[文書名] 第8回U20メイヤーズ・サミット コミュニケ
Urban 20 2025 Communiqué
Final draft
U20がアフリカの地で開催されるのは初めてのことであり、重要な瞬間である。これは、グローバルガバナンスの再構築とより公平な世界の推進におけるアフリカの正当な地位を求め、アフリカが断固として主張してきたことの集大成である。闘いとレジリエンス、そして「ウブントゥ」(南アフリカ文化に深く根差した概念で、互いに繋がること、思いやり、共同体を重視し、「私は私たちがいるからこそ存在する」という認識を象徴するものである)の不朽の知恵によって築かれたアフリカの視点を広く伝えるため、我々はU20の都市として集結(している。我々の運命は共有されており、その解決策もまた共有されるべきである。
我々は世界が大きく変革する時に集まっている。気候変動、拡大する不平等、デジタル格差、世界的な住宅危機、偽情報、不安定な財政、紛争と地政学的な不安定、そして普遍的なアクセシビリティの権利など、我々が相互に影響を受けながら直面している喫緊の課題は、多国間秩序の弱体化や充分に機能していないグローバルガバナンスにより深刻さを増しており、緊急かつ協調的な対応を必要としている構造的な不正義をより一層明らかにしている。
我々は、都市は民主主義的な価値観の柱であり、民主主義的な制度が脅威にさらされている中、基本的な自由、人権、進歩的価値観、そして法の支配を保護する存在であることを確認する。我々は平和的なコミュニティに対するあらゆる暴力を強く非難するとともに、不当に標的にされ、拘束され、または暴力を受けたりした市長、地域の指導者、公務員らと、ゆるぎない連帯を示す。我々は、彼らに寄り添うことで、不正義、紛争、抑圧に直面しているすべての住民及び都市に対し、確固たる団結を表明する。彼らの苦闘は我々共通の責任である。
都市は深刻化する世界的な紛争と不安定の影響を最前線で受けている。地域的にであれ、国家的にであれ、あるいは国をまたぐものであれ、紛争は人間に深刻な苦痛を引き起こし、格差を悪化させ、持続可能な開発やサービス提供に必要な、重要な資源を奪っている。我々は、すべての紛争は、平和的手段により解決されなければならず、すべての国家は、国際法、国連憲章の目的と原則、ならびに関連する国連決議に則って行動すべきであることを再確認する。我々は、G20の指導者たちに対し、世界の平和と地域のレジリエンスのための必要不可欠な条件として、多国間の協力を強化し、人権と国際人道法を守り、市民を保護するための断固たる行動を取るよう求める。
U20の都市として、我々一同は、集合的な地球規模の刷新を形作るべく、G20と共に取り組む用意ができている。国連創設80周年、アフリカで初めて開催されるG20サミット、パリ協定10周年、UNFCCC COP プロセス、コペンハーゲン宣言と北京宣 言及びそれらの行動計画・綱領の 30 周年など、共通の課題に対応する多国間協力の 節目となる年にあたり、我々は相互尊重、互恵、そして共有された責任に基づく、公正で行動重視かつ包摂的な国際秩序の再活性化を求める。多国間主義の衰退は、世界の安定だけでなく、すべての人々へのより良い未来の約束も脅かしている。
都市は、この刷新にあたり重要な役割を果たす、各国政府にとって欠くことのできないパートナーである。都市部とは人類の物語が融合する場所であり、そこでは、イノベーション、経済活動、そしてコミュニティでの生活が繰り広げられている。すでに世界の人口の55%以上が暮らす都市は、スピーディかつ大規模な変化をもたらし、グローバルな目標を現実にする重要な存在である。U20のようなプラットフォームは、協力と変革のための具体的な場として、多都市間連携や都市外交の実力を示す好例であり、国際制度への信頼を再構築するための行動志向かつ包摂的な道を提供する。都市がなければ国家の戦略は抽象的なままだが、都市があることで国家の戦略は目的意識と影響力を得る。都市は、新たな人間中心の多国間連携の共著者となるべきである。
しかし、都市は今も長期的な計画の立案、緊急事態への対応、コミュニティの変化するニーズの充足を阻む、重要な経済的制約に直面している。これはアフリカの諸都市に特にあてはまるものである。アフリカは世界の中でも急速な都市化率に直面しており、その人口が2050年までに9億5000万人増加すると予測される中、アフリカの都市はさらに大きな財政的な圧力に直面している。
