[文書名] 山梨県訪問等についての会見(岸田内閣総理大臣)
(国会閉会後、初めての地方視察で山梨を選んだ理由及び視察したことを今後どのようにいかしていくかについて)
先日、閉会した国会において、61本の法律が成立しました。その中に重要法案と言われる法案、数多くあったわけですが、その中にあって、地方の中堅・中小企業の成長に大きく関わる産業競争力強化法、また、「農業の憲法」と言われる食料・農業・農村基本法、こういった法律について、正にモデルになるような企業がこの山梨県にあるということで、是非それは見させていただこう、こういったことで、今回、山梨県、視察させていただきました。
まず、最初に訪問しました旭陽(きょくよう)電気さんですが、人手不足が今、大きな問題になっている中にあって、果敢に省人化投資を行う一方で、賃上げはもちろんですが、働きやすい職場作りに努めるなど、人を大事にされるなど、それには円滑な事業承継にも取り組んでおられるなど、地方の中堅・中小企業として、更なる発展を目指しておられる。それを実際、見させていただきました。このITによる遠隔作業も経験させていただきましたし、企業の中の託児所、これを実際、見させていただきました。働いている皆様もやりがいですとか、あるいは安心感を持って働いておられる、そういった姿を見させていただきました。こうした旭陽電気を始めとする中堅・中小企業が人手不足を克服し、そして、設備投資、M&A(買収と合併)、これを円滑に行うために、先ほど申し上げました産業競争力強化法も成立したわけでありますし、今日もやり取りの中で出ておりましたが、大規模設備投資補助金ですとか、省力化投資補助金ですとか、こうした予算あるいは税制措置を強化したわけですが、こうした取組によって、今、30年間見られなかったような投資の動きが出ている。そして、それが全国に今、広がっている。こうしたことであると受け止めています。引き続きまして、あらゆる政策を総動員することによって、特に地方の中堅・中小企業の成長、あるいは働き方改革、しっかりと後押ししていきたいと思います。
そして二つ目は、正に、このアグリサイトの視察ですが、デジタル管理によるトマト栽培によって、通常の一般的なハウス生産と比較して、6倍以上の高収益を上げておられる、こうした話を聞かせていただき、現場を見させていただきました。通常国会においては、先ほど申し上げた食料・農業・農村基本法の成立と併せて、それを実践するためのスマート農業法、これも成立しています。スマート農業という視点で取り組んでおられるアグリサイトの取組、すばらしい取組を見させていただいたわけですが、来年度から初動5年間を農業構造転換集中対策期間として、農政の再構築に取り組んでいきたい、このように思っています。その中で、このアグリサイトさんで実践されているようなデジタルやAI(人工知能)を活用して、大幅な生産性の向上を図る。来年度の予算要求に向けて、スマート農業法に基づく、新たな支援措置の創設・拡充、これを具体化していきたいと考えています。同時にアグリサイトでは、燃料使用量の削減にも取り組んでおられる、要は環境との調和、こうした取組を進めておられるということであります。来年度予算より、十分なインセンティブ措置、これを講ずる、新しい交付金の創設を考えていく、こうした検討を加速していきたいと思っています。いずれにせよ、今回の法律成立を契機として、様々な具体的な動きが、全国の企業や農業者の中で、実際、力強く動き出している。これを政府として、しっかり後押ししていく、こうした思いを新たにした次第であります。以上です。
(地方視察は総裁選に向けた票固めとの臆測も出ているが、今後、どれほどの頻度で行う予定か、また、派閥の裏金事件を受け、複数の県連から、総理や執行部の責任を問う声が上がっているが、今後、地方組織に対してどう理解を求めていくかについて)
国会が閉会して、やはり各国会議員とも地元に戻り、様々な声を聴く、様々な政策について要望を受ける、こうした時期を迎えました。私自身も、地方の現場の声を丁寧に聴いていく取組、進めていきたいと思います。御質問、どのぐらいの頻度ということですが、別に頻度、今、決まっているものではありませんが、今後、公務の日程もしっかり調整しながら、できるだけ多くの現場の声を聴いていく、こういった姿勢を大事にすることは、大事だと思っています。そして御指摘のように、党あるいは地方から、厳しい声が上がっている、このことについては、厳粛にしっかりと受け止めなければならないと思っていますが、これについては、これまでも地方の声を聴く、こういった姿勢は大事にしてきました。これからも、こうした地方の声、あるいは現場の声、これを丁寧に聴いていく、こういった姿勢を大事にしていくこと、これは大切であると思っています。以上です。