データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日・インドネシア首脳会談等についての会見

[場所] 
[年月日] 2022年4月29日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文] 

(日・インドネシア首脳会談等について)

 ジョコ大統領とは、ウクライナ情勢、あるいは「自由で開かれたインド太平洋」など、様々な課題について突っ込んだ意見交換ができました。大変有意義な意見交換ができた会談であったと振り返っています。そしてウクライナ情勢をめぐっては、インドネシアは2つの国連決議に賛成をしています。このインドネシアとの間で、武力行使の即時停止、対話による事態打開、こうしたものに向けて連携していくことで一致いたしました。また、「自由で開かれたインド太平洋」については、インドネシア海上保安機構に対する巡視船供与に向けた調査の開始、それからパティンバン港拡張への追加円借款の供与の決定、こうした具体的な進展が得られたということです。さらに、私が提唱する「アジアゼロエミッション共同体構想」をインドネシアと共に進めていく、こうしたことにおいても一致いたしました。今回の訪問を通じて、日本の戦略的パートナーであり、今年のG20(金融世界経済に関する首脳会合)議長国であり、来年のASEAN(東南アジア諸国連合)議長国である、こうしたインドネシアと、そしてジョコ大統領と信頼関係を築くことができたということ、これは大変大きな意義あることであったと思っております。そして来年は日・インドネシア外交関係開設65周年です。こうした節目の年に向けて二国間関係、是非前進させていきたいということを、今日、会談を終えた後、改めて強く思った次第です。

(ウクライナ情勢や中国への対応及びG20におけるロシアへの対応について)

 まず、ウクライナ情勢全体については、今、申し上げたとおりです。それからG20におけるロシアへの対応ですが、これについては、国際社会はロシアとの関係をこれまでどおりにすることはできないと考えています。意見交換した結果、G20の対応では、今後の情勢をよく見極めながら適切に対応するべく、日本とインドネシアで緊密に連携していこう、こうしたことで一致をいたしました。率直な意見交換を行いましたが、その結果、まだG20まで6か月余りあります。情勢の変化も見ながら、日本とインドネシアが、G20成功に向けてしっかり連携をしていこう、意思疎通を図っていこう、こうしたことになった、これが今日のやり取りの在り様でありました。

(ジョコ大統領がプーチン大統領と電話会談をしたことについて、プーチン大統領との電話のやり取り等についての説明がジョコ大統領からあったのかについて)

 詳細は控えなければなりませんが、今言った点については、様々なやり取りがありました。その上で、先ほど申し上げました。まだG20のサミットまでは時間があるわけですから、その情勢の変化をしっかり見た上で日本とインドネシア、しっかり連携していこう、こういったことになった。こういったことです。

(G20の首脳会合にプーチン大統領を呼ぶことについて、総理御自身の意見を伝えたのかについて)

 具体的なやり取りを行いましたが、詳細は控えなければなりません。その上で先ほど言いましたことについて、ジョコ大統領と引き続きG20成功に向けて、協力をしていこう、こういったことになった、こういったことであります。

(ウクライナの平和の早期回復のためにG20の場というのをどのように使うか、活用するかについて)

 G20の議論のテーマとか、意義みたいなことについてはいろいろ意見交換を行いました。ただ議長国として、どのようにG20をリードしていくのか、まだ時間もありますし、今日の意見交換も踏まえて、ジョコ大統領としてもいろいろ検討されるのではないかと想像いたします。

(対露制裁について、総理の方からインドネシアに要請されたことはあったか、具体的な制裁についてやり取りがあったかについて)

 制裁についても、我が国の制裁に対する考え方など、いろいろなやり取りはありました。詳細は控えます。

(インドネシアからの石炭の輸入について)

 これまで、日本はインドネシアから石炭等様々な提供を受けてきた、こうしたことに対して謝意を示した、こういったやり取りはありました。それからエネルギーに関しては、これから先、ゼロエミッション構想に基づいて協力をしていく、こうした未来に対する協力のやり取りはありました。ロシアうんぬんについては、具体的な話はなかったと思いますが、ただエネルギー全体の在り様について様々な意見交換は行いました。

(力による一方的な現状変更の試みや経済的威圧について、中国という国名を挙げて、話をされたのか、また、どういう話をされたのかについて)

 私の方からは、様々な地域情勢、国際情勢を話す中で、中国情勢についても議論をいたしました。そして私から東シナ海、南シナ海における力を背景とした一方的な現状変更の試み、経済的威圧に対して強く反対する、こうした説明は行いました。