[文書名] 令和6年能登半島地震についての会見(岸田内閣総理大臣)
昨日、最大震度7の令和6年能登半島地震が発生いたしました。まず、亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げるとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げます。
昨晩、私が本部長となる非常災害対策本部を設置するとともに、先ほど、対策本部会議を開催いたしました。平成28年の熊本地震の時と同様の取組となります。
私が本部長を務め、自衛隊、海上保安庁、消防、警察などを広域に動員をし、そして徹底して連携させること、また、プッシュ型支援により現地を支援するため、関係省庁の幹部の現地派遣、これを強力に行うということ、また、現地首長と直通オンラインでのコミュニケーションを開設し、迅速な情報収集、そして支援の展開に役立てるということ、さらには、公共インフラ事業者、特に携帯事業者や公共交通関係者への明確な指示を出すなど、対応を行っているところです。
しかし、まずは必要なこと、これは現地の状況の把握です。昨夜から全力を挙げて情報収集に努めていますが、道路寸断のため、能登半島北部地域への立ち入り、極めて困難な状況にあります。
先ほど9時過ぎ、現地に派遣した古賀内閣府副大臣と直接電話で話をいたしましたが、「上空からヘリで視察した結果、道路の寸断、土砂崩れ、火災等の被害が広範囲で確認された」との報告でありました。また、地元自治体、警察、消防、さらには自衛隊などからの情報を災害対策本部が取りまとめたところ、「これまでに多数の人的被害や建物倒壊、火災など、非常に大規模な被害が確認されている」、こうした報告でありました。
自衛隊、警察、消防などの緊急援助部隊等については、昨夜のうちに自衛隊の航空機など、あらゆる手段を用いて現地に部隊を進め、順次、救命・救助等の活動を開始しています。また、発災直後から現地にいる輪島分屯基地の空自部隊が、被災者支援と倒壊家屋からの救出に当たっているほか、停電した病院から透析患者の輸送等を行っております。
家屋やビルの倒壊については、自衛隊や国土交通省のテックフォースなど、関係者が大型重機の搬入ルート確保に不眠不休で取り組んでいます。寸断された道路の啓開、すなわち、最低限の修整で道路を開くことに全力で取り組んでいるとともに、海路輸送ルート確立のための港湾の安全確認などを行っているところです。これについては、先ほど、午前10時に津波警報が解除されました。今後、本格的に、海路を通じた輸送ルートの確保を本格的に進めてまいります。
現在発生している停電や断水、通信の途絶についても、現地に作業員が入り、復旧を進めているところです。
プッシュ型物資輸送については、関係事業者への協力をお願いしています。この関係事業者については、コンビニ、スーパー、寝具関係者、あるいは家電量販店を含め、16団体に渡ります。水、エネルギー、食料、毛布、簡易トイレを始め、きめ細かく被災者ニーズも把握して物資供給を行なってまいります。このため、関係省庁幹部を本日中に現地に派遣するよう、指示を行いました。
なお、1月4日に伊勢神宮参拝と年頭記者会見を予定しておりましたが、今後1週間程度は、最大震度7程度の地震が警戒されるところであり、参拝は延期といたします。年頭会見は官邸で行うことといたします。
揺れの強かった地域においては、家屋の倒壊や土砂災害の危険性が高まっています。引き続き、活発な地震活動も予想されますので、住民の皆様におかれましては、危険な場所に立ち入らないなど、安全第一で行動をお願いいたします。また、今後1週間程度は、最大震度7程度の地震に注意していただきますようお願いを申し上げます。
また、被害状況などについての悪質な虚偽情報の流布は、決して許されるものではありません。こうした行為は厳に慎んでいただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。私から冒頭以上です。
(能登北部の地域の状況、人的被害の規模及び石川県知事と連絡を取ったかについて)
まず1点目、能登北部の地域については、当然、被災直後から、現地の警察、消防、自衛隊、海上保安庁を始め、関係者が救助・救命に当たっているわけですが、それに加えて、昨晩も夜を徹して自衛隊が空輸等を通じて現地に要員を送り込む、こういった作業を続けております。
そして、先ほど申し上げましたが、これから津波警報が解除されましたので、海上輸送ルート、これが確保できることになります。このように、陸上だけではなくして、空輸、それから海上輸送等を総動員して、現地に必要な物資、そして救助の人員を送り込むべく、昨夜から努力を続けているところです。夜も明け、そして、海上ルートも活用できるということですので、より本格的に現地への支援を行っていきたい、このように思っております。
そして、今、人的被害については、本日7時の時点で死者4名、災害との関連を調査中の死者2名、重傷者3名、軽傷者27名、こうした報告を受けているところです。
そして、石川県知事と連絡を取ったのかということですが、知事とは昨日、発災直後から度々電話でやり取りを行っております。今朝も6時半過ぎに電話で連絡を取り合っています。その上で、9時の非常災害対策本部開催直前にも、知事と電話で連絡を取り合いました。ちょうどその時期、現地においても、災害対策本部を開催する直前のタイミングでありました。今後とも、連絡を緊密に取りながら、住民の皆様の状況に対して、ニーズに対して、的確に対応していくこと、確認しているところであります。
(救助に当たる方の規模感及び重機を搬入するためのルートの確保について)
現地にどれだけ救助の要員が入っているかということでありますが、自衛隊に関しては、現在現地に1,000名の人員が到着している、入っていると、こういう報告を受けています。そして、現地の警察、消防、自衛隊、海上保安庁以外で申し上げるならば、他の地域の警察から警察災害派遣隊634名、また消防の緊急消防援助隊2,039名が現地に到着しているという報告は受けています。現地に到着し、活動を始めているということであると思います。
おっしゃるように重機の搬入等、道路が寸断されておりますので、困難を極めている現状でありますが、その中にあっても、できるだけルートを確保するべく、道路の応急手当、復旧も行っているわけでありますが、当然、海上輸送等を通じての輸送も考えられるのではないかと思います。いずれにせよ、現地の状況をしっかり把握した上で、現実的にどういった対応が、現地のニーズ、あるいはスピード感との関係で適切なのか、判断の下に対応を行ってまいりたいと思います。国としても、現地の状況をしっかり踏まえて、全力で応援をしてまいります。
(倒壊家屋の件数や津波の浸水被害及び関係省庁幹部の派遣について)
はい、先ほど亡くなられた方等の数字は申し上げましたが、現地においては、夜明け、明るくなるとともに、多くの家屋の倒壊等が確認され、そしてそれへの対応が行われています。家屋の倒壊の数、あるいはそれに関連する様々な人的被害等については、今、確認を行うとともに、数字を整理している、こういった状況にあると思います。今、現在の、それを集約した報告、私の手元には来ておりませんが、そういった数字を今、整理している最中であると考えております。
そして、もう一つが先ほど申し上げたように関係省庁の連携、関係事業者との連携、プッシュ型の支援を行うために、関係省庁の幹部を送り込みたいと思います。これは分野によって必要な人員は様々だと承知しておりますので、是非、関係省庁において具体的な数字、それを集約させて、一刻も早い現地への送り込みを行いたいと思います。至急対応させます。
(岸田総理の現地入りの予定について)
今、夜が明けて、そして現地の状況を、把握しつつある状況にあります。まずはその現地の把握が第一であると思っておりますが、今後の私の予定等については、この現地の状況を把握した上で、適切に考えていかなければならないと思います。そういったことも念頭に置きながら、現地状況の把握に努めてまいります。