[文書名] 第5回ARF議長声明
1.第5回ASEAN地域フォーラム(ARF)は、1998年7月27日、マニラにて開催された。Domingo L. Siazonフィリピン外務長官閣下が議長を務めた。会合には全ARF参加国が出席し、ASEAN事務局長も出席した。各国代表のリストはAnnex Aとして添付されている。
新規参加国問題
2.閣僚は、ARFに多数の国が参加することの重要性に関して、議長によって統括された協議の結果と1998年5月20〜22日にマニラにおいて開催されたASEAN地域フォーラム高級事務レベル会合(ARF・SOM)の提言を考慮した。
3.閣僚は、新たな国の参加に関し、第3回ARFで合意を得た新規参加の原則・基準と地理的妥当性に従って、モンゴルをARFの新規参加国として歓迎した。また、閣僚は、ARFの主要目的の達成を支援し、ARFで既に行われた決定、及び声明に全面的に従い、これを尊重するというモンゴル側のコミットメントを歓迎した。
4.閣僚は、モンゴルのARF参加にあたって、集団としてのARFの強化を図り、協力のための効率的なプロセスを進展させることで合意した。
ARFプロセスの概要
5.閣僚は、地域の政治問題や安全保障問題について話し合うための重要なフォーラムとしてARFが引き続き発展していることに満足の意を表明した。閣僚は、参加国間の堅固な信頼基盤の確立にARFが重要な貢献をしていることを認めた。堅固な信頼基盤の確立は、アジア太平洋地域に存在する不確実性に対処する上で極めて重要なことである。閣僚は、ARFプロセスが、地域の透明性の向上と相互理解の深化に貢献するとともに、地域の平和と安定のために共同で取り組むという高い意識を参加国の間に浸透させてきたことに留意した。閣僚は、ARFは、今後更なる困難に直面しても、その目標を達成するために着実に発展し続けなければならないという点につき合意した。閣僚は、ARFの漸進的かつ着実な進展及びコンセンサスにより意思決定を行うとのアプローチに対して全ARF参加国が全面的に支持していることは、政治・安全保障対話のための発展力のある地域フォーラムとしてARFが弾力性をもつことに貢献してきているのみならず、ARF参加国の間における率直な議論を促し、協力して共通の懸案事項に断固として共同で取り組むという土壌を涵養してきたという点で合意した。閣僚は、ARFが、その潜在力を発揮し、期待されたとおり、地域の平和と安定のための基盤をより堅固にするにあたって重要な役割を果たしてきたと認めた。閣僚は、ARFプロセスへのASEANの重要な貢献を賞賛し、ASEANが引き続きARFの主要な推進力となることに支持の意を表明した。
6.閣僚は、1997年にラングカウィで昼食時に行われた国防・軍事当局者による非公式な会合が良好な結果に終わったことに留意し、ARF閣僚会合において、引き続きかかる会合が行われることを歓迎した。閣僚は、国防・軍事当局者が、ARFの活動に積極的に貢献し、ARF内のこれらの当局者間の交流やネットワーク作りを大きく促進したことを認めた。この点に関して、閣僚は、ARFに関連した全ての活動に、然るべきレベルの国防・軍事当局者が積極的に参加することを呼びかけた。
7.閣僚は、ARFが包括的な形で安全保障問題への取り組みを続けてきたことに留意した。閣僚は、ARFが、その焦点を軍事・国防関連問題にあてる一方で、地域安全保障に重大な影響を有するであろうその他の非軍事的問題を取り扱うという事実を歓迎した。
8.閣僚は、地域における安全保障上の認識に関する域内交流、準域内(サブ・リージョナル)交流及び二国間交流の範囲が拡大したことに満足の意を表明した。また、閣僚は、これらの交流によってARF参加国間における二国間地域安全保障対話の数が急増したことに留意した。閣僚は、ARFの全体的な目的の中にある地域安全保障についての認識に関する意見交換の重要性を強調し、かかる意見交換を信頼醸成措置に関するISG、ARF・SOM及び年次閣僚会合で引き続き行うべきであるという点で合意した。閣僚は、準地域レベルでは、中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタンの間、及び中国・インド間で締結された信頼醸成協定を歓迎した。また、閣僚は、様々なASEAN会合における定期的な安全保障対話や、トラックIIの様々なフォーラムにおける北東アジア諸国間の定期的な安全保障対話が行なわれたことを歓迎し、トラックIの北東アジア安全保障対話が発展していく可能性に留意した。また、閣僚は、アジア太平洋安全保障協力会議(CSCAP)の安全保障対話及びARFの枠組みの外でのトラックIIフォーラムで行なわれた安全保障対話につき賞賛をもって留意した。
