データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 鹿児島県訪問等についての会見(岸田内閣総理大臣)

[場所] 
[年月日] 2022年10月10日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文] 

(本日の鹿児島県訪問の成果をどのように政策に反映させるかについて)

 まず本日は、内閣総理大臣として、初めて全国和牛能力共進会の閉会式に出席させていただき、我が国固有の財産である、この和牛の改良に取り組む皆様方に直接祝意をお伝えさせていただきました。また、それに先立って、和牛生産に関わっている皆様方と車座対話を行わせていただきました。車座対話においては、飼料価格の高騰や子牛価格の下落等によって、和牛に関わっている皆様方が大きな影響を受けているということを改めて感じ、飼料の国産化、又は堆肥の肥料利用拡大など、生産基盤を強化しなければならないということ、また輸出の強化等による稼ぐ力をしっかり伸ばしていかなければならない、こういったことを改めて再認識した、こうした機会でありました。

 こうした経験を踏まえて、本日頂いた御意見もしっかりと受け止めさせていただいた上で、10月中に策定いたします総合経済対策の中に、稲作農家と畜産農家が連携した国産飼料の供給・利用の拡大の取組への新たな支援制度を創設するということ、また畜産農家、肥料メーカー、子牛農家が連携して、堆肥等の肥料利用を拡大する取組に対する新たな支援制度を創設するということ、また牛肉輸出のための高度な衛生管理施設整備への支援を拡充すること、こうしたことを盛り込んだ上で、肥料・飼料の国産化や円安メリットをいかした農林水産物の輸出拡大などに強力に取り組んでいきたいと考えています。

 そして今、御指摘のように明日11日から水際対策が緩和されます。全国の旅行支援あるいはイベント割、これも開始されます。日本ブランドを積極的に発信し、国内外の皆様に、本日開催されている、こうした鹿児島の和牛フェスのような魅力的なイベント、そして食文化を楽しんでいただければと思っております。今後とも、こうした多くの皆様の声を聞きながら、総合経済対策策定に努力していきたいと考えています。

(北朝鮮が米韓などを対象とした軍事訓練を行ったと明らかにし、対話にも応じない姿勢を示していることについて)

 北朝鮮の労働新聞による発表について、承知しております。今回の発表も含めて、一連の弾道ミサイルの発射について、引き続き、我が国として分析を進めているところですが、この発表の中で様々な主張が出されているようですが、一連の弾道ミサイル、こうした様々な挑発行動、これは関連する国連安保理決議に明らかに違反するものであり、断じて容認することができない、これが我が国の立場であります。引き続き警戒監視、情報収集に全力を挙げるとともに、国連安保理決議に従った北朝鮮の完全な非核化に向けて、日韓、日米韓、さらにはG7を始め、様々な枠組みを通じて、国際社会と連携していかなければならないと思います。改めて、国民の命や暮らし、安心・安全を守るために、政府として全力で様々な取組、働きかけ、続けていきたいと考えています。

(総理のオーストラリア訪問予定及び首脳会談を通じた農産物輸出強化の考えの有無について)

 オーストラリアについては、従来から、できるだけ早い時期に訪問させていただきたいと思って調整を続けてきました。ただ、今段階でも、まだ調整中であると報告を受けております。ですから、まだ日程は具体的に確定はしていない、こうした状況にあります。オーストラリアは、御指摘の農林水産物においても様々な関係のある国でありますが、特に昨今はエネルギーを通じて連携の期待が高まる国でもあります。こうした様々な分野で地域の安全や安定や、さらには繁栄のために協力していくことができる国だと思っております。いずれにせよ、できるだけ早期に訪問ができるように調整を詰めていきたいと思っています。