[文書名] ASEAN関連首脳会議等についての会見(岸田内閣総理大臣)
まず、一連のASEAN(東南アジア諸国連合)関連首脳会合においては、私の方から、ASEANの中心性・一体性ということ、それからインド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)に対する日本の揺るぎない支持、これを改めて強調致しました。そして、来年は日本とASEAN友好協力50周年という節目の年を迎えます。よって、通常の日・ASEAN首脳会議に加えまして、来年12月に東京で日・ASEAN特別首脳会議、これを開催することで一致いたしました。また、ロシアによるウクライナ侵略、北朝鮮といった喫緊な課題についても日本の立場を説明するなど、各国と有意義な意見交換ができたと、議論を行うことができたと感じています。私、総理就任以来、日本とASEANの関係、日本の対日ASEAN外交、これを特に積極的に展開してきました。国際情勢が変化する中にあって、日本とASEANの関係が世界の平和と繁栄に大きな影響を与える、日本とASEANの連携の強化ということを今回の訪問においても改めて確認ができたことは意義あることであったと思っています。そして日米、日米韓あるいは日韓、こうした首脳会合についてですが、まず日米首脳会合においては、厳しさを増す安全保障環境の中で日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化を図るとともに、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組を推進していく、こうしたことで一致いたしました。また、地域情勢についても意見交換を行い、力による一方的な現状変更の試み、これは決して許してはならないということ、またロシアによる、核による脅かし、これは断じて受け入れられない、ましてやその使用、これはあってはならない、こうしたことを確認いたしました。さらに、私から本年末までに、新たな国家安全保障戦略の策定をすべくプロセスを進めているということについて述べ、我が国の防衛力を抜本的に強化し、その裏付けとなる防衛費の相当な増額、これを確保する決意を改めて示し、バイデン大統領から強い支持をいただきました。また日米韓首脳会合ですが、北朝鮮による前例のない頻度と、そして態様での挑発行為が続いている、さらにはこれから更なる挑発行動も想定される、こうした中で日米、日韓、そして日米韓、こうした連携はますます重要になっています。こうした中で、日米韓首脳会合を開催いたしました。北朝鮮の完全な非核化に向けた対応について毅然とした対応を行っていく、こうしたことで一致いたしました。そして日韓首脳会合ですが、尹(ユン)大統領との間で、北朝鮮問題とともに自由で開かれたインド太平洋の実現に向けても連携していく、こうしたことを確認いたしました。旧朝鮮半島出身労働者問題については、ニューヨークでの私と尹大統領の指示を受けて外交当局間での協議が加速していることを踏まえて、懸案の早期解決を図ることで改めて一致した、こうした会談内容でありました。また最後に、葉梨前法務大臣の辞任によって、一部のバイ会談が一旦キャンセルになったことについてですが、ベトナム・ラオス・ブルネイ、この3か国について御指摘いただきましたが、いずれも昨日から本日にかけて、マルチの会合の前後の機会に、会談・懇談・立ち話を実施いたしました。また一連のマルチの会合の際には、御案内のとおり開催時間の調整のために、ウェイティングルームで参加者が一堂に会して話し合いを行う、時間調整を行う、こういった場があります。今回、ガラ・ディナーの時間の日程も含めてかなりの待合時間を確保することができました。その間に御指摘のベトナム・ラオス・ブルネイを含めた各国首脳と話し合いを行う時間、これを十分とることができました。結果としまして、当初の目的は果たすことができたと受け止めています。以上です。
(日中の首脳会談の日程等について)
日中の首脳会談については、日程は確定はしておりませんが、開催の方向で調整をし続けております。それで内容については、日中の間においては様々な可能性があるとともに、数々の課題や懸案があります。主張すべきは主張し、そして責任ある行動を求める。そして、諸懸案も含めて対話はじっくり重ねることによって、共通の課題については協力する。こうした建設的かつ安定的な日中関係を日中双方の努力で構築して行く必要があると考えています。是非、こうした取組を、話し合いを、対話を前進させていく、こうした会談にしたいと思っています。
(日中の首脳会談の開催に関してG20とAPEC(アジア太平洋経済協力)のいずれが有力であるかについて)
今、その両方を含めて調整しています。開催の方向で調整が続いております。
(梨泰院(イテウォン)の事故に関するやり取りについて)
会談の冒頭部分で私の方から、痛ましい事故について弔意を申し上げ、そして、韓国側が2人の日本人の犠牲者の方についても家族の皆様等に特別の配慮をしてくださっていることには御礼を申し上げました。尹大統領からも、それについて説明をする、そういったやり取りがありました。
(中国を強く批判した意図とそれに対する中国の反応について)
批判したとおっしゃいますが、先ほどから申し上げているように、日中間には様々な可能性があるとともに、様々な課題や懸念がある。それに対して主張すべきことは主張する、これが基本的な日本のスタンスです。ですから、こうした諸懸案について指摘することは指摘をし、一方、協力すべきことは協力する、そして結果として、建設的かつ安定的な日中関係を築いていく、こうした方針で臨んでいきたいと思います。主張すべきことは主張するということで、EAS(東アジア首脳会議)の場においても、私は発言させていただきました。こうした率直な発信が、今後、日中関係を安定させていくためにも重要だと思っておりますし、その後、中国側からの反応については、少なくとも私は何も反応があったということは聞いておりません。
(台湾問題について話し合いはあったのかについて)
台湾問題については、日米韓の際にはほとんど北朝鮮問題が中心でありました。その他の地域情勢については突っ込んだやり取りはなかったと記憶しております。