データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 三重県訪問等についての会見(岸田内閣総理大臣)

[場所] 
[年月日] 2024年7月31日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文] 

(リニア駅候補地の環境影響評価の現場とVISON(ヴィソン)を視察しての受け止め及び今後の政策にどのように反映させるかについて)

 本日は、まず、リニア新幹線の「三重県駅」の位置選定のためのボーリング調査の状況、これを視察させていただきました。東京駅から現場までは本日、190分を要しましたが、リニア新幹線は60分でつなぐことになります。また、東海道新幹線は、開業60年となりますが、昨年のお盆の大雨ですとか、先日の補修用車両脱線など、大規模運休で国民生活に大きく影響を与えた事案が相次いでおり、三大都市圏を結ぶ複数のネットワークの早期構築の重要性、これを改めて認識したところです。

 そして次に、ここ美村プロジェクトの取組、そして地域の農業ベンチャーの取組をお伺いいたしました。その中で、自動運転については、一般道での通年運行事業を今年度中に、ここVISONバスを含め、25か所以上に増加させ、早期に全国100か所以上の実施を目指してまいります。さらに、2年前には0であったレベル4についても、今年度中に10か所程度で実装し、今後、全国各地の取組を順次レベルアップしてまいります。このため、これまで11か月程度要していた審査を、2か月程度に迅速化してまいります。 VISONバスで、来年1月開始を予定しているレベル4の運行も、速やかに申請いただき、この秋をめどに大幅に前倒しをいたします。

 また、地元起業家の農業ベンチャーの取組についてもお話を伺いました。海水で野菜を作るなど、世界の食料問題の抜本解決を目指す若い方々が、熱意を持って地域で活動されていること、大変うれしく思いますし、また誇らしくも思います。このような社会貢献を目指すベンチャー企業は、新しい資本主義の原動力だと思っています。今後、農業技術の事業化支援を強化することとし、スタートアップ総合支援プログラム事業の対象、これを拡大してまいりたいと考えています。以上です。

(2037年のリニア中央新幹線の全線開業に向けて、名古屋以西の着工をJR東海に促す考えはあるか、また、名古屋以東、品川から名古屋までが、当初の2027年開業から遅れる中、打開策をどのように考えているかについて)

 政府としては、3兆円の財政投融資による国の支援を踏まえて、最速2037年の全線開業という想定時期の下、静岡工区を含めて、リニア中央新幹線の整備が適切に進むよう、環境、水資源の状況や、建設主体であるJR東海の財務状況、これらを厳格にモニタリングし、必要な指導と技術支援を行ってまいります。そして、御指摘の名古屋以西についても、着実に整備を進める観点から、新大阪駅、そして三重県亀山駅周辺、奈良県内の各駅候補の整備に関する検討の深度化など、駅の位置及びルートの選定、これを加速する必要があります。このため、沿線自治体で行っているリニア中央新幹線三重、奈良、大阪建設促進連携会議に、三重県知事からも御要望を頂いておりますように、こうした要望も踏まえて、来月にも国土交通省とJR東海、これを正式メンバーとして参画させることといたします。あわせて、整備効果が最大限発揮されるように、駅周辺を含めたまちづくりについても、国として沿線自治体と連携して、全面的に支援をしてまいりたいと考えております。