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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日・スリランカ共同記者発表

[場所] 
[年月日] 2025年9月29日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文] 

【石破総理冒頭発言】

 皆さま、こんにちは。アーユボーワン(こんにちは)。ディサナヤケ大統領の訪日を心から歓迎を申し上げます。

 我が国とスリランカは、長きにわたり、深い友好関係を築いてまいりました。先の国連一般討論演説では、戦後アジア諸国が日本に対して示していただいた寛容の精神について私から申し述べたところでございますが、サンフランシスコ講和会議におきまして、スリランカが率先して日本の国際社会への復帰を後押ししてくださったことは、今日も日本人の心に深く刻まれておるところであります。その後も、スリランカの内戦、あるいは日本における大きな地震など、お互いが大きな困難に直面した際に、互いに手を携え、助け合ってきたのであります。

 スリランカも日本も、海に囲まれた島国でありまして、自由で開かれた海の恩恵を受けてまいりました。両国が力を合わせて国際社会の分断を乗り越え、自由で公平、公正な秩序を維持し、強化をしていくことが、更なる繁栄を実現する上でますます重要となっております。

 こうした考えの下、本日、ディサナヤケ大統領と議論を行ったところでありますが、そこにおきまして以下のような成果がございました。

 まず第一に、インド洋の平和と安定に向けた協力であります。これまでも、自衛隊の艦艇の寄港、巡視艇の供与、このような協力を進めてきたところでありますが、今般、スリランカに対する初のOSA(政府安全保障能力強化支援)案件として、無人航空機の供与を決定をいたしました。今後も『自由で開かれたインド太平洋』の実現に向けまして、スリランカとの協力を進めてまいります。以上が第一。

 第二は、スリランカの安定と発展のための協力であります。インド洋の要衝に位置するスリランカの安定と発展は、シーレーンを共有しております我が国にとってはもちろん、世界経済の成長の中心となる『インド洋・アフリカ経済圏』にとりましても、極めて重要であります。

 スリランカにおいていまだに紛争の影響が色濃い北部・東部、これらの州の開発は、スリランカの国民和解のためにも重要であり、今般署名をいたしました無償資金協力、すなわち『酪農セクター生産性向上計画』がこの地域の開発に役立ちますことを期待をいたしております。既存の円借款事業も着実に実施をいたします。

 この度、スリランカの安定的な成長とグローバルサプライチェーンへの参画を促進するため、『輸出志向型産業回廊構築に向けたロードマップ』これを日本側から提案をし、これに基づいて議論を深めていくことで一致をいたしました。これは、我が国が先般TICAD9(第9回アフリカ開発会議)で発表いたしました『インド洋・アフリカ経済圏イニシアティブ』とも軌を一にするものでございまして、スリランカからインド、中東諸国、アフリカを含めた各地域への輸出を促進をし、地域の発展に寄与してまいりたい、このように考えているところでございます。

 本日発表いたしました日本・スリランカ共同声明を指針として、スリランカとの『包括的パートナーシップ』を更に深化・拡大をいたします。この後の昼食会でも議論を深めてまいりたいと考えております。ありがとうございました、ストゥーティ(ありがとう)。