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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第8回ASEAN地域フォーラム閣僚会合議長声明

[場所] ハノイ
[年月日] 2001年7月25日
[出典] 外務省
[備考] 外務省仮訳.(注)議長国ヴィエトナム発表の議長声明に基づくもの
[全文]

1.第8回ASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会合は、2001年7月25日、ヴィエトナム社会主義共和国の首都ハノイにて開催された。同会合においては、グエン・ジー・ニエン・ヴィエトナム社会主義共和国外相が議長を務めた。

2.同会合には、すべてのARF参加国の外相又はその代理が出席した。また、ASEAN事務総長も出席した。会議の参加者一覧は、別添Aのとおり(別添A省略)である。

ARFプロセスの概観

3.閣僚は、ARFプロセスが、このインターセッショナル期間の間に、引き続き発展を遂げ、地域における平和と安定の維持、特に、アジア太平洋地域における政治・安全保障上の問題に関する対話と協力を強化し、促進するに当たって重要な役割を引き続き果たしたことを認めた。この一年間、ARFの地理的な範囲においてすべての国が十分な参加を行ったことで、地域問題及び国際問題に関する意見交換は、従来にも増して率直かつ包括的なものとなった。この文脈において、閣僚は、ARFが、グローバル化の結果出現し、地域の平和と安定に影響を与える新たな問題を含め、参加国が主要な政治・安全保障上の問題に積極的かつ建設的に取組むための中心的なフォーラムであることを、満足の意をもって留意した。

4.閣僚は、地域の平和と安定に対するARFの貢献を認めるとともに、信頼醸成がARFプロセス全体にとって極めて重要であり、引き続き、その基礎をなし、かつ主要な推進力となっていることを強調した。閣僚は、このプロセスをより強化し、更なる信頼醸成措置を奨励することで一致した。閣僚は、ARFプロセスの有効性の向上に貢献するものとして、信頼醸成措置と予防外交との重複部分に係る4つの措置の強化につき前進が見られたことを評価した。

5.閣僚は、ARFがすべてのARF参加国にとって快適なペースで引き続き進展することを再確認し、コンセンサスにより、かつ、国内問題への相互不干渉の原則に基づくARFの意思決定の重要性を強調した。閣僚は、ARFにおいて東南アジア諸国連合(ASEAN)が引き続き主導的な役割を果たしていることを満足の意をもって留意するとともに、ARFプロセスにおけるその継続的な役割に対する支持を表明した。同時に、閣僚は、ARF参加国のそれぞれがARFプロセスの推進に一層積極的に貢献したことに留意した。

6.1999年7月の第6回ARF閣僚会合における信頼醸成措置と予防外交との重複部分に関する決定、及び2000年7月の第7回ARF閣僚会合におけるARF議長の役割強化に関する決定を想起し、閣僚は、ヴィエトナムが、ARF議長国として、他の国際機関及び地域機関、特に国際連合、米州機構(OAS)、非同盟運動等との間で非公式な接触を継続及び拡大したことに対して評価の意を表明した。閣僚は、このような接触がARFとこれらの機関との間の情報の交換及び経験の共有を促進するのに有益であること、及びこれらの連携が将来的に更に拡大されるべきことで一致した。

7.閣僚は、ARF議長がARF会合間の、特に二国間の外交関係を持たない参加国間における情報共有のためのパイプとしての役割を果たし、もってARF参加国が時宜を得た形でかつ任意にARFに関する情報交換を行うことを可能ならしめたことを満足の意をもって認めた。この点に関し、閣僚は、「ARF議長の役割の強化に関するペーパー」の(前22文字下線有り)採択で一致し、また、このペーパーを準備し、完成させるに際する日本の優れた作業に感謝の意を表明した。

8.閣僚は、ARF参加国が任意に利用可能な「ARF専門家・著名人の登録制度」の一層の進展を歓迎した。閣僚は、「ARF専門家・著名人の適用範囲」に関するペーパー(前25文字下線有り)の採択で一致した。この点に関し、閣僚は、「ARF専門家・著名人の適用範囲」を完成させた信頼醸成措置に関するISG、特に同グループの共同議長国であるマレーシア及び韓国の優れた作業を賞賛した。閣僚は、また、ARF議長が取りまとめ役を果たす中で、ARF参加国が、任意に、この登録制度のために専門家・著名人を指名することを奨励した。

