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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第10回ARF閣僚会合議長声明

[場所] プノンペン
[年月日] 2003年6月18日
[出典] 外務省
[備考] 外務省仮訳
[全文]

1.第10回ARF会合は2003年6月18日プノンペンにおいて力ンボジア外務国際協力省のHor Namhong上級大臣閣下を議長として開催された。

2.参加者のリストは別添Aの通り。

3.閣僚は、ARFがその参加国の多様性にもかかわらず、アジア太平洋地域の平和と安全保障そして協力に寄与する極めて多くのことを成し遂げたことに注目しつつ、アジア太平洋地域の安全保障と安定のために極めて有意義であったARFの過去10年間を祝した。閣僚は、特に以下の諸点を引用した。

・多国間及び二国間の対話及び協議の場としての、並びにコンセンサス、内政不干渉による意志決定と、全ての参加国にとって受容可能な速度で前進することを特徴とする、対話と協力のための実効的な原則を確立する場としてのARFの有益性。

・多角的な観点から広範な安全保障問題について議論することについてのARF参加国の自発性。

・各種の協力活動によって段階的に醸成された相互信頼。

・政治及び安全保障問題に関する対話と協議を実施することの習慣化。

・防衛政策関連情報の交換や防衛白書の出版といったARFの諸措置によって促進された透明性。

・ARF参加国における国家安全保障、国防、軍事といった分野の担当者間において構築されたネットワーク。

4.閣僚は、ARFの信頼醸成措置を通して地域における相互信頼が顕著に強化されたこと、及びARFが予防外交について先駆的な役割を果たしたことに満足の意を表明した。閣僚は、アジア太平洋における安全保障情勢に鑑みて、安全保障分野における対話と協力のためにARFが果たす役割の重要性を再確認した。一方、閣僚は、アジア太平洋地域における永続的な平和と安定そして繁栄に寄与するため、ARFが情勢の変化に自らを適応させながら時代の流れに歩調を合わせなければならないこと、共通の安全保障の概念を発展させなければならないこと、より効果的な地域安全保障の枠組みを構築しなければならないことを強調した。

閣僚は、以上の目的を達成するため、以下の諸措置に重点を置いた。

・2002年7月31日に開催された第9回ARF閣僚会合において支持された9の勧告の履行を強化すること。

・ARFプロセスの基盤たる信頼醸成措置にかかる取組みを継続すること。

・「予防外交の概念と原則」を履行すること。

・国家間に存在する相違と紛争を対話と交渉によって平和的に解決するというARFの諸原則に基づいて行動すること。

・国際テロ及び国境を越える犯罪との闘いを現在のARF協力関係における優先課題とすること。

・不拡散、軍備管理、そして小型武器を含む軍縮の問題について取り組むこと。

・他の地域的及び国際的機構との交流を含め、ARF議長の役割を強めること。

・ARFの「専門家・著名人(EEP)」の制度を活用すること。

・防衛及び軍事分野の当局者のより広範な参加を奨励すること。

・ARFプロセスにおけるトラックIとトラックIIの連携を強めること。

5.閣僚は、2001年7月のARFハノイ会合において採択された「強化されたARF議長の役割(Enhanced Role of the ARF Chair)」の条項と精神に基づいて議長がとった各種のイニシアティブに対し賞賛の意を表明した。閣僚は、議長が欧州安全保障協力機構(OSCE)及び欧州連合(EU)との間で行った議論、及び朝鮮半島問題について議長が北朝鮮その他のARFメンバーと行った協議に注目した。閣僚は、ARFが朝鮮半島問題の平和的解決の探求に向けて建設的役割を果たすべきことに合意した。

地域及び国際問題に関する議論{前14文字下線あり}

6.閣僚は、地域及び国際情勢について意見を交換し、国際の平和と安全の維持において国連が主要な役割を果たすべきことを強調した。閣僚は、地域及び国際の平和と安定のためには地域的な対話と協力が不可欠であることを再確認した。閣僚は、ARFが引き続きアジア太平洋地域における政治と安全保障の問題のための主要な協議と協力のフォーラムであるとの見解を維持した。この見解は、この地域で展開されている危急の出来事について極めて有益な議論が行われた本日の会合で確認された。

