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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日・ASEAN特別外相会議 議長声明

[場所] ジャカルタ
[年月日] 2011年4月9日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文]

 日・ASEANの外相とその代理は、日本を襲った最近の地震・津波の破壊的な影響と地域の他の場所で相次いで起きた自然災害に対応すべく、日・ASEAN特別外相会議のために、2011年4月9日にジャカルタで会合した。ASEAN事務総長も会議に出席した。これは、ASEANと日本が共通の目的のために集まる歴史的な機会であった。

 特別外相会議では、インドネシア共和国大統領が挨拶を行い、とりわけ自然災害に対応する際の、日・ASEAN間の連帯の反映として、この会議の重要性を強調した。大統領は、このような規模の自然災害に効果的かつ適時に対応するには、調整され、統一的なアプローチが必要であることを強調した。また、大統領は、既存のメカニズムと枠組みの上に立って、災害への備えと防災の能力を一層強化する必要性を強調した。

 日本の総理は、ASEANからの温かい支援に対する深甚なる謝意を表明するために、日本の外務大臣を通じてメッセージを伝達し、メッセージはASEAN加盟国によって評価された。

 日・ASEANの外相とその代理は、地域における最近の自然災害、特に2011年3月11日に日本で起きた東日本大震災と津波について意見交換を実施した。外相等は、防災における協力強化の努力について議論した。

 ASEANの外相とその代理は、震災から復旧・復興の努力を行う日本政府・日本国民に対する同情、連帯及び支持を表明した。ASEAN外相とその代理は、日本の早期復興を確信していた。また、ASEANの外相とその代理は、日本の寛大な支援がASEAN各国の開発に大きく貢献してきていることへの謝意と、日本が引き続き地域の発展と安定のために貢献することへの強い期待を表明した。ASEANの外相とその代理は、日本に対する支援・支持を行うことで恩に報いるとの決意を表明した。

 日本の外務大臣はASEAN諸国と国民からの温かい支援への深甚なる謝意を表明し、ASEAN側に最新の状況と共に、災害の被害を克服し、早期の復興を果たすとの日本の決意を説明した。日・ASEAN間の経済的相互依存の深化により、日本の復旧と早期復興とASEANの経済成長は相互に重要であることが留意された。

 出席者間の広範囲の議論を受けて、日・ASEANの外相とその代理は、

・首脳レベルから国民のレベルに至る日・ASEANの間を結びつける強く、特別な絆を反映する、今次特別外相会議の開催を歓迎する。

・自然災害の際に日本がASEAN加盟国に行った変わらぬ支援を想起し、日本の要請に応えて、日本の救援、復旧、復興プロセスを支援するとのASEAN加盟国の強いコミットメントを強調する。

・ASEAN加盟国、特に公共組織及び市民社会から、日本の震災・津波で被害を受けた人々への温かい支援に留意する。

・自然災害への地理的な脆弱性を認識しつつ、防災における日・ASEANの将来の協力を促進するとの日・ASEANのコミットメントを再確認する。

・防災能力を促進・強化するASEANの努力への支援を一層強化するとの日本の決意を歓迎する。

・とりわけ、東日本大震災を含む経験・教訓の共有、災害時の迅速かつ円滑な意思疎通の確保、適時に支援の流れを円滑化する調整の仕組みの強化、災害対策、緊急対応、救援、復興努力のための訓練・能力構築プログラムの実施などの協力強化の必要性を強調する。

・日・ASEANの戦略的パートナーシップ、ASEAN+3、東アジア首脳会議、災害救援演習(DiREx)の定期的開催を含むASEAN地域フォーラム等、様々な地域の枠組みの下で、既存の防災協力を一層強化する必要性を強調する。

・ASEAN防災・緊急対応協定(AADMER)の完全な実施及び、リスクの特定とモニタリング、地域の待機制度、共同災害救援・緊急対応を支援することになるASEAN防災人道支援調整センター(AHAセンター)の運用の重要性を強調し、専門家の派遣を含むこのプロジェクトを完全に支援するとの日本の意欲を評価する。

・同様に、人間の安全保障を重視した災害に強い社会を継続的に推進する必要性を認識する。

・原子力発電所の事故への対応について、総力を挙げて事態収拾に最大限の努力を行うとの日本の決意と、国際社会に対して最大限の透明性を持って情報提供を行っていくとの日本の保証を評価しつつ認識し、日本がそうした情報を国際社会に提供し続けることを信頼する。

・原子力発電所の安全性向上のための国際的取組に主導的役割を果たすとの日本の決意と、事故から学んだ経験をASEAN加盟国と共有するとの日本の意思を支持する。

日・ASEANの外相とその代理は、日・ASEAN間の戦略的パートナーシップに関する新たな日・ASEAN宣言案や2011年から2015年の行動計画案及びASEAN連結性マスタープランの実施を支援するとの日本の強固で変わらぬコミットメントを含む、他の問題についても意見交換を実施した。

 外相は、ASEAN事務総長に対して、ASEAN加盟国と緊密に協力しながら、日本の救援・回復努力及び中長期的な復旧・復興計画へのASEANのありうべき支援の調整強化を促進するよう要請した。

 外相は、さらに、ASEAN事務総長に対して、2011年7月の日ASEAN外相会議および第18回、第19回ASEAN首脳会議に、ASEANの努力の最新情報を報告するよう要請した。

 外相は、思いやりと絆から生じる決意と協調した努力によって、日本が復興し、ASEANのより強固なパートナーとなることを確信した。ASEAN外相は、日本国民が困難な状況を克服するかかる努力において、ASEANが常に日本国民とともにあるとのメッセージを日本国民に伝達した。