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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 岸田内閣総理大臣記者会見

[場所] 
[年月日] 2023年8月4日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文] 

【岸田総理冒頭発言】

 まず冒頭、台風6号の被害への対応について申し上げます。

 今回の台風では人的被害も発生しているほか、沖縄県を中心に広い範囲で停電となるなど、日常生活に大きな影響が生じています。お亡くなりになられた方に心から哀悼の意を表するとともに、全ての被災者の方々にお見舞いを申し上げます。

 政府としては、災害の発生が懸念される段階から災害警戒会議を開催するなど、必要な体制を構築してきたところです。また、本日は、被災自治体のニーズを把握するため、谷防災担当大臣と玉城沖縄県知事がオンラインの災害対応協議を行うとともに、私もその報告を受け、今後の対応について確認いたしました。政府としては、これまでも停電の発生状況を踏まえ、地方自治体とも連携しながら、エアコンが使用できない場合の熱中症対策に関する広報・啓発等を行ってきたところですが、引き続き被災地のニーズを踏まえつつ、被災者に寄り添った支援を進めてまいります。

 また、台風6号については、今後、沖縄本島や奄美地方に再び接近し、影響が長引くおそれもあります。引き続き警戒態勢を保持し、地方自治体とも連携しながら、政府一体となって防災対策、災害応急対策に取り組んでまいります。

 そして、本日は、デジタル化推進に向けた決意とその前提となるマイナンバーカードに対する国民の信頼回復のための対策について、説明をさせていただきます。

 冒頭、マイナンバーの紐(ひも)付け誤りをめぐって国民の皆様の不安を招いていることにおわびを申し上げます。

 既に発表している「信頼回復のための3つのポイント」を徹底し、国民の皆様の信頼を取り戻した上で、我が国にとって必要不可欠であるデジタル改革を本格的に進めてまいります。改めて、「信頼回復のための3つのポイント」を簡潔に申し上げます。

 第1のポイントは、個別データの総点検です。自治体や保険者と共に、原則として秋までに必要な個別データの総点検を実施します。その際、点検マニュアルの共有や点検費用など、点検実施機関の負担に十分配慮してまいります。

 第2のポイントは、再発防止の徹底です。手作業でマイナンバー登録を進める中で様々な登録ミスが発生しており、再発防止のために、マイナンバー照会の手法や登録の手続などについて、国レベルで詳細な横断的なルールを定めます。さらに、プロセスを可能な限り機械化していきます。これら総点検の中間報告と再発防止については、来週8日に総点検本部を開催して、公表いたします。

 第3のポイントは、デジタル化への理解促進とマイナ保険証への不安払拭です。この最も本質的で重要な点について、本日は、私の思いとマイナ保険証への不安払拭を図るための方針について説明いたします。

 まず、岸田政権は「なぜデジタル化を急いで進めるのか」ということです。2020年、私は党の政調会長として、コロナとの闘いの最前線に立っていました。そして、我が国のデジタル化の遅れを痛感いたしました。

 国民への給付金や各種の支援金における給付の遅れ、感染者情報をファクスで集計することなどによる保健所業務のひっ迫、感染者との接触確認アプリ導入やワクチン接種のシステムにおける混乱。欧米諸国や台湾、シンガポール、インドなどで円滑に進む行政サービスが、我が国では実現できないという現実に直面し、我が国がデジタル後進国だったことにがく然といたしました。

 このデジタル敗戦を二度と繰り返してはならない。主要先進国に大きく後れを取っている我が国行政のデジタル化の遅れを取り戻したい。この強い思いから、政権発足以来、デジタル田園都市国家構想、マイナカードの早期普及を進めてきました。

 デジタル田園都市国家構想については、5G、光ファイバー、海底ケーブルなどデジタル・インフラの全国展開を前倒しするとともに、デジタル田園都市国家構想交付金を創設。農林水産業、観光、国土強靱(きょうじん)化、医療、教育などの分野へのデジタル実装を支援し、横展開を強力に進めてまいります。

