データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日・ASEAN友好協力に関するビジョン・ステートメント実施計画改訂版

[場所] マニラ
[年月日] 2017年8月6日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文]

東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国及び日本の首脳は,「つながる想い,つながる未来」のテーマの下で,日・ASEAN友好協力関係40周年を記念して2013年12月

14日に東京に集まり,日・ASEAN友好協力に関するビジョン・ステートメント及びその実施計画を採択した。

我々は,2015年のASEAN共同体設立に勇気づけられ,ASEAN対話パートナーシップ及び日・ASEAN関係を含む対外関係の更なる深化及び強化の必要性を認識し,友好的で,対等な関係にあり,互恵的でかつ有意義な日・ASEANパートナーシップの重要性を再確認する。我々は,普遍的に認識された国際法の諸原則に従って,地域の平和,安全及び安定を維持すること,並びに武力による威嚇又は武力の行使に訴えることなく,法的及び外交的プロセスの完全な尊重を含め,紛争を平和的に解決することに対する共通のコミットメントを再確認した。

ビジョン・ステートメント及びその実施計画の実施における着実な進展に満足の意をもって留意し,「ASEAN2025:共に前進する」に従って,ASEANの統合プロセスを支援するための協力を更に強化するために,この実施計画改訂版は,2017年8月6日にマニラにおいて,外相により策定され採択された。

この実施計画改訂版は,ASEAN+3,東アジア首脳会議(EAS),拡大ASEAN防衛相会議(ADMMプラス)及びASEAN地域フォーラム等のASEAN主導のメカニズムを通じて協力を更に強化すること,及び,日本が,進化する地域アーキテクチャにおけるASEANの一体性,結束及び中心性を引き続き支持することの重要性を再確認する。

また,この実施計画改訂版は,ASEAN憲章,「ASEAN2025:共に前進する」,東南アジア友好協力条約,互恵関係に向けた原則に関する東アジア首脳会議宣言並びに東アジア首脳会議10周年記念クアラルンプール宣言に規定される目的及び諸原則に対する我々の支持とコミットメントに基づいている。

日本とASEANは,国際法の下でのそれぞれの義務に従い,また国内の法令及び政策に沿って,次の措置を実施する。

1.平和と安定のパートナー

ASEAN政治・安全保障共同体ブループリント2025及び日本の国際協調主義に基づく「積極的平和主義」に沿って,この地域及び世界の利益となる平和,安全及び安定を維持するための強化されたコミットメントを再確認するために,日本とASEANは,

1.1 平和愛好国家としての立場を堅持し,とりわけ普遍的に認識された国際法の諸原則の尊重や,穏健主義の原則の支持等を通じて平和志向の価値を強化し,対話及び協議並びに武力による威嚇又は武力の行使若しくは国際法に一致しない方法によるその他の行動を放棄することを通じたものを含め,普遍的に認識された国際法の諸原則に従って平和的な手段により紛争を解決する。

1.2 ASEAN+3,EAS,ASEAN地域フォーラム,ADMMプラス及びASEAN海洋フォーラム拡大会合の枠組みを通じたものを含め,相互の信頼及び信用を促進する上での協力を強化する。

1.3 ジャカルタにおけるEAS大使級会合を通じたものを含め,地域の平和,安定,経済的繁栄の推進を目的として,幅広い戦略的,政治的及び経済的な共通の関心及び懸念事項について対話及び協力を行うための,ASEANを原動力とする首脳主導のフォーラムであるEASを強化すべく,緊密に協働する。

1.4 アジア太平洋地域において,海洋安全保障及び海上の安全,航行及び上空飛行の自由及び安全,並びに妨げられない通商活動を維持し,国連海洋法条約(UNCLOS)を含む普遍的に認識された国際法の諸原則に従って,武力による威嚇又は武力の行使に訴えることのない紛争の平和的解決を確保するため,対話及び協力を強化する。

