データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第14回ARF閣僚会合議長声明

[場所] マニラ
[年月日] 2007年8月2日
[出典] 外務省
[備考] 外務省仮訳
[全文]

1.2007年8月2日、フィリピンのマニラにおいて、アセアン地域フォーラム(ARF)第14回会合が開催された。本会合では、フィリピン国外務長官アルベルト・ロムロ閣下が議長を務めた。

2.本会合には、ARFのすべての参加メンバーから外務大臣及びEU・CFSP上級代表が出席した。また、ASEAN事務総長も出席した。代表団リストは、別添1のとおりである。

3.2007年8月1日には、マニラにいおいて{前4文字ママ}、第14回ARF会合に出席する防衛・軍事当局者の会合も開催された。

4.閣僚は、スリランカがARFの第27番目の参加国としてARFに参加することが認められたことを歓迎し、スリランカより、ARFの目標の達成に貢献し、ARFによって既に行われた全ての決定及び声明に従い、且つ、これに同意するとのコミットメントが表明されたことに留意した。

ARFプロセスの概観

5.閣僚は、地域の主たる多国間の政治・安全保障に関するフォーラムとしてのARFの重要性を再確認するとともに、その更なる強化につき同意した。閣僚は、ARFの主要な原動力としての役割を果たすASEANへの支持を改めて表明し、ARFのすべての出席者に対し、ARFの発展段階に向けた進化の中でARFプロセスを前進させるため引き続きの協力と貢献を強く促した。

6.閣僚は、政治・安全保障に関する対話及び協力並びにアジア太平洋地域における信頼醸成の増進において、ARFで大きな進展が見られたこと及びこのためにARFが果たしてきた役割に満足しつつ留意した。閣僚は、コンセンサスによる意思決定及び内政不干渉の基本原則を引き続き誠実に遵守していくことに同意した。この関連で、閣僚は、ARFがすべての参加国にとって快適なペースで前進すべきであることを再確認した。

7.閣僚は、共通の関心事につき包括的な議論を行い、ARFがその議論を地域問題、特にアジア太平洋地域及び地域に影響のある国際問題に集中させることが必要であることを強調した。閣僚は、アジア太平洋地域が直面している挑戦はより複雑且つ相互に関連するようになっており、一層の地域協力が必要となっていることを認識した。

地域的及び国際的な安全保障問題に関する議論の主要点

8.閣僚は、第10回ASEAN首脳会合で採択された「ビエンチャン行動プログラム」に基づく「ASEAN安全保障共同体に向けた行動計画」の実施に大きな進展があったことに支持を表明するとともに、満足した。閣僚は、地域の平和、安定、民主主義及び繁栄の維持及びさらなる前進のための取組において安全保障分野における協力を強化する必要性を強調した。さらに閣僚は、2007年3月23日から25日にバリで第1回ASEAN国防大臣リトリート会合が成功裏に開催されたことを歓迎した。

9.閣僚は、東南アジア地域における国家間関係を統括し、東南アジア諸国間及びASEANと他のARF参加国との間における協力、親善及び友好を促進するための極めて重要な行動規範として機能する、東南アジア友好協力条約(TAC)の目的及び原則の重要性を再確認した。閣僚は、第12回ASEANサミットの場において2007年1月13日にフランスと東ティモールがTACへ加入したことを歓迎した。2007年8月1日のスリランカとバングラデシュのTACへの加入は、地域の平和、安全及び安定のためにTACが引き続き意義あることのさらなる証左である。さらに閣僚は、EUのTACへの早期加入を希望する。

10.閣僚は、朝鮮半島の非核化が、アジア太平洋地域の平和と安定の維持のために極めて重要であることを強調し、核問題の対話と交渉を通じた平和的解決に対する支持を表明した。