9.閣僚は、予防外交の概念と原則に関するペーパーの準備に際するシンガポールの有益な貢献に対し、謝意を表明するとともに、すべてのARF参加国のインプットに謝意を表した。閣僚は、ARFにおける予防外交ペーパーに関する議論の進展に対して満足の意を表明し、この点に関する信頼醸成措置に関するISGによる取り組みを賞賛した。閣僚は、ARFにおける予防外交に関する議論の現状を示すスナップショットとして予防外交ペーパーを採択すること及びISGが次のインターセッショナル期間に予防外交についての議論を継続し、かつ、見解の相違が存在する問題に焦点を当てることで一致した。予防外交の概念と原則に関するペーパーは、「ASEAN地域フォーラム(ARF)・予防外交の概念と原則」(前30文字下線有り)のとおりである。閣僚は、上記のペーパーについての議論の目覚ましい進展及びその結果としての採択に満足の意をもって留意しつつ、これらの発展が、このインターセッショナル期間におけるARFプロセスの重要な前進を表していることを認めた。

10.閣僚は、「安全保障に関するARF年次概観(年間安保概観)」に対するARF参加国の貢献を賞賛し、ARF議長が編集することなく編纂された年間安保概観の第二版を歓迎した。年間安保概観がARF参加国間の相互信頼及び理解を推進し、かつ、意見交換を促進することに寄与することに留意して、閣僚は、現在及び将来の年間安保概観を対外秘として扱わないことで一致した。閣僚は、ARF参加国が来年、年間安保概観を提出するよう奨励した。

11.国防・軍事当局者がARFプロセスに参加することの重要性に留意して、閣僚は、国防・軍事当局者の間で一層広範かつ活発な交流が相互理解の促進に向け果たしている貢献を歓迎した。この関連で、閣僚は、国防当局者の昼食会をISGにおける定例行事に含めるべきとのARF・SOMの提言を承認することで一致した。

議論の概要

12.閣僚は、2000年7月の第7回ARF閣僚会合以降のアジア太平洋地域における政治・安全保障情勢、特に地域の安全保障環境に影響を与える主要な進展に関して、詳細、かつ広範な議論を行った。閣僚間の意見交換は、ARFの伝統である開放的かつ率直な雰囲気の下で行われ、非常に実質的かつ焦点を絞ったものであり、もってARF参加国間における安全保障情勢に対する認識及び関心に関する理解を一層深めることに貢献した。

13.閣僚は、アジア太平洋の情勢は全体として比較的安定している点につき認識を共有した。閣僚は、一定の課題及び不確実性、政治的及び戦略的な認識の相違にもかかわらず、この地域は、引き続き平和及び安定を享受していることに留意した。閣僚は、地域の平和と安全保障の鍵として、主要国間の平和的で安定した関係が重要であることを認め、主要国が地域の平和と安定の維持に貢献するため、相互の関係を改善し、発展させる努力を継続することを確信した。

14.閣僚は、加速しつつあるグローバル化に関し意見交換を行い、グローバル化及び技術の多面的な影響の下で、経済安全保障が急速に、先進国と途上国を含めたすべての国の主要な関心事となっているとの見解を共有した。閣僚は、特に先進国と途上国との間の格差の拡大に懸念をもって留意した。この関連で、閣僚は、国連ミレニアム宣言において世界の元首及び政府首脳により表明された「開発及び貧困撲滅に資する環境を各国及び世界レベルで同様に創出する」という決意を再確認した。

15.閣僚は、2000年6月15日に平壌において開催された南北首脳会談に続く朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)と大韓民国(韓国)との間の対話と協力の増大を含め、朝鮮半島情勢全般に関する最近の前向きな進展を満足の意をもって留意した。閣僚は、更に、DPRK及び韓国の双方に対し、首脳会談の成功を基礎として、和平プロセスを継続することを奨励するとともに、朝鮮半島における恒久平和を確立するとの観点から、第2回目の南北首脳会談を開催することの重要性を強調した。閣僚は、また、1994年の米朝間の「合意された枠組み」に関するDPRKの立場に留意した。閣僚は、欧州理事会議長でスウェーデン首相であるヨーラン・パーション閣下による最近のDPRK及び韓国訪問を含め、上記の南北間の努力に貢献するための国際社会による継続的な努力を歓迎した。閣僚は、こうした対話の強化を通じて未解決の安全保障及び人道上の懸念への取組みが行われるとの見解を有している。閣僚は、昨年のARFの活動におけるDPRKの積極的な参加を評価し、これがARFプロセスを強化し、地域の平和と安定の目的を前進させるものと認めた。