1.5 アジア太平洋地域において,海賊対策を含む,海洋安全保障及び海上の安全の維持を支援するため,協力及び対話を強化する。

1.6 ADMMプラス専門家会合の枠組みの下,意見交換及びベスト・プラクティスの共有並びに実際的な協力を通じて,平和維持活動(PKO)の分野における日本及びASEAN加盟国の共同の取組を促進する。

1.7 日本による資金的及び技術的支援並びに能力構築支援を通じた,地域における地雷及び不発弾の人道的な側面に対処するための取組を支援するとともに,ASEAN地域地雷対策センター(ARMAC)による同問題に対処するための取組を支援する。

1.8 テロ及び国境を越える犯罪と闘う協力のための日ASEAN共同宣言,及び,201

8-2022年の「テロ及び国境を越える犯罪と闘う協力のためのSOMTC+日本ワークプラン」の策定を含む同ワークプランに則り,テロ並びにサイバー犯罪,不正薬物取引,人身取引,マネーロンダリング,海賊,海上武装強盗,武器密輸及び国際的経済犯罪等その他の形態の国境を越える犯罪と闘うための協力を一層強化する。

1.9 日ASEANサイバー犯罪対策対話及びそれに限られない方法により,サイバー犯罪の分野における日本及びASEAN加盟国との間の協力を促進するとともに,日本のサイバーセキュリティ分野における開発途上国に対する能力構築支援の基本方針及びASEANサイバーセキュリティ協力戦略等のイニシアティブを通じたものを含め,サイバーセキュリティ分野における協力強化のための方途を探求する。

1.10 東南アジア非核兵器地帯条約(SEANWFZ),国際原子力機関(IAEA)保障措置協定及び追加議定書,並びにその他関連する法的文書等の地域的及び国際的文書に従い,またそれらを更に促進することを通じ,ASEAN加盟国の輸出管理能力の強化及び核セキュリティに関する能力構築及び信頼醸成のための協力を含め,不拡散及び軍縮並びに原子力エネルギーの安全かつ平和的な利用のための関連の措置を履行する努力を強化し,

2020年核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議の成功並びに包括的核実験禁止条約

(CTBT)の早期発効及び普遍化に向けた協力を強化する。

1.11 人権及び基本的自由の促進及び保護を強化するため連携する。これは,ASEAN人権宣言(AHRD),AHRD採択に関するプノンペン声明及び全てのASEAN加盟国が当事国である人権及び基本的自由に関係する関連のASEANの宣言及び文書を更に実施し,普及させるためのASEANによる取組に対する支援を含む。

1.12 女性,子供及び障害者の権利を含む人権及び基本的自由の促進と保護の強化を目的とした研修,能力構築及び技術協力を通じて,ASEAN政府間人権委員会(AICHR)及びASEAN女性と子供の権利の保護・促進委員会(ACWC),並びに,適切な場合には,人権を所掌するASEANの部門別機関の取組を支援する。

1.13 法の支配,司法制度及び法のインフラを強化するために,法律及び司法分野の能力強化を継続する。

1.14 ADMMプラスを通じた防衛交流及び協力を強化し,「ビエンチャン・ビジョン:日ASEAN防衛協力イニシアティブ」の下,能力構築支援,防衛装備・技術協力,共同訓練・演習,人材育成及び学術交流等のASEAN全体の更なる協力を探求する。

1.15 関連するASEANメカニズムを通じた地域における平和及び和解のためのASEANの取組及びASEAN平和和解機構(AIPR)を支援するための協力を強化する。

1.16 AIPR及び適切な場合には市民社会組織及びシンクタンクの関与も得ながら,紛争解決,紛争管理及び地域における平和構築についてのASEANの経験及びベスト・プラクティスについてのセミナー,ワークショップ及び共同研究の実施等の日本とASEANとの共同の事業及び活動を実施するための協力を確立する。

2.繁栄のためのパートナー

包括的経済連携と地域の繁栄のための協力を更に促進するために,日本とASEANは,

2.1 ASEAN経済共同体ブループリント2025に沿って,ASEANの一層の経済統合を加速し,支援する。

2.2 経済全体の成長及びビジネスに資する発展を更に促進するために,とりわけ,日ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定の改正議定書への署名を含めたAJCEP及び既存の経済連携協定(EPA)の活用の強化,並びに,現代的で,包括的な,質の高い,かつ,互恵的な経済連携協定である東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の早期妥結に向けて共に貢献することを促進及び継続すること等を通じて,日本とASEANの双方向の貿易及び投資を加速する。

