[文書名] SDGsアクションプラン 2022 ~全ての人が生きがいを感じられる、新しい社会へ~
SDGs アクションプラン2022 ~全ての人が生きがいを感じられる、新しい社会へ~
(目次)
I. 「SDGsアクションプラン2022」作成に当たっての基本的な考え方
II. 「SDGsアクションプラン2022」の重点事項
People 人間:感染症対策と未来の基盤づくり
1 あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現
2 健康・長寿の達成
Prosperity 繁栄:成長と分配の好循環
3 成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション
Planet 地球:地球の未来への貢献
4 持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備
5 省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策、循環型社会
6 生物多様性、森林、海洋等の環境の保全
Peace 平和:普遍的価値の遵守
7 平和と安全・安心社会の実現
Partnership パートナーシップ:絆の力を呼び起こす
8 SDGs実施推進の体制と手段
III. 各府省庁の具体的な取組案
I.「SDGsアクションプラン2022」作成に当たっての基本的な考え方
新型コロナウイルス感染症の拡大は、持続可能な開発目標(SDGs)の様々な分野に深刻な影響を与えている。国連の「SDGs報告2021」によれば、2020年には、新型コロナウイルス感染症の拡大により世界で極度の貧困の割合がこの数十年で初めて増加し、新たに1億1,900万人~1億2,400万人が極度の貧困に追いやられることになった。また、新型コロナウイルス感染症の影響で7,000万から1億1,600万人が飢餓に陥り、教育分野では、ロックダウンなどで学校に通えない状況が生じ、この20年での前進が帳消しにされたとも言われている。喪失された雇用の数については、世界金融危機の4倍とも言われており、2030年までの目標達成には、各国が、前例にとらわれない戦略を立て、団結して取組を加速しなくてはならない。
SDGs達成に向けて、国際社会の取組をリードしていく決意のもと、日本は、様々な組織・団体、市民社会の意見も踏まえ、2021年7月、4年ぶりにSDGsに関する取組の進捗をまとめ、国連に対して自発的国家レビュー(VNR)を提出した。SDGs推進円卓会議民間構成員や市民社会との意見交換、パブリックコメント等において様々な提言を得ることができ、VNRを通じて、日本のSDGs推進に向けた取組を振り返ることができた。
SDGs採択から6年が経ち、日本国内でSDGsに関する認知度は大きく高まり、ESG投資の拡大などを受けて、企業経営にSDGsが浸透した。また、学習指導要領に持続可能な開発のための教育(ESD)の理念が盛り込まれたり、再エネ導入が着実に進展したりするなど、日本国内でSDGsの考え方が浸透してきている。
新型コロナウイルス感染症拡大により脆弱層への影響が生じ、ジェンダー間の格差や子どもの貧困率など、日本国内でも様々な既存の課題が一層浮き彫りになったが、これまで進んでこなかったデジタル化が急速に進むなど、社会が変わっていく確かな予感も生まれている。世界でも、カーボンニュートラルの実現に向けた動き、データ活用の急速な進展、国際秩序の新たな動きなど、変化がダイナミックに生じている。そのため、日本においても、新型コロナウイルス感染症による厳しい影響から国民の命と暮らしや雇用を守る万全の対応を行うと共に、国民生活と経済を支え、更には新たな技術を活用し、全ての人が生きがいを感じられる、新しい社会を創り上げていく必要がある。特に、気候変動は人類共通の待ったなしの課題であり、日本の総力を挙げて取り組んでいく必要がある。
経済・社会・環境問題に対して包括的に取り組むSDGsは、我々が直面する未曾有の危機を乗り越え、世界をより良い未来に導くための重要な羅針盤となる。とりわけ政府開発援助(ODA)を活用した日本の途上国支援は、国際社会におけるSDGsの達成に重要な役割を果たしており、今後も一層積極的な貢献が求められている。2022年は、第8回アフリカ開発会議(TICAD)のほか、日本で第4回アジア・太平洋水サミットや第6回国際女性会議WAW!といったSDGsに関わる会合も開催されるところ、このような会議も通じて2030年までの目標達成、そして、その先の希望に満ちた未来に向け、全力で取り組んでいく必要がある。
政府としては、2023年に日本がG7議長国を務め、国連でSDGサミットやユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)ハイレベル会合等のSDGsに関する大きな節目の会合が開催されることも念頭に、2022年はSDGsの達成に向けて国内実施・国際協力をより一層加速するという決意のもと、「SDGsアクションプラン2022」を定める。
