[文書名] 宇宙協力に関する日伊共同声明
高市早苗内閣総理大臣とジョルジャ・メローニ・イタリア共和国首相は、日伊関係を「特別な戦略的パートナーシップ」と再定義した、2026年1月16日に東京で開催された前回の首脳会談に引き続き、2026年6月15日、ローマで首脳会談を実施した。両首脳は、日伊外交関係樹立160周年の記念行事に反映されている、日伊間の長年に亘る友好と団結の絆を再確認した。
科学研究から安全保障、宇宙経済まで全域に亘る宇宙セクターの拡大する影響力に照らし、両首脳は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)とイタリア宇宙機関(ASI)との間の協力を含む両国のこれまでのパートナーシップに基づき、この重要な分野における日伊協力を更に深化させていくとの認識を共有した。両首脳は、2026年5月28日及び29日に東京で開催された第1回日伊宇宙協議の成果を歓迎するとともに、引き続きこうした協力を推進し、イノベーションを刺激し経済成長を促進するため、日伊アクションプラン(2024-2027)で示された両国のコミットメントを再確認した。また、両首脳は、日伊両国が、関連機関と産業を含め、宇宙経済における協力促進において、引き続き連携していることを歓迎した。
両首脳は、日伊両国がこれまで生み出した成果に基づき、以下の分野における日伊協力を特に促進していくことで一致した。
1 政府及び商業協力
日伊両国は、宇宙への相互アクセス促進及び民間セクター間の商業協力の推進、並びに宇宙技術とノウハウの向上にコミットする。両国は、それぞれの資金援助メカニズムの活用も含め、互いの宇宙産業間の商業パートナーシップを推進するとともに、中小企業やスタートアップに対して具体的な支援を行う手段を更に追求する。
2 多国間フォーラム
日伊両国は、国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)をはじめとする国際会議に積極的に参加している。両国は、透明性、協力、国際法の遵守に基づいた宇宙活動の実施の重要性を強調するとともに、安全かつ安定した宇宙を共に支持する。イタリアのCOPUOS議長国(2026年-2027年)就任及びあり得べき2027年のUNISPACEIV会議の開催は、上述の共通の取組を促進させる重要な機会であり、両国のしかるべき機関は、持続的で責任ある宇宙利用を促すためのガイドラインや基準の確立に向けて協働し、将来世代のための宇宙の保護を保障する。
3 宇宙防衛及び安全保障
日伊両国は、宇宙が国家安全保障及び国際社会の安定のために極めて重要な領域であることを認識する。両国は、連合宇宙作戦(CSpO)イニシアチブの推進を支援することにコミットし、宇宙領域把握を含む宇宙安全保障及び防衛に関する協力を強化する意向である。
4 有人宇宙飛行と月への回帰
日伊両国は、数年後に人類の月への回帰を目指すアルテミス合意の署名国として、月探査に関する協力を強化する。両国は、アメリカ航空宇宙局(NASA)との連携の下、多目的月面居住モジュールや有人与圧ローバの実現に関する活動において協力を推進する。また、両国は、互いの宇宙機関や産業、研究セクターを通じて、地球低軌道、国際宇宙ステーション(CALET宇宙電子線望遠鏡を含む)、そして将来の宇宙ステーションに関する共同作業を追求する。
5 地球観測及び災害リスク
管理日伊両国は、JAXAとASIとの間のデータ交換に関する協力の枠組みの下、両国のマルチバンドイメージングの相互活用の向上を通じた災害リスク管理への貢献のため、地球観測分野における協力を強化する。
6 太陽活動と太陽物理
日伊両国は、太陽物理分野における互いの宇宙機関や研究機関間の協力を深化させる。両国は、将来の宇宙技術やイノベーション・エコシステムを実現するための基礎研究と科学的卓越性の戦略的役割を認識し、高画質のデータ取得のため、太陽及びそのメカニズム(プラズマ・ダイナミクスと太陽風)の研究に資するSOLAR-Cミッションの実現に向けた現在進行中の協力を歓迎する。
7 宇宙物理と宇宙の探求
日伊両国は、潜在的に危険な小惑星の早期検知と正確な軌道決定の能力を高めるため、深宇宙観測における協力を継続する。両国は、LiteBIRDミッションを通じて、宇宙マイクロ波背景放射を解析し、ビッグバンの性質及び宇宙インフレーションに関する理解を深める。
8 宇宙の持続可能性
日伊両国は、潜在的に危険な小惑星に対するプラネタリーディフェンスの強化に加え、軌道上のスペースデブリや太陽粒子現象を含む自然及び人工の危険から宇宙アセットを保護するため、安定的かつ持続的な宇宙利用を促進する必要性を認識する。両国のしかるべき機関は、関連する多国間フォーラムを含め、宇宙状況把握(SSA)の分野における調整の促進に向けて協働する。また、両国は、軌道上で増大するスペースデブリによってもたらされるリスクを認識し、G7といった国際場裡における協力を含め、スペースデブリの低減及び改善に関する協力を強化する。この協力は、能動的デブリ除去(ADR)を含む軌道上サービスの開発に向けたそれぞれの取組と人工衛星衝突防止システムにおける協力推進を含む。
9 技能向上
日伊両国は、互いの宇宙産業の成長を促進するために必要な技能向上にとって、研究への投資が不可欠であるとの認識を共有する。両国は、宇宙分野における官民機関間のパートナーシップ促進のための機会を更に追求する。
10 地域協力
日伊両国は、第三国、特にアフリカや東南アジアを含むグローバルサウス諸国との宇宙協力の重要性を認識する。両国は、民間セクターの取組を含め、イタリアの「マッテイ・プラン」等の互いの計画について情報交換し、相互補完的な協力の機会を追求する。こうした協力のあり方は東南アジアにも及び得るものであり、同地域において、日本は、アジア・太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF)を通じて30年以上にわたり社会経済開発のための宇宙活動の平和利用を促進しており、イタリアはASEAN事務局のイニシアチブを支援してきた。
両首脳は、第1回日伊宇宙協議の成果を歓迎するとともに、近い将来ローマで開催予定の第2回日伊宇宙協議に期待し、本協議を引き続き強化していくとの認識を共有するとともに、宇宙分野における定常的で、より強力かつ広範な、国際協力及び協調を支持する旨表明した。