2.3 日アセアン経済産業協力委員会事務局(AMEICC)と連携して,改訂版日ASEAN10年間戦略的経済協力ロードマップの下での活動の実施を加速し,地域における相互繁栄及び産業発展のために同ロードマップの下での活動を更に改善することを検討する。

2.4 ASEAN連結性マスタープラン2025の実施,質の高いインフラ投資の推進のためのG7伊勢志摩原則に沿った質の高いインフラ投資の促進,及び官民パートナーシップ(PPP)の効果的な活用を含む日本の質の高いインフラ輸出拡大イニシアティブの下での協力の促進を通じて,ASEANの連結性,日ASEAN間の連結性及びより広範な地域の連結性を強化する。

2.5 ASEAN統合イニシアティブ(IAI)ワークプラン3の実施,経済回廊,経済特区,並びに「日メコン協力のための新東京戦略2015」,「日メコン行動計画」及び「メコン産業開発ビジョン(MIDV)」を含む準地域的な協力分野を通じて,地域における開発格差(NDG)を縮小するため協力を継続する。

2.6 包括的な経済的かつ産業的な取組を含み,ハード及びソフトのインフラを改善する「日メコン連結性イニシアティブ」及びMIDVの「ワーク・プログラム」を通じて,メコン地域全体の経済成長の達成のために,生きた連結性の実現に向けた取組を加速する。

2.7 地域における通貨及び金融市場の強靭性を強化するため,日本とASEAN加盟国との間における既存の金融協力を一層強化するとともに,将来の金融協力の可能性を探求する。

2.8 特に人材育成,中小企業協力,地域全体のサプライチェーン・ネットワークの強化生活の質及び経済成長を改善ための新興ビジネスの創出並びに地域的課題の対処により,産業発展を促進する。

2.9 地域の繁栄に貢献するASEANの高等教育,職業及び研究機関におけるものを含め,将来の世代のための産業セクターにおける人材育成及び交流を拡大し,「産業人材育成協力イニシアティブ」,「イノベーティブ・アジア」及び「アセアン工学系高等教育ネットワーク(AUN/SEED-Net)」の実施を通じた協力を探求する。

2.10 特にグローバル・サプライチェーンにおける中小零細企業と産業界とのつながりを強化することを目的とて,中小零細企業の高度化,能力向上,市場及び金融へのアクセス向上を通じたものを含め,中小零細企業との連携及び協力を更に強化する。

2.11 産業強化,裾野産業の育成,日本及びASEANの中小零細企業や地域の多国籍企業を含むサプライチェーン・ネットワークの拡大及び強靭化に向けて,ビジネスセクターによる活用のため,物理的,制度的及び人的連結性の強化,イノベーション並びに技術移転により,「ビジネス・コネクティビティ」を実現する。

2.12 日ASEANセンター及び日本貿易振興機構(JETRO)等による支援を活用することにより,双方向の直接投資を増加させるために,ビジネス慣習や傾向を考慮しつつ,日本及びASEANのビジネス環境を改善する。

2.13 ASEAN及びEASの活動を支援する経済政策のためのシンクタンクとしてのERIAを十分に活用し,ERIAに対し,幅広い政策提言により,地域における一層の経済統合及び公平な経済発展に向けた支援を継続するよう奨励する。

2.14 地域統合の支援,広範な経済成長の実現及びサイバー分野の脅威に対処するための地域のサイバーセキュリティの強化のため,ASEANにおけるブロードバンドへのアクセス及び連結性,料金の低廉化並びに普遍的アクセスを発展させるべく,日・ASEAN情報通信大臣会合(TELMIN+Japan)の枠組み及びASEANICTマスタープラン2020(AIM2020)の実施支援等を通じた,情報通信技術分野の一層の協力を推進する。

2.15 日ASEAN交通連携及びクアラルンプール交通戦略計画(ASEAN交通戦略計画)2016-2025の枠組みの下での活動の実施により,交通分野での連結性を更に強化するとともに,安全で,確実な,環境に優しく,利便性の高い「質の高い交通」を推進する。