II.「SDGsアクションプラン2022」の重点事項
SDGsアクションプランは、SDGs実施指針に基づき、2030年までに目標を達成するために、「優先課題8分野」において政府が行う具体的な施策やその予算額を整理し、各事業の実施によるSDGsへの貢献を「見える化」することを目的として策定するものである。
「SDGsアクションプラン2022」は、「2030アジェンダ」に掲げられている5つのP(People(人間)、Planet(地球)、Prosperity(繁栄)、Peace(平和)、Partnership(パートナーシップ))に基づき、以下の事項に重点的に取り組むこととする。なお、以下に記載するものは2022年に特に重点的に取り組むものであり、政府の中では、以下に記載していない案件を含め、幅広くSDGsに関する取組を実施しているところ、より詳細な案件については、「III.各府省庁の具体的な取組案」を確認願いたい。
People 人間:感染症対策と未来の基盤づくり
まずは、喫緊かつ最優先の課題として新型コロナウイルス感染症対応に万全を期する必要がある。現下の新型コロナウイルスの感染拡大を抑えこむのに加え、次なる危機に備え、パンデミックを含む公衆衛生危機に対するPPR(予防・備え・対応)を強化し、健康安全保障に資するグローバルヘルス・アーキテクチャーの構築に貢献するとともに、人間の安全保障を具現化するため、ポスト・コロナの新たな時代に求められる、より強靭、より公平、より持続可能なユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成に向けた取組を推進するため、6月までの可能な限り早いタイミングで新たな「グローバルヘルス戦略」を策定し、取組を加速する。
その上で、感染症により厳しい影響を受けた女性や非正規雇用の方々、生活困窮者、孤独・孤立状態にある方々などへのきめ細かい支援を継続し、新型コロナウイルス感染症の影響が格差の拡大・固定化につながらないよう、目配りの効いた政策運営を行っていく。
また、第6回国際女性会議WAW!の開催も通じてあらゆる分野における女性の参画を促進すると共に、ダイバーシティ、バリアフリーの推進を通じて多様性を尊重し、全ての人が生きがいを感じられる社会を目指す。
子ども中心の行政を確立するための新たな行政組織を2023年中に設置することも通じ、子どもの貧困対策など、子どもや子育て世代の視点に立った政策を総合的かつ包括的に推進する。また、次世代のSDGs推進プラットフォームの議論を活性化し、SDGs達成に向けた次世代の更なる取組を喚起する。
1 あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現
* 新型コロナウイルス感染症を受けて、子どもや女性、障害者、高齢者など、脆弱な立場に置かれている人々が大きな影響を受けている。春までの見通しが持てるよう、人流抑制等の影響を受ける方々の事業や生活・暮らし、とりわけ、非正規雇用、子育て世帯などの方々の状況に寄り添い、その支援に万全を期すとともに、供給制約や資源価格高騰等の景気下振れリスクにも適切に対応する。
* 「第5次男女共同参画基本計画」や「女性活躍・男女共同参画の重点方針2021」(女性版骨太の方針)等に基づき、女性デジタル人材の育成や「生理の貧困」への支援、女性の登用目標達成、女性に対する暴力の根絶など、女性活躍・男女共同参画の取組を推進する。あわせて、2022年中に第6回国際女性会議WAW!を開催するなど、国際的な取組の更なる推進に貢献する。
* コロナにより、未来を担う子ども・若者の教育にも大きな影響が出ているところ、我が国の子どもたちを力強く支援し、その未来を拓く観点から、0歳から高校3年生までの子どもたちに対する給付も通じ、子どもの貧困対策を推進すると共に、子ども中心の行政を確立するための新たな行政組織を2023年中に設置することも通じ、子どもや子育て世代の視点に立った政策を総合的かつ包括的に推進する。
* 「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018~2022年度)」やGIGAスクール構想に基づく学校のICT環境整備により、教育のデジタル・リモート化を進めると共に、ESD提唱国として国内外においてESDを推進し、次世代へのSDGs浸透を図る。2021年12月にSDGs推進円卓会議に「次世代のSDGs推進プラットフォーム」からの代表者が構成員として加わったことも踏まえ、同プラットフォームの議論などを通じて次世代のSDGs達成に向けた議論を活性化し、次世代による更なる取組を喚起する。