地域安全保障環境のレビューと安全保障認識に関する意見交換
9.閣僚は、安全保障認識及び地域安全保障環境に関する広範囲に渡る諸問題につき、包括的な議論と意見交換を行なった。
10.閣僚は、現下の地域経済の後退及び潜在的紛争要因の存在にも関わらず、地域は引き続き平和と安定から利益を得ているという見解を示した。閣僚は、域内諸国間での相互交流と対話の増大及び協力の強化が、現在の望ましい安全保障情勢に貢献していることに留意した。閣僚は、域内諸国の相対的経済成長、貿易・投資の連関の増大、諸国間の高い経済相互依存による下支えにより、地域安全保障の見通しは引き続き明るいと確信した。
11.閣僚は、域内において広範囲にわたっている金融状況につき、集中的に議論した。閣僚は、アジア地域の金融安定に向けた進捗の兆しに励まされた。閣僚は、金融安定の回復のためにとられた各国、二国間、地域別及び多国間における様々な措置を歓迎した。閣僚は、地域のおける{前4文字ママ}安定の回復に関し全世界が共有している責任を強調するマニラ・フレームワークに対する支持を再確認した。閣僚は、国際金融機関が金融安定の回復において果たしている建設的な役割に留意するとともに、国際金融システムを強化する努力を支援する必要があるという点につき合意した。閣僚は、打撃を受けた経済は、必要な構造改革を実施することで信頼を次第に回復するであろうという楽観的見通しを示した。閣僚は、東アジアの経済が、いつの日か、世界で最も急速な成長を遂げる経済の一つとしての地位を回復するであろうとの確信を表明した。閣僚は、アジア経済の相互依存に留意しつつ、日本が自国経済を最活性化{前4文字ママ}する旨言明したこと及び中国が人民元の価値を維持する旨言明したことを歓迎した。
12.閣僚は、信頼回復のために構造改革が必要であることを認識する一方で、かかる改革による社会経済的な影響、特に社会のより弱い層に属する人々に与える影響に対するバランスのとれた取り組みを求めた。閣僚は、地域の金融危機のある側面が地域の平和と安全に影響を与える可能性がある点に留意し、ARFがこれらの影響に対処する上で重要な役割を担うであろうという点につき合意した。閣僚は、現在のアジア経済の困難がARFプロセス及びその他の地域安全保障対話・協力を損なってはならないという点につき合意した。
13.閣僚は、主要大国間の関係が常に地域全体に重要な影響を与えるであろうという事実を強調した。閣僚は、主要大国が相互間の建設的な関係を保つことが重要である旨強調した。この点に関して、閣僚は、各国首脳が互いに訪問し合い、定期的な二国間あるいは多国間会合を設けることで、建設的かつ戦略的な関係を発展させようとする主要大国の努力を歓迎した。また、閣僚は、その他のARF参加国の首脳による二国間会合や、1997年12月14〜16日にクアラルンプールで開催されたASEAN諸国及び中国、日本、韓国の首脳による首脳会合を歓迎した。閣僚は、これらの会合が、地域の安定と経済発展に長期的かつ好ましい影響を与えるであろうとの点に留意した。
14.閣僚は、北京における韓国と北朝鮮の公式対話の再開及びジュネーブにおける朝鮮半島に関する四者会合の平和プロセスの開始を歓迎した。閣僚は、南北朝鮮の和解と協力を促進する上で、南北対話は極めて重要である旨強調した。閣僚は、朝鮮半島に恒久的な平和と安定を確立し世界規模の核不拡散を促進するため、南北対話及び朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)プロジェクトを引き続き全力を上げて支援することを再確認した。閣僚は、KEDOが現在直面している財政難に鑑み、同機構への更なる国際的貢献を呼びかけた。
15.閣僚は、国連海洋法条約(UNCLOS)を含む認定された国際法の諸原則に従って南シナ海における紛争を平和裡に解決するという全ての関係国のコミットメントを歓迎した。閣僚は、全ての関係国が自制を保っていることに満足の意を表明し、関係国による二国間協議及びASEAN・中国高級事務レベル協議における対話、ARF内における定期的な意見交換、南シナ海の潜在的紛争の管理に関する非公式ワークショップの作業の継続による積極的な貢献に留意した。
