[文書名] フランス訪問等についての会見(岸田内閣総理大臣)
(フランスでの一連の日程を終えての受け止めについて、創設を表明した生成AI(人工知能)の国際的なルール作りの枠組みをどう活用していくかについて)
まず、日本のOECD(経済協力開発機構)加盟60周年という節目の年に当たって、10年ぶりに、日本が、閣僚理事会の議長国を務めます。これから今日、明日、2日間にわたりまして、日本の5人の閣僚が、それぞれの議題ごとに議長を務めて議論をリードすることになります。私自身も、今回、基調講演の中で、「変化の流れの共創」、こういったテーマを掲げて、貿易ですとか環境、あるいはデジタル、こうした様々な課題において、多国間で協力し、国際社会が直面する危機を乗り越える、こうした考え方を明らかにいたしました。そして、私が10年前に外務大臣を務めていた時代に立ち上げた、OECD東南アジア地域プログラム(SEARP)、これを一層強化して、OECDが東南アジアの成長・発展に向けた伴走者となるよう、日本として新たな取組を立ち上げました。今般、インドネシア、そしてタイが加入に向けての動きを始めた、こういったことを歓迎したいと思いますし、コーマン事務総長からも、日本の10年間にわたる取組に、謝意の表明がありました。日本としては、こうした取組を通じて、ルールに基づく自由で公正な経済秩序、これを維持・拡大することに貢献することができた、このように考えています。
もう一つ、生成AIについてお尋ねがありましたが、生成AIに関するサイド・イベントを開催いたしました。その中で、私から、49か国・地域の参加を得て、広島AIプロセスの精神に賛同する国々の枠組みであります広島AIプロセス・フレンズグループ、この立ち上げを発表いたしました。広島AIプロセスに関しては、我が国が、G7議長として取りまとめたものですが、こうした多くの国々・地域が参加する、こうした枠組みができる、要は、この広島AIプロセスの支持の広がりを感じることができました。是非、このフレンズグループのメンバーと共に、生成AIのリスクに対応・対処するための国際指針や行動規範の実践に取り組んでいきたいと思います。そういうことによって、世界中の人々が安全安心で信頼できるAIを利用できる、こうした環境を作っていくよう協力を進めていきたい、このように考えています。以上です。
(フランスとの首脳会談で、円滑化協定の交渉入りで合意したが、インド太平洋地域の安全保障協力に向けどのように進展させていく考えかについて、日仏首脳会談では中国についてどのような意見を交わしたのかについて、また、ドル・円相場は円が急騰したが、為替介入を含めた政府の対応・見解について)
まず、先ほどの日仏首脳会談においては、「日仏部隊間協力円滑化協定(RAA)」の交渉開始について合意をいたしました。日本とフランスは、共にインド太平洋国家です。この日仏が、これまでも共同演習、あるいは安全保障分野の協力、積み重ねてきました。今回のRAAですが、これは、こうした日仏の安全保障協力、更に促進するとともに、インド太平洋地域の平和と安定に貢献するものであります。是非、着実に進めていきたいと考えています。
そして、中国についてですが、中国を含むインド太平洋情勢、そしてウクライナ情勢、さらには中東情勢、こうした地域情勢について、忌憚(きたん)のない意見交換を行いました。緊迫度を高める国際情勢の中で、インド太平洋と欧州大西洋、この二つの地域の安全保障を切り離して考えることは困難であるということ、また、G7の場を含め、価値や原則を共有する日仏連携を強化していくこと、こういったことにおいて一致をすることができました。
そして為替の方ですが、為替相場の動向や為替介入については、その有無も含めて、コメントを差し控える、これは従来から申し上げているとおりであります。以上です。