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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 最低賃金引上げに関する目安についての会見(石破茂内閣総理大臣)

[場所] 
[年月日] 2025年8月4日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文] 

(最低賃金について議論してきた厚生労働省の審議会は、今年度、過去最大となる全国平均の時給で63円引き上げるとする目安を示したところ、目安が60円台となるのは初めてで、この目安どおり引き上げられれば、全国平均の時給は1,118円となり、全ての都道府県の最低賃金が1,000円を超えることになるが、石破政権は、賃上げや最低賃金の引上げを重視しているところ、金額についてどう評価するか、また、今後どのように対応していくか、特に、地方や中小企業にとっての影響は大きいが、政府として、どう支援していくのか)

 最低賃金につきまして、先ほど、全国加重平均6パーセント、金額では63円、これを引き上げるということを内容とする中央最低賃金審議会小委員会報告書が取りまとめられたものでございます。この後、本審議会で議論されることになりますが、仰いますように、この目安で引上げが行われれば過去最大であり、全国加重平均では1,118円ということになります。私どもの内閣の「2020年代に全国平均1,500円」という高い目標に御配意をいただきながら、データに基づく真摯な議論が行われておったというふうに承知をいたしておりまして、本審議会での最終議論の前ではありますが、公労使の皆様方に感謝を申し上げたいというふうに考えておるところであります。政権として、これはずっと言っていることですが、「賃上げこそが成長戦略の要」という基本的な理念、そして、これまでの取組が着実に浸透し、成果を上げていると考えております。今後も、賃上げ5か年計画

(「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」)を強力に実行し、価格転嫁や省力化投資加速化プランの徹底、事業承継・M&A

(買収と合併)、成長投資の加速など、中小企業・小規模事業者の皆様方を含め、経営変革の後押し、そして賃上げ支援のため、政策を総動員してまいりたいと考えております。これから議論は各地方の最低賃金審議会に移るわけでございますが、国の目安を超えて最低賃金を引き上げる場合には、重点支援を講じたいというふうに考えております。そのつもりでございますので、そのような点も十分に各地に伝わるようにしながら、それぞれの地域の実情に応じた真摯な御議論というものをいただきたいと思っております。よろしくお願いをいたします。

(「国の目安を超えた場合に重点支援を講じたい」と言ったが、具体的にどのような支援を考えているか)

 これは今までも、徳島のようにですね、大幅に引き上げるということがございました。そういう場合には、支援をそれぞれきめ細かく講じていきたいというふうに思っておるところでございます。これ、今までの例に倣って、これから先もそういうふうに目安を超えて上げた場合には、支援をしたいということで、従来の方式を踏襲するということだと思っております。

(今のような重点支援を講じたときに、総理がずっと言っている、「2020年代に全国平均1,500円」の政府の目標を達成できると考えているか)

 それは、達成するためにこういうものを出しているわけでございます。毎年毎年7パーセントということではありませんで、これが年によって変動はあることはございますが、その目標達成に向けて、今後、更に努力をしていきたいというふうに考えておるところでございます。これまで、そして今後の政策、あるいは施策、そういうものの効果が現れることによって、これは達成可能であるということでございまして、そういうように賃上げをするということによって、更に経済が活性化をしていく、事業体が伸びていく、それにまたふさわしい賃金というものが支払われるというような好循環というものが期待をされるし、それが実現するように、私どもとして最大限の努力をして、労働者の方々、国民の皆様方の賃上げというものが実現をし、「賃上げこそが成長戦略の要」だということを正しく実現をしたいと考えておるところでございます。