U20の市長として、我々は、G20の優先事項に関する多国間主義の強化と新たな国際協力の推進を支援するために、G20の首脳に対して共同提言を提示できることを嬉しく思う。これは、ツワネで開催された2025年アフリカ市長会議から求められた意見を含むU20都市間の一連の協議の結果としての総意であり、南アフリカ共和国を議長国とするG20の優先課題と整合的な、以下の2025年U20の優先課題に基づくものである。
1. 経済的機会と資金調達
2. 気候変動対策と都市のレジリエンス
3. 社会的包摂と公平性
4. デジタル・トランスフォーメーションと技術革新
我々は、多国間主義の強化と保護、マルチレベルのガバナンスの向上、そして都市政府による直接的な資金へのアクセスの改善が、U20都市にとって依然として喫緊の優先課題であることを確認する。したがって、我々はG20政府に以下を求める。
1. 都市が多国間の協力や包摂的な行動を通じて共通の世界的課題に取り組むための不可欠なパートナーであることを認識すること。
a. 未来のための協定に設定された基礎に基づき、2030アジェンダを加速させるために組織的に都市と連携するとともに、都市が適宜国際連合の政府間組織や他の関係する多国間のプロセスの双方においてグローバルな意思決定に有意義に関わることを可能にするメカニズムの促進と制度化に尽力する。
b. COP28のグローバル・ストックテイクの成果*1*及びパリ協定を実現するために、公平かつ包摂的な気候変動対策を実施できるように都市と連携し、権限を与え、COP30に向けてマルチレベルでの気候変動対策を主要な実施メカニズムとして制度化し、都市および地方自治体がこれらの約束の履行を加速するためにすでに行っている具体的なアクションを認めること。
c. 持続可能な開発、気候変動対策、生物多様性、レジリエンスに関する国家戦略の設計、資金調達、実施、モニタリング及び報告において、都市や地方政府と協力するためのマルチレベルのメカニズムを、既存の多国間プロセスと整合する形で確立すること。これには、自発的自治体レビュー(Voluntary Local Reviews)を国家のSDGsレビュー制度に組み込み、CHAMP(高い野心を持つマルチレベルパートナーシップ連合)、ILFFs(統合型地域資金調達枠組み)、Finance Your Cities Country Platforms(都市資金調達国別プラットフォーム)など、該当する各種のイニシアティブを通じて、公正な移行計画、国が決定する貢献(NDCs)、国家適応計画(NAPs)に関するマルチレベルの協力を強化することが含まれるべきである。
2. 都市が、地域の公共サービス提供、手ごろな住宅供給、気候変動対策など、平等と社会的包摂の主要な推進役に関する取組を拡大できるよう、直接的および仲介的な都市財源へのアクセスを可能にすること。
a. 都市が地域住民のためにサービスを提供し、保護し、喫緊の世界的課題への対応を加速できるようにするため、開発金融機関(DFIs)、多国間基金、地方開発銀行、地方自治体の資金調達に関する国家機関と連携し、予測可能で、手頃で、ニーズに基づいた直接資金、譲許的借入、資金調達枠を都市に対して解放すること。
b. 地方自治体が地域の企業、特に若者や女性が主導する中小企業を支援し、インフォーマルな経済の担い手の活躍を促進できるよう、直接的な資金供給、目的を定めた資金供給、インフラへの投資拡大、そして手ごろな融資へのアクセスを拡大すること。
c. 国際開発金融機関(MDBs)を含む公共開発銀行(PDBs)およびその他の関連する開発金融機関・基金が都市の財政ギャップに対応し、都市や地域のニーズに応え、ガバナンス体制にそれらを含めることを確保すること。PDBsは都市と都市圏を優先し、都市の気候及び開発プログラムを確立し、譲許的融資を通じたものを含む直接的および仲介的な都市向け気候・開発資金の流れを拡大するべきである。
d. 都市の気候変動の緩和策と適応先のプロジェクトのために、2030年までの期間、年間8,000億ドル以上の世界的な公共投資を行うことで、都市の気候変動対策を拡大する*2*こと。
また、歴史的に投資が不足していたコミュニティを優先する、公正かつ包摂的なアプローチを通じて都市の気候レジリエンスを強化するために十分な資源を確保すること。そして国家レベルで都市に機会を与える政策を強化、地方の財政的自律性と信用力の向上、そして国家及び地方政府が多国間気候基金にアクセスするための専用の仕組みの整備を通じて、都市が気候資金に直接アクセスできるようにすること。