 並行して、マイナカードの早期普及にも縦割りを排して、関係大臣が一致協力して取り組んできました。国民の皆様の御協力によって、8,904万枚、普及率は70パーセントを超えています。なぜ、マイナカードの早期普及が必要か。それは、多様な公的サービスをデジタル処理するための公的基盤を欠いていたことが、コロナのときのデジタル敗戦の根本的な原因だったと、政府全体で認識したからです。

 少し詳しく御説明いたします。

 私たちのふだんの暮らしでは、免許証やパスポートが、身元確認の役目を果たします。では、顔が見えず、成り済ましも簡単なオンラインの世界で、身元確認や本人確認をどうするのでしょうか。その役目を担うのが電子証明書を内蔵しているマイナンバーカードです。それゆえに、マイナンバーカードは「デジタル社会のパスポート」と呼ばれています。総理大臣の職責を担って以来、世界に伍(ご)するデジタル先進国を実現する。そして、個人や中小企業の様々な事情を配慮したきめ細かい公共サービス、生活サービスを全国津々浦々で効率的に行える公的基盤を一刻も早く整えたいとの強い思いを持って、政策を進めてきました。

 実際に一部の自治体では、先進的な取組が始まっています。先週、現地視察を行った福岡市では、マイナンバー制度を活用し、ノンストップ行政の実現を掲げ、9割以上の手続のオンライン申請が可能となっています。同時に、高齢者の方々のためのきめ細かい相談体制も充実させ、「誰一人取り残さない」行政サービスに取り組んでいます。

 昨日の群馬県でも、マイナカードとSuicaの連携により、地域交通の割引サービスを行っています。また、介護施設でも、センサー技術を活用した見守りや蓄積されたデータの活用によって良質な介護が実現している現場を拝見しました。

 このように、生まれ出しているデジタル化の流れを止めることなく、先駆的な取組を速やかに全国展開し、人口減少や担い手不足が深刻化する中、医療、介護、子育て支援、行政サービス、地域交通などをめぐる地域の社会課題をデジタルで解決してまいります。

 次に、マイナカードと健康保険証について申し上げます。「現行の保険証を来年秋に廃止するのは乱暴ではないか」、「廃止ありきではなく、国民の理解が必要だ」といった御指摘を国民の皆様から、また国会の審議でも頂いています。現場の医療関係者との意見交換でも、安心して全ての患者の方々に受診していただく環境を維持するとともに、より良い医療を受けることができるようデジタル化を進めていくことが重要であるとの御指摘を頂きました。

 私自身、マイナカードをめぐる一連の事案発生以来、「現行の健康保険証の廃止は国民の不安払拭のための措置が完了することが大前提」と申し上げてきたところであり、こうした国民の声、現場の声を重く受け止め、国民の不安払拭を最優先とした対応を採っていくこととします。

 必要なときに必要な医療にアクセスできる医療保険制度は、国民生活の安心そのものであり、その信頼を揺るがすことはできません。まずは、国民の不安払拭と国民お一人お一人に、デジタル化することによる利便性をしっかりと理解していただくことが必要です。このため、現行の健康保険証を廃止する際にも、全ての国民が円滑に医療を受けられるよう、マイナ保険証を保有していない方全員に資格確認書を発行し、その有効期間やカードの形状も現行の健康保険証を踏まえたものとするなど、きめ細かい対応を徹底いたします。これにより、マイナ保険証を保有していない方も、現行の健康保険証を廃止してもなお、これまでどおり保険医療を受けることができます。このように、国民の不安払拭に万全の対応を採ります。

 さらに、従来から申し上げているとおり、健康保険証の廃止は、国民の不安払拭のための措置が完了することが大前提との方針にのっとり、秋にも完了する紐付けの総点検とその後の修正作業等を私自身が先頭に立って進めてまいります。そうした作業の状況も見定めた上で、更なる期間が必要と判断される場合には、必要な対応を行います。

