[文書名] 赤澤大臣からの米国関税措置に関する日米協議の報告等についての会見(石破茂内閣総理大臣)
(先ほど赤澤大臣より、訪米の報告を受けたが、報告の内容について、また、合意文書はいつ交わす予定なのか、ホワイトハウスは23日、日米の貿易交渉に関する声明の中で、日本が米国製の防衛装備品の購入を拡大することや米の輸入を75パーセント増やすことなどを明記したところ、日本政府の説明と異なるが、日米の考えに齟齬(そご)はないか、また、23日、自身の出処進退について、「赤澤大臣からの報告も含めて精査していきたい」と話したが、改めて、報告を受けて、自身の進退について、どのように考えているか)
本年の2月、ホワイトハウスにおいて、トランプ大統領と会談をいたしました。それ以来、「関税よりも投資」だということを主張いたしてまいりました。今回の結果は、正しくその提案に沿ったものとなったというふうに考えておるところでございます。これ、交渉ですから、どっちかが一方的に得をして、どっちかが一方的に損をするということにはなりません。日米両国の利益をいかに実現をするか、我が国がアメリカに投資を行い、雇用を創出し、生産業の再生を図っていくということ。それは、日本の利益にも、アメリカの利益にもかなうものであります。そういう形でこの合意ができたということは、赤澤大臣、そしてまた、関係する皆様方、それは経産省であり、財務省であり、農水省であり、国交省であり、外務省であり、多くの政府の皆さん方、あるいは民間の皆様方、多くの皆様方のいろんなお力添えのおかげであったというふうに思っております。赤澤大臣からはその交渉の内容、赤澤大臣から実際に記者会見にあったとおりでございますが、その内容についての報告を受けました。そこに相違はございません。私からは、赤澤大臣並びに本当にこれに力を尽くしてくださった多くの方々に、心からの感謝を申し上げたところでございます。
アメリカの関税措置につきましては、当然のことでございますが、今後、大統領令等々が発出をされることになります。合意文書を交わすということが具体的に今、俎上(そじょう)に上っているわけではありませんが、アメリカにおいて大統領令の発出等々、そういうような手続が取られるものというふうに考えておりまして、私どもとしては、そういうことを勘案しながら、今後の対応を検討してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
防衛装備品及び米輸入についてでございますが、これらの点について、日米に齟齬はございません。それは官房長官も会見で申し上げたとおりのところでございますし、赤澤大臣からも説明をいたしておるところでございます。特に、米について申し上げておけばですね、今回の合意には、農産品を含めまして、日本側の関税を引き下げるということは全く含まれておりません。それは、赤澤大臣が説明をしたとおりでございます。政府といたしましては、既存の制度、すなわちミニマム・アクセス米の制度でございますが、既存の制度の枠内で、我が国の米の需給状況、これらも勘案しつつ、必要な米の調達を確保していくものでございます。この考え方に基づきまして、アメリカに説明しておるものでございまして、農業を犠牲にするというようなことは全く考えておらないところでございます。
私と大統領との間で、この合意を確実に実施をしていくということが重要であります。これは昨日も申し上げたことでございますが、対米輸出品目だけで4,318であったと思います。自動車のことが大きく取り上げられる、それはそのとおりなのですが、それぞれの品目で見れば4,318ございます。全国に(約)1,000か所の相談窓口をつくっておるところでありますが、それぞれの窓口において、それぞれの地域において、じゃあ、どういうようなものが輸出をされておるのかということを、既に当然把握をしておることでございますが、もう一度それを精査をして、本当にちっちゃな事業所さんで一生懸命輸出しておられるところもあります。自分達の輸出品目はどうなるだろうかということを大変心配しておられるところもあろうかと思います。そのような事業者さんに対しまして、融資でありますとか、生産性向上投資や、そういうものに万全を期していかなければなりません。今回の合意が着実に実施をされるということ、そしてまた、今回の合意を受けて、国内の事業者さん、あるいは関連される産業、あるいはそこに働いておられる方々、そういう方々の御不安というものを払拭するように、引き続き、全力を尽くしてまいりたいと考えておるところでございます。私からは以上です。