸国とも連携しながら、全力を尽くします。

 食料などの価格上昇は家計にとって重大な問題です。

 輸入小麦については、政府が買い付け、国内の製粉会社に売り渡しています。ウクライナ情勢で国際価格は1割以上、足元で上昇していますが、9月までの間、政府の販売価格を急騰する前の水準に据え置きます。あわせて、輸入小麦から国産の米や米粉、国産小麦への切り換えを支援いたします。

 農業については、肥料原料の安定的な調達を支援するほか、配合飼料のセーフティネット基金の積み増しなどにより、輸入価格高騰の経営への影響を緩和していきます。

 漁業については、水産加工業に対し、カニ、ウニ、そしてイクラ等のロシア産水産物等に代わる原材料の調達を支援するほか、ロシアとの間の漁業協定に基づく操業に不確実性が高まっていることを踏まえ、関係漁業者への支援を機動的に行います。

 さらに、木材についてロシアからの輸入を一部禁止したことを踏まえ、国産材の活用を支援いたします。

 第3の柱は、中小企業支援です。引き続きエネルギーコスト、原材料費、労務費等の上昇分を適切に価格に転嫁できるよう、取引の適正化を進めます。公共調達や補助金における優遇措置を設け、賃上げを推進します。

 政府系金融機関によるセーフティネット貸付の金利を更に引き下げるとともに、実質無利子・無担保融資を9月末まで延長し、資金繰りに万全を期します。

 また、事業再構築補助金に特別枠を創設し、原油価格や物価高騰の中で新規事業に挑戦する企業を後押ししてまいります。

 第4の柱は、コロナ禍において、物価高騰等に直面する生活困窮者等への支援です。緊急小口資金等の特例貸付など、生活困窮者支援策の申請期限を延長するとともに、低所得の子育て世帯に対し、子供1人当たり5万円の給付金をプッシュ型で支給し、生活を守るセーフティネットを強化いたします。

 コロナ禍の影響の長期化に伴い、孤独・孤立に悩む方々をNPO等の活動を通じて、きめ細やかに支援いたします。

 地方創生臨時交付金を大胆に拡充し、1兆円の原油価格・物価高騰に対応した枠を新設します。これにより、国が行う支援策に加え、地方公共団体において、地域の実情に応じて生活困窮者の方々の生活支援や、農林水産業者や中小企業者の支援を始め、電気、ガス料金などの物価高騰を受けた生活者や事業者の負担の軽減をきめ細かく行えるようにします。

 また、学校給食費の負担軽減に向けた自治体、教育委員会の判断、取組をしっかり後押しいたします。

 そして最後に、ゴールデンウイークを迎えるに当たって、新型コロナ対策への御協力をお願いいたします。

 国民の皆様の御協力のおかげで、3年ぶりにまん延防止等重点措置や緊急事態宣言のないゴールデンウイークとなります。しかし、油断は禁物です。感染の再拡大を防ぎながら、徐々に社会経済活動を回復させていくことができるよう、国民の皆様に次の3点の御協力をお願いいたします。

 第1に、ワクチン接種の促進です。日頃、仕事や学校で忙しくされている方も、連休の機会にワクチンの接種をお願いいたします。3回目の接種は感染防止に効果があり、特に重症化を防ぐことができます。御自身や親しい方々を守るため、是非接種をお願いいたします。

 第2に、積極的な検査の活用です。帰省される方は、帰省される前に3回目の接種又は検査を受けていただくようお願いいたします。お近くの無料検査の拠点で検査を受けていただけるほか、連休中は主要な駅や空港等で臨時の無料検査拠点を拡充いたします。

 そして第3に、基本的な感染対策の徹底です。改めて、マスクの着用、手指消毒、そして換気、3密の回避といった対策の徹底をお願いいたします。引き続き平時への移行期間として最大限の警戒感を維持しながら、徐々に社会経済活動を回復させてまいります。

 国民の皆様の御理解と御協力をよろしくお願いいたします。


【質疑応答】

(内閣広報官)

 それでは、これから皆様より御質問を頂きます。

 指名を受けられました方は、お近くのスタンドマイクにお進みいただきまして、社名とお名前を明らかにしていただいた上で、1人1問、御質問をお願いいたします。

 まず、幹事社から御質問を頂きます。

 日経新聞、秋山さん。

(記者)