 政府としては、マイナ保険証への移行に際して、マイナ保険証のスマホ搭載、電子処方箋の普及、新たなマイナンバーカードへの移行等を着実に進め、マイナ保険証のデジタル環境を整備していきます。同時に、受診履歴に基づくより質の高い医療、多剤・重複投薬の防止、転職等の際のシームレスな移行など、マイナ保険証によるメリットを国民に実感していただける実効的な仕組みをつくってまいります。こうしたデジタル化の取組により、国民に選ばれるマイナ保険証にしていくことに全力を尽くします。

 デジタル大臣には、関係大臣と連携して、来週8日に総点検の中間報告と再発防止と併せて、こうした内容を盛り込んだ対策をまとめるよう指示いたしました。

 マイナンバーカード関連事案の総点検と再発防止、そして信頼回復のための対応を行いつつ、この先に我々日本が目指すもの。それは世界最先端のスマート行政府の実現です。そのために、デジタル基盤と政府の仕組み双方の改革に取り組みます。

 デジタル基盤については、個人・法人・不動産のオンライン認証の仕組みやプライバシーをしっかりと守れるデータ流通基盤の整備、約1,700の自治体が共有できる標準業務プログラム群の整備などを進めていく必要があります。予算の効果の「見える化」に向けて、国の予算事業それぞれにIDを振る取組も重要です。

 一方で、政府の仕組みについては、アナログを前提とする昭和の時代に確立し、これまで機能してきた我が国の制度や行政組織、国・地方の役割分担などをデジタルの時代に合わせて見直していかなければなりません。デジタルの力を使って、公務員の人数を増やさずに、多様化するニーズにきめ細かく対応できるようにする。こうした「小さくて大きな政府」としていくための令和版行財政改革です。

 その際、何よりも大事なのは、利用者起点での業務や制度の設計です。行政サービスの利用者としての国民に直接向き合っている自治体、介護、教育、産業等の現場で奮闘する人々が国民の生の声を聴き、政策を磨き、デジタルを活用して、きめ細かくサービスをお届けできる。こうした利用者起点の姿勢を中央官庁に徹底したいと考え、この夏には、私自ら努めて地方の現場の意見を伺いにまわっています。

 マイナンバーカードの信頼回復にめどをつけ、この秋から、令和版デジタル行財政改革を始動する準備を進めてまいります。

 私からの発言は以上です。ありがとうございました。


【質疑応答】

(内閣広報官)

 それでは、これからプレスの皆様より御質問いただきます。

 質問される方は挙手の上、指名を受けてからお近くのスタンドマイクにお進みいただき、社名とお名前を明らかにしていただいた上で、1人1問、御質問をお願いいたします。

 それではまず、幹事社から御質問いただきます。

 千々岩さん。

(記者)

 総理、よろしくお願いします。テレビ朝日、千々岩です。

 今日、注目されていた来年秋のスケジュールの問題ですけれども、総理はこの秋の総点検の状況を見てという趣旨で今、お話になったと思いますけれども、これは状況次第では総点検の結果を見て、場合によっては延期もあり得るという趣旨で理解すればよろしいでしょうか。それとも延期は考えていないということでしょうか。そこを確認させてください。

 もう一つ、今回注目されていたのは資格確認書の期限の問題があったと思いますけれども、こちらについては、今日は触れられなかったと思いますけれども、この期限の問題を柔軟にしていくというようなお考えはないでしょうか。そちらについてもお聞きしたいと思います。

 デジタル化の利便性については総理、いろいろおっしゃったと思いますけれども、行く行くはマイナ保険証というのに統一していきたいというお考えなのか、若しくはマイナ保険証と、それから資格確認書の、国民が二つに分かれるというか、ある程度二分化されるのは仕方ないというふうにお思いでしょうか。そこも確認させてください。よろしくお願いします。

(岸田総理)

 幾つか御質問がありましたが、まず、総点検とその後の修正作業、そして資格確認書の発行による切れ目のない医療の提供、そしてマイナ保険証のメリットの十分な説明・周知を着実に進める、このように申し上げました。

