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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉の基本指針及び目的

[場所] カンボジア・プノンペン
[年月日] 2012年11月20日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文] 

「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)に関するASEANの枠組み」を認識しつつ、RCEP交渉を立上げる目的は、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国及びASEANのFTAパートナー諸国の間で、現代的な、包括的な、質の高い、かつ、互恵的な経済連携協定を達成することである。RCEPは物品貿易、サービス貿易、投資、経済及び技術協力、知的財産、競争、紛争解決及びその他の事項を含む。

RCEP交渉に当たっては、新たな地域的経済構造におけるASEANの中心性、及び、参加国間の経済統合、衡平な経済発展及び経済協力強化を支援し、貢献することについてのASEANのFTAパートナー諸国の利益を認識する。

RCEP交渉は次の原則を指針とする:

1. RCEPはGATT第24条、GATS第5条を含むWTOと整合的である。

2. RCEPでは、参加国の個別のかつ多様な事情を認識しつつ、既存のASEAN+1FTAよりも相当程度改善した、より広く、深い約束がなされる。

3. RCEPは、貿易及び投資を円滑化する規定、参加国間での貿易及び投資関係の透明性を向上する規定、及び国際的、地域的サプライチェーンへの参加国の関与を促進する規定を含む。

4. 参加国の異なる発展段階を考慮し、RCEPは、適用される場合には、既存のASEAN+1FTAに整合的な形で、特別のかつ異なる待遇並びにASEAN加盟国の後発開発途上国に対する追加的な柔軟性についての規定を含む適切な形の柔軟性を含む。

5. ASEAN+1FTA及び参加国間の二国間・多数国間FTAは存続し、RCEP協定のいかなる規定もこれらの二国間・多数国間FTAの条件に影響を及ぼすことはない。

6. 当初から交渉に参加しなかったASEANのFTAパートナー国は、他の全ての参加国が合意する条件に従い、交渉への参加が許される。また、RCEP協定には、RCEP交渉に参加しなかったASEANのFTAパートナー国及び域外の経済パートナー国がRCEP交渉完了後に参加できるよう、開かれた加盟条項が設けられる。

7. 技術協力及び能力開発に関する規定は、ASEAN+1FTAを基礎として、全ての参加国が十分に交渉に参加し、RCEPの下での義務を実施し、RCEPの利益を享受できるよう、RCEPに参加する途上国及び後発開発途上国に対して利用可能となり得る。

8. 包括的かつバランスのとれた成果を確保するため、物品貿易、サービス貿易、投資及びその他の分野の交渉は並行して行われる。

I. 物品貿易

RCEPは、参加国の間で自由貿易地域を構築するために、実質上全ての物品貿易についての関税及び非関税障壁を漸進的に撤廃することを目指す。

関税交渉は包括的なものとして行われる。このような交渉は、RCEP参加国の既存の自由化レベルを基礎として、また、品目数及び貿易額の双方で高い割合の関税撤廃を通じて、高いレベルの関税自由化を達成することを目指すべきである。関税の譲許は、地域的な経済統合の利益の最大化を追求すべきである。

ASEANの後発開発途上国*1*の関心品目の早期関税撤廃は、優先事項とする。

II. サービス貿易

RCEPは、包括的でかつ質が高く、また、RCEP参加国の間でのサービス貿易に関する制限及び/又は差別的な措置を実質的に撤廃する。

RCEPの下でのサービス貿易に関する規則及び義務は、サービスの貿易に関する一般協定(GATS)に整合的であり、GATS及びASEAN+1FTAにおけるRCEP参加国の約束を基礎として自由化約束の達成を目指す。全ての分野と提供形態が交渉の対象となる。

III. 投資

RCEPは、地域において自由な、円滑な、かつ、競争力のある投資環境を作り出すことを目指す。RCEPにおける投資交渉は、促進、保護、円滑化、自由化の4つの柱を含む。

IV. 経済及び技術協力

RCEPにおける経済及び技術協力は、参加国間における開発格差を縮小し、RCEP協定の実施による相互利益を最大化することを目指す。RCEPにおける経済及び技術協力の規定は、ASEAN及びRCEPに参加するASEANのFTAパートナー諸国との間の既存の経済協力の取決めを基礎とする。協力活動には、電子商取引及びRCEP参加国によって合意されるその他の分野が含まれるべきである。

V. 知的財産

RCEPにおける知的財産に関する条文は、経済統合及び知的財産の利用、保護、執行における協力を推進することにより、貿易及び投資に対する知的財産権関連の障壁を削減することを目指す。

VI. 競争

競争に関する規定は、競争分野における能力及び国家制度に関するRCEP参加国の間の大きな差異を認識しつつ、競争、経済効率及び消費者の福祉の促進、並びに反競争的な慣行の抑制に関する協力を行う基礎を参加国に提供する。

VII. 紛争解決

RCEPは、協議及び紛争解決のための効果的な、効率的な、かつ、透明性のあるプロセスを提供する紛争解決メカニズムを含む。

VIII. その他の事項

RCEP交渉は、RCEP参加国間のFTAで包含されており、交渉の中で特定され、及び合意される他の事項を含めることを検討し、かつ、ビジネス実態に即して新たに生じる事項も考慮する。

RCEP交渉は、2013年の早期に開始し、2015年末までに完了させることを目指す。

{*1* 国連経済社会理事会・開発政策委員会によって決められた基準に従う。}