 日経新聞の秋山です。よろしくお願いします。

 総合緊急対策について伺います。今回、補正予算を編成し、予備費については、今回使用する分を積み増しするということですが、予備費は国会での監視が甘くなるために慎重に積むべきだという指摘もあります。足元ですぐに使途が決まっていないというか、必要ないのであれば、秋の臨時国会などで使途を明示した上で補正予算案を提出するべきだという意見もあります。与党での調整の結果であるとは思いますが、この予備費の積み増しの必要性について、総理の見解をお願いいたします。

(岸田総理)

 まず、先ほども申し上げたように、経済財政運営を2段階のアプローチで進め、万全を期していきたいと考えています。すなわち、第1段階として、今回の総合緊急対策に盛り込んだ対策を今月中に実施に移し、原油高など直面する危機に機動的に対応していきます。その上で、第2段階として、新しい資本主義のビジョンと実行計画、そして骨太方針を明らかにし、そして夏の参議院選挙後に総合的な方策を具体化いたします。

 他方で、夏までの間も、新型コロナの感染状況についても、また、ウクライナ情勢についても、感染拡大や長期化の可能性があるわけですから、状況は予断を許しません。ですから、今回、補正予算において、今、申し上げたような不透明な状況の中で、燃料油価格の激変緩和措置、6月から9月分を計上する、そして、更なる状況の悪化など、いかなる事態が生じたとしても迅速に対応できるよう、予備費を確保するというものであります。よって、この補正予算、予備費は国民生活を守り抜くために必要であると考えています。

 そして、国会の監視が甘くなるという御指摘が、今、ありましたが、今回設ける予備費は、新型コロナウイルス感染症、そして原油価格・物価高騰対策、これに使途は限定しているわけですので、こうした考え方について国会にお諮りし、そして丁寧に説明していきたいと考えております。

 以上です。

(内閣広報官)

 続きまして、テレビ東京、篠原さん。

(記者)

 幹事社のテレビ東京、篠原です。よろしくお願いします。

 外交についてお伺いします。韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)次期大統領が派遣した韓日政策協議代表団が来日中で、韓国の新政権の日本重視の表れとの見方もあります。岸田総理も今日、代表団と面会されて、日韓関係の改善は待ったなしと伝えられたということですが、岸田総理は日韓関係改善の機運について、現状をどう認識されていますでしょうか。また、関係改善には韓国からどのようなアクションが必要だと考えていらっしゃるのでしょうか。

(岸田総理)

 本日、今、御指摘のように、韓国の政策協議代表団にお会いさせていただきました。面会では、私のほうから、ルールに基づく国際秩序が、今、脅かされている、こうした現下の国際情勢の中で、日韓、さらには日米韓、こうした戦略的な連携が今ほど必要なときはない、日韓関係の改善は待ったなしであるということを申し上げました。さらには、私のほうから、1965年の国交正常化以来築いてきた日韓の友好協力関係の基盤に基づき日韓関係を発展させていく必要があり、そのためには旧朝鮮半島出身労働者問題を始めとする日韓間の懸案の解決が必要であるということを申し上げました。

 これに対し、先方からは、日韓関係を重視しており、関係改善に向けて共に協力していきたい、こうした旨の発言がありました。いずれにせよ、国と国との約束を守るということは国家間の関係の基本であると考えています。滞在中の政策協議代表団の皆さんとのやり取りを含め、韓国の新政府側の立場をよく見極めた上で、日韓関係を健全な関係に戻すべく、日本の一貫した立場に基づいて、尹次期大統領を始め、韓国の新政権と緊密に意思疎通を図っていきたいと考えております。

 以上です。

(内閣広報官)

 ここからは幹事社以外の方から御質問をお受けいたします。御質問を希望される方は挙手をお願いいたします。こちらで指名いたしますので、マイクにお進みください。

 それでは、フジテレビ、瀬島さん。

(記者)

 フジテレビの瀬島です。よろしくお願いします。

 知床の観光船の事故について伺います。ゴールデンウイークも含めて、観光シーズンに突入しますが、同種の事故の再発防止に向けた施策をどのように検討していらっしゃいますでしょうか。また、検査や点検体制の強化など、従来の安全対策の在り方を見直す必要性があるとお考えでしょうか。

(岸田総理)

