[文書名] 日韓首脳会談及び日中首脳会談についての会見(岸田内閣総理大臣)
(尹(ユン)大統領と10度目となった日韓首脳会談の詳細について)
先ほど16時35分から約50分間、日韓首脳会談を行いました。1年ぶりの訪韓、そして尹大統領とは、対面では昨年11月以来の再会となりましたが、シャトル外交を継続していくことと、日韓国交正常化60周年を迎える来年に向けて、互いに準備を進めていくということで一致いたしました。
また、私から、将来を担う世代の交流を強化するべく、今年度、日韓青少年交流事業の規模を拡大すること、これを表明いたしました。
また、外交・安全保障の面においては、日韓は、パートナーとして議論を深めてきており、各種対話の継続で一致しています。
また、経済面では、数多くの対話が実施され、協力が強化されていることを歓迎し、そして、水素、アンモニア等の協力を加速させていくことといたしました。さらに、経団連が今般、日韓未来パートナーシップ基金の拡大を発表したことを、尹大統領と共に歓迎いたしました。
そして、北朝鮮についても、率直な意見交換を行い、日韓米で一層緊密に連携していくことで一致いたしました。拉致問題については、尹大統領から改めて支持を頂きました。また、昨年のキャンプデービッドでの日米韓首脳会合以降の3か国協力の進展を歓迎いたしました。そして、同首脳会合で表明された、自由で平和な統一された朝鮮半島への支持、これを改めて確認いたしました。
全体として、日韓関係を更に前に進めていこうという強い思いを、私と尹大統領との間で改めて共有することができ、大変有意義なものであったと感じています。
(中国軍の台湾への圧力や水産物の禁輸問題を抱える中、こうした懸案を含めどのような日中首脳会談となったか)
日中首脳会談は、18時15分から約60分間、行われました。日中関係については、昨年11月に習近平国家主席と再確認した、戦略的互恵関係の包括的な推進と、建設的かつ安定的な関係の構築という大きな方向性に沿って、様々な課題や懸案について進展を図っていく、こういったことを確認いたしました。
ALPS(多核種除去設備)処理水については、専門家を含む両国間の事務レベルの意思疎通が進展していることを評価した上で、私から、IAEA(国際原子力機関)の下で、関心国の参画を得て行われているモニタリングが、中国を含む関心国の理解を促進することを期待している旨述べました。その上で、問題解決に向けて、これまでの意思疎通の進展を踏まえ、事務レベルで協議のプロセスを加速していくことで、李強総理と一致いたしました。
また、私から、日本産食品の輸入規制の即時撤廃、改めて求めました。そして、尖閣(せんかく)諸島をめぐる情勢を含む東シナ海情勢や、中国による我が国周辺での軍事活動の活発化等について、私から深刻な懸念を改めて表明するとともに、日本のEEZ(排他的経済水域)に設置されたブイの即時撤去を求めました。さらに、南シナ海、香港、新疆(しんきょう)ウイグル自治区等の状況に対する深刻な懸念、これを表明いたしました。
また、台湾については、最近の軍事情勢を含む動向を注視している旨伝えつつ、台湾海峡の平和と安定は、我が国を含む国際社会にとって極めて重要であるという点を強調いたしました。中国における邦人拘束事案については、邦人の早期解放を求めました。
そして私から、日中ハイレベル経済対話や、日中ハイレベル人的文化交流対話も活用し、協力や国民交流の拡大を進めていくことを提案いたしました。
そして私から、日本産牛肉の輸出再開、精米の輸出拡大等に係る調整を行わせたい、こうした旨、述べました。
以上、大局的な方向性を確認した上で、諸懸案についても議論ができ、有意義な会談になったと受け止めています。明日の日中韓サミットでも、両首脳と有意義な意見交換ができることを期待しております。以上です。