16.閣僚は、カンボジアにおける政情の安定と平和的土壌の回復を援助する上で、ARFが、ASEAN及び「フレンズ・オブ・カンボジア」を強力に支援している旨明らかにした。閣僚は、自由で平等かつ信頼できる選挙の実施はカンボジアの平和と安定を高める重要な一歩であるという点につき合意した。閣僚は、1998年7月26日の選挙における高い投票率及び投票プロセスが概ね平和裡に行われたという初期報告を歓迎した。閣僚は、次の段階である開票及び当選者の発表もまた、平穏裡にかつ秩序だって行われることを望むとの希望を表明した。この点において、閣僚は、国連の調整の下で選挙プロセスの監視を行った国際監視団の活動を評価した。
17.閣僚は、対人地雷に関するオタワ会議における、対人地雷の使用、貯蔵、生産、移転を禁じ、その撲滅を図るという結論に、賞賛をもって留意した。また、閣僚は、地雷問題に関する特別責任者を再任命したジュネーヴ軍縮会議の決定と、地雷等に関する議定書(議定書II)を改定した特定通常兵器使用禁止制限条約(OCW)を発効させるための努力を歓迎した。閣僚は、地雷除去、未爆発兵器の除去及び「犠牲者ゼロ」の目標に向けた犠牲者への援助に対する国際協力を高めるための諸イニシアティヴを支持することで合意した。また、閣僚は、地雷除去訓練を援助するといういくつかのARF参加国の申し出を歓迎した。
18.閣僚は、非核地帯設定に向けた努力を支持し、地域における平和と安全を高める上での東南アジア非核地帯化条約(SEANWFZ条約)の重要性に留意した。閣僚は、東南アジア非核地帯化条約締結国と核保有国との間での協議の継続を歓迎し、条約議定書への核保有国の同意が促進されることに対する希望を表明した。
19.閣僚は、化学兵器禁止条約(CWC)の発効から1年で大きな進歩が見られたことを賞賛し、同条約の全ての未批准・加盟国に批准・加盟を呼びかけた。閣僚は、生物兵器禁止条約(BWC)の遵守及び批准にかかる議定書に関する作業が前進することに対する希望を表明した。また、閣僚は、BWC締結国によるアドホック・グループに対し、第5回再検討会議が開始される前に可及的速やかにその活動を強化、終了させるよう強く求めた。この目的に向け、閣僚は、アドホック・グループにおける交渉を加速化し、支援する努力を歓迎した。
20.閣僚は、包括的核実験禁止条約(CTBT)に署名し、これを批准する国の増加、特に、英国とフランスの批准を歓迎した。閣僚は、核兵器製造目的の核分裂性物質の製造を禁止した条約に関し、シュネーヴ{前5文字ママ}軍縮会議において早急に交渉が開始されることを求めた。
21.閣僚は、ARFが、1995年、既に地域の平和と安全を促進する上での核兵器拡散防止の重要性を強調していたことを想起した。閣僚は、ARFが、その後、核実験を防止する重要な一歩としてCTBTが圧倒的多数で採択されたことを歓迎し、引き続きあらゆる面で核兵器拡散防止に貢献していく決意を強調したことに留意した。これに関連し、閣僚は、1998年6月6日に出された国連安保理決議1172を想起した。故に、閣僚は、南アジアにおいて最近実施された一連の核実験に関し、同地域の緊張を悪化させ、核軍備競争の恐怖を生起させたとして、重大な懸念を示すとともに、強い遺憾の意を表明した。閣僚は、かかる実験の全面停止を求め、関係国が核不拡散条約(NPT)及びCTBTに、一刻も早く、無条件かつ無留保で署名することを強く求めた。閣僚は、関係国に対し、核能力の兵器化や核兵器運搬用ミサイルの配備を中止するとともに、如何なる核兵器関係物質、技術及び装備も第三国に移転しないことを求めた。閣僚は、地域における平和と安全のため、関係国が、平和裡の対話によって、当該国間の紛争と安全保障上の懸案を解決することを求めた。
22.閣僚は、マニラで7月25日に開催された第31回ASEAN外相会議における東南アジア友好協力条約第二議定書への締約国の署名に留意し、締約国が、東南アジア域外国、特に主要国に対し、第二議定書発行後の同条約への加入を呼びかけることを検討する旨合意した。
現インターセッショナル期間(1997年7月〜1998年7月)におけるトラックI・II活動の報告
トラックIの活動
23.閣僚は、1998年2月18〜20日にバンコクで開催された災害救助に関するISMの共同議長報告(Annex B)、1997年11月4〜6日にバンダル・スリ・ブガワン及び1998年3月4日〜6日にシドニーで開催された信頼醸成措置に関するISG会合の共同議長概要報告(Annex C)、1997年10月7日〜8日にマニラで行なわれた第1回国防大学・研究所長会合の議長報告(Annex D)につき留意した。