11.閣僚は、寧辺の核施設における活動の停止を検証した国際原子力機関(IAEA)の報告を歓迎した。閣僚は、北朝鮮が全ての核計画の完全な申告及びすべての核施設の無能力化を行うとの約束を真剣に履行するという北朝鮮の発表を歓迎した。閣僚は、六者会合に対する支持を改めて表明するとともに、六者が2005年9月19日の共同声明及び2007年2月13日に達成された合意における約束を「行動対行動」の原則に従い真剣に実施するとの、2007年7月18日から20日まで中国の北京で行われた第6回六者会合に関する首席代表者会合において達成された合意を歓迎した。

12.閣僚はまた、国際社会の人道上及び人的な懸念の問題に対処することの重要性を強調した。

13.閣僚は、ミャンマーでの最近の進展について意見交換を行った。閣僚は、民主主義へのロードマップに想定している国民和解プロセス及び民主主義への平和的移行における最近の動向についてのミャンマーの説明に留意した。閣僚は、国民和解プロセスの進捗の速度に懸念を表明し、近い将来に民主主義への平和的移行につながる目に見える進展が見られることを強く促した。閣僚は、2007年7月18日に始まった国民会議最終会期の開会を歓迎し、国民会議プロセスが2か月以内に終了されるというミャンマーによる確約に勇気づけられた。さらに閣僚は、これによりミャンマーがロードマップの次の段階へ進むことになることを希望した。閣僚は、拘束されている者の早期解放及び全ての関係する当事者との効果的な対話への呼びかけを繰り返した。

14.閣僚は、ミャンマーが多くの複雑な課題に対処するためのミャンマーの取組が成功することによって、ミャンマーが国際社会に効果的に関与できるようになることに期待を表明し、この関連で、ARFは必要に応じ引き続き建設的に関与していく。

15.閣僚は、東ティモールの大統領選挙及び国民議会選挙が、平和的且つ成功裏に行われたことを歓迎した。東ティモールは、選挙監視を含め、東ティモールが受けた国際的な支援に感謝を表明した。

16.閣僚は、タイにおける憲法起草の終了及び、2007年8月19日に実施される国民投票を含む最近の政治的展開についてのタイ外相による説明を歓迎した。閣僚は、2007年12月に実施が予定されているタイの総選挙を強く促すことを表明した。

17.閣僚は、南シナ海における関係国の行動に関する宣言が、同地域における紛争の平和的解決を確保するための集団的なコミットメントを具体化する、ASEANと中国間の道標文書として継続して妥当性を有することを再確認した。閣僚は、同宣言が同地域の主張国間の信頼・信用を醸成する上で、また、域内の平和と安定を維持する上で効果的であることを認識した。閣僚は、宣言の実施に向けての取組を強化し、究極的に南シナ海における地域的行動規範を締結する必要性について楽観的である旨表明した。

18.閣僚は、すべての当事者による自己抑制の継続的実施と、この地域における信頼醸成措置の促進を促し、南シナ海における紛争を、行動規範の精神と国連海洋法を含む国際法によって認められている原則に従って、平和的方法によって解決するとのすべての当事者によるコミットメントを歓迎した。

19.閣僚は、大洋州諸国が直面する安全保障上の課題、及び国際社会がより良い援助協調等を通じて政治的安定と社会経済発展を確保するために建設的な役割を果たす必要を認識した。

20.閣僚は、中東情勢、及び中東における公平、永続的且つ包括的な和平に向けた取組についての実質的進展の必要性に対し、深い懸念を表明した。閣僚は、カルテットが2007年7月19日にリスボンにおいて、ロードマップ及び国連諸決議に則った包括的、公平且つ永続的な中東和平に向けた一歩として、イスラエル・パレスチナ紛争を終結させ、平和と安全のうちにイスラエルと共存する、独立し、民主的且つ自立可能なパレスチナ国家の樹立に向け真剣に取り組むことに対し、そのコミットメントを再確認したことを歓迎する。閣僚は、中東情勢、及び中東における公平、永続的且つ包括的な和平に向けた取組についての実質的進展の必要性に対し、懸念を表明した。閣僚は、カルテットが、ロードマップ、アラブ和平イニシアティブ及び関連する国連諸決議に則った、中東における包括的、公平且つ永続的な和平に向けた一歩として、イスラエル・パレスチナ紛争を終結させ、平和と安全のうちにイスラエルと共存する、独立し、民主的且つ自立可能なパレスチナ国家の樹立に向けた基盤を築くことに対し、そのコミットメントを再確認したことを支持する。閣僚はまた、2007年7月16日にブッシュ大統領が行ったイスラエル・パレスチナ紛争に関する国際会議についての最近の呼びかけを歓迎し、その会議がパレスチナ国家の樹立及び紛争の終結に向けた取組を進展させようとする当事者間の協議や交渉への外交的支援となることを希望する旨表明した。

