データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日・タイ首脳会談等についての会見

[場所] 
[年月日] 2022年5月2日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文] 

(日・タイ首脳会談等について)

 本日、タイのプラユット首相と会談を行い、ウクライナ情勢、自由で開かれたインド太平洋、さらには今後の日タイ関係の大きな方向性について議論する機会を得ました。そして、ウクライナ情勢については、プラユット首相と、いかなる地域においても、主権あるいは領土の一体性を損なうこと、あるいは力による一方的な現状変更、こうしたものは認められない。さらには大量破壊兵器による威嚇や使用への反対、こういったことでも一致することができました。そして私の方から、タイがウクライナ及び周辺国に対する人道支援を行う決定をしたこと、これを高く評価するということを伝えました。これに対してプラユット首相からは、引き続き追加的な人道支援を行う、こうした発言があり、この分野でも連携していくことで一致いたしました。そして、自由で開かれたインド太平洋については、御案内のとおり本日、防衛装備品・技術移転協定、これを署名いたしました。これは日本とタイの安全保障分野での協力の拡大に向けた大きな一歩であると思っています。そして、日タイ関係ですが、タイは地域最大の日本企業の拠点です。サプライチェーンの強靱(じん)化を含む安全保障、それから5Gなどのデジタル分野、また、タイのエネルギー移行、そして更なる新型コロナ対策、こうした様々な課題で連携することで一致することができました。アジアゼロエミッション共同体構想についても、首相と議論することができました。日タイ135周年の節目の年に、今年のAPEC(アジア太平洋経済協力)議長を務め、そしてASEAN(東南アジア諸国連合)においては、対日調整国であるタイを訪問して、プラユット首相と有意義な意見交換ができた。これは大変意義あることであったと思っています。

(東南アジア3か国訪問について)

 まず、ウクライナ情勢への対応については、アジア唯一のG7メンバーである我が国として、今回の東南アジア3か国との首脳会談を通じて、できるだけ理解と協力を得るよう努力をいたしました。3か国それぞれ、今日までの歴史的な事情など違いがあります。しかしその中にあっても国際法の下で主権や領土の一体性が尊重されなければならないということ。また、力による一方的な現状変更は許されないということ。こうした基本的な考え方においては共通認識を確認することができた、こうした手応えは感じています。そして中国に関しては、各国に対し、東シナ海、あるいは南シナ海における力を背景とした一方的な現状変更、さらには経済的な威圧、これは強く反対するべきである、これを述べました。そして各国との連携、これを確認した次第です。そして、3か国を回って改めて感じたことですが、各国首脳との間で対面で会談をすることによって、各国の置かれた状況と考え方、こうしたものについて深く理解することができ、さらには、少人数会合、あるいは一対一の会合なども交えて、本音で議論することができました。これらは、やはり改めて対面外交というものの重要性を強く感じさせてくれたと思っています。今回の東南アジア3か国訪問の成果を、是非明日からの欧州訪問につなげていきたいとも思っています。このように対面外交の手応えを感じ、この成果を、今後の欧州を始めG7各国との協議の中でもしっかりと報告をし、成果をつなげていきたい、このように思っています。

(ウクライナ情勢に関して、各国に対して求めた内容について)

 様々な制裁について我が国の考え方は申し上げました。そうした我が国の考え方を説明することによって現実、私と会って初めて人道支援等、具体的な支援を明らかにするなど、その反応は明確にあったと受け止めています。こうした様々な取組の成果の積み重ねこそ、国際社会の雰囲気を醸成していく上で大事だと思っています。

(G7の厳しい意見と東南アジアの意見との一致点をどの辺に見出すかについて)

 一致点というかG7の厳しいスタンスと、東南アジアあるいはアジアの国々の立場には違いがあることを踏まえて、こうした違いがある中で、できるだけ多くの国々に連携や協力を求めていかなければいけない。この難しさや丁寧な取組の大切さ、こうしたことについてしっかり伝えることが大事だと思います。アジアの国においては、歴史的にロシアと深い関係がある。様々な装備品の調達ですとか、国によっては、その国の幹部は多くがソ連への留学を経験している国である。こういった長い歴史がある。こういったことを踏まえながらも、こういった国々にできるだけ一致してロシアに対して明確なメッセージを発してもらう。こういった取組を促していかなければいけない。このことについて、やはり様々な、繊細な働き掛けが求められるなど、丁寧な取組が必要であるということを私も感じています。これらをG7の国々にも理解してもらいながら、できるだけ、アジア、東南アジア、インド太平洋の地域においても、共に平和や安定を実現するために行動してもらう、こうした雰囲気を作ってもらう、こういったことの大切さを日本としてもしっかり説明していく。これがアジア唯一のG7メンバーである日本の置かれている責任であり立場だと思います。今回、実際多くの国々と対話をする中で、手応えは感じましたが、逆にこうした丁寧な取組の大切さも感じました。努力を続けながら、G7を始め欧米諸国においても、アジア、インド太平洋地域の実情について理解をしてもらう努力を、日本として続けていくことが大事ではないか。こんなことをしっかり伝えていくのが日本の役目であると思っています。