16.閣僚は、東南アジア情勢が全体として平和で安定していることに留意した。閣僚は、南シナ海における最近の進展に関する意見交換を行い、南シナ海における行動規範を策定するためのASEANと中国との協議の進捗を歓迎した。閣僚は、すべての関係国による自制の継続及びこの地域の信頼醸成措置の促進を奨励するとともに、国連海洋法条約を含む認められた国際法の諸原則に従って、平和的な手段によって紛争を解決し、かつ、この地域の航海の自由を確保することに対する関係国のコミットメントを歓迎した。

17.閣僚は、2000年11月にシンガポールで開催された第4回ASEAN非公式首脳会合が、第7回ARF会合以降、地域における最も重要な行事の一つであったことに留意した。同首脳会合において、ASEAN首脳は、地域の安定の重要な要因としてASEANの一体性の問題に取り組む必要性に合意した。首脳は、また、より緊密な統合を可能とし、ASEAN内の発展格差を縮小させる提案を推進することについても合意した。首脳会合のもう一つの主要な成果は、より緊密な東アジアにおける協力に向けた動きを開始するためのASEAN、中国、日本及び韓国の首脳による決定であった。閣僚は、より緊密な東アジア協力に向けた漸進的なアプローチが地域の平和、安定及び繁栄に貢献するとのASEAN+3首脳の認識を共有した。この点に関して、閣僚は、東アジア協力を促進させるための2001年3月の東アジア・スタディー・グループ(EASG)の創設を歓迎した。

18.閣僚は、東南アジア地域内における並びにASEAN、ASEAN対話国及びその他のARF参加国の間の協力、友好及び親善を促進するための基礎として、東南アジア友好協力条約(TAC)に包含された目的及び原則を認識した。閣僚は、2001年7月にハノイで開催された第34回ASEAN外相会議におけるASEANメンバー国による理事会の手続規則の採択を歓迎した。閣僚は、非東南アジア諸国がTACに加入を検討中であることに留意した。

19.閣僚は、東南アジア非核地帯条約(SEANWFZ)の実施に関する進展を核兵器の拡散を抑制するグローバルな努力に貢献するものとして歓迎した。閣僚は、核兵器国の同条約議定書への加入に関して同条約の締約国と核兵器国との間の協議が引き続き進展していることを、満足の意をもって留意した。この点に関して、閣僚は、2001年5月にハノイで行われた同条約締約国と核兵器国との間の直接対話により達成された進展を歓迎した。閣僚は、モンゴルに対する安全の保証及び同国の非核の地位に対する支持に関する国連安保理常任理事国(P5)共同声明を歓迎した。

20.閣僚は、インドネシアにおけるメガワティ・スカルノプトゥリ大統領の民主的で、憲法に合致し、かつ平和的な方法による選出を歓迎した。閣僚は、この秩序ある平和的な移行がインドネシアにおける政治的な安定及び経済復興の加速化をもたらすことを希望する旨表明した。閣僚は、インドネシアの領土の一体性及び政治的統一への支持を再度表明した。閣僚は、インドネシアの安定及び繁栄が地域の平和、安定及び繁栄に対して肯定的に貢献するものと確信した。

21.閣僚は、東チモールと国連東チモール暫定行政機構(UNTAET)との間の協力に留意するとともに、同地域の独立まで及びそれ以後における東チモールの国家建設の努力において、ASEANを含む国際社会による支援が積極的な役割を果たすことの必要性を強調した。閣僚は、全チモール人の平和と融和を確保するため、東ヌサ・トゥンガラ州における東チモール難民の問題を包括的な形で解決するための努力を支持した。閣僚は、2001年8月30日に憲法制定議会選挙を実施するとの計画を歓迎した。

22.閣僚は、ミャンマーにおける前向きな進展、特に国民和解のプロセスを歓迎した。閣僚は、この点に関して、ASEAN各国政府、国連人権委員会ミャンマー特別報告者及び国連事務総長特使の努力とともに、ミャンマー連邦政府の努力について感謝の意を表明した。

