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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第7回ASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会合議長声明

[場所] バンコク
[年月日] 2000年7月27日
[出典] 外務省
[備考] 外務省仮訳
[全文]

第7回ASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会合は、2000年7月27日、バンコクにて開催された。同会合においては、タイ王国外務大臣スリン・ピッツワン博士が議長を務めた。

2.同会合には、全てのARF参加国の外務大臣又はその代表が出席した。また、ASEAN事務局長も出席した。

3.閣僚は、朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)が、バンコクでの第7回ARF閣僚会合でARFに初めて参加したことを歓迎した。新規参加問題に関し、閣僚は、第5回ARF閣僚会合の決定を再確認し、現在のARFの焦点は、23の現参加国間の対話と協力のプロセスを強固にしていくことである点につき合意した。ARFプロセスの概観

4.閣僚は、アジア太平洋地域における政治・安全保障上の対話と協力の強化に関してARFが果たしてきた重要な進展につき、満足の意をもって留意した。同地域の環境に鑑み、閣僚は、ARFの参加国が、より快適な雰囲気で自由かつ生産的な意見交換を行うことができたのみならず、建設的な態度で、グローバル化の結果出現した新たな問題を含めた地域の平和と安定に関する主要な政治・安全保障上の問題について取り上げることができたことに留意した。閣僚は、全般的なARFプロセスに対する信頼醸成措置の重要性を強調し、これらの努力が強化されるべきことにつき合意した。閣僚は、また、信頼醸成措置と予防外交との重複部分に関する諸提案の実施における進展、及び、ARFプロセスの文脈で適応可能な予防外交の概念と原則の進展のための努力の継続につき、歓迎の意を表明した。この点に関し、閣僚は、これらの進展が、ARFプロセスの連続性と適切性を向上させたという点につき同意した。

5.閣僚は、ARFは、今後とも、全参加国にとって快適なペースでの進展を維持し、その決定はコンセンサスによって行われ、また、信頼醸成が引き続きプロセスの核心であるべきであるとの点につき再確認した。閣僚は、ARFにおいてASEANが主導的な役割を果たしていることへの支持を表明した。同時に、閣僚は、ARF参加各国がARFプロセスの推進に貢献する責任を有している点につき一致を見た。

6.1999年7月の第6回ARF閣僚会合における信頼醸成措置と予防外交の重複部分に関する決定を想起し、閣僚は、外部の枠組みとの連携及びトラックI(政府間会合)とトラックII(非政府間会合)との交流の促進に関するARF議長の役割の強化の実施における進展に留意した。閣僚は、タイが、ARF議長国として、国際連合、米州機構(OAS)及び欧州安全保障・協力機構(OSCE)との間の非公式な接触を開始したことに留意した。閣僚は、このような連携が情報の交換と経験の共有によって、今後如何にフォローアップされることができるかにつき検討することで合意した。同時に、この地域の国家間の対話と協力の習慣の強化において、そして、安全保障へのアプローチの新しい考え方の生産において、ARFの枠外でのトラックIIの活動、特にアジア太平洋安全保障協力会議(CSCAP)が果たしている貢献を認識しつつ、閣僚は、ARF議長の役割の強化が、このようなトラックIIの枠組みの資源を引き出すための有用なチャネルとなり得ることにつき留意した。この点に関し、閣僚は、ARF議長を通じてARFとCSCAPの間に確立されてきた非公式の接触を歓迎した。更に、ARF議長の役割を一層強化する実際的な手段として、閣僚は、ARF議長が、ARF会合間の情報交換のための経路となり、もって、ARF参加国が時宜を得た形で、かつ任意に、ARFにとって意味のある情報交換を行うことを可能ならしめ得ることにつき同意した。

7.閣僚は、ARF参加国が任意に利用可能な「ARFにおける専門家・著名人の登録」が創設されたことを歓迎した。この事項の促進に際し、閣僚は、本件「登録」の役割(terms of reference)に関する議論と合意は保留しつつ、ARF参加国が、任意で、取りまとめ役(a focal point)を務めるARF議長とともに、本件「登録」のための専門家・著名人の指名リストを取りまとめることに合意した。