* 2020年東京オリンピック・パラリンピック大会の開催国として、取り組んできた「スポーツ・フォー・トゥモロー」プログラムによるレガシーを発展させ、「スポーツ・フォー・トゥモロー・ネクスト(仮称)」プログラムを実施し、世界のよりよい未来のために、開発途上国をはじめとする世界のあらゆる世代の人々にスポーツの価値を広げていく。
2 健康・長寿の達成
* 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、UHCの重要性が改めて確認された。2023年に国連で開催される予定のUHCハイレベル会合も念頭に、次なる危機に備え、パンデミックを含む公衆衛生危機に対するPPR(予防・備え・対応)を強化し、健康安全保障に資するグローバルヘルス・アーキテクチャーの構築に貢献するとともに、人間の安全保障を具現化するため、ポスト・コロナの新たな時代に求められる、より強靭、より公平、より持続可能なユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成に向けた取組を推進するため、6月までの可能な限り早いタイミングで新たな「グローバルヘルス戦略」を策定し、取組を加速する。
* 感染症対応能力を強化するため、COVAXファシリティも通じて、途上国を含めた治療・ワクチン・診断の開発・製造・普及を包括的に支援することにより、これらへの公平なアクセスを確保する。
* 2021年12月に開催した東京栄養サミット2021を踏まえ、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成、持続可能な食料システムの構築、栄養の国際目標の実現に向けて、人間の安全保障や地球の持続可能性を考慮しながら、世界の栄養改善に向けた国際的な取組を強力に推進するとともに、国内における栄養政策を推進する。
Prosperity 繁栄:成長と分配の好循環
世界各国において、持続可能性や「人」を重視し、新たな投資や成長につなげる、新しい資本主義の構築を目指す動きが進んでいるところ、成長と分配の好循環の起爆剤として、デジタルトランスフォーメーション(DX)やグリーン分野の成長を含めた科学技術立国を推進し、イノベーション力を抜本的に強化する。
高齢化や過疎化などの社会課題に直面した地方には科学技術イノベーション(STI)を活用するニーズがあるところ、「デジタル田園都市国家構想」の実現を通じ、地域の個性を活かしながら、地方を活性化し、持続可能な経済社会の実現に取り組み、これまで進めてきた「SDGs未来都市」に加え、新たに複数の地方公共団体が連携して実施する脱炭素化やデジタル化に関する取組に対しても支援を行うことで、地方におけるSDGs達成に向けた取組を加速する。
3 成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション
* 持続可能なまちづくりに資する優れた地方公共団体の取組を「SDGs未来都市」として選出すると共に、2022年からは、新たに複数の地方公共団体が連携した取組に対しても支援を行うことで、成功事例の普及展開と国内外に向けた情報発信を推進する。また、「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」を通じて、地域課題の解決に向けた民間参画を促進すると共に、全国レベルの官民連携の拡大を図る。更に、「地方創生SDGs金融」を通じた自律的好循環の形成等の取組を表彰制度等により促進する。
* 地域が抱える、人口減少、高齢化、産業空洞化などの課題を、デジタルの力を活用することによって解決していく。世界最先端のデジタル基盤の上で、自動配送、ドローン宅配、遠隔医療、教育、防災、リモートワーク、スマート農業などのサービスを実装していく。また、観光や農林水産業といった地域が誇る資源を最大限活かし、強靭かつ自律的な地域経済を構築していく。地域経済活性化のための海外成長市場の取り込みや外国企業の誘致、国内外の社会課題等の解決に資するためのスタートアップ企業の支援や国内外企業によるオープンイノベーションを促進する。
* 「STIforSDGs」アワード等を通じ、科学技術イノベーション(STI)を用いて社会課題を解決する地域における優れた取組を同じような課題を抱える地域でも広く活用できるようにすると共に、デジタルトランスフォーメーションを推進し、誰もがデジタル化の恩恵を受けられる体制を整備する。
Planet 地球:地球の未来に貢献する
気候変動問題を始めとする地球規模の課題は、人類の未来にとって待ったなしの課題であり、総力を挙げて取り組んでいく。2050年カーボンニュートラルの実現に向け、温暖化対策を成長につなげるクリーンエネルギー戦略を策定し、強力に推進していく。また海洋プラスチックごみ対策について、2月の国連環境総会で国際約束作りの開始を目指すとともに、その後の交渉でも日本の経験を生かして積極的に貢献していくほか、4月に熊本で開催する「第4回アジア・太平洋水サミット」や、「ポスト2020生物多様性枠組」に向けた議論などを通じ、地球環境問題に積極的に取り組む。