21.閣僚は、イランが濃縮関連活動を停止していないとの2007年5月の国際原子力機関(IAEA)事務局長報告に深い懸念を表明した。閣僚は、イランがすべての関連する国連安保理決議とIAEAの要求事項及び決議を遵守するように強く促した。閣僚は、国連安保理常任理事国とドイツを代表してイランとの交渉を開始するためのEUによる最近の取組を歓迎した。閣僚は、保障措置の下で核兵器不拡散条約の義務に従ったイランの原子力エネルギーの平和的利用の権利を尊重しつつ、国際社会の懸念に対処するための外交的解決の早急な必要性を強調した。

22.閣僚は、イラクの状況に憂慮を表明し、イラク政府及び安全で安定、繁栄した統一されたイラクを追求するイラク政府の取組への支援を再確認した。閣僚は、イラクにおける平和、治安と発展を実現させるために極めた重要な国民融和と復興の促進に向けたバグダッド及びシャルム・エル・シェイクでの国際会議の結果を歓迎した。

23.閣僚は、アフガニスタンの平和と発展のための継続的な支援を強調した。アフガニスタンの安定は、より広い地域にとって死活的であり、閣僚は、ARF参加国がアフガニスタンに関与する方法を検討するように促した。

24.閣僚は、大韓民国の国民と政府との連帯を表明し、アフガニスタンにおける大韓民国国民に対する誘拐行為を非難し、また、2名の人質の残忍な殺害を最も強い調子で非難した。閣僚は、すべての人質の即時、無条件及び安全な解放を求めた。閣僚は、殺害された犠牲者の家族及び友人に対して最も深い同情の意を表明した。

25.閣僚は、テロリズムがその起源、動機また目的にかかわらず、すべての人々、国に対する、及び平和、安定、安全及び経済的繁栄を確保する上での国際社会の共通する利益に対する脅威であることを再確認した。さらに閣僚は、あらゆる形態及び様態のテロリズムを引き続き強く非難することを強調し、テロリズムを特定の宗教や民族と関連づけるべきではないことに合意した。閣僚は、宗教、文化及び文明間の対話を促進・強化し、理解を広めるための継続的な国際的取組への支持を表明し、さらなる呼びかけを行った。さらに閣僚は、国連憲章及びその他の普遍的に認められている国際法にしたがって、国際テロリズムを予防、抑止及び撲滅することへのコミットメントを再確認した。

26.閣僚は、フィリピンのセブにおける第12回ASEAN首脳会議において、テロの根絶のためのASEANのコミットメントに焦点を当てるASEANテロ防止条約の署名を歓迎した。さらに閣僚は、国連グローバル・テロ対策戦略の実施を強く促した。閣僚は、テロ対策における国際的な法的基盤を引き続き強化していく必要性を強調し、包括テロ防止条約を遅滞なく採択することを強く促した。

27.更に閣僚は、クアラルンプールの東南アジア地域テロ対策センター(SEARCCT)、バンコクの国際法執行アカデミー(ILEA)、インドネシアのスマランのジャカルタ法執行センター(JCLEC)、上海協力機構(SCO)の地域反テロ機構(RATS)などのテロ対策に関する地域センター間の協力に支持を表明し、継続的な協力を呼びかけた。

28.閣僚は、小型武器の非合法な使用が、世界のすべての地域で人間の安全保障に対する重大な脅威となっていることを認識した。閣僚は、「小型武器非合法取引の防止、除去及び撲滅のための国連行動計画」及び国連決議61/66の履行に向け努力するとのARFの強いコミットメントに満足しつつ留意した。