2.16 日ASEAN交通大臣会合の下で,とりわけ日ASEAN地域航空協定に関する協議(AJC-RASA)において,より自由で互恵的な日ASEAN航空協定に向け更に議論し取り組むことにより,航空輸送における協力を強化する。

2.17 地域の平和,繁栄及び連結性を強化するため,UNCLOSを含む普遍的に認識された国際法の諸原則並びに国際民間航空機関(ICAO)による関連の基準及び推奨される慣行に従って,上空飛行の自由及び民間航空の安全を確保するための協力を強化する。

2.18 地域統合及びASEAN加盟国の国内改革を促進するため,日本が橋渡し役を務めながら,OECD及びその東南アジア地域プログラム(SEARP)を含む関連の国際機関を通じたASEANへの支援を強化する。

2.19人材育成及びその他の事業により,(i)規制の調和促進,(ii)知的財産権分野を含めた経済及びビジネス分野における法令の整備及び改善,並びに(iii)汚職との闘い,を含む制度整備に関する協力を強化する。

2.20 国際条約加盟のためのあり得べき協力の検討や,特許のワークシェアリングに関するベスト・プラクティスの共有(例:適切な場合には,特許審査及び特許審査ハイウェイについての経験の共有)を含む協力活動により,日本及びASEAN加盟国における知的財産権保護のための協力を強化する。

2.21 該当する場合には,コーデックス委員会,国際獣疫事務局(OIE)及び国際植物防疫条約(IPPC)によって作成された国際基準に関連する国内規制の作成の促進,食品安全を含む貿易や物品における規制及びその適用についての透明性及び予見可能性の強化,並びに,人,動物及び植物の健康を保護しながらの日・ASEAN間の貿易の円滑化等,基準と調和に関する問題において,協力と連携を強化する。

2.22 関税評価,関税分類,原産地規則,通過後審査,リスク評価及び認定事業者(AEO)プログラムといった税関行政の様々な分野における税関協力及び能力構築活動を通じた貿易の円滑化を促進する。

2.23 人的連結性を更に強化し,経済成長を促進するため,ASEANにおけるブロードバンドの普及,料金の低廉化及び普遍的アクセスを強化する取組を支援する。

2.24 ASEAN+3緊急米備蓄(APTERR),ASEAN食料安全保障情報システム(AFSIS),ASEAN統合食料安全保障枠組み,ASEAN地域における食料安全保障に関する戦略的行動計画2015-2020,メコン河委員会(MRC)及びその他の関連するメカニズムを通じ,とりわけ,緊急備蓄,能力構築,経験及びグッド・プラクティスの共有,研究開発並びに持続的な資源管理により,農林水産業及び食料安全保障の分野における協力を強化する。

2.25 官民の連携により,生産から消費に至るフードバリューチェーンに関する協力を促進する。

3.より良い暮らしのためのパートナー人づくりを促進し,社会及び環境問題を克服するために,日本とASEANは,

3.1 日本及びASEAN加盟国の間で,人材育成の継続,戦略的かつ革新的な分野での研究開発における連携の強化,並びに技術の移転及び商用化の促進を通じて,科学,技術及びイノベーションに関する協力を促進する。

3.2 モニタリング・評価及び分析枠組みの策定等を通じたASEAN社会文化共同体ブループリント2025の実施とレビューにおけるASEANの取組を支援する。これは,統計及び研究方法,報告作成並びにデータ管理システムにおける能力構築を含む。

3.3 リスクの特定及び監視,地域待機制度,合同災害救援及び緊急事態対応等の活動を通じて,ASEAN防災緊急対応協定(AADMER)の作業計画2016-2020の実施についての協力を強化し,AHAセンターとASEAN各国の国家災害管理局(NDMOs)の情報通信システムの相互接続と相互運用性の強化を支援するとともに,ASEAN災害緊急ロジスティクスシステム(DELSA)の実施,ASEAN緊急対応評価チーム(ASEAN-ERAT)の能力,「AHAセンター・エグゼクティブ・プログラム」(ACEプログラム)を通じたASEAN災害管理リーダーシップ,地域待機制度及び共同災害救援・緊急対応活動のための標準手順書(SASOP)への貢献の強化を支援する。また,ビエンチャン・ビジョンに基づいた関連活動を通じた更なる協力を探求する。

