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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 群馬県訪問等についての会見(岸田内閣総理大臣)

[場所] 
[年月日] 2023年8月3日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文] 

(本日の視察の感想と今後の政策にどういかしていくか、デジタル社会の実現に向けた今後の発信及び保険証廃止に関する今後の対応について)

 まず、本日視察をさせていただきました、デイサービスセンターおおいどにおいては、職員の皆さんの認知症ケアに対する熱い思いを感じましたし、また、利用者の方々の穏やかな笑顔を拝見しましても、改めて、介護現場での御尽力・御努力に頭の下がる思いがいたしました。その後、視察の後に意見交換もさせていただきましたが、施設の利用者、またその御家族、さらには職員の皆様、それに加えて、「ぐんま希望大使」として、認知症への正しい理解のために日々発信に取り組んでおられる本島さん、そして、その御家族からもお話を伺いました。皆が支え、そして支え合う、こうした関係について感銘を受けたところです。こうした認知症の方、御本人、そして家族、さらには関係者の皆様の声を政策に反映していかなければならない、こうしたことを感じた次第です。認知症への対応については、認知症基本法、先の通常国会で成立したわけですが、その法律の施行を待たずに、来月には認知症の方、御本人や家族、有識者等を交えた、私が主宰する会議体を立ち上げて、普及啓発や本人発信の支援、また、地域ぐるみの保健医療・福祉体制、また、仕事との両立を含めた家族等の支援など、予防・早期診断や認知症の進行抑制等のための研究開発と併せて、総合的な施策推進のための議論、これを深めていきたいと考えています。

 そして、デジ田会議(デジタル田園都市国家構想実現会議)及びその視察についての方ですが、デジ田実現会議において議論をしてきた、誰一人取り残されない取組として、デジタル推進委員の活動や、Digi田(デジデン)甲子園で準優勝した公共交通の先進的な取組、今日は私自身、実際に見させていただきました。実際に体験させていただき、デジタルが地域の課題解決につながっている、こうしたことを実感させていただきました。政府としては、今回の群馬県の公共交通の取組や、先週の福岡市の窓口DX(デジタル・トランスフォーメーション)など、マイナンバーカードを活用した、優れた11分野のサービスをカタログ化して、ガバメントクラウドでのシステムの標準化に取り組みつつ、デジタル田園都市国家構想交付金による財政的支援など、各種支援策の拡充によって、横展開の促進に取り組んで、デジタルの力を活用した、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会、こうした社会の実現に全力で取り組んでまいります。

 そして最後に、マイナ保険証への移行の在り方や、デジタル化の取組について、これまで関係者の声や御意見、聴いてまいりました。また明日、関係大臣から、総点検の現時点での実施状況や対応方針について、報告を受けることとしており、その内容も踏まえて、デジタル化に向けた決意と、その前提となるマイナンバーカードに対する国民の信頼回復のための対策について、明日の夕刻、会見を開き、私から説明をしたいと考えております。以上です。

(全国的な温泉文化の登録に向けた動きに対する受け止め及び政府の支援の在り方について)

 まず、温泉は長く人々に親しまれてきた、日本を代表する観光文化資源であり、日本人が古くから自然の恵みとして利用するほか、土地の風情を味わう拠点にもなっているなど、地域振興にとって大変重要なものであると認識しています。そして今、御指摘のように、群馬県を始め、関係自治体の皆様がこの温泉文化について、ユネスコ無形文化遺産に登録を目指されている、このように承知しています。そして、そのためには、その保存すべき無形文化について、登録のための課題をクリアしていく必要があると承知しています。例えば、定義ですとか、担い手ですとか、こういった点について整理をしなければいけない、こうした課題もあると承知しておりますので、政府としては、自治体や保存関係団体による検討に対して、文化庁が専門的な見地から、しっかりとアドバイスをするなど、その必要な協力、これを行ってまいりたいと考えております。以上です。

(マイナ保険証を持たない人に交付する資格確認書の有効期限を最長5年とするとの報道について)

 様々な報道があるのは承知しておりますが、先ほど申し上げました、今、政府としては最終的な調整を行い、明日、大臣とも確認をした上で、私の方から会見で説明をさせていただきたいと思っております。