災害救助に関するISM
24.閣僚は、災害救助に関するARFの第2回ISMが、ARFの更なる発展とアジア太平洋地域の協力の強化に貢献したことを歓迎した。閣僚は、災害管理に関する協力が地域的信頼醸成というARFの目的に重要な貢献をするという点につき合意した。また、閣僚は、ISMの継続を通じて災害管理における地域協力が促進される可能性があることを認識した。閣僚は、共同議長報告に含まれる提言リストを承認した。閣僚は、また、ARF災害救助専門家グループが第3回ISMにおいて調査結果を報告すべきであるという点につき合意した。閣僚は、この会議を成功に導いた共同議長であるタイ・ニュージランド両国に対し賞賛の意を表した。
信頼醸成措置に関するISG
25.閣僚は、信頼醸成措置に関するISGの活動が前進していることに満足の意をもって留意した。閣僚は、ISGが、地域安全保障環境に関する率直で開かれた実質的な対話のための、各国の安全保障に関連した種々の進展についての情報交換のための、そして、ARF参加国間の信頼を高めるための実際的かつ実行可能な活動のための、効果的なフォーラムとして役立ってきていることに留意した。閣僚は、共同議長の概要報告に含まれている提言を承認した。閣僚は、ARF参加国間の信頼醸成措置に関する協力を更に発展させ深める余地が未だ相当あるという点につき合意し、かかる観点から、信頼醸成措置に関するISGの活動は見通しうる将来にわたって続けられるべきであると認識した。
26.閣僚は、ISFは合意された信頼醸成措置の実施状況をレビューすべきであるという第4回ARF閣僚会合の要請に従って、信頼醸成措置に関するISGのより{前3文字ママ}作成された一連のマトリックス及びテーブル(概略テーブルを含む)を歓迎した(Annex E)。閣僚は、信頼醸成措置の実施の程度が高いことに満足の意を表明し、これらのマトリックス及びテーブルは毎年改訂されるべきであるという点につき合意した。
27.閣僚は、Annex Fに含まれる新たな信頼醸成措置の2つのリストを承認し、信頼醸成措置に関するISGがこれらの措置の近い将来における(バスケット1)、あるいは中期的な(バスケット2)実施につき検討すべきであるという点につき合意した。閣僚は、信頼醸成措置に関するISGの後援の下に専門家レベルのトラックI会合を開催するという数か国の申し出を歓迎した。
28.閣僚は、信頼醸成措置と予防外交の区分が曖昧である点に留意し、この二つの問題を並行的に検討することが可能であるという第2回ARF閣僚会合の決定に照らして、ISGが以下のような提案項目につき更に検討すべきであるという点につき合意した。すなわち、(1)ARF議長の役割、特に調停役としての役割の強化、(2)ARF参加国内での専門家・著名人の登録の充実、(3)年間安保概観、(4)地域安全保障問題に関する自発的な背景説明、である。閣僚は、ISGが、次期インターセッショナル期間において2度の会合を開催し、うち1回は、これら4項目の提案を含めた信頼醸成措置と予防外交の重複部分につき取り扱うべきであるという点につき合意した。
29.閣僚は、海洋安全、海洋における法と秩序及び海洋環境の保護・保全は、ARFが総合安全保障という概念の下で然るべく検討しなければならない重要な問題である点に留意した。閣僚は、ARF参加国が、これらの分野において現存する地域的・多国間の取り決め及び手段を全面的に支援すべきであるという点で合意した。閣僚は、信頼醸成措置に関するISGが、政府専門家の助言をも得て、これら3つの分野に関する議論を更に深め、これらの分野に関する認識をより明確にして、ARFがこれらの分野における現在の活動の価値をより高めるようにすべきであると考えた。
第1回ARF国防大学・研究所長会合
30.閣僚は、地域における信頼醸成を強化する上で、安全保障教育・研究における協力が重要である旨確言した。閣僚は、マニラで開催された第1回ARF国防大学・研究所長会合がかかる努力に寄与したことに満足の意を表明した。閣僚は、同会合によって築かれたネットワークが、ARFがこの重要な分野において更に協力を深めるための堅固な基盤になると確信した。閣僚は、この会合が、ARFプロセスにおける国防当局者の役割の重要性に対する認識の強化に貢献したという点につき合意した。閣僚は、第1回ARF国防大学・研究所長を成功裡に主催したフィリピンに賞賛の意を表した。