8.閣僚は、各国がトラックIレベル(政府レベル)で任意に作成し、ARF議長国が校正することなく取りまとめた「安全保障に関するARF年次概観」の第一版を歓迎した。閣僚は、この「年次概観」が、ARF参加国間の信頼、理解、透明性を向上させ、また、同参加国間での意見交換を促進し得ることにつき一致を見た。「年次概観」の作成が任意によるものであることに留意する一方で、「年次概観」の作成が毎年行われ、ARF参加国がARFプロセスに関する年次概観の意義を更に高めるよう努力することが希望された。

9.閣僚は、ARFプロセスにおける国防・軍事当局者の参加の重要性に留意した。それゆえ、閣僚は、相互理解、信頼及び透明性の促進に向け、国防・軍事当局者間のより大規模で活発な交流が果たした貢献を歓迎し、国防・軍事当局者が、関連するあらゆるARFの活動に引き続き参加することを奨励した。

議論の概要

10.閣僚は、1999年の第6回ARF閣僚会合以降のアジア太平洋地域における政治・安全保障情勢を回顧し、安全保障認識、及び、地域の安全保障環境に影響を有する主要な政治・安全保障上の問題に関して、実質的な意見交換を行った。この議論は、開かれた、友好的な雰囲気の下で行われ、それゆえ、ARF参加国間の更なる理解及び信頼の促進に一層貢献した。

11.閣僚は、アジア太平洋地域の全般的な安全保障環境が、経済・金融危機からの持続的回復、地域におけるより活発な二国間及び多国間の往来・交流をはじめ、いくつかの積極的な動きによって特徴づけられている点につき認識を共有した。閣僚は、更に、アジア太平洋地域の安全保障情勢は依然として肯定的である一方で、特にグローバル化によってもたらされたものを含め、ARFがより一層注意を払うべき不確実性や挑戦が存在していることに留意した。この点に関し、閣僚は、タイがグローバル化の安全保障上の影響に関する議論を提起したことは時宜にかなったものであり、このような議論はARFの文脈の下での取組として適切であると感じた。ARFは、地域の安全保障問題を取り上げるに際して、安全保障の経済的、社会的、人間的要素、及び、地域協力の促進の必要性に然るべき考慮を払うべきであることが留意された。

12.閣僚は、国家間における更なる経済的相互依存の深化や安全保障問題の多様化を含め、グローバル化がもたらす肯定的な影響及び反響の両面について議論した。グローバル化への対応において、国家が、共通の安全保障に影響を及ぼす様々な挑戦に対応し得る独自の能力及び集団的な能力を向上させることが必要であると感じられた。閣僚は、更に、域内諸国が、国家及び国際双方のレベルにおいて、対話と協力を通じ、グローバル化の経済、社会及び政治上の影響を取り上げ、持続的な経済・社会発展を確保するよう、努力を継続する必要がある点につき合意した。国際的な平和と安全を向上させるため、ARFのような枠組み内における地域協力を強化し、また、複数の地域的な枠組みの連携を促進することも重要である。

13.閣僚は、主要国の建設的な役割と主要国間の安定的な関係が、引き続き地域の平和と安定にとって重要であることを強調した。閣僚は、元首・政府首脳レベルの定期的な対話及び相互往来を含む、最近の主要国関係の進展を歓迎した。この点に関し、閣僚は、このような趨勢が継続することに希望を表明した。

14.閣僚は、また、1999年11月28日のマニラにおけるASEAN首脳の非公式会合に際して行われたいくつかの首脳会合、特に、ASEANと中国、日本、韓国との首脳会議、及び、北東アジア3カ国首脳の非公式朝食会を歓迎した。閣僚は、更に、1999年11月28日、ASEAN+3首脳会議によって「東アジアにおける協力に関する共同声明」が採択されたことを、地域協力並びに長期的な地域の平和、安定及び繁栄に向けた貢献として歓迎した。

15.閣僚は、東南アジア地域内における協力、友好及び親善を促進するための基礎として、東南アジア友好協力条約(TAC)に記載された目的と原則への支持を認識した。閣僚は、また、東南アジア地域における平和のための手段としてのTACの強化にかかる進展、及び、非東南アジア諸国によるTAC締結の検討のプロセスに留意した。閣僚は、また、TACを修正する第2議定書の発効につき留意した。