e. 都市における公正な移行*3*への投資を加速させ、投資家の指針となり、都市の公正なトランジション・ファイナンスへのアクセスを改善し、進捗状況を測定できるようにする、都市の包括的で公正なトランジション・ファイナンスに関する計画を策定及び実行するとともに、都市を公正な移行の実施者、公正な移行を設計し実現する上での重要なパートナーとして認識すること。
さらに、我々はG20政府に対し、以下の都市政策の優先課題において、都市の行動とリーダーシップの拡大を支援するよう求める。
3. 持続可能な地域経済の発展を促進すること。
a. 公正かつ累進的な課税、利用料・手数料、収益を生む政策を通じて、地方の財政的裁量を強化する国の財政制度の構築を行い、住民のニーズおよび地域の開発優先事項に対応するその使命を果たせるようにすること。
b. 高い意識のもとでの生産活動、責任ある消費、廃棄物削減を重視する循環型アプローチを優先させながら、包括的な経済発展、社会的正義、ジェンダー平等、環境の持続可能性を支援するために、より強固な地域と世界のバリューチェーンを促進すること。
c. 都市間協力や分権型の協力、送金や都市主導の地域開発を通じ資金の地域化を支援する取組を強化すること。
d. 地域化されたスキルの評価、職業訓練、教育およびイノベーション・エコシステムに対する国および民間セクターの財政支援を実施することで、多様で包摂的な労働力を開発し、労働市場とのギャップを縮小し、特に若者に対して、働きがいがあって人間らしく、公正でグリーンな雇用機会を創出すること。
e. 特に地域の食料システム、持続可能な農業、そしてとりわけ社会的弱者を含むすべての人々に対する栄養価の高い食料への公平なアクセスを通じて食料の安全の確保を促進する統合的な地域経済戦略を強化する。
f. 都市および社会的パートナーとの協議を通じた法制度及び執行メカニズムの強化、労働者及び雇用者向け労働者の権利に関する研修の機会増加及び社会的保護へのアクセス拡大により、労働者の保護を強化する。
4. 住宅への公平なアクセスを都市政策の中心的優先事項として位置づけ、これを福祉国家、社会保障、都市のレジリエンスの中核的柱として認識すること。
a. ホームレス、住宅価格、コミュニティへの帰属意識、レジリエンスといった増大する課題に対処するために、基本的サービスへのアクセスを確保しつつ、手ごろで、適切で、安全で、アクセス可能で、エネルギー効率が高く、持続可能な住宅への公平なアクセスを優先すること。これには、住宅のための資金と土地への都市のアクセスを確保し、家屋と土地に関する都市の法的権限を強化し、共同計画プラットフォームを設立し、地域の実情に根差した政策を共同で策定することが含まれるべきである。
b. 手ごろで持続可能な住宅供給を増加させるために、専用の多国間または二国間の財政的・技術的支援を通じて地域の取り組みを支援し、集合住宅などの新たな手ごろな住宅を推進するとともに、国家のエネルギー転換目標及び気候レジリエンス戦略と整合する形で、既存の住宅ストックの改修を進めること。
5. とりわけ都市への、都市内での、あるいは都市からの移動及び不本意な移動は、経済的、政治的、気候的な要因を含む様々な背景によって引き起こされることを認識し、それらに関して包摂的かつ人権に基づいたアプローチを推進すること。
a. 現場の実情を反映し、都市主導でのサービスの提供、差別との闘い、社会統合の促進を可能にする包摂的かつマルチレベルな人の移動及び開発戦略を採用し、資金を提供すること。正規の移動経路および都市が果たす移動経路の確立のプロセスでの役割を支援し、難民や住む場所を追われた人々を含むすべての人々がサービスと権利にアクセスできるようにすること。
b. 新たな課題に対応し、移民の権利と貢献を確保し、住む場所を追われた人々を保護し、長期的な社会的・経済的包摂を支援する既存の多国間枠組みを強化・拡大すること。移民や難民の出身地、通過地、目的地の都市でのディーセント・ワークへのアクセスと成長の機会を促進し、それによって持続可能な開発およびグリーンかつ公正な移行に貢献すること。
6. 国のケアプランを共同策定し、ケア、公平性、すべての人の権利、アクセシビリティを優先課題とする、統合的かつ地域コミュニティに根差した戦略を策定し、不平等に対処して誰一人取り残さないこと。
a.デジタル環境に関連するものを含め、若者の間で新たに顕在化している課題を認識しつつ、身体的および精神的な健康ニーズの両方に対応する、アクセス可能でコミュニティに根差したサービスを提供するために、ケア及び人中心のアプローチで地域の公衆衛生システムに投資すること。