29.閣僚は、テロリスト又はその他の非国家組織が携帯式地対空ミサイル(MANPADS)を獲得し、または使用することを防ぐにあたり、MANPADSの移転管理を強化することが重要であると再確認した。閣僚は、MANPADSの非国家組織への拡散は、国際民間航空及び地域のすべての国に対する脅威であることに留意した。

30.閣僚は、ARFが海上の安全保障の問題に継続的に焦点を当て議論することを歓迎し、この問題を、国際法に従い沿岸国の権利及び利用国の正当な問題意識を尊重する協力的な枠組みの中で取り扱うことの重要性を再確認した。この関連で、閣僚は、2007年1月22日から23日までのシンガポールにおける海上の安全保障沿岸訓練の開催を歓迎し、将来更なる具体的、実際的活動へ発展することを期待した。閣僚は、地域及びマラッカ海峡における海賊事件が主に沿岸国間の協力により最近数年間に大幅に減少したことに留意した。

31.閣僚は、大量破壊兵器及びその運搬システムの拡散は、テロリストによる使用の可能性も含めて、依然として深刻な安全保障上の課題であると述べた。閣僚は、すべての国に対し、核テロリズムと闘うための最新の2本の普遍的文書、すなわち、2005年4月13日に国連総会で採択された「核によるテロリズムの行為の防止に関する国際条約」及び2005年7月8日にウィーンで採択された「核物質の防護に関する国際条約の改正」を締結するよう強く促した。閣僚は、安保理が国連安保理決議1540の要請を改めて強調した国連安保理決議1673を想起し、その上で、特に非国家主体に対するものを含め、大量破壊兵器及びその運搬システムの拡散防止に向けた国際社会の決意を再確認した。かかる観点から、閣僚は、1540委員会及びARFの取組への支持を表明し、すべての国が効果的且つ完全な決議の実施を確保することの重要性を強調した。

32.核兵器不拡散条約(NPT)の締約国の閣僚は、同条約が地球規模の安定と安全のための基礎として有効であることを再確認し、2005年の運用検討会議と2007年の2010年運用検討会議第1回準備委員会における議論を念頭において、NPTを更に強化するための一層の取組の必要性を表明し、また同条約のすべての規定の遵守とその履行を強化するために更なる取組を行うことについて合意した。閣僚は、包括的核実験禁止条約の早期発効の必要性を強調し、核実験に関する既存のモラトリアムを求めた。さらに多くの閣僚は、ジュネーブ軍縮会議において核分裂性物質生産禁止条約の交渉が開始するまでの間、核兵器用核分裂性物質の製造に関するモラトリアムを設立し維持することを呼びかけた。閣僚は、核拡散を防止し、核軍縮及び原子力エネルギーの平和的利用を促進する上でのNPT及び国際原子力機関(IAEA)の重要な役割に対する継続した支持を強調した。

33.閣僚は、地域の関係国間で自発的に達成された取り決めに基づき設置され、国際的に認識された非核兵器地帯(NWFZs)という概念に対する支持を再確認し、このような地帯が地球規模のそして地域の平和と安全保障の強化に貢献することを強調した。さらに閣僚は、東南アジア非核兵器地帯条約の議定書について、核兵器国と条約締約国との間で引き続き協議することが重要であることを改めて確認した。この関連で、閣僚は、第40回ASEAN閣僚会合に合わせた2007年7月29日の東南アジア非核兵器地帯条約委員会の会合を歓迎した。

34.閣僚は、密入国や人身取引が引き続きの懸念であることに留意した。閣僚は、密入国、人身取引及び関連の国境を越える犯罪に関するバリプロセスが地域協力のための有益なフォーラムであることを認識した。

