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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 農林水産大臣の交代等についての会見(石破茂内閣総理大臣)

[場所] 
[年月日] 2025年5月21日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文] 

【石破総理冒頭発言】

 江藤拓前農林水産大臣の後任として、小泉進次郎衆議院議員を農林水産大臣とすることといたしました。私から小泉氏には、現下のコメ価格の高止まり状況に鑑み、特に消費者に安定した価格でコメを供給できるように、強力に取組を推進すること。随意契約を活用とした備蓄米の売渡しを検討することを指示いたしました。小泉氏にはコメ価格の高止まりなど、農林水産行政の課題が山積する中、強力なリーダーシップと、これまでの経験の下、解決に向け、全力を挙げて取り組んでもらいたいと、このように考えております。以上です。

(今回、小泉進次郎氏を農水大臣に起用した理由、また、どういった経験から、今回、起用したのか、その見解について)

 農林部会長を務めておりました。あるいは、水産におきましては、今、水産総合調査会長ですが、私が水産総合調査会長を務めておったときには、海業に関する委員会の委員長というものを務めておりました。農業についても、あるいは水産業についても、経験、見識、改革に向けた情熱、そういうものを持っているのが小泉議員であると、このように考えた次第でございます。

(前大臣の発言によって、農政への信頼が損なわれてしまっていると思うが、この状況で小泉議員を起用することによって、どう回復していくのか)

 それは、今、申し上げましたように、コメ価格の高止まり、これをどのようにして解消していくかということ、あわせて生産者の方々が安んじて生産に取り組んでいただけると、こういう環境をどう作るかという、こういうことを二律背反ではなく実現をするということだと思っております。水産業でも、水産業の従事者がものすごく減っているという状況、漁獲量も漁獲高も世界が伸びる中にあって激減しているということ、林業についても、なかなか国産材の活用が進んでいないということ、農業も漁業も林業も、多くの課題を抱えております。それらに一つ一つ答えを出していくこと、そして消費者の皆様方の信頼を回復すること、そのことによって、国民の皆様方が農林水産行政に対して思っておられる不信というものを払拭するということができるものと確信をいたしております。

(備蓄米を放出しても、今現在、米価が下がらないような状況が続いているが、改めて何か政策転換を図られるのか)

 これは、なぜこうなっているのかということ、コメが、価格が上昇していると、高止まりしているという状況は、かなり長く続いております。コメ(価格)が上がり始めたときから、なぜだろうかということを随分と議論もし、そしてまた、備蓄米の放出ということに至っているわけですが、コメの価格は下落をしていないということを考えたときに、それは一体なぜなのかということをきちんと、あるいは構造的なものかもしれません。そのことに答えを出していくということは、これはそう容易なことではありませんが、消費者の方々の困窮した状況というものを早急に改善するということと、コメ政策というものを変えていくということ、この二つを両立させることが重要であると考えております。