7.朝鮮半島の状況について見解が表明された。閣僚は、朝鮮半島の非核化を支持した。閣僚は、lAEAとの協力を再開し、NPTからの脱退の決定を取り消すよう北朝鮮を促した。閣僚は、地域の恒久的な平和と安全のために、同地域における核問題の平和的な解決を求めた。これに関し、閣僚は、ARFが有益かつ建設的な役割を果たしてきたという見解を有し、朝鮮半島の緊張緩和に資するため、ARF議長の更なる努力を支援することで合意した。閣僚は2003年4月28日〜29日の平壌における南北ハイレベル協議の再開を歓迎し、南北間の対話と様々なレベルにおける交流が、未解決の安全保障上の問題の平和的解決を追求するための道として重要であることを認識した。閣僚は2003年4月23日〜24日に北京で開催された中国、北朝鮮、米国による協議を、正しい方向に向けた好ましい第一歩として歓迎した。また、閣僚は、未解決の安全保障及び人道問題が対話を強化することを通じて解決されるべきであるとの見解を有した。

8.閣僚は、アジア太平洋地域を含む全世界で国家と国民の安全を引き続き脅かしている国際テロとの闘いにおいて参加国間での協力をより強化する決意を再確認した。閣僚は、バリ、リヤド、力サブラン力におけるテロ爆弾攻撃を悲嘆した。閣僚は、テロリズムに対する非難を繰り返し、一般市民の関心を呼び覚まし、テロリズムに対して効果的な行動を起こせるよう、必要な全ての措置を執るとの決意を表明した。同時に、閣僚は、テロリズムを如何なる宗教、人種、国籍、民族と関連付けるあらゆる試みを拒絶することの必要性を強調した。閣僚は、域内においてテロリズムに効果的に対処し得る能力を高めることの意義、及び能力構築の分野において支援を必要としている者に対して、国連安保理決議1373号を履行するために国連テロ対策委員会によって確立された枠組み内において、参加国が協力と調整を行うことの重要性を再確認した。

9.閣僚は、テロリズムに対する集中的な域内協力措置と国際社会による支援を求めた2002年11月の「テロに関する第8回ASEAN首脳会議宣言」を歓迎した。閣僚は、テロリズムヘの資金供給を止めるための特別かつ具体的な措置を執るという、2002年7月31日の「ARFテロ資金対策に関する声明」に盛り込まれた約束を履行することを再確認し、それらの諸措置をかつてない強い意志をもって実行に移すことを決意した。閣僚は、ASEANが米国及びEUと共に、それぞれ2002年8月1日及び2003年1月28日に発出した、テロリズムとの闘いにおいてより緊密かつより確固たる協力を誓約した共同宣言を歓迎した。

10.閣僚は、テロ対策の分野における他の国際機関の取組みを確認し、国連テロ対策委員会、及びテロ対策行動グループの創設を含むG8ローマ・リヨン・グループにおける継続的な取組み、並びにAPECテロ対策タスクフォースとASEMにおける国際テロリズムとの闘いに関する協力プログラムの創設を歓迎した。閣僚は、国連安保理決議1373及びテロ資金に関する金融活動タスクフォース第8回特別勧告に従い、法的措置を講じるという2002年太平洋地域島山與フォーラムにおける太平洋諸国首脳の公約についても歓迎した。閣僚は、オーストラリア、ニュージーランド及び米国の協力の下に、太平洋地域におけるテロリズムと国境を越える犯罪を扱うための法的枠組みの整備に向けて地域の専門家が作業を行っていること{前4文字ママ}確認した。

