データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 新潟県訪問等についての会見(岸田内閣総理大臣)

[場所] 
[年月日] 2022年9月4日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文] 

(本日の視察及び車座について)

 まず、この度の豪雨災害によって、被害を受けられた全ての方々に心からお見舞いを申し上げさせていただきます。その上で御指摘のように本日、新潟の被災現場を訪れ、河川の氾濫ですとか、浸水、土砂災害といった凄まじい被害の爪痕を目の当たりにさせていただきました。そして、これも今御指摘ありました、村上市の小岩内(こいわうち)地区では、過去の貴重な教訓ですとか、住民の皆さん一人一人の呼び掛けなどによって大きな被害を免れたというお話も聞かせていただきました。政府としましては、被災自治体の皆さんが、全力で復興・復旧に取り組むことができるように、今回の災害については、全国を対象に激甚災害に指定する見込みであること、これを既に先日発表させていただいております。引き続き被災自治体と連携しながら、政府一体となって迅速な復興・復旧を図るとともに、お住まいの確保を始めとする生活再建のために全力で取り組んでいかなければならないと認識しています。そしてあわせて、今回、視察の中で、事前に様々な防災減災対策が行われていたことによって、被害をできるだけ小さくすることができた、こうした指摘もありました。政府としましては、国民の皆さんの財産生命を守るために、防災減災対策、いわゆる国土強靱(きょうじん)化、こうした対策についても重要性をしっかり認識しながら取組をしっかり進めていきたいと思っております。

 そして2点目の農業視察、さらには物価高騰をめぐりまして、車座で意見交換させていただきました。食料品、あるいはエネルギーを始めとする物価高騰が、本当に幅広く、そして大きな影響を与えているということを改めて強く感じました。あわせて、様々な立場の皆さんが、様々な創意工夫をしながら物価高騰の中で努力しておられる、こうしたことについても、貴重なお話を聞かせていただいたと受け止めています。是非、食料品、エネルギー等の価格上昇から、国民の生活、あるいは生業(なりわい)を守るために、政府としてもしっかり責任を担っていかなければならないということで、食料品については既に小麦価格について10月以降も据え置くことを表明しております。これによって秋以降も、麺ですとか、パン、こうしたものの価格の値上がりを抑えていくということを申し上げております。また配合飼料の価格についても、畜産農家が支払う飼料代負担を10月からの第3四半期も現在と同程度の水準に据え置くよう支援を拡充し、卵ですとか、牛肉、豚肉、こうしたものの価格高騰の影響をできるだけ軽減していく、こうした取組を進めていきたいと思っておりますし、エネルギーについてもこれまで毎月3,000億円を投入して、本来、リッター200円を超えていたガソリン価格を170円以下に抑制してきたわけですが、引き続き燃料油の負担軽減、電力・ガスの安定供給などの対策、これは具体化していきたいと思っております。地域においても1兆円の地方創生臨時交付金、これを活用して様々な取組、進めていただいています。生活者支援ということにおいて、99パーセントの自治体において、給食費の値上げが留め置かれているという現状があります。またここ新潟市においても、児童1人当たり1万円の給付が実施されている、こうしたことでもありますし、また事業者支援ということについても、医療、福祉、農林水産、中小企業など幅広い事業者に支援が行われており、例えば新潟県においては燃料費高騰の影響を受ける地域交通事業者向けに5億円の支援事業を行う、さらには中小企業の省エネ設備導入にも5億円の支援事業を行っている、新潟県もこうした御努力をいただいていると承知しています。こうした地域のニーズに応えた支援、これは極めて重要であると認識しておりまして、この地方創生臨時交付金についても、この物価高騰対応により重点的・効果的に活用される仕組みへの見直し、さらには増額、政府としても考えていきたいと思っております。そして政府としては、9日に物価・賃金・生活総合対策本部、これを開催して、これらの追加策を取りまとめ、切れ目なく対策を講じていきたいと考えております。

(国葬儀及び旧統一教会に係る国民に対する説明について)

 まず国葬(儀)については御指摘のように、今週、閉会中審査等を通じて、国会で議論する場を設けていただくようお願いしております。そうした場を設けていただいたならば、国民の皆さんに対して丁寧に説明する努力を続けていかなければならないと思っています。

 そして旧統一教会の問題については、自民党として全国会議員に対して点検の状況を報告することを求めてきたわけですが、その取りまとめを行った上で、党の状況について国民の皆さんにしっかり説明していかなければならないと思います。そしてこれまでのありようについてしっかり説明した上で、未来に向けて社会的に問題の生じている組織との関係をしっかり絶つということを改めて確認する、こうした取組をわかりやすく示していくことが重要であると認識しています。そうした姿勢で説明責任、しっかり果たし続けていきたいと思っています。

(国葬儀に係る企画・演出業務の落札会社が適切であるかについて)

 今回の落札については、適正な手続に基づいて行われたと認識しています。御指摘の会社は、これまで振り返ったときに、政府の東日本大震災の慰霊祭、また、毎年8月行っております戦没者慰霊祭、これも全部その今回落札した会社が担当しております。そして、歴代総理の合同葬そして吉田(元)総理の国葬(儀)、これも全て今回落札した業者が、担当しております。そもそも、武道館でこうした事業を担うことができる業者というのは、4社ほどに限られているということも聞いている中で、今回入札が行われた。そして結果としてこの会社が落札したということであります。また、当該会社の経営についても、今年から変わっているということも承知しています。ノウハウをしっかりとこれからもいかすということで、今回正式な手続の下に落札されたものだと認識しております。

(今月29日に予定される日中国交正常化50周年に合わせた記念事業への総理出席予定の有無について)

 その記念事業に私が出席するかということですか。今、現在、出席の予定はありません。私が承知しているのは以上です。