データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 東アジア地域包括的経済連携(RCEP)に係る共同首脳声明

[場所] タイ・バンコク
[年月日] 2020年11月4日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文] 

我々、東南アジア諸国連合(ASEAN)構成国及びオーストラリア、中国、インド、日本、韓国及びニュージーランドの国家元首又は行政府の長は、2019年11月4日、第3回RCEP首脳会議の機会にタイのバンコクに集まった。

我々は、2012年にカンボジアのプノンペンで発出された「RCEP交渉立上げに関する共同宣言文」、及び、我々の承認の下、現代的な、包括的な、質の高い、かつ、互恵的な経済連携協定を達成することを約束した、「RCEP交渉の基本指針及び目的」を想起した。

RCEP交渉の完了は、急速に変化する国際環境を背景に、この地域における開かれた貿易・投資環境への我々の共同のコミットメントを示すものとなる。我々は、中小企業を含むビジネス並びに労働者、生産者及び消費者の利益のため、地域的バリューチェーンをさらに拡大させ、及び深化させることを目指して、協定を交渉している。RCEPは、この地域の将来的な成長の見通しを大いに促進し、世界経済に積極的に貢献すると同時に、強力な多角的貿易体制を支える柱としての役割を果たし、この地域の各国における開発を促進するであろう。

我々は、2013年に始まったRCEP交渉の成果について閣僚から提出された報告を歓迎した。

我々は、RCEP参加15か国が、全20章*1*に関する条文ベースの交渉及び15か国の基本的に全ての市場アクセス上の課題への取組みを終了したことに留意し、2020年における署名のために15か国による法的精査を開始するよう指示した。

インドには、未解決のまま残されている重要な課題がある。全てのRCEP参加国は、これらの未解決の課題の解決のために、相互に満足すべき形で、共に作業していく。インドの最終的な決断は、これらの未解決の課題の満足すべき解決にかかっている。

{*1* (1)冒頭の規定及び一般的定義、(2)物品の貿易、(3)原産地規則(品目別規則に関する附属書を含む)、(4)税関手続及び貿易円滑化、(5)衛生植物検疫措置、(6)任意規格、強制規格及び適合性評価手続、(7)貿易上の救済、(8)サービスの貿易(金融サービス、電気通信サービス、自由職業サービスに関する附属書を含む。)、(9)自然人の移動、(10)投資、(11)知的財産、(12)電子商取引、(13)競争、(14)中小企業、(15)経済及び技術協力、(16)政府調達、(17)一般規定及び例外、(18)制度に関する規定、(19)紛争解決、(20)最終規定}