[文書名] 日ASEAN友好協力45周年記念・第21回日ASEAN首脳会議共同声明
我々,日本及び東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国の首脳は,2018年11月14日の日ASEAN友好協力45周年を記念する第21回日ASEAN首脳会議の機会に,シンガポールで会した。
「心と心の触れあう」相互信頼及び「対等なパートナーシップ」に基づき,過去45年にわたる日ASEAN友好協力のすばらしい進展に満足をもって留意し,
国連憲章,ASEAN憲章及び東南アジア友好協力条約(TAC)で支持されている全ての国の主権,領土一体性,平等,不干渉及び政治的独立という原則の相互尊重を再確認し,
2015年のASEAN共同体設立を認識し,日ASEAN関係を含むASEANの対話国とのパートナーシップ及び対外関係の一層の深化及び強化の必要性を確認し,日ASEAN間の友好的で,対等で,互恵的で有意義なパートナーシップの重要性を再確認し,普遍的な国際法の諸原則に従った地域の平和,安全及び安定の維持並びに威嚇又は武力の行使に訴えることのない法的・外交的プロセスの完全な尊重を含む紛争の平和的解決への共有されたコミットメントを強調し,
法の支配,民主主義及び人権といった諸原則を含む国連憲章,TAC及び日ASEAN友好協力ビジョン・ステートメントに記載された原則,目的,共有された価値及び規範によって日ASEAN対話関係を主導するための我々のコミットメントを再確認し,
2018年に日ASEAN友好協力45周年を記念し実施された有意義な活動を歓迎し,
ここに次のとおり再確認する。
1.我々は,互恵的な日ASEAN戦略的パートナーシップを強化し,2017年8月にフィリピンのマニラで採択された改訂版実施計画の完全な,かつ,効果的な実施を通じたものを含め,2013年の日ASEAN友好協力ビジョン・ステートメントに記載されている4つのパートナーシップ,すなわち,「平和と安定のためのパートナー」,「繁栄のためのパートナー」,「より良い暮らしのためのパートナー」及び「心と心のパートナー」における日ASEAN協力を強化することにコミットする。
2.我々は,日・ASEAN統合基金(JAIF)及び発展しつつある地域枠組みの形成に際するASEANの一体性,結束及び中心性に対する日本の完全なる尊重及び支持を通じたものを含め,ASEANの統合及びASEAN2025~共に前へ進む~の実現に向けたASEANの取組に対する日本の支援の重要性を再確認する。我々は,引き続き,多数国間枠組みで緊密に協力し,関連するサブ地域協力枠組み及び協力メカニズムにおいて協力を強化する。
3.我々は,様々な課題に直面しているインド太平洋地域の平和,安定及び繁栄を促進する重要性を強調する。我々は,ルールに基づき,ASEANの一体性と中心性,包摂性,透明性といった主要な原則を包含し,ASEAN共同体の創設プロセスを補完する,自由で開かれたインド太平洋地域を促進するとの見解を共有する。これに関連し,ASEAN首脳は,「積極的平和主義」及びインド太平洋においてインド洋と太平洋を橋渡しするというASEANの極めて重要な役割を再確認する,自由で開かれたインド太平洋に係る政策を通じたものを含む,地域及び国際の平和,安定及び繁栄を確保するためにこれまで以上に積極的に貢献するとの日本の意図並びに日本のASEAN連結性への継続的な支援に満足をもって留意する。
4.我々は,日ASEAN,ASEAN+3(APT),東アジア首脳会議(EAS),ASEAN地域フォーラム(ARF),拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)及び拡大ASEAN海洋フォーラム(EAMF)といった既存のASEAN主導の枠組み及びメカニズムを通じて,地域の平和と安定を追求するために,相互理解と友情を深めるべく対話と協力を強化するとともに,共通の安全保障上の課題,海洋安全保障,テロ,国境を越える犯罪及びその他の非伝統的安全保障上の課題に対処すべく防衛交流及び安全保障協力を促進する。我々は,日ASEANサイバーセキュリティ能力構築センター,情報通信技術(ICT)のセキュリティと活用に係るARF会期間会合,ASEANサイバー能力プログラム,ASEANサイバーセキュリティ大臣会合等を通じたものを含むサイバーセキュリティ協力を一層強化させる。
5.我々は,海洋における安全保障及び安全,航行及び上空飛行の自由及び安全並びに阻害されない通商活動の維持とともに,1982年の国連海洋法条約(UNCLOS)を含む普遍的に認められた国際法の諸原則に従った,武力による威嚇又は武力の行使に訴えることのない,平和的手段による紛争解決の確保のための対話及び協力を引き続き強化する。我々は,非軍事化,自制並びに状況を更に複雑化させ,地域の平和,安全及び安定を損ない得る活動の実施を差し控えることの重要性を改めて強調する。
6.我々は,自由で開かれた貿易を達成し,あらゆる形態の保護主義に抵抗するとのコミットメントを再確認するとともに,世界貿易機関(WTO)で具体化されたルールに基づく多角的貿易体制が極めて重要であることを強調する。我々は,ASEAN経済共同体(AEC)の支援において持続可能で,包摂的で,革新的な経済成長の深化を促すこと,日ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定の一層の活用,及び日ASEAN10か年戦略的経済協力ロードマップの履行の促進,現代的な,包括的な,質の高い,かつ互恵的な東アジア地域包括的経済連携(RCEP)に向けた努力の強化等を通じて,互恵的な経済協力を深化及び拡大させる。
7.我々は,強じんで革新的なASEANを構築するとのシンガポールの議長国としての優先課題を支持し,この観点から,ASEANスマートシティネットワーク(ASCN)を歓迎するとともに,同イニシアティブに係る一層の連携に期待する。
8.我々は,ASEAN共同体を中核とした東アジア共同体を発展させるビジョンを模索するため,東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)への支援を通じて,デジタル経済の促進等の経済統合を更に進める。
9.我々は,ASEAN連結性マスタープラン2025(MPAC2025)及び質の高いインフラ輸出拡大パートナーシップの実施,MPAC2025及びその他の地域連結性イニシアティブの相乗効果の促進並びにASEAN統合イニシアティブ(IAI)作業計画IIIの実施を通じ,連結性の強化,国際的スタンダードにのっとった質の高いインフラ,及び地域の開発格差の是正における協力を引き続き強化する。我々は,日メコン協力のための東京戦略2018を採択した,2018年10月9日に東京で開催された第10回日メコン首脳会議の開催を歓迎する。
10.我々は,日ASEAN間のより良い航空輸送の連結性を含む日ASEAN間の航空関係を強化する重要性を再確認するとともに,より自由で互恵的な日ASEAN航空協定が成功裡に締結されることを期待する。
11.我々は,文化,芸術及び遺産活動における交流及び人的交流の促進,並びに観光,青少年,スポーツを含む社会文化協力の分野における日ASEAN間のパートナーシップが進展していることを評価する。さらに,我々は,教育,高齢化社会,保健,防災,環境保護,持続可能な発展を含み,それに限らない分野での協力を強化する。
12.我々は,日本アセアンセンターが貿易,投資,観光,人的交流,ASEANに対する関心並びに日本とASEANが直面する新たな課題への対処を促進するために継続的な貢献を行っていることに謝意を表明する。我々はまた,日ASEAN協力を一層向上させる同センターの最近の組織改革を歓迎する。
13.我々は,双方が可能な限り早期に署名する日ASEAN技術協力協定の下での技術協力を通じた,ASEANの一体性及び中心性の強化に向けた日本の今後の貢献に期待する。
(了)