データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 令和6年能登半島地震についての会見(岸田内閣総理大臣)

[場所] 
[年月日] 2024年1月5日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文] 

 本日朝、第4回の非常災害対策本部会議を開催し、私(総理)の方から、諦めず、粘り強く、漏れない救助活動を行うとともに、孤立集落や安否不明者の状況確認を、関係機関が自治体と連携して、早急に行うことを指示をいたしました。また、輸送ルートの回復に全力を尽くし、プッシュ型の支援を加速させるなど、被災地支援を更に推進するとともに、被災者の暮らしの再建に向けて、被災地のニーズを踏まえ、被災者の生活と生業(なりわい)支援のためのパッケージ、可及的速やかに取りまとめるよう指示をしたところです。また、昼前には財務大臣に対しまして、来年度予算案について指示を行いました。令和5年度予算の予備費の残額は、4,600億円を超えており、まずはその活用を図っていきますが、令和6年度予算においても、一般予備費は5,000億円計上されています。しかしながら、今後、令和6年能登半島地震の復旧・復興に至るまでに、切れ目ない対応が欠かせないということを踏まえますと、財務大臣に対しまして、昨年12月22日に閣議決定した令和6年度予算案について、予備費の増額など必要な変更を行う必要がある、変更の案を早急に取りまとめ、与党と連携しつつ、変更の閣議決定に向けた手続を進めていただきたい、このように指示をしたところであります。被災地の皆様が、再び平穏な生活を取り戻せるよう、内閣総理大臣である私(総理)が先頭に立って、被災地、被災者に寄り添い、努力してまいりたいと考えます。以上です。

(補正での計上については何か検討されているかについて)

 今、検討しているのは、先ほど申し上げたとおりであります。

(自衛隊の被災地への逐次投入について、過去の災害と比べて小規模ではないかという声が挙がっていることについて)

 過去と比べて、小規模の投入になっているのではないかという指摘は当たらないと思います。例えば熊本地震においては、そもそも熊本現地に、当時は1万人を超える自衛隊が存在いたしました。その上での応援であったと理解しています。今回は、地元に大規模の部隊は存在しなかったわけでありますし、その上で、他の地域から様々な応援を投入したということであります。それに加えて、半島という地理的な条件、また、現地において、多くの道路が寸断されるなどの困難な状況も存在いたしました。その中で最大限、自衛隊のみならず、消防、警察など、他の地域から人員を導入した、また、国からも幹部クラスを現地に導入するなど、人員的な支援を行った、こういったことで、人員的にも、与えられた条件の中で最大限投入をしてきた、このように考えております。いずれにせよ、災害に当たっては、被災地の様々な条件の中で、どのような支援が必要とされるのか、これを考えていかなければなりません。単に人数だけで比較するのは適当ではないのではないかと考えます。

(自民党の党役員会において、政治改革についてどのような意見が出たのか、また、特別顧問に麻生副総裁、菅前総理、事務総長に木原誠二氏を起用という報道について)

 政治刷新本部、仮称ではありますが、党の政治の信頼回復のために党一丸となって取り組む、こうした組織を通じて、我が党の信頼回復に努めなければならない、こういったことで、役員会においても一致をしたところであります。具体的なポストについては、今、引き続き調整中であります。最高顧問については御指摘のとおりでありますが、他の役員についても、事務局も含めて、今、調整を続けている最中であります。

(鈴木財務大臣が、プッシュ型支援の額ついて、予備費を活用して47.4億円とすることで、総理の了解を得たと発言したが、額の規模についての考えと、どのようなことをするのかについて)

 このプッシュ型支援というのは、正にプッシュ型で、物資を現地に支援するための予算ということであります。そのために、47.4億の予算を使うことになります。これは、熊本地震の時のプッシュ型物資支援の予算が、たちまちは23億でありましたので、それとの比較において、今回は冬場であること、また北陸地方であるということから、灯油を始めとする燃料費が過去と比べても大きな額が必要になるのではないか、そして何よりも、物資の搬入、輸送について、今、大変困難な状況が続いています。この輸送において、しっかりと予算を確保しなければいけないのではないか。こんな点も勘案した上で、この数字を判断したということであります。是非、現地の状況に合わせて、しっかりとした物資が届くように対応を進めていきたいと考えております。以上です。