11.閣僚は、2003年3月21日〜22日にかけてマレーシアにおいて開催された「テロ対策及び国境を越える犯罪に関するARFインターセッショナル期間会合(lSM on CT−TC)」の行動と結果に満足の意を表明した。閣僚は、同会合において共同議長を務めたマレーシアと米国の取組みを賞賛した。共同議長の報告は別添Bの通り。閣僚は、lSM on CT−TCが取組みを継続すべきことに合意し、フィリピンとロシアより次回会合の共同議長を務めるとの申し出がなされていることを歓迎した。閣僚は、「国境管理におけるテロ対策協力に関するARF声明」をlSMの提案通りに採択した。同声明(別添C)では、テロリストからの脅威に対する国境における安全保障を強化するために具体的及び協力的な措置を執るとのARF参加国の決意が表明されている。

12.閣僚は、2002年11月にマニラにて開催された「反テロ及び観光業回復についての国際会議」、及び2002年12月にバリにて開催された「マネー・ロンダリング及びテロリスト資金対策に関する地域会議」の結果に留意した。閣僚は、地域の平和と安全保障を維持するための協力を強化することにより、アジア太平洋地域における観光事業の再活性化を促進するとの約束を表明した。閣僚は、マネー・ロンダリング及びテロ資金供給と闘うことの必要性を再確認した。

13.閣僚は、携帯式地対空防衛システム(MANPADS)がテロリストの手に渡ることにより商業航空活動及び一般航空活動が脅威にさらされるという懸念が表明されていること、及びこうした兵器の拡散抑止が必要であることに留意した。閣僚は、2003年6月2日のフランス・エビアンにおけるG8サミットにおいて合意されたMANPADSに関するイニシアティブに留意した。

14.閣僚は、テロ対策のための東南アジア地域センター(SEARCCT)がマレーシアのクアラルンプールに設立されたことも歓迎した。

15.閣僚は、アジア太平洋地域の海上において海賊事例が増加していることを深く懸念し、各国が海賊行為及び他の海上犯罪行為と闘うために具体的な協力措置を講じることを約束する「海賊行為及びその他の海上保安への脅威に対する協力に関するARF声明」を採択した。同声明文は別添Dの通り。閣僚は、国際海事機構(lMO)及び国際海運局(lMB)との協力によってARF参加国が講じている注目すべき取組みを認識し、これらの取組みを引き続き支援することを約束した。

16.閣僚は、マネー・ロンダリングやサイバー犯罪、薬物及び武器取引、人身取引、海賊行為といった国境を越える犯罪に対処するために、ASEAN域内における協力関係を含め、アジア太平洋地域において協力関係が発展していることに満足の意をもって留意した。閣僚は、昨年11月にプノンペンにおいて、非伝統的安全保障問題の分野における協力に関するASEAN・中国共同宣言が発出されたことを歓迎した。

17.閣僚は、2003年4月にバリで開催された密入国、人身取引及び関連する国境を越える犯罪に関する第2回地域閣僚会合を歓迎し、2002年2月の第1回会合で設立された2つのアド・ホック専門家会合が作成した行動計画を履行することにより、参加国が協力を継続することを奨励した。

18.閣僚は、国境を越える犯罪に関するASEAN高級事務レベル会合、及び同会合メンバーが2003年6月9日〜13日にハノイにて中国、日本、韓国(SOMTC+3)及びEU、米国と行った会合の結果を歓迎した。閣僚は、中国、EU、米国の宣言と声明の履行に関する実りのある議論に意を強くした。閣僚は、共同宣言及び声明を履行する決意を表明した。

19.閣僚は、ASEAN及び中国が2002年11月4日にプノンペンにおいて署名した南シナ海における各国の行動に関する宣言を歓迎した。閣僚は、宣言の条項と約束を履行するに当たってASEANと中国が行った努力は、アジア太平洋地域における安全保障と安定にとって貴重な貢献となり、南シナ海における紛争の平和的解決に向けた条件を作り出す一助となるとの自信を表明した。

20.閣僚は、独立後の進展について東ティモール政府に対して祝意を表した。特に、閣僚は、東ティモールとインドネシアとの間で前向きな関係が築かれつつあることに留意した。閣僚は、複数のARF参加国が東ティモールの独立後の状況に対して多国間で行われている努力に対する貢献を継続していることに留意した。閣僚は、アジア太平洋地域の一部として、東ティモールの将来は近隣国との経済面、政治面、及び安全保障面での結びつきの発展如何にかかっていることを強調した。

