[文書名]　アセアン・日中韓の観光再活性化に関する北京宣言（ASEAN+3観光大臣特別会合）

　各国の観光産業の再活性化、人々の往来の拡大、並びに我々の地域における経済の発展及び社会の繁栄を進めるため、中国国家旅游局のイニシアティブにより、我々、ブルネイ、カンボディア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、中国、日本、韓国の観光大臣は、2003年8月9日、中国北京において特別会合を招集した。

　我々は、本年初めに幾つかの国や地域で発症し、アセアンや日中韓における人々の日常の移動に悪影響を及ぼしたSARSの流行が、急速な成長を遂げている経済に対しマイナスの影響をもたらしたと認識する。

　我々は、SARSの突然の流行に直面して、関係各国・地域の政府がSARSの流行を大変真剣に受け止め、その抑制及び防止に関する効果的な対策を講じ、有益な国際協調を遂行したことに満足していると言及する。SARSは効果的に制御され、旅行者に全く脅威を与えていない。我々は、世界保健機関（WHO）が影響を受けた全ての地域に対する旅行延期勧告を解除するという決断を行ったことを歓迎する。

　我々は、アセアンや日中韓によるSARSの予防及び影響の抑制に向けた全ての努力を評価する。また、バンコクで開催されたSARSに関するアセアン首脳会合及び中国アセアン首脳特別会合、クアラルンプール及びシェムリアップ（カンボディア）で開催されたアセアン・日中韓保健大臣特別会合、アセアン・日中韓出入国検疫管理会合、SARSに関するアセアン・日中韓ハイレベルセミナー、北京で開催した中国及びアセアンによるSARSの経済・社会に与える影響に関するシンポジウム、マニラにおいて開催された危機管理に関する大臣会合といった一連の会合やセミナーが、我々の地域におけるSARSの予防及び封じ込めに積極的に貢献したことを確信する。

　我々は、SARSの観光への影響は一時的であり、我々の地域は未だに世界中で最も人気があり魅力的な観光目的地の一つであることを総意で確認する。アセアン首脳会合及び、中国・アセアン首脳SARS関連特別会合で合意した共同宣言に則り、我々は、我々の地域の観光産業の復興・再活性化のための前向きな対策を取り、我々の地域において観光及びビジネスの正常な段階まで回復することを決意する。

　我々は、徹底的な議論の末、今後の一致してとるべき行動の基本的な枠組みとなる共通の了解事項に次のとおり合意する。

1．観光は平和の使者であり、友好及び協力の架け橋である。観光は経済・文化発展及び社会繁栄の促進において増々重要度の高まる役割を果たし、国際友好を高め、友好交流を強化し、また世界平和を保証する。観光産業は我々の国の経済にとって重要な分野となっており、各国政府の中でもその重要性が認識されている。

2．観光産業は傷つきやすい産業である。政治的騒乱、テロ、経済危機、自然災害、公衆衛生その他の不測の事態によって簡単に影響を受ける。将来発生し得るあらゆる不測の事態に対して科学的に対処するため、我々は、ASEAN+3観光連絡チームを通じた、協調的で効果的な情報交換メカニズムに対して取組む。我々は、観光客の安全を確保するために旅行及び観光のあらゆる場面における安全策を強化・改善し続ける。

3．観光は地域或いは国境を越えた人々の流れによる活動である。様々な事態に対応するため、国際協力は問題解決の重要な手段である。それ故に、我々の地域の観光行政機関は情報及び経験の交換を即座に行い、対話と協調に専念する。また、もし危機へ対処する必要があれば、対策をとる国は他の関連諸国にその旨を通知するとともに、相互尊重及び相互理解に基づいて議論の機会を提供することに努める。

4．我々の地域の政府は、近隣諸国との間で共同プロモーションを実施し、旅行需要を急速に回復し、地域内及び地域間の旅行者の活動を始め、観光の発展を促進する。さらに、我々は、ASEAN・日中韓における域内及び地域間の観光の利便性を極大化するASEAN観光協定に従って、全ての観光への障害を除去することを容易にすること、とりわけ、ビザ手続を簡素化するために取り組む。

5．我々の地域の政府は、観光客の健康維持に繋がるあらゆる手段を採用し、一般旅行者の全てに公衆衛生及び安全に関する自己責任の意識を高めさせる。

　ここに我々は、世界に対して厳粛に宣言する。我々の地域の観光は通常に回復し、世界から我々地域への観光客の安全及び健康は確保され、保護されている。我々は行き届いたサービスと最上級の商品を用意して全ての旅行者を温かくお迎えする。