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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] カンボディア独立のためのASEAN5ヵ国外相共同アピール

[場所] バンコク
[年月日] 1983年9月21日
[出典] 外交青書28号,507−508頁.
[備考] 要旨
[全文]

1.カンボディア問題の中心は「カンボディア」国家の生存と独立・主権の回復である。カンボディアが独立・主権国家として生き残るための必須要件は、外国軍隊の完全撤退、民族自決の実施及び国民的和解である。

 外国軍隊によるカンボディア占領及びカンボディアの主権・独立・領土の侵害の継続は、地域的・国際的平和と安全を脅かしている。

2.よってASEAN5か国外相は、関係諸国、特に越及び安保理常任理事国に対し、カンボディアが再び法的にも、実体的にも独立主権国家としてよみがえるような公正な解決の達成のため、一層の努力を傾けるよう求める。

3.カンボディアの独立・主権・領土の回復のため5か国外相は、全関係諸国に対し、カンボディアの内政に対する直接・間接の介入を控え、東南アジアの全ての国の安全にとり不可欠であるカンボディアの中立・非同盟という立場を尊重するよう訴える。

4.カンボディアより外国軍隊の完全撤退後、カンボディア国民は、国際的監視下での選挙を通じ、民族自決権を行使し得ねばならない。

5.5か国外相は、現在の国際的努力を踏まえカンボディア問題の包括的政治解決を追求していく上でとり得る一次的措置(initial steps)につき、全関係国と喜んで協議する意思のあることを繰り返し表明する。

 これらの措置としては、次のものが含まれ得る。

(A)部分撤退を行うとの越の宣言については、かかる部分撤退は、具体的地域と関連づけて行われるべきであり、タイ・カンボディア国境沿いのカンボディア西部地域からの撤退はそのスタートになり得る。かかる撤退は、それが包括的政治解決の一部となるよう特定期限内に、段階的に、かつ可及的速かに開始さるべきである。

(B)このコンテキストでは、まず撤退地域における停戦が実施され、その上で、かかる地域をUNHCRの後援の下にカンボディア被災民のための安全地帯とすべきである。更に、撤退と停戦及び安全地域が尊重されることを確保するため平和維持軍・部隊を送り込むべきである。かかる安全地帯では、国際的経済援助計画が契励{契はママ}されるべきである。

6.5か国外相は戦争によるカンボディア国民の窮状とカンボディアの経済的再建とカンボディア国民の社会的・文化的生活の再生の必要性を認識し、ここに国際社会に対し、カンボディア問題の包括的政治解決の一部としての援助計画のために資源を動員するよう訴える。カンボディアの再建と再生のための国際会議が然るべき時期に開かれるべきである。