 総点検をしっかりやると申し上げている現時点では、健康保険証の廃止の時期の見直しありきではないと思っています。ただし、総点検とその後の修正作業の状況を見極めた上で、更なる期間が必要と判断される場合には、資格確認書の円滑な交付、マイナ保険証の利便性向上、そして健康保険証の廃止の時期の見直しも含め、適切に対応する、このように申し上げております。

 そして、マイナンバーカードと健康保険証の一体化、これは先ほども申し上げたように、より良い医療を受けるということを通じて様々なメリットがあると思っています。マイナ保険証のデジタル環境の整備を進めるとともに、メリットを実感していただけるような実効的な仕組みをつくっていく。デジタル改革の流れは止めず、マイナ保険証の円滑な移行を図ってまいりたいと思っています。

 そして、資格確認書について御質問いただきましたが、今回の措置は国民皆保険の下で、現行の保険証からマイナ保険証への移行期においても、全ての国民が安心して保険診療を受けられるようにする、これが前提であり、デジタル対応とアナログ対応の併用期間を設けて、そして保険者やマイナ保険証を保有していない方全てに、申請によらず、資格確認書を交付することを行う。そして、そのことによって、全ての国民が医療を受けられるという安心感をしっかり持ってもらう。このことによって、円滑な移行を進めていく。こうした考え方に基づいて、取組を用意した。こういったことであります。

 あと、資格確認書の期限の話、有効期限の話は、基本的には、現在、健康保険証について、国民保険であれば、1年であったり、2年であったり、更新時期を迎えます。それから雇用者保険であるならば、期限は特段設けていない。こういった運用になっていると思います。この運用を念頭に資格確認書についても考えていくということであります。ですから、更新の時期については、5年を超えない期間において、それぞれの保険者が更新の時期を決めていく。こうしたことで、国民の皆様の安心につなげていく。こうした取組を進めていきたいと思っています。要は、統一したいのか、それとも2つに分けたいのかとおっしゃいましたが、是非、マイナ保険証のメリットをしっかりとお示しし、さらには説明することを通じて、選ばれるマイナ保険証、こうしたものを実現していきたい。これが基本的な考え方であります。

(内閣広報官)

 それでは、続きまして、朝日新聞、村松さん、どうぞ。

(記者)

 朝日新聞の村松です。よろしくお願いします。

 マイナ問題をお伺いする前に、秋本外務政務官の辞任についてお伺いします。風力発電会社から多額の資金提供を受けた疑いで東京地検特捜部の家宅捜索を受けて、秋本氏が、本日、辞任しました。任命責任も含めて、岸田首相の受け止めをお願いします。

 加えて、岸田政権は再エネ政策を重要政策の一つと掲げていらっしゃいますが、こうした事件によって政策がゆがめられているのではないかというような懸念も広がっています。その点も含めて、政権運営への影響をお聞かせください。

(岸田総理)

 まず、秋本政務官についてですが、報道は私も承知しておりますし、現時点、捜査機関の捜査が進んでいる状況ですので、今の時点においては、政府としてコメントをすることは控えなければならないと思いますが、ただ、御指摘のように、本人から政務官を辞任したいという申出がありました。閣議において職を免ずること、これは政府としても決定したところであります。

 そして、国民の疑念を招くような事態となったこと、これは大変遺憾なことだと思いますが、これは当然のことながら、岸田政権のエネルギー政策、これは国際的なエネルギー状況の変化の中で、日本の未来に向けての活力、持続可能な経済を考えた上で、政策を進めているということであります。この政策にはこれからも揺るぎはないと確信しております。国民の未来のために、しっかりとエネルギー政策は進めていかなければならない。これは改めて強く感じているところです。

(記者)

 ありがとうございます。

 それでは、マイナンバー問題で伺います。冒頭、国民の不安を招いているということで首相は陳謝されましたが、やはりこういう事態を招いたことには大きな政治責任があるかと思います。これまでの取組において、普及ありきの強引さであったりとか、国民の不安を軽視する姿勢とか、そういった取組において反省すべき点があれば、岸田さんの率直な思いをお聞かせください。

