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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 愛知県訪問についての会見(岸田内閣総理大臣)

[場所] 
[年月日] 2022年6月17日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文] 

(本日の視察を受けて、今後の政策等へどのようにいかしていくかについて)

 今日は自動車製造の現場を視察させていただきました。工場においては、電気自動車を始め、異なる種類の車を、一つのラインで一緒に生産し、カーボンニュートラルに向けた多様な選択肢を追求する、こうした現場を拝見させていただきました。近代的な工場ではありますが、その中で、製造工程に、正に手作りの様々な工夫を凝らす「カイゼン」という言葉が、今、世界中で使われていますが、正に「カイゼン」の現場を見させていただいたと感じ、ある意味、感銘も受けました。また、最新の電池、これも拝見させていただきました。この20年間の技術開発の歴史等も聞かせていただき、技術開発競争をリードするための蓄電池の開発努力、こうしたものも実感させていただきました。そして改めて感じたことは、新たな技術をいかす人の力と、そしてそれを支える投資、この二つでありました。カーボンニュートラルの実現に向けて、官民一体で、大胆に取組を進めていくことが大事だということを感じた次第です。

 そしてその後、自動車業界の皆様方と、懇談させていただきました。懇談の中では、自動車産業の成長と分配への貢献について議論いたしました。特に税制については、自動車を国家戦略の中心に位置付けて、骨太の議論を進めていただきたいという指摘を頂きました。脱炭素に向かう中でも引き続き、自動車産業が我が国の成長産業であり、クリーンエネルギー戦略の大黒柱だと思っています。官と民が連携して、社会課題解決とそして経済成長、この二兎(にと)を追っていく、こうした新しい資本主義の基本的な考え方にも沿う形で御努力いただきたいと思っています。そしてあわせて、既に自動車業界でも、モビリティ委員会において議論を進めていただいているということを御説明いただきましたが、秋以降、新しいモビリティの在り方を議論するために、自動車産業トップを始めとする関係者と、私及び関係閣僚との対話の場、これを持ちたいと考えています。脱炭素に向かう中でも引き続き、自動車産業が我が国の成長産業であり、クリーンエネルギー戦略の大黒柱であるという考えに基づいて、こうした議論を行っていきたい、このように考えています。

(懇談における賃上げに関する話題の有無について)

 自工会あるいは部工会としても、賃上げに向けては、様々な努力を頂いた。こうしたことについて、御説明いただきました。是非、政府としましても、官民連携して、賃上げのトレンドをしっかりと維持し、そして今後、より発展させていくよう努力していかなければならない、こんなことを感じました。

(賃上げに関する説明の具体的内容について)

 今回どんな努力を春闘等で行ったか、そういったことであります。

(今回の視察の狙いについて)

 今回、視察させていただいたタイミングですが、これは前から自動車産業の現場、拝見させていただきたい、こういったことを申し上げてきました。その中で、骨太の方針もまとまりました。これから骨太の方針、また新しい資本主義のグランドデザイン、実行計画を具体化していかなければいけないタイミングですので、この結果としてこのタイミングで視察させていただいた、こうしたことです。参議院選挙に向けて、タイミングを考えたということではないということは申し上げていきたいと思います。是非、今回の視察を先ほど申し上げたような形で、日本の経済の大黒柱としての自動車産業の活躍につなげていくよう、官民で連携していきたいと思っています。

(秋以降に行う自動車産業関係者との対話について)

 経団連の中でも、モビリティ委員会という形で、モビリティ全体を単に自動車工業会だけではなく、広く利用する分野を始め、関係者が集まって骨太の議論を行うという取組を進めているというお話を聞きました。是非、政府との間においても、こうした未来に向けた骨太の議論をしようと。モビリティという切り口で議論していこう。こういったことを考えています。先ほど秋以降と申し上げましたが、まだ具体的に、何日からどんなメンバーで、ということまでは決めているものではありません。政府としては、是非、私、総理大臣、関係閣僚、皆その議論に参加したいと思っています。