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政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)の更なる推進と実行に関する第28回日ASEAN首脳会議共同声明

[場所] クアラルンプール
[年月日] 2025年10月26日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文] 

インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)の更なる推進と実行に関する第28回日ASEAN首脳会議共同声明


我々、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国及び日本は、2025年10月26日、第28回日本ASEAN首脳会議に際し、マレーシア・クアラルンプールに参集し、

世界的・地域的課題がますます相互に密接に関連し、多面的になっていることを認識し、地域における平和、安定及び繁栄のための環境整備及び共通課題への対応努力を促進するという我々のコミットメント、並びにより緊密な経済・社会文化協力及びASEANにおける開発格差の縮小に向けた継続的協力を促進するという我々のコミットメントを認識し、

地域の平和、安定及び繁栄並びに開かれた、包摂的で、透明性のある、強靭かつルールに基づく地域的枠組みの重要性を強調し、国連憲章及び1982年の国連海洋法条約(UNCLOS)を含む国際法の遵守、ASEAN憲章、東南アジア友好協力条約(TAC)及び2011年の互恵関係に向けた原則に関する東アジア首脳会議(EAS)宣言(バリ原則)にうたわれている価値及び規範、並びにAOIPと日本の「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」が共有している本質的な原則へのコミットメントを再確認し、

AOIPの中核的な原則を堅持することの重要性の拡大を認識し、ASEAN中心性・一体性を後押しするAOIPの目的と原則への揺るぎない支持を再確認し、

ASEAN主導のメカニズムに基づいて、進化する地域的枠組みを形成し、地政学的・戦略地政学的変化が東南アジアおよびインド太平洋の人々の平和、安全、安定及び繁栄をもたらし続け、これを阻害しないことを確保するASEANの決意を認識し、

AOIPがASEANの域外国との関与のための鍵となる枠組みであることを認識し、またAOIPが国際法を遵守する、開かれた、透明性のある、強靭で包摂的かつルールに基づく地域的枠組みの維持・強化のための共通のプラットフォームに発展してきたことを認識し、

インド太平洋の成長の中心としてのASEANの高まる存在感を強調し、AOIPの推進と実施が、法の支配に基づく国際秩序、並びにASEAN一体性・中心性、包摂性、透明性といった主要な原則を守り、ASEAN共同体の構築プロセスを補完する、自由で開かれた、ルールに基づくインド太平洋の促進にも寄与することを確認し、

日本がいち早くAOIPへの全面的な支持を表明し、2020年にAOIP協力についての第23回日ASEAN首脳会議共同声明を採択するなどASEANの域外国におけるAOIPに対する支持の拡大に重要な役割を果たしてきたこと、また、2024年10月に採択された「将来を見据えたASEAN及びASEAN中心の地域的枠組みのためのAOIPに関するASEAN首脳宣言」に示されているASEANの幅広い優先分野においてAOIPに貢献してきたことに感謝し、

AOIPとFOIPが、国際法を遵守する、開かれた、透明性のある、強靭で包摂的かつルールに基づく地域的枠組みを推進し、平和と安定、自由と繁栄を維持する上で関連する本質的な原則を共有していることを再確認し、分断や対立ではなく協力を推進するためのFOIPを通じた日本の努力を歓迎し、

2023年に採択された、日ASEAN包括的戦略的パートナーシップ立ち上げに係る共同声明に示されたように、有意義で実質的かつ互恵的な包括的戦略的パートナーシップの強化への我々のコミットメントを再確認し、また、ASEAN共同体ビジョン2045への日本の全面的な支持を認識し、

2023年に東京で日本とASEANの首脳によって採択された、日本ASEAN友好協力に関する共同ビジョン・ステートメントで共有されたビジョンに基づき取組み、

信頼のパートナーとして以下を宣言する。

国際レベルでの法の支配を堅持、促進しつつ、地域の平和、安定及び繁栄を維持、強化するために、AOIPを更に推進し、主流化し、実施する。

将来を見据えたASEANの実現に向けてASEAN中心性・一体性を維持しつつ、ウィンウィンの協力を強化し、相互信頼、相互尊重及び相互利益を促進するために、AOIPの実施を追求するとの目標が含まれるASEAN共同体ビジョン2045及びその4つの戦略計画、並びに2024年の「将来を見据えたASEAN及びASEAN中心の地域枠組みのためのAOIPに関するASEAN首脳宣言」を支援する。

海洋協力、連結性、国連持続可能な開発目標(SDGs)、経済等というAOIPの4つの優先分野における具体的なプロジェクトを通じた実質的、実用的かつ実体的な協力を、日ASEAN、ASEAN+3、東アジア首脳会議(EAS)、ASEAN地域フォーラム(ARF)、拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)、拡大ASEAN海洋フォーラム(EAMF)及びAOIPビジョングループ会合といったASEAN主導の枠組み、並びに日本とASEAN双方が参加する様々な枠組みや協力イニシアティブを通じて、AOIPとFOIPの共有する目的と原則に貢献するよう取り組むことにコミットする。

インド太平洋における補完性と相乗効果を促進し、AOIPとFOIPが共有する本質的な原則に資する具体的なAOIPプロジェクト及び活動の実施を推進するために、変化と新たなダイナミズムに適応可能な開放的な地域枠組みの実現に向けて、他の域外国や組織との対話と協力を深化し、また、ASEAN統合イニシアティブ(IAI)作業計画V、経済回廊、経済特区、及びサブリージョナル協力を通じて、ASEANにおける開発格差を是正するための継続的な協力を活用しつつ、サブリージョナル開発協力枠組みと共にAOIPを主流化するための取組みの補完性を促進する。

130項目の包括的な協力を網羅する「日ASEAN友好協力に関する共同ビジョン・ステートメント実施計画」の完全かつ効果的な実施を基盤に取り組み、「次世代共創パートナーシップ-文化のWA2.0-」、「日ASEAN科学技術・イノベーション協働連携事業(NEXUS)」、「日ASEAN経済共創ビジョン」、「日ASEAN包括的連結性イニシアティブ」、「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」、「日ASEAN気候環境戦略プログラム(SPACE)2025」、「日ASEAN防災作業計画」、「日ASEANみどり協力プラン」、「防衛協力強化のための日ASEAN大臣イニシアティブ(JASMINE)」、「日ASEAN法務・司法ワークプラン」を含めた取組みを推進し、AOIP協力の視野を拡大する。

ビジネス部門に利益をもたらす国境を越える貿易及び投資を促進し、日本とASEANの経済関係を強化するために、AOIPに資する日ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定及び地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の効果的かつ透明性のある実施を確保する。

この地域の高まる存在感を活用し、平和、安定及び繁栄を促進するために、地域を越えた地球規模の課題に対処するにあたり、AOIPに沿って協力を拡大する。

2025年10月26日、マレーシア・クアラルンプールで採択された。