16.閣僚は、東南アジア非核兵器地帯条約(SEANWFZ)の実施に関する進展につき、核不拡散に貢献するものとして歓迎した。閣僚は、特に、SEANWFZ委員会及びSEANWFZ執行委員会の運営、及び、同条約の締約国と国際原子力機関(IAEA)との間の対話につき、同条約に定められているとおりのものとして、歓迎の意を表明した。閣僚は、また、核兵器国の同条約の議定書の締結に関して同条約の締約国と核兵器国との間で継続している協議に対する支持を表明した。

17.閣僚は、統一され、民主的で、経済的に繁栄したインドネシアが、地域の安全の維持にとって重要であることに合意した。この文脈で、閣僚は、インドネシアの主権、領土の一体性及び国家の統一性に対する支持を強調した。

18.閣僚は、東チモールにおける進展を回顧した。同地において展開されてきた肯定的な趨勢、及び、インドネシアと国連東チモール暫定統治機構(UNTAET)との間の協力を歓迎しつつ、閣僚は、東チモールにおける国連平和部隊要員の死に対して哀悼の意を表し、継続している民兵の活動への対処を含め、難民問題を解決するための更なる集団的行動の必要性を強調した。閣僚は、東チモールの完全独立に向けた移行期間において、その平和、安定及び繁栄を増進させることは、地域の全般的な安定に寄与するものであるとして、国際社会が支援を行うことの必要性を強調した。閣僚は、また、東チモールの再建、回復、国家建設、及び、UNTAETとの協力への国際的な注目と支援の継続が必要である点を強調した。

19.南シナ海情勢に関し、閣僚は、全ての関係国による演習の自粛とこの地域の信頼醸成措置の促進を奨励するとともに、これらの関係国が、国連海洋法条約を含む認められた国際法の諸原則に従って、平和的な手段により南シナ海における紛争を解決し、かつ、この地域の航海の自由を確保するとの合意(commitment)につき歓迎の意を表明した。閣僚は、対話及び協議、特にASEAN・中国高級事務レベル協議における対話、ARF及び南シナ海における潜在的紛争を管理するための非公式ワークショップにおける意見交換について、歓迎の意を表明した。閣僚は、特に、ASEAN諸国と中国の間で、南シナ海に関する地域的行動規範を進展させ採択するための努力が進行中であることを歓迎した。

20.閣僚は、ミャンマーに関する国連特使にラザリ・イスマイル氏が指名されたことを歓迎した。この観点から、閣僚は、2000年6月29日から7月3日までの間にラザリ氏がミャンマーを訪問し、この間にミャンマー政府の指導者及び関係当事者と会談したことを歓迎した。閣僚は、この訪問の成果、特に開始された建設的な対話を歓迎するとともに、これが積極的な発展につながることを希望した。

21.閣僚は、朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)といくつかのARF参加国との間の対話と意見交換の増大を含む、朝鮮半島における前向きな進展に満足の意をもって留意した。閣僚は、特に、2000年6月13〜15日、平壌において開催されたDPRKと韓国の両首脳による会談につき歓迎の意を表明するとともに、1945年に朝鮮半島が分断されて以来、両首脳により署名された初めての合意となる6月15日付の南北共同宣言への支持を表明した。この点に関し、閣僚は、この首脳会談が、南北関係の転換点を示すものとなり、朝鮮半島における恒久平和及び最終的な統一の達成を目指し、現在進んでいる対話と交流のモメンタムが更に前進するであろうとの見解を表明した。閣僚は、また、南北対話、米朝及び日朝対話、四者会合並びにより広範な国際的努力の枠内における全ての関係国による更なる努力への期待、そして、DPRKによる暫定的なミサイル試射のモラトリアムに関連して更に前向きな進展があること、及び、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)の作業を含めた1994年の「合意された枠組み」が完全に履行されることへの期待を表明した。

22.閣僚は、南アジア情勢について意見を交換し、いくつかの閣僚は引き続き懸念がある旨表明した。閣僚は、同地域における積極的な進展をもたらす努力につき、希望の意を表明した。

