天津條約ノ附則個別條項（天津条約の付則個別条項，フランス国及清国間に締結したる旧修好通商航海条約（天津条約）の付則個別条項）

データベース『世界と日本』（代表：田中明彦）

日本政治・国際関係データベース

政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名]　天津條約ノ附則個別條項（天津条約の付則個別条項，フランス国及清国間に締結したる旧修好通商航海条約（天津条約）の付則個別条項）

[場所]　

[年月日]　1858年6月27日

[出典]　英・米・佛・露ノ各國及支那國間ノ條約，外務省條約局編，1421-1422頁

[備考]　

[全文]　

　　　　（佛文）

第一條　佛蘭西國宣敎師「オーギュスト、シャ　ドゥ　レーヌ」

殺戮ノ罪アル西林縣長官ハ之ヲ蹏官シ且以後何等ノ職務ヲモ執行スルコト能ハサルモノナルコトヲ聲明ス

第二條　淸國駐箚佛國公使閣下ニ宛テラレタル公信ハ閣下ニ右措置ノ執行ヲ通知スヘク右措置ノ執行ハ北京新報ヲ以テ之ヲ公表シ且適宜ニ其ノ理由ヲ附スヘシ

第三條　佛蘭西國及英吉利國ノ同盟國軍隊カ廣東市ヲ占領スル以前佛國人及佛國保護民ニシテ其ノ財產カ同市住民ノ爲ニ掠奪又ハ燒却セラレタルモノニ對シテハ補償ヲ附與スヘシ

第四條　莫大ナル軍備ニ因リテ生シタル費用ハ佛蘭西國ニ對シ淸國官憲カ其ノ請求シタル賠償及補償ノ附與ヲ頑强ニ拒絕シタルコトニ原因スルモノナルヲ以テ該費用ハ廣東市稅關金庫之ヲ佛蘭西國皇帝陛下ニ支拂フヘシ

大略二百萬兩（二、〇〇〇、〇〇〇）ノ金額ニ達シタル該補償及軍備ノ費用ハ淸國駐箚佛國公使ニ之ヲ拂込ミ該公使ニ於テ領收證ヲ付與スヘシ

右二百萬兩ノ金額ハ淸國駐箚佛國公使閣下ニ對シ年次六分ノ一宛六年間廣東稅關金庫ヨリ之ヲ支拂フヘシ右金額ノ支拂ハ硬貨幣又ハ稅關證券ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ得ヘシ但シ右證券ハ輸入稅及輸出稅ノ支拂トシテ該政廳ニ支拂フヘキ金額ノ十分ノ一ニ限リ該政廳之ヲ受領スヘキモノトス卽チ例ヘハ一商人カ廣東稅關ニ對シ輸入稅又ハ輸出稅トシテ一萬兩ノ金額ヲ支拂フヘキ場合當該商人ハ硬貨幣九千兩及證券千兩ヲ以テ之カ支拂ヲ爲スコトヲ得ルカ如シ全額六分ノ一ノ第一囘支拂ハ本條約ノ調印ノ日ヨリ一年ノ期間內ニ支拂ハルヘシ

廣東稅關ニ於テ欲スル時ハ稅金支拂トシテ發行セラレタル證券ノ六分ノ一卽チ三十三萬三千三百三十三兩・三四ニ限リ毎年受領スルコトヲ得ヘシ

廣東ニ於テ淸國官憲及佛國公使ノ任命スル混合委員會ハ豫メ該證券ノ發行方法竝形式、價格及其ノ使用後ノ破棄ノ方法ヲ定ムル規則ヲ決定スヘシ

第五條　佛國軍隊ノ廣東撤退ハ前記二百萬兩ノ金額支拂完濟ノ後成ルヘク速ニ實行セラルヘシ但シ右軍隊ノ退去ヲ早ムルカ爲豫メ稅關證券六年分ヲ一括シテ發行シ淸國駐在佛國公使館秘書課ニ寄託スルコトヲ得ヘシ

第六條　前記諸條ハ之ト一體ヲ成ス條約中ニ挿入セラレタルト同一ノ效力及價値ヲ有スヘク尚各全權ハ右諸條ニ署名調印セリ

耶蘇紀元千八百五十八年六月二十七日卽チ咸豊八年五月十七日天津ニ於テ本書四通ヲ作ル

男爵　グロ

（淸國全權署名調印）

天津條約ノ附則個別條項