21.閣僚は、地域の安全保障の基礎的要素として民主主義を強化することの重要性を認識した上で、ミャンマーにおける現在の状況について説明を受けた。閣僚は、国内の和解の努力及び民主主義への平和的移行に導く関係する全当事者間の対話の再開をミャンマーに求めた。閣僚は、現在の措置は一時的なものであるとするミャンマーによる保証を歓迎し、拘束されているアウン・サン・スーチー女史とNLDメンバーの早期解放を期待した。この点に関し、閣僚は、ラザリ国連事務総長特別代表の努力に対する支持を再確認した。

22.閣僚は、インドネシアの主権と領土保全及び国家統一に対する支持を再確認した。閣僚は、アチェにおける平和と秩序を回復しようとするインドネシア政府の努力を確認した。閣僚は、フィリピンとタイに対して、両国がアチェの問題を対話によって解決するという最近の取組のためにインドネシアが求めた監視チームを派遣するという貢献を評価した。閣僚は、アチェヘの武器の密輸を防ぐことによって、分離主義者の暴力手段へのアクセスを拒否することへの支持についても約束した。閣僚は、最終的な解決策として、アチェに対する特別自治の付与に基づいて平和的な解決策が見出されることを期待した。

23.閣僚は、インドとパキスタンの関係における最近の前向きな進展、特にインド首相による平和的なイニシアティブを歓迎した。閣僚は、印パ両国が、両国の国民のため、そして南アジア地域及び世界の平和と安定のため、対話と協力を継続し、平和的な方法によって相違を解決するする{前4文字ママ}ことに期待を表明した。

24.閣僚は、タイによって主催されたスリラン力政府とタミル・イーラム解放の虎(LTTE)の平和的な話合いと、2003年6月9日〜10日にかけて開催されたスリラン力復興開発に関する東京会議の成果を歓迎した。閣僚は、スリラン力政府とタミル・イーラム解放の虎(LTTE)が、スリラン力の統一と主権、及び領土保全が確保され、かつ全ての地域共同体にとって満足できる形での継続的な和平を達成するよう、より一層の努力を行うよう奨励した。東京でなされた重大なプレッジは、スリラン力における紛争の平和的な解決を支援するための国際社会による強い約束の証である。

25.閣僚は、現在、自治政府の選挙のための準備に向けて進みつつある、パプアニューギニアのブーゲンビルにおける平和的なプロセスの継続的な進展を歓迎した。

26.閣僚は、ソロモン諸島における安全保障面及び経済面での状況の悪化、及びソロモン政府を支援すべくパートナー諸国が行っている各種の努力に留意した。

27.閣僚は、大量破壊兵器とその運搬手段の拡散によって危険が増しつつあることを認識し、この問題に対処するため一層の共同努力を行うという約束を再確認した。閣僚は、核不拡散条約(NPT)が引き続き核不拡散体制の基盤であり、核軍縮の追求における不可欠の基礎であることを再確認した。閣僚は、国際原子力機関(lAEA)の保障措置協定と追加議定書、生物兵器禁止条約、及び化学兵器禁止条約を含む不拡散・軍縮関連国際合意の普遍化促進の重要性を強調し、世界的な不拡散の努力を損ない、相互信頼を傷つけるような行動に対して懸念を表明した。閣僚は、核実験に関する現在のモラトリアムを維持するよう求めた。閣僚は、大量破壊兵器とその運搬手段の拡散の抑制に向けた取組みの重要な通過点として、2002年11月に発効した弾道ミサイルの拡散に対抗する行動規範(lCOC)を歓迎し、ARF各国による遵守の拡大を奨励した。