23.閣僚は、ARFの地理的範囲(geographical footprint)における全般的な安全保障に及ぼす影響を考慮して、南太平洋における情勢の展開に留意した。閣僚は、休戦の確立のために議論を行うために当事者を一堂に集める新たなソロモン諸島政府の努力を歓迎した。閣僚は、休戦は、法と秩序の回復に向けた第一歩であることに留意した。閣僚は、また、フィジーにおける最近の人質の解放を歓迎したが、ARF参加国の関心は民主的政府の早期復帰であることに留意した。

24.閣僚は、大量破壊兵器とその運搬手段の不拡散に関する問題及び弾道ミサイル防衛システムの影響につき議論した。閣僚は、核兵器不拡散条約(NPT)への支持の表明に留意した。この点に関し、閣僚は、2000年4月24日より5月19日までの間、ニューヨークにおいて開催されたNPT運用検討会議での成果につき留意した。閣僚は、また、全ての国が包括的核実験禁止条約(CTBT)の署名と批准を行い、NPTを締結するよう求める声、及び、NPT運用検討会議最終文書に盛り込まれている、カットオフ条約の即時交渉再開を含めた作業プログラムに合意するようジュネーブ軍縮会議に対して求める声に留意した。閣僚は、更に、核軍縮に関する核兵器国の制度的で進歩的な努力の重要性を強調し、これらの国に対し、核兵器の完全な廃絶という目的に向けて作業を行うことを求めた。会合は、更に、モンゴル議会が同国の非核の地位に関する国内法を最近採択したことにつき、これを国連総会決議A/53/77D「モンゴルの国際安全保障と一国非核の地位」に従って、モンゴルが履行した重要な一方的措置として留意した。

25.閣僚は、生物兵器禁止条約(BWC)の検証に関する議定書の交渉のために、BWCに関する締約国のアドホックグループが行っている作業に対する支持、及び、同交渉の早期妥結に向けての呼びかけを繰り返した。

26.閣僚は、国境を越える犯罪に関係する問題、特に、海賊、また、特に女性・子供といった人の密輸を含む不法移民、さらに小型武器の不法取引に関する問題につき議論した。閣僚は、これらの国境を越える問題が、単に地域の平和と安定にとっての課題となり得るばかりではなく、国内経済成長や国民の生活向上に向けての各国の努力を損ない得ることにつき認識した。そのため、これらの問題を解決するための協力的なアプローチが必要である。閣僚は、また、麻薬生産及び取引の影響の深刻さ、及び、資金洗浄(マネーロンダリング)、腐敗、コンピュータ犯罪等の他の問題を取り上げていくことの必要性に留意した。閣僚は、この観点からの更なる二国間、地域、国際的協力の重要性につき強調した。また、閣僚は、現在進行中の国際組織犯罪条約と同議定書に関する議論、及び、2001年に開催される小型武器及び軽火器の不法取引に関する国際会議の開催への支持を表明した。一方、閣僚は、国境を越える犯罪の問題が与える影響の程度については、地域間に相違があることに留意した。この観点から、閣僚は、ARFが引き続きアジア太平洋地域の安全保障に影響を及ぼす国境を越える犯罪につき関心を払うとともに、ARFが如何に地域の関心を増加させ、アジア太平洋避難民、難民、移民会議(APC)、クアラルンプール所在の地域海賊センター、まもなく設立されるASEAN国境を越える犯罪センター等の他フォーラムにおいて取り組まれている作業を補完すべきかにつき探求していくことで合意した。

今期インターセッショナル期間(1999年7月〜2000年7月)におけるトラックI及びトラックIIの活動

トラックI

27.閣僚は、今期インターセッショナル期間(1999年7月〜2000年7月)におけるトラックI及びトラックIIの活動が成功裡に実施されたことを満足をもって留意した。閣僚は、特に、以下の主なトラックI活動に関する報告に留意した。

(a)1999年11月13〜14日に東京で、2000年4月5〜6日にシンガポールで、シンガポール及び日本の共同議長による信頼醸成措置に関するインターセッショナル支援グループ会合(信頼醸成措置に関するISG会合)の共同議長報告

(b)2000年5月4〜6日、ハノイにおいてヴィエトナム及びロシアの共同議長による災害救助に関する第4回インターセッショナル会合(災害救助に関するISM)の共同議長報告

28.閣僚は、信頼醸成措置に関するISG会合、災害救助に関するISMの作業を、ARFプロセスの発展に貢献するものとして賞賛した。閣僚は、上記報告に含まれた提言を支持した。