 もう一点、総点検の重要さも先ほど指摘されました。総点検、巷間(こうかん)、11月ぐらいまでというようなお話もありますが、それまで、少なくとも、関係閣僚の取組の継続性という観点から、現在の関係閣僚については続投させて対応を継続させるお考えなのかどうか。また、点検作業中の衆議院の解散総選挙の是非についても、是非、お聞かせください。

(岸田総理)

 まず、先ほど申し上げたように、今後二度とデジタル敗戦は招かない。国民の皆様に対して、公共サービス、生活サービスを提供するための公的な基盤を一刻も早く整えたい。そういった思いからマイナンバーカードの早期普及に取り組んできました。そして、今回の措置は現行の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと健康保険証の一体化を進める際に、全ての国民が円滑に医療を受けられるようにきめ細かい対応を徹底していく。こうしたものであります。これまでの普及の進め方について瑕疵(かし)があったとは考えておりません。そして、同時に、現行の保険証の廃止は国民の不安を払拭するための措置が完了することが大前提であるからして、総点検と再発防止について責任を持って進めていきたい。このように申し上げたところです。

 そして、今の質問で、人事とか選挙について御指摘がありました。マイナンバー制度に対する国民の信頼回復とデジタル化の推進、これは万全を期していきたいと思いますし、先送りのできない課題、これに正面から取り組んでいき、責任を果たしていきたいと考えておりますが、人事とか選挙については、今、申し上げた課題に正面から取り組み、結果を出していく上で最も適切な時期あるいは適切な内容を考えていくべきだと思っています。今の時点では、選挙についても人事についても何も決めておりません。

(内閣広報官)

 ここからは、幹事社以外の方から御質問をお受けいたします。なるべく多くの方に御質問いただくためにも、質問は1問ずつ簡潔にお願いいたします。

 それでは、秋山さん。

(記者)

 日経新聞の秋山です。よろしくお願いします。

 マイナンバーと各種情報の紐付けが誤っていた事例が発覚して、国民に不安が広がっているというのは先ほど認められたとおりだと思いますが、こうしたミスは、全体に占める割合としては、どの程度の数、割合なのでしょうか。そもそも人為ミスがゼロになることはあり得ないということを正面から説明していないということが、不安の原因だという見方もあります。仮にごく少数のミスがあったとしても、全体としてはそれを上回るメリットがあれば、マイナ保険証を推進すべきだという声がもっと上がってもおかしくはないと思うのですが、現状の世論調査では、そういう理解は広がっていません。こうした政府の説明に説得力がないというような指摘がある、その原因はどこにあると考えていますか。

(岸田総理)

 まず、最初の質問が、誤り事案等が全体のどのぐらいであるかという御質問ですが、これは正に今、総点検を進め、来週、中間報告を行った上で、秋に向けてこの点検を進め、個別データについても点検を行っていく。こういったことを進めているところですから、その結果を今の時点で予断を持って申し上げるということは、これは難しいし、控えなければならないと思います。是非、国民の安心のために、この総点検を私自身、先頭に立って徹底してやっていきたい。今の時点ではそれを強調させていただきます。

 その上で、メリット等について御指摘がありました。マイナ保険証のメリットについては、過去の医療、健康データに基づいた、より良い医療を受けていただくことを可能にする。こうしたことを申し上げているわけですが、先日もマイナ保険証の利用を進めている病院の方から、様々な思いや意見を聴かせていただきました。その際に、受付で資格情報の手入力が不要になるとか高額療養費に係る情報を自動的に入手することができ、患者負担が軽減されるなど、現場におけるメリットについても御指摘がありました。

 こうしたメリットがあるわけですが、十分それが理解されていない。その理由については、マイナ保険証の利用件数は間違いなく増えています。しかし、今、指摘を受けている紐付け誤り、あるいは医療機関でのシステムトラブル、こういった問題が生じており、まだまだメリットの部分について実感していただくところまで至っていない。この点をしっかり考えなければならないと思っています。