 まず、先ほど冒頭で私も申し上げさせていただきましたが、先日発生した観光船事故については、関係機関が、今、懸命に捜索活動を続けているところです。そして、事故を起こした事業者に対する特別監査を実施し、安全管理対策の実施状況などを確認中でもあります。そして、再発防止策として、事故後、速やかに全国の旅客船事業者に対し、安全確保の再徹底を指示し、現在、全国の運輸局によって緊急安全点検を実施しているところです。そして、こうした対応を今、採っているところですが、今回の事故を受け、徹底的な安全対策について考えていくことも重要であると考えまして、このため、本日、国土交通省に対して、法的規制の在り方も含めて、安全対策の在り方について検証あるいは検討を行う検討会を立ち上げ、徹底的な安全対策を講じていくよう指示をしたところです。こうした検討会での検討もしっかりと踏まえた上で、今後の安全対策についても考えていきたいと思っております。

(内閣広報官)

 それでは、次の方、読売新聞、宮井さん。

(記者)

 読売の宮井です。

 2段階のアプローチについて確認なのですけれども、参院選後に新しい資本主義について具体化させる施策を講じるということでしたけれども、これは財源についてはまた新しい補正予算を組んで参院選後の臨時国会に提出されるということでしょうか。

(岸田総理)

 先ほど申し上げたように、6月までに新しい資本主義のビジョンと実行計画、そして、今年の骨太方針2022を取りまとめたいと思っています。そうしたものを明らかにした上で、これを具体化するのは参議院選挙後、総合的な方策を具体化するということを考えております。

 内容についてあらかじめ申し上げることは控えますが、新しい資本主義の様々な実現に向けた施策、これをしっかりと進めていく、また、エネルギー分野等においても、2050年のカーボンニュートラル等を考えましたときに、経済社会の構造変化にも取り組んでいかなければならない。こういったこともしっかりリードしていけるような方向性をしっかり示していきたいと思っています。

 それで、今、補正予算を組むのかという話ですが、これはしっかりとした方策をしっかり示した上で、必要とする財源については考えていくというのが順番でありますので、今、申し上げたものをしっかり示させていただき、国民の皆さんに理解していただく、これが重要であると考えております。

(内閣広報官)

 その次の方、NHK、長谷川さん。

(記者)

 NHK、長谷川です。よろしくお願いします。

 岸田総理は大型連休中に東南アジアとヨーロッパを訪問するというふうに伺っておりますけれども、現在の調整状況について教えてください。

 それからまた、クアッド、それから6月のドイツでのG7サミットもありますけれども、どのような外交を展開していきたいとお考えでしょうか。

(岸田総理)

 まず、今回のロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、欧州のみならず、アジアを含めて国際秩序全体を揺るがす行為であり、このような試みはインド太平洋、とりわけ東アジアにおいて許してはならない、このように考えます。こうした考えに基づいて首脳外交を展開していきたいと思いますが、日米豪印の首脳会合、さらにはバイデン大統領の訪日、こうした日程については、今、実施に向けて調整中であります。また、6月下旬にはドイツでG7サミットが予定をされています。こうした機会を活用して、是非平和秩序を守り抜く首脳外交を戦略的に展開していきたいと考えています。

 欧米諸国に対しては、G7を中心にしっかりとした連携を確認することは大事であり、また、アジア諸国に対しては、引き続きこうした国際秩序のありようが問われている、こうした問題意識についてしっかりと働き掛けをさせていただき、国際社会の連携の重要性、こうしたものについて理解を広めていかなければならない。こうした国際世論をリードしていく、こうしたことも重要であると認識いたします。

(内閣広報官)

 それでは、次の方、産経新聞、田村さん。

(記者)

 産経新聞の田村です。よろしくお願いします。

 防衛力強化、防衛費についてお伺いします。ロシアのウクライナ侵攻を受けて、ドイツは防衛費をGDP(国民経済計算)比で2パーセント以上に引き上げる方針を表明しました。今回自民党がまとめた提言でも、2パーセント以上を念頭に5年以内に防衛力強化に必要な予算水準を目指すとしています。総理は、防衛費に関してこの2パーセント目標を設定する考えはお持ちでしょうか。どのように具体的に防衛力強化を今後図っていこうというふうにお考えか教えてください。

(岸田総理)

 まず、ロシアによるウクライナ侵略を受けて、ドイツを始め様々な国々でいろいろな動きが見えます。そして、我が国においても、自民党内においてもこの新たな国家安全保障戦略等に関する議論、これが精力的に進められています。今後、新たな国家安全保障戦略の策定に取り組む中で、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討を行い、そして、防衛力を抜本的に強化していかなければならないと思います。