23.閣僚は、フィジー及びソロモン諸島の状況に留意し、ブーゲンヴィル紛争の解決に向けた前向きな進展を歓迎し、2001年8月に行われるフィジー選挙で前向きな成果が得られること、及びソロモン諸島における国際平和監視チームの取り組みに対する期待を表明した。

24.閣僚は、大量破壊兵器とその運搬手段の拡散に関する問題とともに、ミサイル防衛システムの影響につき議論した。閣僚は、核不拡散条約(NPT)をグローバルな不拡散体制の礎として支持するとの表明に留意した。閣僚は、また、すべての国が包括的核実験禁止条約(CTBT)に署名及び批准を行うとともに、NPTに加入するべきとの要請に留意した。閣僚は、すべての国が核実験に関する現在のモラトリアムを維持することを求めた。閣僚は、また、NPT再検討会議最終文書において、軍縮会議に対してカットオフ条約に関する交渉の即時開始を含む作業プログラムに関して合意すべきとの呼びかけが行われたことに留意した。さらに、閣僚は、核兵器国による核軍縮に向けた組織的及び漸進的な努力の重要性を強調するとともに、核兵器の全面的廃絶という目標に向けすべての国が努力するよう呼びかけた。

25.閣僚は、生物兵器禁止条約(BTWC)を強化する議定書が、第5回生物兵器禁止条約会議開催前に取りまとめられることを期待し、すべての国が速やかに同議定書にかかる交渉を迅速に終えるよう促した。

26.閣僚は、国境を越える犯罪が地域の平和と安定に潜在的に深刻な影響を及ぼすだけでなく、すべての国の経済発展及び社会の安定に対する脅威となり得ることを認識した。この点に関して、閣僚は、麻薬の生産及び取引のもたらす深刻な影響に留意し、この重要な問題に加えて、海賊、不法移民、小型武器の違法取引、マネー・ロンダリング、テロ、サイバー犯罪等その他の国境を越える犯罪にも取り組むことが必要であることを強調した。閣僚は、この点に関して、二国間の、地域的及び国際的な協力を一層強化することの重要性を強調した。

27.閣僚は、国際組織犯罪条約及び同議定書を歓迎し、ARF参加国がこれを早期に署名及び批准することを奨励した。閣僚は、7月9日から20日までにニュー・ヨークで行われた国連小型武器会議(小型武器(SALW)の非合法取引のあらゆる側面に関する国連会議)の結果に対する支持を表明し、ARF参加国が小型武器に関する国連の行動計画に従って地域協力を促進するべきであると確信した。この文脈で、閣僚は豪州による小型武器に関するARF宣言の提案に留意し、それについて、更なる検討を進めるべき旨同意した。

今期インターセッショナル期間(2001年7月〜2001年7月)におけるトラックI及びトラックIIの活動

トラックI

28.閣僚は、2000から2001年のインターセッショナル期間におけるトラックI及びトラックIIの活動が成功裡に実施されたことを満足をもって留意した。閣僚は、特に、韓国及びマレーシアが共同議長を務め、2000年9月1日から3日に韓国のソウルで、及び2001年4月18日から20日にマレーシアのクアラルンプールで開催されたARF・信頼醸成措置に関するインターセッショナル支援グループ(ISG)の共同議長報告に留意した(別添E)。閣僚は、信頼醸成措置に関するインターセッショナル支援グループの活動をARFプロセスの進展に貢献するものとして賞賛し、上記の報告の提言を支持した。

29.閣僚は、また、次のトラックIの活動が信頼醸成措置に関するISG会合の下で行われたことにつき留意した。

29.1.2000年8月、シンガポールにおいて開催された合同人道支援訓練コース(CHART)

29.2.2000年9月、中国において開催された第4回国防大学校長等会議

29.3.2000年9月、北京において開催された、軍民転換セミナー、及びARF地域海洋情報センターの創設(ARF−RMIC)