29.閣僚は、また、以下のトラックIの活動が信頼醸成措置に関するISG会合の下で行われたことにつき留意した。

(a)1999年9月22〜24日、ウランバートルにおいて開催された第3回国防大学・研究所会合

(b)1999年10月10〜19日、北京において開催された中国の安全保障政策に関するARF専門家養成プログラム

(c)1999年12月13〜17日、ニューキャッスルにおいて開催された武力紛争法規に関するARFセミナー

(d)2000年3月28〜31日、メルボルンにおいて開催された国防語学学校セミナー

(e)2000年4月4日、シンガポールにおいて開催された国境を越える犯罪に関するARF専門家グループ会合

(f)2000年4月23〜28日、バンダル・スリ・ブガワンにおいて開催されたARF専門家養成プログラム

(g)ARFNET・スタディー・グループの終了

30.閣僚は、2000年1月25〜28日、バンコクにおいて、「災害救助訓練における共通のアプローチを目指して」と題されたARF教官訓練セミナーが災害救助に関するISMの下で開催されたことに留意した。

トラックII

31.閣僚は、2000年2月21〜22日、モスクワにおいて開催された「太平洋協約」に関するARFトラッII専門家会合及び、現在進められている「太平洋協約」案に関する作業につき留意した。この関連で、閣僚は、トラックIIレベルにおけるロシアとASEAN戦略国際問題研究所(ISIS)の間の共同作業を歓迎した。ARFの枠組みにおける「太平洋協約」の構想をより進展させるため、更なる努力が行われることへの希望が表明された。

次期インターセッショナル期間(2000年7月〜2001年7月)における作業プログラム

32.閣僚は、信頼醸成措置に関するISG会合が、更に一年間、活動を継続することに同意し、マレイシアと韓国の次期インターセッショナル期間の共同議長国となるとの申し出を歓迎した。閣僚は、また、国境を越える犯罪に対応するにあたり、ARFの役割と貢献を更に探求するため、国境を越える犯罪に関する専門家会合が、第1回目の信頼醸成措置に関するISG会合に連動して開催されることに同意した。

33.閣僚は、次期インターセッショナル期間の作業プログラムを承認した。

ARFプロセスの将来性の方向性

34.閣僚は、アジア太平洋地域における政治・安全保障に関する対話と協力のための効果的かつ有効なフォーラムとして、ARFをさらに促進させていくことを支持する旨再確認した。閣僚は、また、信頼醸成から予防外交、紛争に対するアプローチの充実へといったARFプロセスの発展に向けた段階的アプローチに従う意思を再確認し、ARFが、引き続き、このプロセスの原動力としてASEANを位置付けつつ、全ての参加国にとって快適なペースで、かつ、コンセンサスに基づいて、進められていくことに同意した。

35.閣僚は、ARFプロセスの基礎と主たる焦点となっているものとして、信頼醸成の意義を強調した。閣僚は、ARFが予防外交へと移行する間、ARF参加国間の快適さのレベル、信用、信頼、理解及び協力を増進する効果的な信頼醸成措置の実施を確実にするため、引き続き、信頼醸成のプロセスを強化していくことに同意した。閣僚は、また、シンガポールが準備したペーパーに基づき行われたARFの文脈の枠内での予防外交の概念と原則の議論に進展が見られることに留意した。そして、閣僚は、このペーパーが、予防外交に関しARFで形成されつつあるコンセンサスの基礎となり得ることに合意した。閣僚は、ARFの全ての参加国が、予防外交の概念と原則に関する協議を更に進めるべく協力を続けるとの希望を表明した。これはやがてはARFプロセスを前進させることとなろう。

36.閣僚は、引き続き、信頼醸成措置と予防外交の重複部分を検討し、この重複部分に属するものとして既に合意されている、ARF議長の役割の強化、ARFにおける専門家・著名人の登録、安全保障に関する年次概観、地域安全保障問題に関する自主的な背景説明の4点につき進展させるよう、信頼醸成措置に関するISGに対し要請した。閣僚は、また、ARFによる予防外交の概念と原則を更に進展させる努力を強化し、ARF・SOM及びARFの閣僚に対して次回会合時に提言を提出するよう、信頼醸成措置に関するISGに対し要請した。