 まず行うべきことは、国民の命や暮らしを守るために何が必要なのか、これをしっかり具体的に現実的に議論をし、そして、それをしっかり積み上げていくことであると思います。そしてその結果、必要とされるものの裏づけとして予算をしっかり用意しなければならない。こうした物の考え方の順番で予算のしっかりとした確保を考えていきたいと考えております。

 いずれにせよ、これから何が国民の命や暮らしを守るために必要なのか具体的な現実的な議論をこれからしっかり行っていくことが重要であり、それを行った上で裏づけとなる予算をしっかり確保する、こうした取組を政府としても進めていきたい、このように考えています。

(内閣広報官)

 次の方、Tribunnewsのスシロさん。

(記者)

 インドネシアの記者、Tribunnewsのスシロと申します。よろしくお願いします。

 ゴールデンウイーク中に、総理がいろいろな国に、インドネシアを含めて東南アジアの国に訪問するのだと思いますが、インドネシア訪問のときに何を話し合われるのでしょうか。具体的に教えてください。よろしくお願いします。

(岸田総理)

 おっしゃるように、諸般の事情が許せば、ゴールデンウイークにインドネシアなど東南アジア及び欧州も訪問させていただければと考えております。インドネシアは、まず今年のG20(金融・世界経済に関する首脳会合)の議長国であります。また、インドネシアは来年のASEAN(東南アジア諸国連合)の議長国でもあります。今回の訪問を機会に、ジョコ大統領とウクライナ情勢について率直に意見交換を行い、両国間の連携、これをまずしっかり確認したいと思います。

 また、今回の訪問を通じて、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協力、また、アジアの脱炭素化を始めとした経済分野での二国間協力、こうしたものも一層加速することができればと期待しております。いずれしろ、こんなことを念頭に置きながら、今、日程の調整を行っている、こうしたところであります。

 以上です。

(内閣広報官)

 それでは、大変恐縮ですが、日程の関係であと2問とさせていただきます。

 では、ジャパンタイムズのウィル・フィーさん。

(記者)

 ジャパンタイムズのウィル・フィーです。よろしくお願いします。

 ウクライナの避難民の方が日本に避難し始めて2か月近くたとうとしています。今後は、中長期的に滞在あるいは定住する方が増えてきますが、政府としては避難民の方の中長期的な支援としてどういったことが必要になってくると思いますか。考えをお聞かせください。

(岸田総理)

 ウクライナにおける事態が長期化した場合、ウクライナ避難民の方々が我が国に滞在する期間も長期化する可能性があります。そのため、中長期的な支援として、ウクライナ避難民の方々のニーズに応じて、ハローワークを中心とした就労支援、また、学校での受入体制整備等を通じた就学支援、また、一時滞在施設や受入自治体における生活に必要な日本語教育、こうしたものを実施してまいります。

 そして、こうした支援が避難民の方々に行き届くように、全ての避難民の方に相談窓口等の手紙を送らせていただいて、日本語、ウクライナ語、英語で案内を行い、メールアドレスも頂戴して生活に役立つ情報をお届けする。こうした取組を進めていきたいと思っています。

 さらに、受入先となる地方公共団体への説明会も行ってきたところであり、引き続きウクライナ避難民の方々のニーズを丁寧に把握しながら、避難民の方々に寄り添った支援を行っていきたいと考えております。

 以上です。

(内閣広報官)

 それでは、朝日新聞の池尻さん。

(記者)

 朝日新聞の池尻です。

 円安についてお聞きします。日本銀行が低金利政策を進める中、アメリカが金利を上げ、円安が更に進む懸念があります。「悪い円安」とも言われていますけれども、この円安の是正に向けて、日銀の政策変更の必要性について、首相はどのように考えられているのかを教えてください。

(岸田総理)

 円安、価格の水準について具体的に申し上げるのは総理大臣の立場からは控えなければならないと思いますが、少なくとも円安については、急激な為替の変動、これは多くの関係者にとって好ましくないということなのだと思います。

 そして、それに対して金利等、様々な対策が議論されるわけですが、その為替の水準は経済対策、金融対策、その他様々な政策の結果であります。

 更に申し上げるとするならば、日銀においては2%の物価目標の下にその政策を進めている。この政策については、引き続き努力を続けていただくよう、政府としては期待しているところです。

 いずれしろ、為替については一般論として今申し上げましたが、具体的な水準について申し上げることは控えます。

 以上です。

(内閣広報官)

 それでは、以上をもちまして、本日の記者会見を終了させていただきます。

 御協力ありがとうございました。