35.閣僚は、鳥及び新型インフルエンザが引き続き地域各国に対して重大な潜在的脅威となっていることにつき合意した。閣僚は、すべてのARFのイニシアティブが、既存のイニシアティブと重複するのではなく、それらを補完するものとなるように既存の多国間機関と連携することの重要性を認識した。閣僚は、国がヒトや動物のインフルエンザの発症事例に関する報告に関する報告における透明性を確保することの重要性について合意し、WHOと国際獣疫事務局(OIE)との迅速な疫学データの共有、新興の伝染病の予防、封じ込めのための能力開発、潜在的な発生に対する早期介入を行うことを強調した。さらに閣僚は、気候変動について協議し、適切な対応についてコンセンサスを形成する必要性に合意した。

36.閣僚はエネルギー安全保障が重要であることに留意し、再生可能なエネルギー及び代替エネルギー並びにエネルギー効率化技術の開発の必要性を強調し、エネルギーの通過ルートの安全保障を求めた。この関連で、閣僚は、2006年10月5日から6日にベルギーのブラッセルで開催された第1回ARFエネルギー安全保障セミナーが、エネルギー安全保障に関する将来の意見交換の基礎をつくるために有益であったとして歓迎した。

現インターセッショナル年度(2006年7月‐2007年7月)における活動

37.閣僚は、現インターセッショナル年度(2006年7月‐2007年7月)の間に開催されたトラックI及びトラックII活動の成功に満足を表明した。閣僚は、マニラにおける2007年5月25日のARF高級事務レベル会合(SOM)、インドネシア及びEUの共同議長により、インドネシアのバタム島で2006年11月1日から3日まで、及びフィンランドのヘルシンキで2007年3月28日から30日まで開催された「信頼醸成措置及び予防外交に関するARFインターセッショナル支援グループ(ISG on CBMs and PD)」での作業を賞賛した。閣僚は、共同議長報告に留意し、その勧告を承認した。SOM議長報告は別添2のとおり、ISG共同議長報告は別添3のとおり。

38.閣僚は、ARFプロセスにおける防衛当局者による貢献を歓迎した。この点に関し、閣僚は、2007年5月24日に、フィリピンの主催によりマニラで行われた第4回ARF安全保障政策会議(ASPC)の成果につき満足した。閣僚は、ARFの防衛政策当局者間のハイレベルの交流が信頼醸成と相互理解の更なる促進に貢献し、これによりアジア太平洋地域及び世界の平和と安定の維持に貢献している点につき満足しつつ留意した。ASPCの議長サマリー報告は別添4のとおり。

39.閣僚は、災害の救援、逓減及び管理において協力を促進する重要性を強調しつつ、地域で発生した一連の自然災害を懸念をもって留意した。この関連で、閣僚は、2006年9月18日から9月20日に中国・青島で開催され、インドネシア及び中国が共同議長を務めた、「災害救助に関する第6回ARFインターセッショナル会合(ISM on DR)」の成果を歓迎した。共同議長報告は別添5のとおり。閣僚は、豪州、中国、EU、インドネシア、マレーシア及び米国が、災害救援においてARFの活動を更に進めるための当面の取組の調整役となることを引き受けたことに留意した。さらに閣僚は、「災害救援協力に関するARF一般ガイドライン」を、別添6のとおり採択した。この関連で、閣僚は、来年、机上訓練を通じて標準作業手続きを策定するとの豪州とインドネシアのイニシアティブを歓迎した。さらに閣僚は、フィリピンと米国による2009年災害救援訓練についての計画を歓迎した。

40.閣僚は、2007年5月2日から4日までシンガポールで開かれた「テロ対策及び国境を越える犯罪に関する第5回インターセッショナル会合(ISM on CTTC)」におけるシンガポール、日本及びロシアによる共同議長報告を歓迎し、その勧告を承認した。共同議長による報告は別添7のとおり。さらに閣僚は、テロ対策及び国境を越える犯罪に関するARF協力枠組み(リスト)を承認し、その実施を監督し維持する作業を事務方に課した。枠組みリストは別添8のとおりであり、ARFのこれまでの声明で既に合意されたテロ対策及び国境を越える犯罪におけるARFのコミットメントを編集したものである。枠組みリストは、2006年に北京で開催された「テロ対策及び国境を越える犯罪に関する第4回ARFインターセッショナル会合」において要請され、ASEAN事務局のARFユニットによって準備された。さらに閣僚は、異文明間の対話の促進に関するARF声明を採択した。声明は別添9のとおり。