3.4 ASEAN防災緊急対応協定及びその作業計画並びに仙台防災枠組み2015-2

030に基づき,災害による損失を減少させるため強靱なASEAN共同体の確立に貢献することを目的として,緊急事態への備え並びに緊急対応及び救援の分野における災害管理に関する協力を強化する。

3.5 日・ASEAN情報セキュリティ政策会議及び日・ASEAN情報通信大臣会合(TELMIN+Japan)の枠組みを通じた能力構築,技術協力,共同の意識啓発活動,ベスト・プラクティスの共有枠組みの確立,及び重要インフラ防護(CIIP)に関する情報交換の分野における,ASEANサイバーセキュリティ協力戦略と日本のサイバーセキュリティ分野における開発途上国に対する能力構築支援の基本方針との間の一層の連携を通じたものを含め,日・ASEANサイバーセキュリティ協力に関する閣僚政策会議の共同閣僚声明に従って,サイバーセキュリティ分野における協力を強化する。

3.6 日ASEAN健康イニシアティブに沿って,健康なライフスタイルの促進,病気の予防及びヘルスケア水準の改善のための協力を継続する。

3.7 公的医療保険制度,保健サービスの提供及び人材育成を通じてユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成した日本の経験の共有等を含め,UHCの促進のための協力を継続する。

3.8 公衆衛生上の緊急事態への対応及び備えのための能力を強化すべく,マラリア,HIV/エイズ,結核及び新興・再興感染症を含むその他の感染症等の主要な感染症との戦いにおいて更に協力する。

3.9 全ての人々にとっての技術の恩恵を最大化するため,アジア医薬品・医療機器トレーニングセンター(PMDA-ATC)等のプラットフォームを通じた医薬品及び医療機器の規制,並びにがんや生活習慣病等の予防の分野における研修及び協力を含む,非感染症疾病のための質の高い保健サービス,医薬品及び医療機器の拡大のための協力を促進する。

3.10 日ASEANアクティブ・エイジング地域会合を含む政策対話の促進,モデル事業,日本の地域ベースの統合型ケアシステム等の高齢者関連の制度についての知識共有,人材育成の強化及び民間セクターの促進等の措置通じ,高齢者向けの保健・福祉サービスを改善し,日本及びASEAN加盟国において持続可能な経済成長と共に健康・長寿社会を実現するために,協力を強化する。

3.11 宇宙安全保障や能力構築に関する議論の強化を含む,宇宙活動の安全安定性,持続可能性を確保するための協力を促進する。

3.12 地域における宇宙システムの共同利用・開発の推進及び準天頂衛星システムに関する議論の実施の可能性を含め,宇宙空間の活用に向けての協力を強化する。

3.13 環境に関する教育及び市民の参画等を通じて,環境の保護及び保全並びに天然資源の持続可能な利用及び管理の促進のため一層緊密な協力を構築する。

3.14 気候変動によってもたらされた環境及び社会問題に取り組むために協力及び対話を推進し,低炭素社会の確立における協力を促進することにより,温室効果ガス排出の管理及び削減のための地球規模の取組への協力を継続する。

3.15 清潔で安全な水,清潔な空気,基礎的ヘルスケア,廃棄物管理及び公衆衛生サービス,並びにその他の社会サービスへのアクセスを提供するための協力を促進する。

3.16 水資源管理及び汚水管理における連携を強化する。

3.17 能力構築活動,ERIAの調査研究及びスマート・コミュニティ及び分散型発電の促進等を通じて,適切な場合には,高効率石炭火力発電及び再生可能エネルギーに関する協力を含めエネルギー効率の改善を促進しつつ,省エネ基準の分野におけるエネルギー協力を強化する。

3.18 液化天然ガス,原子力安全及び核セキュリティ,エネルギーの持続可能な利用並びに,再生可能エネルギー,エネルギー・ミックス及びエネルギーの効率性に関する技術開発及び協力の促進における一層の協力を含む,エネルギー安全保障についての意識啓発並びに経験及び知識の共有を促進する。