29.4.2000年10月、ヘルシンキにおいて開催された信頼醸成に関するARFセミナー

29.5.2000年10月、ムンバイにおいて開催された海賊対策に関するARF・ワークショップ

29.6.2001年2月、プノンペンにおいて開催されたARF・通常兵器信頼醸成セミナー

29.7.2001年5月、ソウルにおいて開催されたARF平和維持活動における軍民協力セミナー

29.8.2001年6月、ワシントンにおいて開催された艦船から発生する廃棄物の環境的に健全な管理に関するワークショップ

30.閣僚は、信頼醸成活動の実施に関する次の提案を次期インターセッショナル期間における信頼醸成措置に関するバスケット1として承認した。

30.1.日本が主催し2001年8月下旬から9月上旬に開催される第5回国防大学校長等会議

30.2.タイが主催し2001年8月7日から10日にバンコクで開催される武力紛争法セミナー「平和維持活動における武力紛争法の適用可能性」

30.3.米国とブルネイが主催し2001年9月に開催されるARF・予防外交に関する軍民の中堅レベルワークショップ

30.4.ヴィエトナムが主催し2002年2月26日から28日に開催される21世紀の最初の数十年におけるアジア太平洋地域の経済安全保障に関するセミナー

30.5.ロシアが主催し2002年に開催される第6回国防大学校長等会議

30.6.カナダが提案しインドとマレーシアの共催の下2002年3月に開催されるARF・平和維持活動に関するセミナー

トラックII

31.閣僚は、2000から2001年のインターセッショナル期間にフィリピン、中国及びマレーシアで行われたCSCAPの海洋協力に関するワーキング・グループ会合と、アジア太平洋地域における海上における法と秩序に関するメモランダムの草案、CSCAPの国際犯罪に関する第8回ワーキング・グループ及びCSCAPの包括的安全保障協力に関する第9回ワーキング・グループに留意した。閣僚は、また、ARF議長とトラックIIの間の非公式の接触が、トラックIレベルの議論に重要な助言を提供し得ることに留意した。

32.閣僚は、ASEAN及びロシアによる太平洋協約に関する努力を歓迎し、協議の継続を奨励した。

次期インターセッショナル期間(2001年7月〜2002年7月)における作業プログラム

33.閣僚は、信頼醸成措置に関するISGが活動を継続することで一致し、ヴィエトナム及びインドが次期インターセッショナル期間の信頼醸成措置に関するISGの共同議長を務めるとの申し出を歓迎した。

34.2000年から2001年のインターセッショナル期間における国境を越える犯罪に関する専門家会合(EGM)が一般的にARFの国境を越える犯罪に対する取組みにとって有用であったことに留意しつつ、閣僚は、これらの国境を越える犯罪が、アドホックのワークショップ、セミナー、シンポジウム等の場において議論され得るとのARF・SOM及び信頼醸成措置に関するISGの提案を承認した。

ARFプロセスの将来の方向性

35.閣僚は、アジア太平洋地域における政治・安全保障に関する対話と協力のための効果的なフォーラムとして、ARFをより一層発展させることに対するコミットメントを再確認した。閣僚は、ARFが引き続き信頼醸成措置の促進から予防外交(PD)の進展、紛争へのアプローチの充実への進展において漸進的なアプローチに従うことを再度表明しつつ、ARFが引き続きすべての参加国にとって快適なペースで、かつ、コンセンサスに基づいて進められていくことで一致した。閣僚は、ARFプロセスの原動力としてのASEANの役割について引き続き支持する旨表明した。

36.閣僚は、ARFプロセス全体の基盤であり、かつ、主たる焦点となっている信頼醸成の重要性を強調した。閣僚は、また、ARFが予防外交へと移行する過程においても、ARF参加国間の相互信用、信頼及び理解並びに協力を実質的に高めるため、引き続き、信頼醸成のプロセスを強化すべきであることに合意した。閣僚は、これらの努力がアジア太平洋における平和と安定や、ARFの次の段階における堅固な基礎となることにつき意見が一致した。閣僚は、ARFの予防外交の概念と原則に関するペーパーに基づき、ARFの文脈における予防外交の概念と原則に関する議論に進展が見られたことに満足の意をもって留意した。この点に関して、閣僚は、信頼醸成措置に関するISGに対して、様々な見解が存在する分野に焦点をあてつつ、予防外交についての議論を強化し、ARF・SOMと閣僚に対して次回会合時に提言を提出するよう要請した。

37.閣僚は、信頼醸成措置と予防外交の重複部分を検討し、この重複部分に属するものとして既に合意されている4つの提案、即ちARF議長の役割の強化に関するペーパーの採択、ARFにおける専門家・著名人の登録に関するペーパーの採択、安全保障に関する年次概観及び地域安全保障問題に関する自主的な背景説明、の拡充に関する進展に満足の意をもって留意した。閣僚は、ARFが、これらの措置及び信頼醸成措置と予防外交との重複部分の更なる検討に引き続き取組むことで一致した。