[文書名] 令和6年能登半島地震「被災者の生活となりわい支援のためのパッケージ」等についての会見(岸田内閣総理大臣)
令和6年能登半島地震の発災から、間もなく1か月となります。これまでの懸命の取組により、生活インフラの復旧や、被災された方々の支援等は一定程度進んでおりますが、被災地では今なお、多くの方々が厳しい避難生活を余儀なくされています。先が見えないという、現地の皆様の不安に応えるとともに、被災された方々が再び住み慣れた土地に戻ってこられるよう、そして、1日も早く元の平穏な生活を取り戻すことができるよう、政府としても全力で支援をしてまいります。このような考え方の下、先ほど、政府の非常災害対策本部で、緊急に取り組むべき施策について、「被災者の生活と生業(なりわい)支援のためのパッケージ」として取りまとめ、決定いたしました。本パッケージは三つの柱から構成されます。
一つ目は、被災者の生活環境を早期に改善するための生活の再建です。避難されている方は、様々な事情を抱えており、また、避難生活の長期化に伴い、ニーズも多様化しています。被災地のニーズに応じた、きめ細やかな物資の支援を進めるほか、命と健康を守るために、配慮を要する方へのきめ細かな対応も含め、安心して2次避難できる環境整備を進めてまいります。また、被災者の方が住み慣れた土地に戻れるよう、地域型の木造仮設住宅の活用を含めた応急仮設住宅の供与を進めるほか、倒壊家屋の解体・撤去の支援金の迅速な支給などにより、住まいの確保に取り組んでまいります。その他、高齢者等の見守り・相談、医療・介護の負担軽減、通院・通学支援を含め、切れ目のない被災者支援を進めるほか、金融支援や、税制上の対応も行います。また、災害特例で住民税が免除された被災者がいる世帯も、物価対策の10万円給付の対象といたします。
二つ目は、地域経済を再生するための生業の再建です。能登地方の経済の柱である農林水産業、伝統産業、観光業を始め、被災地の地場産業の雇用を維持し、事業の継続を支えるため、手厚い支援を講じてまいります。まず、地域を支える中小・小規模事業者をしっかりと支援してまいります。石川県では最大15億円、富山県・福井県・新潟県では最大3億円。さらに、多重被災事業者については、定額補助も可能とする生業再建支援事業等により、事業の再開、継続を支援いたします。また、伝統工芸を途絶えさせることなく、未来につなげていくため、事業継続に必要な道具や原材料の確保も、きめ細かく支援をいたします。農林漁業者の支援にも取り組みます。農業用機械等の再建支援や漁船等の復旧支援を進めるほか、地域の将来ビジョンを見据え、景観にも配慮した棚田の復旧や、観光とも連携した持続可能な里山作り、里海資源を活用した海業振興等を進めます。観光振興に向けては、ゴールデンウィーク前の3月、4月を念頭に、補助率50パーセント、1泊当たり最大2万円を補助する「北陸応援割」を行うとともに、能登地域については、復興状況を見ながら、より手厚い旅行需要喚起策を検討いたします。
三つ目は、将来に希望が持てる、復興まちづくりの基盤となる災害復旧等です。断水、停電、通信支障の解消など、ライフラインの一刻も早い復旧を進めます。特に、水道については、全国からの技術者等の派遣のほか、4月以降に引き上がる補助率の前倒し適用等により、上下水道一体で早期復旧を目指してまいります。また、自治体に代わって、国が責任を持って本格復旧まで行う権限代行も活用し、道路、河川、港湾、漁港等の迅速な災害復旧を推進いたします。復興まちづくり計画の策定や液状化対策についても、技術面や財政面から支援を行ってまいります。
施策を実行するために必要となる財政措置については、令和5年度、令和6年度の予備費を活用し、復旧・復興の段階に合わせて、数次にわたって機動的、弾力的に手当をいたします。まずは、総額1,553億円の予備費の使用を、明日、閣議決定いたします。政府としては、被災地、被災者の立場に立って、できることは全てやる。こうした決意で、被災者の生活と生業の再建支援に全力で取り組んでまいります。冒頭、私からは以上です。
(今後の震災からの復興プロセスについて、また、北陸応援割の開始のタイミングと4県というエリア支援する意義について)
まず、最初の復興のプロセスの方ですが、今般の災害では、広範囲にわたる建物の損壊、道路の寸断、ライフラインの途絶のほか、輪島朝市の焼失、海岸線の広範囲にわたる隆起などによる港湾への被害など、地域社会、そして経済に大きな被害が生じています。能登の復旧・復興のためにやるべきこと、これは山積しております。政府としても、今回の支援パッケージの策定にとどまらず、中長期的に支えていく必要があると考えています。石川県の馳知事は、創造的復興に取り組むということを表明されています。まず、政府としても、今回の支援パッケージの進捗状況、これをフォローアップしていかなければならないと思いますが、それとともに、石川県、あるいは被災市町とも緊密に連携して、復興ビジョン、共有していくことも重要であると思います。こうした復興ビジョンを共有した上で、そのニーズを受け止めながら、更なる支援策、議論していく。こうした取組を進めていくことが重要であると考えています。