 総点検、そして再発防止を徹底することによって、マイナンバー制度に対する信頼回復を行う。これは重要なことでありますが、これと併せて、御指摘のマイナ保険証のメリット等についても多くの国民の皆様、関係者の皆様に享受していただき、実感していただけるよう丁寧な周知をこれからも着実に進めていかなければならない。このように感じています。

(内閣広報官)

 それでは、TBSの川西さん。

(記者)

 TBS川西です。

 資格確認書なのですけれども、今、総理がおっしゃられたように、有効期間を除くと、これは今の保険証とほとんど変わらないものになる見通しです。野党からは、コストも手間もかけて何でこんなのを作る必要があるのかと、今の保険証のままでいいではないかという批判が早速出ていますけれども、これの反論、飽くまでマイナ保険証までのつなぎということであるならばそれでいいのか、それとも何か差別化を図って紙の保険証とは違うものを考えていくのかというのを一つ。

 もう一つ、マイナカードと一体化するのは保険証だけではなくて、例えば運転免許証、来年度末にも始めるというふうに言われていますけれども、こうした全体のプロセスを見直す。点検をやっている以上、それも変わってくるのか。そこについてお伺いしたいと思います。

(岸田総理)

 まず、マイナ保険証を保有していない方に、全ての国民が円滑に医療を受けられるという安心を得ていただくために、全員に資格確認書を発行する。このように申し上げているわけですが、これによって、まずはマイナ保険証を保有していない方も、現行の健康保険証を廃止してもなお、これまでどおり保険医療を受けることができる。これは実感していただけると思います。

 それと同時に、今までは全ての加入者の方に保険証を発行してきた。これが今までの取組でありました。今後はマイナ保険証を持っていない方に対して資格確認書を全て発行するということでありますから、従来の健康保険証に比べ、発行コストあるいは保険者の事務負担は減少する。これは当然のことだと思っています。こうした様々な負担軽減と併せて、先ほど来申し上げている様々なメリット、これを享受していただくことによって、マイナ保険証への円滑な移行を進めていきたいと思っています。

 そして、国民の7割にまで普及したマイナンバーカードについては、利用シーンを更に拡大し、カードの利便性、これを実感していただくことが重要だと思います。御指摘の運転免許証、さらには在留カードを始め、他の分野においてもデジタル改革、これをしっかり進めていきたいと思います。そして、それらの基盤となるマイナンバーカードの信頼性ということから、総点検、これは全ての場面における信頼性の確保という意味で重要であると考えています。是非、総点検を進めることによって、更にマイナンバーカードの利用シーンを拡大する。こうした取組を進めていきたいと考えています。

(内閣広報官)

 それでは、次に日本テレビの平本さん。

(記者)

 総理、日本テレビの平本です。

 冒頭の発言で気になった点をお伺いします。今日の会見は、マイナトラブルでの国民の不安の払拭というのが総理の一番伝えたかったことだというふうに思いました。そもそも、このマイナトラブルに関する国民の不安というのは、総理自身は一番何にあるというふうに考えていますでしょうか。

 もう一つ、今日の発言で、政調会長時代の話がありました。日本のデジタル化の遅れにがく然としたと。ただ、今、このマイナトラブルが起きていることで、国民の中にはデジタル化が更に遅れてしまうのではないかという不安が聞こえてきます。今回の事態を受けて、日本のデジタル化が更に遅れてしまうようなことにはならないでしょうか。

 この2点、お願いします。

(岸田総理)

 まず、先ほど来申し上げたように、日本の国のデジタル化、これをしっかり進めていかなければならないと思っています。そして、デジタル化を進める基盤となるのがマイナンバーカードだということでありますが、そのマイナンバーカードの紐付け案件において、また、システムのトラブルによって国民の皆様が不安に感じておられる。この部分があります。これについて、まずは総点検をしっかりやって、国民の皆様に安心していただくことが大事だと申し上げています。

