データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 大阪・関西万博会場視察等についての会見(石破茂内閣総理大臣)

[場所] 
[年月日] 2024年1月19日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文] 

(大阪・関西万博会場を視察した感想、今回の万博を関西地域の活性化にどのようにいかしていくか、吉村知事との会談の内容、チケットの売り上げ目標達成、運営費が赤字となった場合の補填について。また、開催期間中は各国要人の来日が予想されるが、その機会を外交にどのようにいかしていくつもりかについて)

 3か月を切りました。私も、(2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博))名誉会長というものに、先般就任をいたしましたが、まだ現場を見たことがなかったので、今日、博覧会協会、あるいは知事さん、市長さんに、お手を煩わせまして、こうして会場を見学できたということは非常にありがたいことだったというふうに思っております。もう今から55年前、私、鳥取の中学校2年生でしたが、その時の大阪万博、この印象はものすごく強烈であって、もう今から55年前のことだが、高度経済成長真っただ中で、日本は本当にこれから良くなっていくんだなと、夢のような、そういう空間であったと思っています。それから半世紀以上を経て、この関西万博というものが、再び新しい日本をつくる、そういうような場所になっていくということを実感をできたのは、非常にありがたいことでした。高度経済成長期ではないんだけども、一人一人が生きてる実感を体感できる、そして未来の日本というものに夢を持てる、そういうような実感が感じられる、そういうような、今日の万博会場の視察であったなというふうに思っております。やはり百聞は一見に如かずみたいなところがあって、実際にこう見てみて、そういう実感を持つに至ったんだけれども、4月に開幕をして、ここへ来れば、必ずもう1回来たいという思いを大勢の人が持つことだろうなというふうに思っております。あるいは、能登の輪島塗かしら、ああいう地球儀も、今日は見ることはなかったんだけども、ここに来ないと見れないなってものがありますよね。火星の石もそうでしょうし、あるいはさっきの能登の地球儀もそうですし、やはりこう2025年関西万博に来ないと見れない、そして見て幸せになれる、夢が持てる、そういうのを大勢の人に、日本国中のみならず世界中の方々に、そういう実感を味わっていただくために、我々日本政府としても、大阪府さん、あるいは大阪市さん、そして協会の皆さんと共に、必ず成功させるということに向けて努力をしたいというふうに思っております。

 チケットの売れ行きは、まだ十分、絶好調というには至っていないのだけれども、やっぱりそれはまず知られてないってことがあるのと、この関西エリアでは知られているんだと思いますが、それ以外のエリアでは十分に知られてないってことがあります。知られること、そして、先ほど申し上げたけど、1回行ってあれ面白かったよっていう、リピーターが増えるってことですよね。あらゆる万博がそうですけども、最初はあんまり伸びない、そこから右肩上がりにお客様が増えていくということになりますので、私はチケットの売れ行きについては、もちろんみんなが力を合わせて努力するということですが、私は決して心配をしておりませんので、もし売れなかったらどうするの、というようなことの仮定の御質問にはお答えをいたしかねるところでございます。

(政府としてどのように機運醸成を図る考えかについて。また、万博会場のシンボルである「大屋根リング」について、リユース(再活用)が低調となっているが、政府として後押しなど検討しているか。また、万博の「レガシー」は、どのようなものであり、それをどういかすかについて)

 例えば、「大屋根」のいろいろな材料の活用等についてはですね、今でも20社かしらね、使いたい、使いたいというお話があるということであります。実際に大勢の方々の御努力によって、万博が成功するということになったときには、やっぱりあの万博の材料になった、そういうような木だよねということで、それはもう、すごく使いたいって人は増えるんだと思っております。やはりこう、これリユースということを前提にいろんなものを作っていくし、これからそのリサイクル社会というものを本格化させる、それにふさわしい使い方がされなきゃいけないので、それに向けてみんなで努力をしてまいりたいと思っております。やっぱりね、どうやって販売を促進していくかってことを考えたときに、それぞれの世代、それぞれの地域で売り方は違うんだと思っているんですね。関西圏の売り方、首都圏の売り方、北海道や九州の売り方、それぞれ違うんだと思います。私達として、万博に来るだけじゃなくて、そこから地方創生につなげるために、万博に来て九州とか、万博に来て北海道とか、万博に来て島根県とか、そういうセットで売りたいと思っているので、単に大阪に人がいっぱい来るだけじゃない、この万博に行くことと関連付けて、北海道でも山陰でもいいんだけども、やっぱり自分たちのこととして、万博チケットをみんなに買ってもらおうね、という機運が醸成されると。それからそのタッチパネルを操作すれば買えるっていうんだけども、やってみてもうまくいかないなみたいな人もいるわけで、そうするとやっぱり、おじいさん、おばあさんには買いにくいなみたなことになると具合が悪いんで、どうやったらば買う動機付けができるか、そしてどうやったらば簡単に買えたよっていう、そういう実感を持っていただけるか、それが大事なことだと思っております。これはお役所仕事ではできないので、民間の方々の発想というものをとり入れてやっていきたいなというふうに思っているところでございます。

(吉村知事との会談の内容について)

 失礼いたしました。今日はテーマを万博に絞って、先ほど来、御質問があるように、どうしたら大勢の人が来るかということついて、いろんな意見交換をさせていただきました。ではその大阪府さん、大阪市さんだけではなくて、本当に我々政府も、伊東担当大臣を中心としてですね、どうやって全部の閣僚が、政府を挙げて、この関西万博を成功させるか、ということで一丸となってやっていきたいというふうに思っておりますし、もちろん成功させねばならないが、それを一過性のものに終わらせて、2025年夢洲(ゆめしま)で万博あってよかったね、楽しかったね、ではなくて、知事の言葉を借りればですね、それを「レガシー」として、1年に1回、じゃあここで健康テーマにした国際会議をやるとか、そういうようなことができないもんだろうかというようなことで、それはその厚労省であれ外務省であれ、いろんなところが大阪府さん、大阪市さんと一緒になってやっていくべきと思うけど、2025年に夢洲で万博やって、こういう日本ができたよねということが実感できるために、どうしましょうかっていう意見交換をさせていただき、知事からいろんなお考えを受け賜わったところでございます。