41.閣僚は、別添10のとおり国連安保理決議1540の国内実施を支援するARF声明を採択した。閣僚は、2005年11月17日から19日までシンガポールで開催されたARF輸出ライセンス専門家会合の結果である「輸出管理に関するベスト・プラクティス」に関するペーパーを了承した。同ペーパーは別添11のとおり。

42.閣僚は、2006年/2007年のインターセッショナル年度に完了した以下の諸活動に留意した。

‐第10回国防大学等学長会議(2006年9月4日‐7日、マレーシア・クアラルンプール)

‐サイバーの安全に関するセミナー(2006年9月6日‐8日、インド・ニューデリー)

‐SARSや鳥インフルエンザなど伝染病の拡大の防止および管理における軍民協力の役割に関するセミナー(2006年9月14日‐15日、ベトナム・ハノイ)

‐エネルギー安全保障に関するセミナー(2006年10月6日‐7日、ベルギー・ブラッセル)

‐備蓄安全管理に関するワークショップ:携帯式地対空ミサイル、小型武器(2006年10月11日‐13日、タイ・バンコック)

‐海上の安全保障の訓練計画会合(2006年12月7日‐8日、シンガポール)

‐海上の安全保障沿岸訓練(2007年1月22日‐23日、シンガポール)

‐第2回専門家・賢人会合(2007年2月5日‐6日、フィリピン・マニラ)

‐国連安保理決議1540の履行に関するワークショップ(2007年2月13日‐15日、米国・サンフランシスコ)

‐第1回平和維持活動のための専門家会合(2007年3月7日‐9日、マレーシア・ポートディクソン)

‐平和維持活動に関するセミナー(2007年4月26日‐28日、インド・ニューデリー)

次期インターセッショナル年度の作業計画

43.閣僚は、「信頼醸成措置及び予防外交に関するインターセッショナル支援グループ(ISG on CBMs and PD)」が予防外交に向かい前進しつつ、引き続き信頼を醸成することに合意し、ブルネイ及び加が次期インターセッショナル年度において「ISG on CBMs and PD」の共同議長を務める旨の申し出を歓迎した。閣僚は、第1回ISG on CBMs and PD会合が暫定的に2007年11月1日から2日にバンダル・スリ・ブガワンにおいて、第2回会合が2008年4月3日から4日に加で開催されることにつき留意した。

44.閣僚は、「災害救援に関する会期間会合(ISG on DR)」を継続する重要性を認識し、「ISG on DR」が、地域の災害リスク削減及び緊急事態管理を促進するための方途を見出すために引き続き取り組むべきことにつき合意した。閣僚は、インドネシア及びEUが2007年10月にフィンランドのヘルシンキで開催される次期「ISG on DR」の共同議長を務めるとの申し出を歓迎した。

45.閣僚は、テロ及び国境を越える犯罪との闘いにおける協力の更なる強化を進めるために、「テロ対策及び国境を越える犯罪に関する会期間会合(ISM on CTTC)」が、その作業を継続すべきであることにつき合意した。閣僚は、2007年10月に第6回「ISM on CTTC」の共同議長を務めるとのインドネシア及びインドの申し出を歓迎した。

46.閣僚は、別添12のとおり会期間会合(ISM)にシェパード・グループを設立するとの提案に関心をもって留意し、次期インターセッショナル年度において提案についての議論を継続するように高級事務レベルに作業を課した。

47.閣僚は、ARFの活動にかかるすべての提案は最初にインターセッショナル支援グループ・レベル/インターセッショナル会合レベルで議論され、高級事務レベル会合で合意されなければならないとの手続きを再確認した。

48.さらに閣僚は、意思決定の簡素化に関するEUの事前概念ペーパーを関心をもって留意し、次会期において議論を継続するように高級事務レベルに作業を課した。同概念ペーパーは別添13のとおり。

