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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 物価高騰への政府の対応等についての会見(岸田内閣総理大臣)

[場所] 
[年月日] 2022年9月8日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文] 

(物価高騰への政府の対応及び防衛力の強化について)

 まず、物価高騰を始めとする経済への対応についてですが、これまで食品、そして農業、小売、エネルギー関連の方々、消費者団体、地方自治体など、様々な現場の切実な声を伺ってきました。食料品やエネルギー分野を始めとする値上がりが、消費者の暮らしや事業者の経営に大きな影響を与えています。危機感を持って、切れ目のない対策を行っていきます。まずは、先月指示したとおり、明日9日に、物価・賃金・生活総合対策本部を開催し、足下の対応について、追加策の取りまとめを行います。

 以下、ポイントを申し上げますと、まず、食料品について、輸入小麦の政府売渡価格を10月以降も据え置き、秋以降のパンや麺などの値上がりを抑えてまいります。さらに、配合飼料の価格についても、畜産農家が支払う飼料代負担を、10月からの第3四半期も、現在と同程度の水準に据え置くよう支援を拡充し、卵、牛肉、また豚肉、こうした価格への影響、これを軽減してまいります。

 次に、エネルギーについてですが、ガソリン価格については、これまでも毎月3,000億円余りを投入して、本来リットル200円を超えていたガソリン価格を170円程度に抑制してきました。足下の原油価格の水準を踏まえつつ、本年末までガソリン価格等の抑制、これを継続いたします。

 さらに、電気・ガス等のエネルギーや食料品等の価格高騰に苦しむ生活者、また事業者の方々に対して、地域の実情に応じた支援をお届けするため、地方創生臨時交付金について、6,000億円の新たな交付金を設けて、価格高騰への支援を重点的に進めます。効果的と考えられる推奨事業メニューを地方自治体に提示し、子育て世帯、中小企業、そして医療機関等への支援、これを強化してまいります。

 加えて、特に家計への影響が大きい低所得世帯向けに、電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金、これを創設して、プッシュ型の給付を行います。具体的には、住民税非課税世帯に対し、当面の電力・ガス料金、食料品価格等の高騰に伴う影響額を考慮して、1世帯当たり5万円を給付し、御負担を軽減いたします。

 これらの施策を国民の皆さんに迅速にお届けするため、今月下旬には、新型コロナ対策などとあわせて、3兆円半ばのコロナ・物価予備費を措置する予定にしています。

 また、中小企業の資金繰り支援を、ウィズコロナにあわせて転換させ、積み上がった債務の借換え円滑化のための保証制度の創設、また、観光・飲食業向けの低利融資の拡充などを行ってまいります。この点については、詳細は、経済産業省から説明させたいと思います。

 このような足下の対策を講じた上で、この秋には総合経済対策を策定いたします。閣僚への具体的な柱建ての指示は改めて行いたいと思っています。与党とも連携して、物価高騰など経済情勢の変化に切れ目なく対応しつつ、新しい資本主義を前に進め、国民の安心・安全を確保するための施策を、10月中に取りまとめます。

 そして、あわせてもう一つ申し上げたいことは、経済への対応は以上ですが、最後に、防衛力の強化に関して、一点、申し上げます。防衛力の抜本的強化については、従来から、必要となる防衛力の内容の検討、そのための予算規模の把握、そして財源の確保、これを一体的かつ強力に進めていく、このように申し上げてきました。この防衛力の検討に当たり、高い見識を有する方々にお集まりいただき、防衛力の強化に関し、幅広く総合的に御議論いただくため、「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」、こうした有識者会議を設置いたします。第1回会合については、9月下旬に開催を予定しています。

(自民党による旧統一教会と所属議員の関係についての調査結果の受け止めについて)

 まず、党の調査結果については重く受け止めています。そして今後重要なことは、以下の2点であると思っています。まず1点目は、今後、国民の不信を招くことがないよう、社会的に問題が指摘されている団体との関係を持たないことを党の基本方針として、それをしっかり担保するチェック体制を強化すること、点検の取りまとめ結果も踏まえながら、取組を徹底していきたいと思います。もう1点が、被害者の防止策、被害救済にしっかりと取り組むということです。政府においては今日の国会答弁でも申し上げたように、法務大臣を始め関係大臣において、省庁横断的な取組を進めているところですが、自民党としても党の消費者問題調査会の下に小委員会を立ち上げ、対策の検討、これを進めていきたいと考えています。

(防衛力強化のための有識者会議の設置の狙い、期待される議論、スケジュール及びメンバー編成について)

 まずスケジュール感ですが、第1回の会合について、先ほど申し上げたように9月下旬を考えています。その後、メンバーともよく相談していきたいと思います。そして、狙いですが、先ほども触れましたが、年末に向けた最重要改題の一つである防衛力の抜本強化に向けて必要となる防衛力の内容の検討、そのための予算の規模の把握、そして財源の確保、これらを一体的かつ強力に進めていくとともに、国民的な議論をしっかり積み上げ、国民の理解を得ていきたいと思っていますが、そのために有識者会議においては、総合的な防衛力の強化の在り方、防衛力の整備と経済力、財源との関係などについて、高い見地から御議論いただきたいと思っています。メンバーについて御質問がありましたが、現在調整中であります。あと、スケジュールについては先ほど申し上げたとおりですが、詳しくは内閣官房にお尋ねいただきたいと思います。

(総合経済対策の財源及び臨時国会の開催時期について)

 冒頭の発言で申し上げたとおり、10月中の総合経済対策の取りまとめに向けて、今後与党とも連携しながら検討を進めていきたいと思っています。その対策を取りまとめた後、その内容を踏まえて、しかるべき時期に補正予算の編成について検討していきたいと思います。こうしたスケジュール感の中で、臨時国会の開催時期についても、よく与党等とも協議した上で確定していきたいと思っています。

(旧統一教会と自民党議員の関係に関して、議員の自主的な点検を土台としたことについて)

 この事柄の性質上、これは、それぞれの議員の点検を基盤としなければいけない、こうしたことであると認識しています。この点は他党も全く同じ手法で全体の把握をしていると承知しています。是非、調査の結果を重く受け止めて、国民の皆さんの信頼回復に向けて努力していきたい、このように考えております。それ以上の詳細については、是非幹事長にお伺いいただきたいと思います。

(安倍元総理や衆・参議院議長が調査対象となっていないことについて)

 基本的に、今、党所属国会議員を対象として調査を行いました。その中にあっても、今日、国会でも申し上げましたが、安倍(元)総理に関しては、お亡くなりになっているということを考えますときに、当時の判断について、把握することについては限界があると感じております。いずれにしろ、党として所属国会議員の実情について、しっかりと把握し、所属国会議員には、そうしたこれまでのありようについて、しっかり説明することによって、国民の信頼を回復してもらわなければならない。そして何よりも党の基本的な方針として、当該団体との関係を絶つ、これを徹底することが重要であり、それを担保するための党としてのシステム、これについてしっかりとこれから党として議論し、決定していかなければいけないと思っています。

(今後の調査の考えについて)

 今、申し上げたとおりの方針で党として、党の信頼回復についての努力をしていきたいと思っています。