データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 福島県訪問等についての会見

[場所] 
[年月日] 2022年6月5日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文] 

(今回の視察の受け止め及び今後の復興の取組について)

 まず、この葛尾(かつらお)村で初めて避難指示解除が行われてから6年がたちました。この復興の歩みの中で、多くの方々の努力があり、そして今日、そうした御努力によって、生み出された様々な、新たな特産品、こうしたものも、あぜりあ市で拝見させていただきました。こうした御努力に敬意を表し、改めてこうした皆さんが元気に活動されておられる姿を拝見してすばらしいことだなと思いました。葛尾村では、村内の若手の皆さんが中心になって村おこし活動を進められていると承知していますが、あわせて大学生など外部の若者の皆さんも多く参加する中で、こうしたあぜりあ市も開催されている、こうしたことです。大勢の方々が、あぜりあ市で行き交う姿、これを拝見して、村の復興が着実に進んでいる、多くの皆さんの努力によって、こうした復興が進んでいるということを感じさせていただきました。こうした交流人口の拡大の動き、是非これからも拡大させていただき、加速させていただき、被災地に活力をもたらすこと、これが重要だと思います。先ほど御挨拶の中でも申し上げましたが、この避難指示解除、これはゴールではなくスタートだということを肝に銘じて、引き続き、政府としても、福島の復興に責任を持って、取り組んでいかなければならない、こうした思いを新たにした次第です。

(今回の避難指示解除の受け止め及び帰還意向があった地域だけではなく帰還困難区域全域の避難指示の解除を進める考えの有無について)

 まず、今回の解除は、長い間、帰ることが難しいとされてきた帰還困難区域において、初めて住民の帰還を可能とする決定です。今後、再び住み始める人、また、この地を訪れる人、こうした方々が増えることで復興が更に加速されることを期待したいと思っています。そして、特定復興再生拠点区域外についても、まずは昨年8月に決定した方針を踏まえて、避難指示解除に向けた取組、これをしっかり前に進めなければならないと思います。そして、この自宅に帰りたいという住民の皆さんの切実な思いに応えていかなければなりません。そして、将来的に帰還困難区域の全てを避難指示解除し、復興再生に責任を持って取り組む、この方針は、全く揺らいでおりません。この方針に基づいて、しっかり取組を進めてまいります。そして、今の質問で、住民の皆さんの中で、分断が生じるのではないか、こういった御指摘がありましたが、そういった点も念頭に置きながら、まずはやはり住民の皆さんの思い、これを尊重する、大事にする、これが最も大事であるということを念頭に置きながら、引き続き、政府としては、各自治体の個別の課題、要望、こういったことを伺いながら丁寧に取組を進めていきたいと思います。自治体あるいは住民の皆さんとの意思疎通、これを大切にしながら、先ほど申し上げました基本方針に基づいて、取組を進めていく、こうしたことが大事ではないかと考えます。

(福島第一原発の事故の教訓を踏まえ、今後の原発再稼働をどのように進めていくかについて)

 おっしゃるように、取組について、自治体の意向を尊重しなければならない。これはそのとおりだと思います。それを尊重した上で、国としてしっかりとそれを支えていく、後押しをしていく、こうした姿勢を大事にしていきたいと思います。いずれにせよ、自治体と意思疎通をしっかり図りながら、国としての責任をどう果たしていくのか、国が大きな責任を担っているということは、従来から再三申し上げているとおりですが、それを実際に実行するに当たって、自治体との連携、意思疎通、これは大事にしなければいけない。御指摘の点についてもその点が大変重要であると認識いたします。その思いで取組を進めます。