3.19 貧困,失業,社会的保護及び高齢化等の都市化に関連する課題への対処,並びに環境に優しいエネルギー,省エネ,都市公共交通,都市の廃棄物処理及び都市生態系保全の促進を通じた都市管理に関する協力の推進における協力を強化する。

3.20 「日本ASEAN女性起業支援基金」を通じた連携の探求を含め,女性の政治的,公共セクター,経済的及び社会・文化的開発への参加のために女性のエンパワーメントのための協力を強化する。

3.21 関連する課題についての会議の開催並びに研修及びセミナーの実施等を通じ,社会保障,雇用,人材育成の分野における対話と協力を強化する。

3.22 特に日本及びASEANの国民の福利と生活を更に改善するために,ASEAN社会文化共同体ブループリント2025の実施を通じた,持続可能な開発のための2030アジェンダ実現のための協力を強化する。

4. 心と心のパートナー相互信頼及び「心と心の」理解を引き続き高め友情を育むために,新たなアジアの文化を創造するとの日本の提案を評価しつつ,日本とASEANは,

4.1 日本及びASEAN加盟国との間でのネットワークを構築し,「JENESYSプログラム」,「スポーツ・フォー・トゥモロー」及び「文化のWAプロジェクト」の下,様々な分野で,青年リーダー向け交流プログラムの促進や若者のネットワーキングを行うことで,若者世代における双方向の文化及び人的交流を促進する。

4.2 歴史,多様な文化,政治,経済,技術,スポーツ等の様々な分野におけるJENESYSプログラムを通じ,前途有望な若者の友情と交流を更に促進する。

4.3 日ASEANスポーツ大臣会合(AMMS+Japan)の立上げを通じ,スポーツ分野において,日・ASEAN間の友好関係を強化し,より深い協力を促進する。

4.4 ASEAN+3教育協力の調整及び同協力とASEAN教育作業計画2016-20

20との補完性の確保を通じ,長期的かつ互恵的な教育協力及び人的交流の促進を強化する。

4.5 語学学習支援,教職員や学生の交流プログラムの促進,大学及び職業訓練機関間の交流,伝統的知識の交換,質の高い学問及び学生交流並びに教育セクター及びその他持続可能な開発のための教育(ESD)に関連するセクターにおける連携等を通じ,高等教育並びに研修及び研究における協力を強化する。

4.6 教育カリキュラムや教員研修等におけるベスト・プラクティスの相互共有における協力を強化する。

4.7 地方における観光客の受入れの環境整備,ベスト・プラクティスの共有,観光に関する統計及び投資機会についての情報交換,観光産業における能力構築及び日・ASEAN間の人材交流,質の高い観光の開発,観光における共同のマーケティング及びプロモーション並びに自然,文化,遺産,コミュニティ観光及び医療観光等,観光のための新たな市場の促進等を通じ,日本及びASEANの交流を増進するために観光に関する協力を強化する。

4.8 国及び地方のブランドを普及する取組を通じて,日本及びASEAN加盟国の国及び地方の魅力を発信する。

4.9 姉妹都市関係の活性化やASEAN加盟国の地方自治体に対する能力向上支援を通じ,日本とASEAN加盟国との間の地方自治体及びコミュニティの交流を拡大する。

4.10 日本及びASEANの多様な文化と伝統を保護し,将来の世代のためにその継続を促進する。

4.11 日ASEAN文化芸術担当大臣会合の枠組みを通じ,特にメディア及び舞台芸術,著作権の保護及び活用並びに文化遺産保護について,文化及び芸術分野での協力を促進する。

5.ASEANの機構能力の強化

5.1 日本は,ASEAN共同体を支援するとの観点から,適切な場合には,人材開発,知見の管理及び情報通信技術システムの更新等の様々な計画を通じ,ASEAN事務局並びにその他のASEANの機構,組織及び機関の能力構築を目的とした方策を実施するためのASEANの取組を支援する。

6.実施メカニズム日本とASEANは,

6.1 合同協力委員会や日ASEANフォーラム等の既存の日・ASEAN間のメカニズムを通じて,この実施計画の進捗を定期的にレビューする。

6.2 共同でこの改定版実施計画の進捗についてのエグゼクティブ・レポートを作成し,毎年の日・ASEAN首脳会議に提出する。

(了)