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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 上海協力機構加盟国政府首脳(首相)理事会会議共同コミュニケ

[場所] サンクトペテルブルク
[年月日] 2011年11月7日
[出典] 中華人民共和国駐新潟総領事館
[備考] 
[全文] 

 上海協力機構(以下「SCO」又は「本機構」と略称)加盟国政府首脳(首相)理事会定例会議が2011年11月7日、サンクトペテルブルクで開催され、マシモフ・カザフスタン共和国首相、温家宝中華人民共和国首相、ババノフ・キルギス共和国首相代理・第1副首相、プーチン・ロシア連邦政府首相、アキロフ・タジキスタン共和国首相、アジモフ・ウズベキスタン共和国第1副首相が参加した。

 イマナリエフSCO事務局長、カシモフSCO地域対テロ機関執行委員会副主任、メゼンツェフSCO実業家委員会議長、陳元SCO銀行連合体議長が会議に列席した。

 SCOオブザーバーであるインド共和国のシンデ電力相、イラン・イスラム共和国のサレヒ外相、モンゴルのアルタンホヤグ第1副首相、パキスタン・イスラム共和国のギラニ首相が会議に出席するほか、アフガニスタン・イスラム共和国のハリリ第2副大統領、独立国家共同体(CIS)のレベデフ執行委員会議長兼書記、ユーラシア経済共同体のムサタエフ事務次長が主催国の賓客として会議に出席した。

 首相らは、今回の首相理事会はSCO創立10周年にあたって開かれるものであり、本機構を一段と強固にし、発展させて、すべての加盟国に幸せをもたらすべきだと指摘した。

 各参加国は、キルギスタン共和国政府と人民が大統領選挙を成功させたことを祝うとともに、同国が政治、社会及び経済発展面で成果を収めるよう祈った。

 各国団長は友好的、建設的で、実務的な雰囲気の中で、世界と地域の経済発展問題について幅広く意見を交換した。各国は、世界の金融及び原材料市場に不確実性がみられる条件下、世界経済の成長が鈍化している情勢下で、SCO地域は安定を維持し、国内総生産(GDP)が伸びを示すとともに、投資の吸引力をもっていると強調した。会議は、「世界とSCO地域の経済情勢に関するSCO加盟国政府首脳(首相)の共同声明」を採択した。

 首相らは、2010年11月25日のドゥシャンベ首相会議以降、加盟国は経済及び人文〈人と文化〉の主要な方面で手を携えて努力し、密接に協力して、一連の具体的成果を収めたと指摘した。

 首相らは次のように指摘した。SCO加盟国元首は2011年6月15日アスタナサミットで、経済協力発展のために新たな原動力を注ぐべきことを特に強調した。サミットはSCO各国の福祉の向上と民生の改善を本機構の重要な任務の一つと定めた。

 そこで、首相らは、精力を集中して、交通、通信、科学技術、革新〈イノベーション〉、省エネ、農業、貿易及び観光などの分野の共同プロジェクトを作成し、実行に移さなければならず、こうした協力は本機構加盟国の国民経済が近代化し革新の軌道に乗るのを促し、持続可能な経済発展を保証するだろうと強調した。

 首相らは、2011年10月26日にドゥシャンベで開かれたSCO加盟国経済貿易相会議での成果を肯定した。

 SCO域内の経済・人文協力を強化するため、首相らは、主務官庁に対し、「SCOの事業〈プロジェクト〉協力の一層の推進のための措置リスト」草案を策定し、所定の手続きに従ってSCO加盟国政府首脳(首相)理事会に提出し承認を求めるよう指示した。

 首相らは、最近SCO域内で行われた、地域経済協力深化のための実務活動を高く評価し、その定期的実施を支持した。

 首相らは、SCO特別勘定及び開発銀行設立を支持する原則的立場を再確認し、SCO枠組み内の事業協力の有効な資金調達〈ファイナンス〉の仕組みづくりについて引き続き作業を進め、中国で開かれる次回SCO加盟国元首理事会までに完了するよう指示した。

 首相らは、2011年10月28日にモスクワで開かれたSCO加盟国交通相会議の成果を称賛し、関係コンセンサスを遅滞なく実行に移し、交通分野の共通モデル事業を実施するため、引き続きそれぞれのクラスで積極的に協力しなければならないとした。

 首相らは、SCO加盟国の税関協力の一段の深化及び電子商取引協力の強化は重要な意義をもつと強調した。

 首相らは、「『SCO情報ハイウェー』事業プラン」(草案)の運用モデルの共同制定作業を強化すべきことを強調した。

 首相らは、科学技術革新協力が極めて重要なことを強調し、同分野の優先事業を決めることは、協力の推進に重要な意味をもち、SCO加盟国経済の近代化と発展に役立つことを指摘した。

 2011年9月27日にドゥシャンベで開かれた加盟国緊急災害救援部門指導者会議の成果に基づいて、首相らは、自然及び技術災害の脅威に共同で対処し、災害救援技術交流などの方法で、応急対応能力を高めるため、引き続き協力すべきだと指摘した。

 首相らは、加盟国間の観光客数の伸びをはかり、観光事業投資情報を交換し、国家の観光政策について交流すべきことを確認した。

 首相らは、加盟国人民の友情と善隣友好を強めるため、引き続き人文分野の協力を深めることを支持した。

 首相らは、2011年6月15日アスタナで調印された「SCO加盟国政府間衛生協力協定」の重要性を強調し、同分野の全面的協力の深化に支持を表明した。首相らは、2011年10月14日にモスクワで開かれた第2回SCO加盟国衛生防疫部門指導者会議の成果を高く評価し、同会議がSCO域内で防疫及び疾病監視強化のための協力を繰り広げる道を開いたことを確認した。

 首相らは、SCOオブザーバー国と対話パートナーをSCO枠組み内の経済・人文分野の活動と事業に参加させることを非常に重視している。各国はこのために引き続き実質的一歩を踏み出す。

 首相らは、「『SCO加盟国多国間経済貿易協力要綱』の実施状況に関するSCO事務局の報告(2010年12月~2011年11月)」を審議し、採択した。

 首相らは、本機構の2012年予算を承認し、SCO常設機関の財務及び組織問題に関する一連の決議を採択した。

 首相理事会は会議期間中、「SCO銀行連合体中期発展戦略(2012―16)」を調印した。

 首相らは、今回の首相理事会のハイレベルの組織・運営活動を高く評価し、ロシア側の温かいもてなしに感謝した。

 次回のSCO首相理事会は2012年にキルギス共和国で開催される。

 カザフスタン共和国首相 マシモフ

 中華人民共和国国務院総理 温家宝

 キルギス共和国首相代理・第1副首相 ババノフ

 ロシア連邦政府首相 プーチン

 タジキスタン共和国首相 アキロフ

 ウズベキスタン共和国第1副首相 アジモフ

2011年11月7日サンクトペテルブルクで

(新華網日本語)