49.閣僚は、不拡散問題に関する会期間会合(ISM)を設立する旨の、米国、中国及びシンガポールによる提案に留意した。閣僚は、本問題に関する新しいISMの原則に広範な支持を表明したが、そのような会合の付託事項に関する更なる協力が必要とされた。閣僚は、次期インターセッショナル年度において提案についての協議を継続するように高級事務レベルに作業を課した。

50.閣僚は、別添14にある次期インターセッショナル年度(2007年7月‐2008年7月)の作業計画を承認した。

ARFプロセスの将来の方向性

51.閣僚は、2000年7月31日にブルネイで採択された「ARFプロセスのストックテーキングに関する9つの提言」を引き続き実施することにつき合意した。閣僚は、ARF議長が「ARF議長の役割の強化」に関するペーパーに記されたマンデートを実施するにあたって、更に同議長に対する協力及び支援を行っていくことに合意した。この関連で、閣僚は、「ARF議長フレンズの付託事項」を採択した。同付託事項は別添15のとおり。

52.閣僚は、既に採択された「予防外交の概念と原則」に従った予防外交に向けたARFの進展を歓迎し、予防外交に関わる厳選された国際・地域機関によるベスト・プラクティス及び教訓についてASEAN事務局のARFユニットによって実施されARF基金によって資金を提供される予定の調査を含め予防外交における具体的な措置を引き続き発展させることに期待を示した。

53.閣僚は、別添16に言及されているARFの将来の方向と専門家・賢人(EEP)の役割に関する第1回EEP会合の勧告の実行可能性についてのARF高級事務レベルの評価と検討を採択した。さらに閣僚は、第2回EEP会合がフィリピンと韓国との共同議長によって2007年2月5日から6日までマニラで開催されたことを歓迎した。閣僚は、ARF高級事務レベルに対して、第15回ARF閣僚会合において第2回EEP会合の勧告の実行可能性についての評価を提出するよう求めた。

54.閣僚は、ARF参加メンバー間の透明性及び信頼醸成を促進するため、「ARF年次安保概観(ASO)」を引き続き発行することにつき同意し、ASO第8巻の発行を歓迎した。

55.閣僚は、安全保障にかかる他の地域的機関及び国際機関との連携、及びトラックIとトラックIIとの連携の強化を継続する必要性を強調した。閣僚は、第13回ARFにおいて採択された「ARFにおけるトラックIとトラックII及び安全保障にかかる他の地域的機関及び国際機関との連携強化」に関するコンセプトペーパーの実施のための本会期間になされた措置を歓迎し、関連するARF機関に対し、そこに示されるガイドラインと形式に従ってその実施を継続する任務を与えた。

56.閣僚は、オン・ケン・ヨンASEAN事務総長としての2002年から2007年の貢献に対して感謝を表明した。

57.閣僚は、ARFユニットがARF議長を支援し、ARFの組織的な記憶を発展させていることを賞賛した。これには、定期的に更新される「ARFの決定及びその現状に関する一覧表」(ARFネットで入手可能)や、http://www.aseanregionalforum.org/におけるARFインターネットホームページ及び仮想通信ネットワークの進展が含まれる。閣僚は、いくつかのARF参加メンバーがARFユニットに対し支援を行っていることを確認し、他の参加メンバーにも同様のことを行うよう奨励した。

58.閣僚は、ARFのプロジェクト、活動及び決定を実施する目的のためのARF基金に対するインドネシア、パキスタン、フィリピン、ニュージーランド、シンガポール及び米国の自発的貢献を歓迎し、ARF参加国に対して将来の貢献をすることを検討するように強く促した。

59.閣僚は、ARFへの参加申請は、確立された基準に従い、各事案毎に考慮されることに留意した。この関係で、閣僚は、当分の間ARF活動を強化し新規参加を後の時期に検討する必要性に同意した。

60.閣僚は、ARFプロセスの進展に関する率直な対話に満足の意を表明するとともに、参加メンバー間相互の信頼及び信用を引き続き醸成しつつ、コンセンサスの原則に則り、且つすべての参加メンバーにとって快適なペースで、ARFプロセスを予防外交の段階、さらにはその先に向けて前進させるとの決意を示した。