[文書名] NATO首脳会合等についての会見(岸田内閣総理大臣)
(NATO(北大西洋条約機構)首脳会合及びウクライナ支援に関する共同宣言について)
まず、本日の会合においては、欧州とインド太平洋の安全保障は不可分であるという認識の下に、大西洋の同志国との間でも、インド太平洋への関心あるいは関与が高まっている、このことを歓迎し、そして、地域を超えた同志国間の協力が重要である、こうした指摘を行い、そして、なおかつ、参加各国とこうした思いを共有できたと感じています。法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けて、NATO及びその加盟国並びにパートナーとの連携を引き続き進めていきたいと考えています。
そして、NATOとの間において、日NATO協力を新時代の挑戦に対応し、新たな高みに引き上げるための具体的な協力に関わる文書を合意することができたということです。今後はこの協力文書を踏まえて伝統的な分野に加えて、サイバーですとか振興技術等の新たな分野での協力を進めていきたいと考えています。
そして、NATOの連絡事務所の設置については、そういった議論が行われているということは承知しておりますが、今回の首脳会合では、何らの決定もなされなかったと承知しています。
そして、ゼレンスキー大統領とのやり取りですが、本日は、NATOの会合が大幅に長引いたために、残念ながらゼレンスキー大統領とは会談をすることには至りませんでした。ただ、G7とウクライナとの間で、ウクライナ支援に関する共同宣言を今回発出したわけですが、その発出式典の舞台裏で短時間、懇談を行いました。そして、その上で、発出式典を通じてG7とウクライナの揺るぎない連帯を改めて確認した、こうしたことでありました。そして今回、日本からは無人航空機対策として、NATOの信託基金に拠出した3,000万ドルを活用して、対無人航空機探知システム等をウクライナへ供与していく、こういった表明を行ったところであります。G7として、これまでもウクライナに対する揺るぎない支援、これを繰り返し表明してきたところですが、この本宣言は、こうしたG7広島サミットの際にも確認した、主権や領土の一体性を守るための努力を続けるウクライナを支援し続けることへのコミットメント、これを再確認するものであると認識しています。この宣言を受けたウクライナに対する支援の内容については、今後各国がそれぞれの法律、あるいは憲法上の要件に従い、ウクライナとの二国間の文書の中で、具体化していくことになります。日本としても憲法、法令の範囲内で日本らしい支援を行い、公正で恒久的な平和が早期に実現できるよう、ウクライナとの協議を進めていきたいと考えております。本宣言は、ウクライナ支援に関する考え方を共有する全ての国々に開かれており、今後国際社会の多くの国々がこの宣言に参加することを期待している次第です。取りあえず以上です。
(ゼレンスキー大統領との懇談について)
会談は時間をとることが難しくなってしまったので、発出式典、御覧になった方はわかると思いますが、舞台が用意されていましたが、その舞台裏で、控えている時間、ゼレンスキー大統領と懇談した、意見交換を行った、こうしたことであります。ですから、ちょっと時間が短かったことから、会談という形ではなく懇談した、このように申し上げました。
(日韓首脳会談について)
まず、今回、おっしゃるようにバイ会談、多く行わさせていただきました。NATO事務総長、リトアニア、韓国、ニュージーランド、スウェーデン、チェコ、こうした首脳とのバイ会談を行いました。また、いわゆるAP4(アジア太平洋パートナー)、日本、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、この4か国の首脳会合も開きましたし、また、バルト3国の首相との懇談も行った、こうしたことでありました。今、懇談と申し上げたのは、こちらは立ち話でしたので懇談と申し上げました。
そして御指摘の日韓首脳会談においては、二国間の対話や協力の進展をお互い確認し、関係改善を両国国民が実感できるよう、更に取り組んでいく、こういったことで一致いたしました。そしてALPS(多核種除去設備)処理水については、私の方から、先般のIAEA(国際原子力機関)の包括報告書について言及し、日本の総理として海洋放出の安全性に万全を期し、自国及び韓国国民の健康や環境に悪影響を与える放出は行わない、こうした旨述べました。また、海洋放出の開始後、IAEAによるレビューを受けながら、我が国が行うモニタリング情報を、透明性高く迅速に公表する旨、また、万一、同モニタリングによって放射性物質の濃度が基準値を超えるなどの問題が生じた場合には、計画どおり、直ちに放出を中断することを含め、適切な対応を採ることとしている旨説明を行いました。尹(ユン)大統領からは、IAEA包括報告書の内容を尊重するとの発言があった上で、韓国政府の立場の説明がありました。
ALPS処理水の海洋放出の時期は、本年春から夏頃と見込むとしてきておりますが、この方針に変更はありません。ただ、具体的な放出時期は、安全性の確保や風評対策の取組の状況を政府全体で確認した上で判断していきたいと考えております。以上です。
(習近平国家主席との首脳会談の予定について)
まず、習近平国会主席との首脳会談については、現時点で決まったものは何もありません。そして、首脳会談については従来から申し上げてきているところですが、昨年11月に行われました日中首脳会談の前向きなモメンタムを大事にしながら、主張すべきことは主張し、中国に責任ある行動を求めつつ、諸課題について、諸懸案を含め、対話を重ね、共通の課題については協力する、建設的かつ安定的な関係を日中双方の努力を行うことによって構築していく、こうした方針で臨んできております。引き続き、あらゆるレベルで緊密に意思疎通を図っていきたいと考えております。是非こうした方針に基づいて対話を行う、特にハイレベルの対話を重視していきたい。現状確認していること、あるいは政府として、方向性として決定しているのは以上であります。この方針に従って、具体的な日程等をこれから協議していきたいと考えています。