トラックIIの活動
31.閣僚は、1997年9月9〜11日にシンガポールでシンガポール国防戦略研究所(IDSS)及び英国国際戦略研究所により共同開催された予防外交に関するASEAN地域フォーラム第3回トラックII会合に関する共同議長報告に留意した(Annex G)。また、閣僚は、1998年4月27〜28日にシンガポールでIDSSによって開催された「ARFの将来」に関するセミナーの結果についても留意した。閣僚は、信頼醸成措置に関するISGが次期インターセッショナル期間においてこれらの会合の提言につき検討することは有益であると考えた。
次期インターセッショナル期間(1998年7月〜1999年7月)活動計画
トラックIの活動
32.閣僚は、災害救済に関するISMが明年も引き続き開催されるべきである点につき合意し、1999年前半にモスクワで開催される次回ISMで共同議長を務めるというヴィエトナム及びロシアの申し出を歓迎した。閣僚は、ARFの災害救助専門家グループが、第3回ISMに先立って招集されるという点に留意した。
33.閣僚は、信頼醸成措置に関するISGに対するマンデートを更に1年延長することにつき合意し、信頼醸成措置に関する次期ISGの共同議長を務めるというタイ及び米国の申し出を歓迎した。閣僚は、ISGが次期インターセッショナル期間において2度の会合を開く旨決定したことに留意した。1回は1998年11月に、他の1回は1999年3月に開催予定であり、そのうち1回では4項目の提案を含む信頼醸成措置と予防外交の重複部分につき取り扱われ、他の1回ではISGの議題において残っている問題(新たな信頼醸成措置のリストを含む)並びに海洋安全、海洋における法と秩序及び海洋環境の保護・保全等の海洋問題につき取り扱われる。また、閣僚は、信頼醸成措置に関するISGの後援の下、以下のトラックIの活動が次期インターセッショナル期間において行われることに留意した。
・海洋問題に関する政府専門家会合(11月のISG会合と同時開催)
・第2回国防大学・研究所長会合(1998年9月8〜10日、於:ソウル)
・外務・国防当局者のための地域安全保障教育(1999年春、於:米国)
・熱帯医学及び熱帯地域の伝染病蔓延防止に関する軍事医学シンポジウム(1998年11月25日〜27日、於:中国)
国防政策ペーパー作成に関するセミナー(豪州・マレイシア共催、1998年8月31日〜9月3日、於:キャンベラ)
34.閣僚は、平和維持に関する以下の活動を主催するという申し出を歓迎した。
・平和維持訓練へのアプローチに関するワークショップ(1998年10月19日〜23日、アイルランド(EU代表国)・タイ共催、於:ダブリン)
・PKOセミナー(1999年3月22日〜26日、カナダ・日本・マレーシア共催、於:東京)
トラックIIの活動
35.閣僚は、ARF次期インターセッショナル期間において以下のトラックII活動を行なうことにつき合意した。
・アジア太平洋地域の総合安全保障と協力に向けた会議(1998年9月27日〜30日、於:ウラジオストック)
・災害管理の一般原則に関するワークショップ(アジア災害防止センター(ADPC)・米国共催、1998年9月〜10月、於:バンコク、ARF災害救助専門家グループによる各種言の検討と同時開催)
ARFプロセスの将来の方向性
36.閣僚は、ARFプロセスの発展に関する漸進的なアプローチを維持することにつき合意した。閣僚は、ARFの進展が、信頼醸成から予防外交、最終的には紛争解決のアプローチに到るまで、漸進的かつ段階的な方式で行われることの重要性を強調した。閣僚は、全ARF参加国の利益及び満足度を考慮に入れつつ、コンセンサスによって意思決定を行うというアプローチをとることを確言した。
37.閣僚は、ARFの成果を確固たるものとし、ARFが今後の課題に備えるための堅固な基盤を築き上げるようにするという観点から、4つの提案事項を含む信頼醸成措置と予防外交の重複部分に関する事項についての検討作業を継続し、かかる重複部分を取り扱う方法と手段についての提言を提示するよう、信頼醸成措置に関するISGに要請することにつき合意した。
38. 閣僚は、国防・軍事当局者のARFの活動への関与・参加が増大しつつある点につき留意し、かかる傾向は強く支持されるべきであるとの見解を示した。