b. アクセシビリティを公共財として認識し、積極的に推進しつつ、ウェルビーイング、精神的および身体的健康、社会的包摂を促進する重要なつながりの場として、より緑豊かで革新的かつアクセス可能な公共空間の創出に協力すること。
c. 食料供給の不安定、栄養失調、貧困という相互に健康不良状態を悪化させる要因に同時に対処するために、「飢饉と貧困に対するグローバル・アライアンスの政策バスケット(the Global Alliance Against Hunger and Poverty's Policy Basket)」の共創と実行について、地方政府を積極的かつ体系的に関与させること。
7. 健康状態の改善をもたらし、接続性とアクセシビリティを向上させ、大気汚染を削減し、空間的不平等の解消をもたらす都市交通改革について都市と連携すること。
a. 各国の異なる状況やタイムラインを尊重しつつ、エネルギー転換の影響を受ける主体への的を絞った支援によって化石燃料の公正で公平な段階的廃止を促進するため、持続可能な交通とゼロエミッションの公共交通機関への移行を推進するような包括的でアクセス可能な都市モビリティの改革を立案、採用、実施すること。
b. 都市計画戦略に公共交通志向型開発(TOD)手法を取り入れ、都市間および都市内の大量輸送網の改善を優先し、サービスが行き届いていない地域との接続性を強化すること。
公正な移行を保証し、労働者の権利を保護し、住民の生活を向上し、コストを削減するために、すべての都市モビリティ戦略が、ジェンダーに配慮にし、地域の利害関係者との社会的対話及び特にインフォーマルな労働者を含む交通労働者を中心に据えるものとなるよう、都市とともに取り組むこと。
8. 公平性を前面に打ち出しながら、変革的なデジタル技術を活用して、公共サービスの提供と地域社会とのかかわりを強化すること。
a. 特に若者や周縁化された人々、脆弱なコミュニティに対して、デジタル格差を解消し、デジタルに関する諸権利を保護し、サービスの提供と効率性を向上させる技術と社会的取組への投資を促進する。
b. 都市と協力し、AIを活用したデジタル公共サービスプラットフォームを導入し、周縁化された人々や脆弱なコミュニティが直面する排除のリスクに対応しつつ、住民を保護するための情報セキュリティ対策を強化する。
c. 戦略的な国の支援を展開し、都市の技術力や効率性を高める政策を策定する。教育・人材・デジタルイノベーションを統合する地域の知識経済を養成する。
d. 国家的あるいは国際的優先課題を地域のイノベーションの優先事項と調和させる。これには投資リスクを軽減するための専用の国レベルのブレンディッド・ファイナンスと、都市が包摂的で、影響力があり、持続可能な技術発展を推進するために必要な資源を確保することも含む。
9. 包括的かつ人間中心のAIガバナンスの枠組みを導入すること。
a. 公平なアクセスを確保し、社会的信任を育むために、国連のデータセキュリティとAIガバナンスの枠組みの下で、公平性、包摂性、そして地方自治体のデータ保護の枠組みを支持する新たな国際的合意を策定すること。
b. デジタル・リテラシー・プログラムへの投資や、法制度の現代化により、デジタルハラスメントや嫌がらせを認識、規制、対比し、サイバー犯罪に対処する。
c. 選挙、政策、紛争、気候、その他の形態を含む偽情報は、住民の生活を保護・改善するための都市の取組みを阻害するリスクが増大していることを認識し、国連事務総長の「偽情報対策報告書」の主要提言に沿って、偽情報と戦う。
{*1* これは、特に以下の約束を果たすことが含まれる。即ち、2030年までに再生可能エネルギーを3倍にし、エネルギー効率を2倍にすること、公正で秩序ある、そして公平な方法でエネルギーシステムにおける化石燃料依存から脱却すること、COP30までにより野心的な国が決定する貢献(NDCs)を提出すること、包摂的で多層的、ジェンダーに配慮した協力的な行動を通じて実行を加速することである。}
{*2* 年間8,000億ドルの公共投資目標は、都市の気候資金ギャップ全体の約20%を占めている。都市における緩和と適応策のための都市の気候資金ギャップは、CCFLA(都市気候金融リーダーシップアライアンス)によれば4.5兆ドルと推定されている。適応ニーズについては、適応策にかかるコストの追跡や測定が困難であるため、ここでは非常に控えめな見積りにしている。}
{*3* 国際労働機関(ILO)は、「すべての関係者にとって可能な限り公正かつ包摂的な方法で経済をグリーン化し、働きがいのある雇用(ディーセント・ワークの)機会を創出し、誰一人取り残さないこと」として、公正な移行(Just Transition)を定義している。}