4 持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備
* 近年、世界中で気象災害が頻発しており、日本でも、台風による豪雨災害などにより大きな被害がもたらされている。過去の災害の経験も踏まえ、防災・減災の取組を引き続き進めていくことが重要であり、「強さ」と「しなやかさ」を持った安全・安心な国土・地域・経済社会の構築に向けた「国土強靱化」を引き続き推進していくとともに、国外に向けても日本の経験を広めていく。
* 特に途上国の「質の高い成長」を実現するには、水道、道路、発電所等の質の高いインフラの整備が不可欠。それぞれの国・地域の経済・開発戦略に沿った形で、「質の高いインフラ投資に関するG20原則」を踏まえた質の高いインフラ投資を官民一体となって引き続き積極的に支援していく。また、金融インフラ整備の支援として、金融当局に対する技術協力・人的交流を引き続き実施する。
5 省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策、循環型社会
* 2050年カーボンニュートラル及び2030年度の2013年度比で46%排出削減の実現、さらに50%の高みに向けた挑戦を続けるべく、再エネ最大限導入のための規制の見直し、及び、クリーンエネルギー分野への大胆な投資を進める。目標実現には、社会のあらゆる分野を電化させることが必要なところ、その肝となる、送配電網のバージョンアップ、蓄電池の導入拡大などの投資を進める。
* 火力発電のゼロエミッション化に向け、アンモニアや水素への燃料転換を進める。そして、その技術やインフラを活用し、アジアの国々の脱炭素化に貢献していく。エネルギー供給のみならず、需要側のイノベーションや設備投資など需給両面を一体的に捉えて、クリーンエネルギー戦略を作成する。
* 食料・農林水産業における生産力向上と持続性の両立を目指す「みどりの食料システム戦略」に基づき、農林水産業のグリーン化を促進していく。
* 世界には栄養不足の状態にある人々が多数存在する中で、食料の多くを輸入に依存している日本において、食品ロスは大きな課題であり、その解決に向けては事業者・消費者双方の取組が重要である。食品ロス量を2030年までに2000年度比で半減となる489万トンまで低減することを目標に、2020年3月に閣議決定された「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」に基づく施策の推進なども通じ、持続可能な生産・消費を促進していく。
6 生物多様性、森林、海洋等の環境の保全
* 持続可能な開発を実現するためには、社会・経済の基盤として、海洋資源の持続的利用や森林やその他の生態系の保全、持続可能な管理、回復、保護など、生物多様性の保全を推進するとともに、持続可能なサプライチェーンへの支援及び森・里・川・海といった自然環境が提供する生態系サービスの維持・向上を図っていくことが重要。
* その観点から、新型コロナの感染拡大に伴い、海洋・河川においてマスクを始めとするプラスチック廃棄物量が増加しているところ、途上国における支援や技術協力を含め、海洋プラスチックごみ対策を推進する。また、これまで日本が海洋プラスチックごみによる新たな汚染を2050年までにゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」の実現を目指し、国内外で海洋ごみ対策を進めてきたことを踏まえ、2月の国連環境総会で海洋プラスチックごみ対策について国際約束作りの開始を目指すとともに、その後の交渉でも日本の経験を生かして積極的に貢献していく。4月~5月に開催予定の生物多様性条約(CBD)第15回締約国会議(COP15)、カルタヘナ議定書第10回締約国会合(CP-MOP10)及び名古屋議定書第4回締約国会合(NP-MOP4)の第二部において「SATOYAMAイニシアティブ」等日本の取組を広め、ポスト2020生物多様性枠組の採択を目指すと共に、当該枠組の実施に向けた取組を強化していく。
Peace 平和:普遍的価値の遵守
日本を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、国民の安全・安心な暮らしを確保するため、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を守り抜き、国際社会の平和と安定に貢献していく必要がある。特に途上国においては、人間の安全保障の考え方に基づき、能力構築や人材育成等に取り組んでいくことが重要であるところ、2022年に開催予定の第8回アフリカ開発会議(TICAD)なども通じ、日本の取組を推進していく。