そしてもう一つの、北陸応援割の意義についてですが、今般の能登半島地震により、北陸地方においては、通常どおりの営業が可能な地域でも、予約のキャンセルが相次いでいる。こうした宿泊施設が多数存在し、経済的な被害が生じている。こうした現状があります。聞きますと、北陸4県における1月中のキャンセル数、約17万件に上っていると聞きます。このため、まずは本年3月の、北陸新幹線金沢・敦賀間開業の機会を捉えて、2月・3月の間、重点的に正確な情報発信とともに、集中的な観光プロモーションを行い、そしてゴールデンウィークまでの3月・4月を念頭に、北陸4県を対象として、1泊2万円を上限として、補助率50パーセントで旅行代金を割り引く北陸応援割を実施することにいたしました。その際、今の2次避難への取組、県も市町も、今、力を入れているところでありますので、参加する旅館・ホテルには、応援割の実施前も含め、2次避難に協力いただきたい。こうした呼び掛けも行いたいと思っています。
そして、今回被害が最も甚大でありました能登地方については、まずは今後、全力で復興・復旧に努めなければなりません。そしてその上で、観光客の受入れが可能な状況になった段階で、地元の意向も踏まえながら、適切なタイミングで、より手厚い観光需要の喚起策、例えば割引率を70パーセントにするなどの喚起策を実施すること、これを検討したいと思っています。以上です。
(自民党が安倍派幹部に離党や議員辞職を求めたとの報道があるが事実関係と総裁としての考えについて、また、茂木幹事長が安倍派幹部に対してけじめの付け方を提案するよう求めたことについて)
まず、御指摘の点については、本日、総務会において、政治刷新本部で取りまとめた中間取りまとめを了承いただきました。党として決めていること、確認していることは、この中間とりまとめの内容までであります。今後はこれを具体化していく、こういった取組に入ります。御指摘の点について、党としての方針は、今申し上げたところまで確認しているということであります。
そして、御質問で、けじめうんぬんの話がありました。これについては、まずは、関係者に明確な説明責任を党としても促していく、これがまず第一だと思います。そして、その上で、党としてもできる限り、事実関係の把握に努める、こうした努力をしていかなければならないと思います。今考えているのは、そういったところです。
(政治刷新本部の中間とりまとめでは、政治責任について結論を得るとのことだが、岸田派を率いた自身の政治責任について)
私の政治責任、宏池会の収支報告書不記載、そして訂正についてですが、まずは、その内容について、しっかり説明を行い、そして、これについて、しっかりと謝罪を行い、そして、けじめということで、宏池会の役員ともしっかり諮った上で、派閥自体を解消するという決定を行いました。そして、その上で、こうした政策集団の動きや事案を通じて、党自体の信頼が今、損なわれているわけでありますから、党全体の信頼回復に向けて、政治刷新本部の本部長として、しっかり努力をし、議論をリードして、結果を導く。こうしたことを通じて、自らの政治責任を果たしていきたいと考えています。
(政治資金規正法改正について、他党が導入を求める連座制ついてと、改正の具体案として考えている内容と最終取りまとめの想定時期について)
はい、まずですね、中間取りまとめ、見ていただければわかりますが、信頼回復への道筋として、まずは自民党自身が行うことができる運用面での改善、これを行うとしております。これが正に、いわゆる派閥を解消して、真の政策集団に変えていく。要は、お金と、そして人事を遮断するという部分、さらには監査を行うとか、それから銀行振込を原則とするとか、そこに書いてある様々な運用面での取組を行う、これがまず第一ですが、中間取りまとめの中には、その後、制度面での改善、これに努めなければならない、この部分が、御指摘の政治資金規正法の改正を含めた法改正の部分ということになります。この部分についても、党として、政治刷新本部、これからこの方針において、様々な取組を具体化していくわけですから、この議論の中で、御指摘の政治資金規正法の改正等の法改正についても、どのような改正を行うべきなのか、自民党としても各党と議論をしながら、改正の中身を決定する、この議論に貢献していく、こうした取組を進めていきたい、このように思っています。
(自民党内からの「総理の責任をとって議員辞職すべき」との声について)
先ほど申し上げた形で、責任を果たしていきたいと思っています。