28.小型武器の分野について、閣僚は、2003年7月に開催される最初の国連小型武器中間会合の成功に貢献することの重要性を強調し、全てのARF参加国が国連に対し、「小型武器の全ての違法取引を防止し、これと闘い、根絶するための国連行動計画」の履行状況を報告するよう奨励した。閣僚は、小型武器の拡散と入手の容易さに起因する、又はこれを助長する様々な懸念に対応することへの決意を再確認し、2002年7月にマニラで開催された地域セミナーにおける勧告をフォローアップするための努力を賞賛した。

29.第10回会合に参加したARFの国防・軍事当局者は2003年6月17日に会合を開催した。閣僚は、同会合の成果は、これら当局者のARFプロセスヘの積極的な参加の重要性を裏付けるものであると結論づけた。これは、ARFにおける国防当局者間の対話に関するシンガポールのコンセプト・ぺ一パーに沿って、国防当局者の関与と参加を拡大するとの、第9回ARF閣僚会合の勧告にも合致する。

30.閣僚は、北東アジア地域諸国間において、まずは自由な意見交換から始まるトラックIレベル(注=政府間レベル)における安全保障問題に関する対話の習慣を促進することの必要性に留意した。

インターセッショナル期間中の活動{前16文字下線あり}

31.閣僚は、今次インターセッショナル期間中(2002年7月〜2003年6月)に行われたトラックI及びトラックIIの活動の成功に満足の意を表した。閣僚は、ニュージーランド及びラオスの共同議長の下で、2002年11月20日〜22日にウェリントンにおいて、また2003年3月26日〜8日にビエンチャンにおいて開催された信頼醸成措置に関するインターセッショナル・グループ(lSG)会合の概要報告を謝意をもって受領した。閣僚は、ARFプロセスを促進するものとして、信頼醸成措置に関するlSGの取組みを称賛し、共同議長の概要報告に留意し、その勧告を支持した。報告は別添Eの通り。

32.閣僚は、信頼醸成措置に関するlSGの主催下で行われた以下の活動に留意した。

・防衛・軍事当局者の協力に関するARFワークショップ(ソウル、2002年8月28日〜30日)

・第6回ARF国防大学長会合(モスクワ、2002年9月16日〜20日)

・軍事兵站の外部委託支援に関するARFワークショップ(北京、2002年9月25日〜27日)

・テロ対策に関するARFワークショップ(東京、2002年10月1日〜日{前2文字ママ})

・人道支援と災害救助に関するARFセミナー(シンガポール、2002年12月4日〜6日)

・海上安全保障に対する課題に関するARFワークショップ(ムンバイ、2003年2月27日〜3月1日)

・大規模テロ攻撃の影響の制御に関するARF信頼醸成措置ワークショップ(ダーウィン、2003年6月3日〜5日)

33.閣僚は、信頼醸成措置に関するlSGがその取り組みを継続すべきという点において合意し、次期インターセッショナル期間において信頼醸成措置に関するlSGの共同議長を務めるとのミャンマーと中国の申し出を歓迎した。閣僚は、信頼醸成措置に関するlSG次回会合が2003年11月20日〜22日に北京において、また2004年4月にヤンゴンにおいて開催されることに留意した。

34.閣僚は、2004年〜2005年にかけてのインターセッショナル期間において信頼醸成措置に関するlSGの共同議長を務めるとの力ンボジアとEUの申し出を歓迎した。

35.閣僚は、2004−{前1文字ママ}2005年インターセッショナル期間にウランバートルにおいて、変化するARF参加国の安全保障認識を議論するためのARFワークショップを主催するというモンゴルの申し出を謝意をもって留意した。

36.閣僚は、次期インターセッショナル期間(2003年7月〜2004年6月)中の作業計画について、別添Fに列挙されている信頼醸成措置に関する活動として記されている通りに了承した。

トラックIとトラックIIの連携{前14文字ママ}

37.閣僚は、トラックI(政府)の活動とトラックII(非政府)の活動の間の強い連携の重要性を強調した。この点に関して、閣僚は、この問題に関して力ナダのコンセプト・ぺ一パー「ARFにおけるトラックIとトラックIIの連携強化(別添G)」に基づいて現在行われている議論に留意した。閣僚は、2003年3月25日にビエンチャンにて、シンガポールの防衛戦略研究所と力ナダのCSCAPによって開催されたテロ対策に関するトラックIIワークショップの結論に留意した。閣僚は、2002年のブルネイ・ストックライキング・ぺ一パーにおいて勧告されているように、トラックIとトラックIIの交流を強化するための努力が継続されるべきことについて合意した。