 そして、マイナンバーカードをより普及させるという観点からも、利活用のシーンを拡大していかなければならないということで、健康保険証あるいは自動車の運転免許証等、様々なこうした活用の場面を広げていく。こうした取組を進めてきた。さらにはマイナポイント等を通じて普及を後押しする。こういった取組も進めてきた。マイナンバーカード普及拡大という観点から様々な政策を用意した。そのうちの一つとして健康保険証もあったわけですが、健康保険証については、特に高齢者の皆様を中心に、医療が受けられなくなるのではないか等の不安があった。これに対して、今回、しっかりと、移行期にあっても全ての国民の皆様が医療を受けられる。こういった体制を用意することによって安心していただく。こういった対策を用意したということであります。

 全体のデジタル社会への移行があり、その基盤であるマイナンバーカードがあり、それを普及させるために、利活用の拡大、視野を広げるために、いろいろなメニューを用意した。まずはマイナンバーカードの紐付け誤り等における信頼を回復、安心をしっかり持ってもらう。そして、その普及策の一つであるマイナ保険証についても安心していただく。この2つでもって、全体をしっかり支えていく。国民の皆様にまずはしっかりと安心してもらう。そして、そのメリットを実感していただくシーンを増やしていく。こういった全体の体制をもって、日本のデジタル社会を進めていきたい。このように考えています。

 こういった大きな全体像を考えながら、日本のデジタル化をしっかり進めていきたい。このように思っています。

(内閣広報官)

 では、足利さん。

(記者)

 読売新聞の足利でございます。

 生成AI(人工知能)の規制の在り方を議論する「広島AIプロセス」についてお伺いいたします。今日4日のAI戦略会議で、G7の議長国を務める日本政府の提案内容が示されました。責任あるAIの推進に向けて、偽情報対策、あるいは知的財産権の保護など、生成AIが抱える課題について、G7間での議論をどうリードしていくとお考えでしょうか。

 また、偽情報対策として挙げられたデジタル技術、オリジネーター・プロファイルの有用性に対する見解も併せてお聞かせいただければと思います。

(岸田総理)

 まず、G7広島サミットでは、信頼できるAI、これを実現していくために、私自身、この「広島AIプロセス」というものを提唱して、各国の合意を得ました。生成AIについてのガバナンスですとか、あるいは透明性の促進、そして偽情報の対策、さらには知的財産権の保護、こうしたことについて国際的なルールづくりを進めていく。こうした取組について、各国の合意を得た。こうしたことでありました。

 日本政府としては、日本のAI戦略会議の有識者の方々の意見も踏まえながら、議長国として、今後、関係国に考え方を示してまいります。その上で、9月に閣僚級会合、そして秋にはテーマをAIに絞ったG7首脳テレビ会合、これを開催することを予定しています。こうした会議の場等を通じて、偽情報対策、あるいは知的財産権の保護を含む広島AIプロセスにおける国際的なルールづくり、この議論を主導していきたいと考えています。

 そして、御質問の「オリジネーター・プロファイル」ですが、これは民間企業主体で開発されているものですが、要はインターネット上のコンテンツ作成者、あるいはデジタル広告の出稿元などの情報を検証可能な形で付与する、こういった技術であると承知しています。電子透かし技術などといった技術と並んで、偽情報拡散への対策に資する新技術の一つである、このように認識しています。こうした様々な技術の進化、これも念頭に置きながら、ルールづくりをしっかりリードしていきたい。このように考えています。

(内閣広報官)

 それでは、大変恐縮ですが、この直後に外交日程がございますので、あと2問とさせていただきます。

 それでは、岡田さん。

(記者)

 京都新聞の岡田です。よろしくお願いします。

 インバウンドと地域振興についてお伺いします。コロナ禍の落ち着きで、実際に外国人観光客の姿が町なかで多く見られるようになりました。地方にとっては観光きっかけに、地域活性化に期待する動きもあります。

 一方、行き過ぎた観光振興は、オーバーツーリズムと言われるような弊害ももたらします。政府としてはインバウンド振興を進めておられますが、総理は、観光振興とその弊害のバランスをどうお考えでしょうか。また、東京一極集中が進む中で、地方は疲弊し続けております。観光振興以外に、地域活性化に向けて、どういった具体的な対策を打ち出し、今後、実行していくおつもりでしょうか。お聞かせください。

