[文書名] オーストラリア訪問等についての会見(岸田内閣総理大臣)
(オーストラリア訪問の成果について)
まず今回の豪州訪問においては、安全保障環境が厳しさを増している中にあって、基本的な価値、あるいは戦略的な利益を共有し、なおかつ日本経済にとっても特に重要性を持つ豪州との間において、安全保障・防衛分野における協力、そして自由で開かれたインド太平洋の実現に向けての協力、さらには資源エネルギー分野における協力、こうしたものを確認することができました。こうした意味で大変重要な訪問であったと振り返っています。特に御指摘があったように、日豪の安全保障協力において、今後10年間の方向性の羅針盤になるというべき安全保障分野における日豪共同宣言に署名することができた、このことは大きな意義があったと思っています。そして資源エネルギーの分野においては、ウクライナ情勢等から資源エネルギー安全保障に対する重要性が指摘される中にあって、アルバニージー首相からは、豪州は信頼できるパートナーであり、安全な投資先であり続けるという発言を頂きました。その上で私とアルバニージー首相とで引き続き協力し、資源エネルギー分野での協力、更に協力を強化していこう、こうしたことで一致した、こうしたやり取りもありました。その中で、そういった両国の間での協力の確認の一環として、重要鉱物に関するパートナーシップが署名されました。また御指摘のようにニッケル精錬所の視察を行いましたが、バッテリーメタルのサプライチェーンの重要性について実感することができました。こうした具体的な日豪協力、一層進めていきたいと思っています。今回の豪州訪問を通じて日豪両国のみならず、地域や国際社会の平和や安定に重要な役割を果たす日豪の特別な戦略的パートナーシップ、これを一段と高い次元に高めることができたと感じています。
(為替相場の不安定及び電力・ガスの価格上昇に対する政府の対応について)
為替については、これは従来から申し上げているとおりです。政府としては投機による過度な変動、これは容認できない、為替市場の動向に高い緊張感を持って注視していくということ、そして過度な変動に対しては適切な対応を採っていく、この方針をこれからも維持していきたいと思っています。そして先ほど申し上げたように、アルバニージー首相との間で資源エネルギー分野での協力、更に強化していく、こうした点で一致いたしました。世界的にエネルギー価格が高騰する中で、エネルギーの安定調達を図るために外交努力を引き続き行っていくとともに、月内に取りまとめる総合経済対策において、電力あるいはガス、こうしたエネルギーに向けての対策、こうした対策に万全を期していきたいと思っています。政府としてはそうした方針で、引き続きあらゆる政策を用意していきたいと考えています。
(共同宣言に、地域の安全保障上の利益に影響を及ぼし得る緊急事態に関して協議し対応を検討する、との文言を入れたことの狙いと想定について)
これはこの共同宣言自体が、先ほど言いましたように、今後10年間の両国の安全保障の方向性を定める羅針盤とするべき文書であるということで、そういったことを念頭に作業を行ってきた、こうしたことであります。こうした方向性を示すものですから、特定の国とか地域を念頭に置いたものでもありません。新たな安全保障に関する共同宣言が、基本的な価値と、そして戦略的利益を共有する日豪両国が、インド太平洋地域の平和と安定に貢献する、こうしたものになるべく、この宣言を基に努力していきたいと思っています。こうした考えに基づいて、様々な観点から事務的な積み上げを行って、今回の共同宣言を取りまとめた、こうしたことであります。
(今回の共同宣言を踏まえた日豪関係の位置づけについて)
今までも安全保障に関する共同宣言がありました。それに基づいて様々な協力を具体的に積み上げてきました。そしてこの度、新たな安全保障に関する共同宣言を署名する、こうしたことになり、今後10年間の方向性について確認するということになりました。同盟国、同志国との関係、それぞれ重要性があり、そしてそれぞれ様々な意義があるわけですが、日豪関係もこうした同志国との連携の中の一つの中核として位置づけられるような関係になってきている、こうしたことは感じています。
(政府・日本銀行が為替介入を行ったとする報道があることについて)
為替について具体的なコメントはいたしません、先ほど申し上げました基本的な考え方を申し上げております。それ以上のコメントはいたしません。