ARFプロセスと将来の方向性{前14文字下線あり}

38.閣僚は、2002年7月31日にブルネイにおいて開催された第9回ARF閣僚会合において採択された「9つの勧告」を総括し、特にテロ対策協力とARF議長の役割強化の分野において築かれたこれまでの進展に満足の意を表明した。閣僚は、これらの分野におけるARFの取組みは、予防外交に向けたARFの発展に貢献し得るものであり、従ってこうした取組みは継続され、強化されるべきであるとの見解を表明した。閣僚は、ARF議長が「ARF議長の役割の強化ぺ一パー」に盛り込まれた役割を果たすに当たり、ARF議長に対するARF参加国の継続的な協力と支援、並びにASEAN事務局の支援が得られるよう求めた。

39.閣僚は、議長が地域の平和と安全に影響を及ぼす国際情勢に対応するに当たり、「フレンズ・オブ・チェア」を活用するとの考えを支持することで合意した。

40.閣僚は、ARFの下に発展してきた信頼のレベルと、ARFが取組を始めた信頼醸成措置と予防外交の重複分野の活動に満足の意を表明した。閣僚は、信頼醸成措置の強化が地域における平和と安定の維持にとって不可欠であると判断し、ARFの信頼醸成措置をさらに強化することを決意した。閣僚は、信頼醸成措置をより強化することの必要性を強調する一方、ARF議長の役割を強化し、ARFプロセスを促進することの意義を強調した。この点に関して、閣僚は、2004年2月に予防外交に関するARFワークショップを主催するとの日本の申し出を歓迎した。

41.閣僚は、ARFにおける予防外交の取組は、朝鮮半島情勢への対応や、国際テロ、国境を越える犯罪、海賊その他の海上犯罪といった共通の安全保障上の脅威への対応においてARFが取った行動や、議長の役割の拡大に当たっての議長に対する支援を通じて、前進しているとした。

42.閣僚は、年次安保概観の発行を歓迎した。閣僚は、この出版物は地域における安全保障問題の透明性の確保と相互信頼の醸成にとって重要な貢献であると述べた。

43.閣僚は、「専門家・著名人(EEP)の登録」の改訂版の発出に謝意を表し、EEP運用ガイドラインを確定するために信頼醸成措置に関するlSG及びARF・SOMが行った各種の努力に留意した。閣僚は、この問題に関する更なる議論を促し、EEPがARFの取組みを促進するために支援することを期待した。閣僚は、信頼醸成措置に関するlSGとARF・SOMが、EEP運用ガイドラインの検討に際して行った取組みを推賞し、ガイドラインを最終確定させるべく更なる協議を促した。

44.閣僚は、バングラデシュ、パキスタン及び東ティモールよりARFへの参加に関する要請が行われた点に留意した。また、閣僚は、ASEAN各国が、モラトリアムを解除し、ケース・バイ・ケースで新規参加者の申請を検討することで合意した点を留意した。閣僚は、ARFへの新規参加国の受け入れについてASEAN外相がコンセンサスに達したというコミュニケを受領した。閣僚は、これら二つの関連する問題について更なる協議を行うことで同意した。

45.閣僚は、高位の軍関係者と政府関係者を招待し「ARF安全保障政策会合」を開催するとの中国の提案を歓迎した。閣僚は、ARF参加国に対して同会合に関するコンセプト・ぺ一パーが配布されることを期待した。

46.閣僚は、ARFプロセスの全般的な進展と、アジア太平洋地域における平和と安定のための場としての有用性が増しつつあることに満足の意を表明した。

47.ARFプロセスの進展を前進させるため、閣僚は、ASEANが引き続きARFにおいて主要な役割を努めること、及び全ての参加国にとって快適なぺ一スで前進することを承認した。