7 平和と安全・安心社会の実現
* 新型コロナウイルス感染症で、脆弱な環境に置かれた人々に影響が出ており、新しい時代の脅威も踏まえて人間の安全保障の議論を整理することが望ましいところ、2022年初旬に国連が発表すべく進めている新たな時代の人間の安全保障に関する特別報告書の議論を支援するともに、人間の安全保障フレンズグループ等の枠組みを通じて、人間の安全保障に関する議論を推進していく。
* 途上国においては、平和構築・復興支援・地域の安定のため、人間の安全保障の理念に基づき、地域機関等と連携し、人道・開発・平和の切れ目の無い支援を継続することが重要であるところ、緊急フェーズの人道支援に加え、能力構築や人材育成等に引き続き取り組んでいくとともに、2022年に開催予定の第8回アフリカ開発会議(TICAD)なども通じて各国との連携を強化する。
* 米国をはじめ、豪州、インド、ASEAN、欧州などの同盟国・同志国と連携し、日米豪印も活用して、地域の平和と繁栄の礎である法の支配に基づく「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を推進していく。特にASEANとは、2023年の日ASEAN友好協力50周年の機会に、日ASEAN関係を更なる高みに引き上げるべく、FOIPと本質的な原則を共有し、主要な協力分野の1つにSDGsを掲げる「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」への実質的な協力を引き続き進めていく。
* 新型コロナウイルス感染症の拡大防止のために実施された学校休業や外出自粛等を受け、生活環境が変化し、DVや性暴力、児童相談所における児童虐待の相談対応件数などが増えたことを踏まえ、DV・性暴力対策の強化や、児童虐待や子どもの性被害の防止のための取組を国内実施・国際協力の両面において推進していく。
* 途上国では、児童労働や強制労働を含む脆弱な労働者の保護に向けてこれまで行った調査に基づき、民間企業や市民社会との連携等を通じて具体的な取組を進めていく。
Partnership パートナーシップ:絆の力を呼び起こす
危機に直面した今こそ、絆の力を発揮するときである。SDGs達成に向けては、国民・市民一人ひとりがSDGsを自分事として捉えて取組を進めていくことが重要であるところ、2023年のSDGs実施指針改定も念頭に、2022年中に幅広いステークホルダーとの意見交換を進め、SDGs達成に向けた取組を加速していく。
また、途上国を始めとする国際社会と連携して取組を進めることが不可欠なところ、「日メコンSDGsフォーラム」などを通じて国内外のあらゆる分野の関係者とSDGs達成に向けた連携を深めていく。
8 SDGs実施推進の体制と手段
* SDGs達成に向けては、SDGs推進本部の下、関係府省庁が一体となって、国内外のあらゆる分野の関係者と連携し、国民・市民一人ひとりがSDGsを自分事として捉えて取組を進めていくことが重要。市民社会や有識者、民間企業、国際機関等の関係者が集まるSDGs推進円卓会議を中心に、国内外のあらゆる関係者との連携を促進していくとともに、2023年のSDGs実施指針改定を念頭に、2022年中に幅広いステークホルダーとの意見交換を行う。
* 開発援助をめぐる環境が変化し、政府・開発機関・民間企業・NGOなどによる活動がそれぞれの得意分野を活かした多様なアプローチで途上国の開発に取り組む中、相互の連携を通じて、より大きな開発効果を上げることが期待される。民間資金を通じた資金調達を促進するとともに、ESG投資推進も通じ、民間企業のSDGs推進に向けた取組を後押ししていく。
* 「持続可能な開発のための国連ハイレベル政治フォーラム(HLPF)」や「日メコンSDGsフォーラム」等の議論を通じて各国・地域・国際機関とのSDGs達成に向けた連携を強化していく。
III.各府省庁の具体的な取組案
8つの優先課題毎に、2022年に各府省庁が進める予定の取組案をまとめたところ、以下のとおり。記載された案件の中で予算化された案件のうち、令和3年度補正予算(11月26日閣議決定)及び令和4年度当初予算政府案(12月24日閣議決定)に含まれる総額は約7.2兆円(内数として予算額が特定できない施策については、合計額には含まない)。
なお、今後の取組のフォローアップに資するように、別添する各府省庁の具体的な取組案のデータはホームページ(https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/effort/index.html)上に公開し、優先課題毎だけではなく、府省庁毎、SDGsの目標毎に閲覧することもできるようにする。
{表は省略}