[文書名] 日独共同記者会見(岸田内閣総理大臣)
【岸田総理冒頭発言】
今回、総理として初めてドイツ・ベルリンを訪問することができ、大変うれしく思います。オラフを始め、ドイツの皆様方の温かい歓迎に感謝したいと思います。
ロシアによるウクライナ侵略、中東情勢等、国際社会が厳しい挑戦に直面し、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障が不可分であるということ、ますます明らかになる中、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けて、日独の協力と連携の重要性、ますます高まっています。
先ほどの首脳会談では、こうした問題意識の下、オラフとの間で日独両国間の連携・協力、一層強化していくことで一致いたしました。
ドイツが近年、インド太平洋地域への関与を強化している中、両国の安保・防衛協力も進展しています。この夏には、ドイツ空軍機及びフリゲート艦が訪日し、日本からも、海上自衛隊の練習艦隊がハンブルクへの寄港を計画しています。
そして、オラフからも紹介がありました、本日発効を迎えたACSA(日・独物品役務相互提供協定)が、こうした部隊間の協力の更なる促進に寄与すること、これを期待しております。
また、「2+2」の枠組みも活用しながら、安全保障・防衛協力の連携を更に強化していきたいと考えており、本日、オラフとの間で、次回会合を早期に開催すべく調整していくことを確認いたしました。
昨年3月にオラフとドイツの関係閣僚を東京にお迎えして開催した第1回日独政府間協議は、日独関係に新たな扉を開く重要なステップとなりました。本日、次回会合を、両国の関係閣僚の参加も得て、来年にもドイツで開催するべく調整していくことをオラフと確認いたしました。
本日は、経済安全保障分野についても、日独間の連携の更なる強化に向けて率直に議論を行いました。
経済安全保障上の課題に対しては、同盟国・同志国の一致した対応が重要です。また、自由で公正な国際経済秩序を維持・拡大していくためには、産業構造や高度な技術力において共通点を持つ日独の連携がますます重要です。オラフとの間でこうした認識を共有し、両国間で経済安全保障に関する協議枠組みを創設することで一致いたしました。
また、水素、半導体、鉱物資源等の戦略的部門において、民間セクターを含む両国間の連携に進展が見られることを歓迎いたします。
さらに、次世代の情報通信基盤であるビヨンド5G/6Gの研究開発、サイバー分野での連携、「広島AIプロセス」を通じた安全、安心で信頼できるAI(人工知能)のグローバルな実現などに向けた協力も推進してまいります。
最後に、今回の私の訪独に対するオラフやドイツ政府関係者の皆様方の御協力に改めて感謝申し上げます。引き続き、この後のワーキングディナーで、地域情勢や、多国間外交における日独間の連携強化に向けて、率直に議論ができることを楽しみにしております。