(岸田総理)

 まず、御指摘の観光については、成長戦略の柱であり、また、地域活性化の切り札でもあります。持続可能な観光地域づくり、これを全国各地で推進していくことが重要であると認識しています。

 コロナ禍前の観光の課題としては、インバウンドの増加の一方で、1人当たりの旅行消費額の伸び悩み、地方誘客の不足といった課題に加えて、観光旅行者による混雑、マナー違反等の課題も生じていた。この辺りが、オーバーツーリズムという御指摘がありましたが、こういった問題に係っている部分だと思います。こういった御指摘も踏まえて、今年3月ですが、政府においては、新たな観光立国推進基本計画を定めました。

 その中で、観光地の高付加価値化を通じた外国人旅行者1人当たりの旅行消費額の拡大、そして、外国人旅行者が特定の地域に偏らないように、全国各地への誘客の促進を図って、地元の理解も得ながら、地域の自然、文化の保全と持続可能な観光、この両立を図っていく。この基本計画の中には、そういった考え方を盛り込みました。

 こうした取組等を通じて、御指摘のオーバーツーリズムへの懸念を払拭し、全国津々浦々に観光の恩恵を行き渡らせていく。こうした取組を進めることが重要であると思います。

 そして、御質問として、地域、地方活性化として何を考えているかという部分もありましたが、これは正に先ほど申し上げましたデジタル田園都市国家構想等を通じて、地方における少子高齢化とか、あるいは医療、教育といった様々な社会課題をデジタルの力で乗り越えていく、あるいはデジタルの力を活用しながら、地方にとって大切な産業である農林水産業を始め、中小企業、零細企業をしっかりと支えていく。こうした取組を通じて、地方の課題を解決し、活性化につなげていく。こうした基本的な部分が重要だと思っています。この部分に観光に対する取組のありようもしっかりと政策を吟味しながら、地方の活力、振興につなげていきたい。このように考えています。

 以上です。

(内閣広報官)

 APの山口さん。

(記者)

 AP通信の山口です。よろしくお願いいたします。

 8月18日に米国で開催予定の日米韓首脳会談についてお尋ねいたします。これは従来のように国際会議に合わせた形ではなく、単独で開催される初めての3首脳による会談であり、発表の際にホワイトハウスは、3か国関係の新たな幕開けというふうに表現しておられます。少しこの関係が、連携が変わるのか、新しい段階に入るのかなという印象を受けるのですが、この3か国の枠組みで、日本はミサイル防衛、拡大抑止などの安全保障、また経済、その他の分野で、どのような役割を果たすのか。そして、また今後、この枠組みが新たにインド太平洋地域でどのような役割を果たしていくことになるのか、総理はどういうふうな成果を期待していらっしゃるか、お聞かせください。よろしくお願いします。

(岸田総理)

 事情が許せば、御指摘のように8月17日から米国を訪問し、日米韓首脳会合に出席することを予定しております。そして、今、御指摘があったように、日米韓を国際会議と合わせてではなく単独で行うこと、これは初めてのことであります。首脳会合での議論の内容、成果について、現時点で予断することは控えなければならないとは思いますが、まずは、これまで首脳レベルを含め、重層的に積み重ねてきた米国、韓国との連携強化の土台、これを更に強化する会議になると期待いたします。

 その上で、例えば北朝鮮への対応あるいは法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化、こうした課題について、日米韓、この3か国の戦略的な連携、これを一層強化する、こうした会議にできればと期待いたします。それ以上、具体的なことはちょっと今の段階では控えさせていただきます。

(内閣広報官)

 以上をもちまして、本日の記者会見を終了させていただきます。

 大変恐縮ですが、現在、挙手いただいている皆様につきましては、本日中に1問、担当宛てにメールでお送りください。後日、書面にて回答させていただきます。

 御協力ありがとうございました。