[文書名] 佛蘭西國及淸國間ノ通󠄁商條約（フランス国及清国間の通商条約）
千八百八十六年四月二十五日天津ニ於テ署名（佛、支文）
千八百九十六年八月七日北京ニ於テ批准交換
佛蘭西共和國大統領及淸國皇帝陛下ハ千八百八十五年六月九日ノ條約第六條ノ規定ニ依リ東京及帝國ノ南部諸州間ニ實施セラルル通󠄁商ニ關スル諸條件ヲ規定スルカ爲ニ條約ヲ締結セムコトヲ欲シ且佛蘭西國及淸國間ニ締結セラレタル舊條約協定及協約ヲ維持スヘキ同條約第十條ヲ考量ノ中ニ入レ左ノ如ク其ノ全權委員ヲ任命セリ
佛蘭西共和國大統領
全權公使、外務省政務次長「レヂオン、ドウ、ヌール」勳章、伊太利國王冠章、駐淸特派使節フランソア、ジヨルヂュ、コゴルダン
隨員佛蘭西國領事、瑞典國「グスターヴ、ワザ」勳章、白耳義國「レオポルド」勳章フランソワ、エドモン、ブリューウェール
淸國皇帝陛下
太子太傳文華殿大學士北洋通󠄁商大臣會辨海軍事務直隷總督一等淸肅毅伯爵李鴻章
右各全權ハ相互ニ其ノ全權委任狀ヲ示シ其ノ良好妥當ナルヲ認メタル後左ノ諸條ヲ協定セリ
第一條 兩締約國ハ千八百八十五年六月九日ノ條約第五條ノ規定ニ依リ現在諒山以北及老開上流ノ二地方ヲ開市場トスルノ必要アルコトヲ議定ス
淸國ハ此ノ兩地ニ税關ヲ設ケ佛蘭西國ハ此ノ兩地ニ領事ヲ置ク該佛蘭西國領事ハ淸國ニ於ケル最惠國ノ領事ノ享有スル一切ノ權利及特權ヲ享有スヘキモノトス
兩國國境劃定委員會ノ事業カ本條約調印ノ時マテニ完結セサルトキハ諒山以北ニ於テ通󠄁商ノ爲ニ開放セラルヘキ地點ハ本年內ニ淸國政府及在北京佛蘭西國公使間ノ協定ヲ經テ之ヲ選定スヘキモノトス老開上流ニ於テ通󠄁商ノ爲開放セラルヘキ地點モ亦兩國國境𠞷定ノ後協定ニ依リテ之ヲ定ムヘシ
第二條 帝國政府ハ河內及海防ニ對シテハ佛蘭西共和國政府ト商議ヲ經タル上領事ヲ駐在セシムルコトヲ得ルモノトス此等領事ハ佛國ニ於ケル最惠國ノ領事ト同樣ノ待遇ヲ受ケ且之ト同等ノ權利及特權ヲ享有シ其ノ一切ノ國家的關係ハ保護國ヲ管轄スル佛蘭西國官憲ト之ヲ承辨スヘシ
第三條 兩締約國ハ其ノ領事ヲ駐在セシムル地方ニ於テ夫々其ノ地方官憲ヲシテ該領事カ公館ニ駐在スルコトニ關シ便宜ヲ圖ラシムヘキコトヲ約定ス
佛國國民ハ千八百五十八年六月二十七日ノ條約第七條、第十條、第十一條、第十二條及其ノ他ノ條款ニ定ムル條件ニ依リ淸國國境ニ於ケル開市場地滯內ニ居住スルコトヲ得安南國人モ亦此等ノ地域內ニ於テ同樣ノ特典アル待遇ヲ享受スヘキモノトス
第四條 淸國國民ハ安南國ノ全地域ニ於テ土地ヲ所有シ家屋ヲ建造シ商館ヲ開設シ且店舗ヲ經營スルノ權利ヲ有ス淸國國民其ノ家族及其ノ財產ハ歐羅巴最惠國民ト同等ノ保護保障ヲ享受シ且之ト同樣酷遇ヲ受ケサルヘキモノトス
淸國官商ノ公私ノ書信及電報ハ佛蘭西國郵電政廳ヨリ正確ニ遞送セラルヘキモノトス
佛蘭西國國民ハ淸國ヨリ之ト同樣ノ特典アル待遇ヲ受クヘキモノトス
第五條 佛蘭西國國民佛蘭西國保護民若ハ東京ニ在住スル外國人ハ旅券ヲ携帶スルトキニ限リ國境ヲ超エテ淸國ニ入ルコトヲ得該旅券ハ旅行者カ相當ノモノナルトキニ限リ佛蘭西國官憲ノ要求ニ依リ淸國國境官憲ヨリ下附セラレ歸國ノ際ニハ返還セラレ且失效スヘキモノトス旅行者カ土民若ハ蠻人ノ占據スル地域ヲ通󠄁過スヘキトキハ旅券面ニ該地域ニ之ヲ保護スヘキ淸國官憲ナキ旨ヲ記載スルコトヲ要ス
淸國國民カ陸路ニ依リ淸國ヨリ東京ニ赴カムトスルトキハ前項ト同シク旅行者カ相當ノモノナルトキニ限リ淸國官憲ノ要求ニ依リ佛蘭西國官憲ノ下附スル旅券ヲ携帶スルコトヲ要ス
兩國官憲ヨリ下附スル旅券ハ單ニ旅行ノ爲ニノミ用ヒラレ商品輸送ニ關シ免税證ト看做サルヘキニアラス
淸國地域內ニ在ル淸國官憲及東京ニ在ル佛蘭西國官憲ハ旅券ナクシテ國境ヲ超ユルモノヲ逮捕シ裁判及必要ナル處罰ノ爲夫々相當官憲ニ引渡スノ權利ヲ有ス
安南國ニ在住スル淸國人ハ單ニ帝國官憲ヨリ國境通󠄁過ヲ許容スル通󠄁行券ヲ得テ東京ヨリ淸國ニ入ルコトヲ得
國境開市場地帶內ニ在住スル佛蘭西國國民及外國人ハ該地帶ノ周圍五十里ノ地域內ニ於テ旅券ナクシテ自由ニ移動スルコトヲ得
第六條 淸國國境ニ於ケル開市場地帶內ニ於テ佛蘭西國商人若ハ佛蘭西國保護民ノ輸入セル商品ハ輸入税ヲ支拂ヒタル後千八百五十八年六月二十七日ノ條約附屬規則第七及輸入通󠄁過ニ關スル海關税一般規定ニ依リテ定メラレタル條件ニ依リ之ヲ淸國市場ニ輸送スルコトヲ得
外國商品カ此等地帶內ニ輸入セラレタル時ハ直ニ該商品ノ性質、分量竝商品ニ隨行スルモノノ氏名ヲ税關ニ届出ツルコトヲ要ス税關ハ檢證ヲ爲シ淸國海關一般税率ヨリ五分ノ一ヲ低減シタル税率ニ依リテ徵税スヘシ税率表ニ記載セラレサル商品ニ關シテハ百分ノ五ノ從價税ヲ支拂フヘシ税金ヲ支拂ヒタル後ニ非レハ商品ヲ倉庫ヨリ出シ之ヲ輸送販賣スルコトヲ得ス該商人カ外國商品ヲ內地ニ於テ輸送セムトスルトキハ新ニ税關ニ届出テ淸國海關税一般規則ニ規定セル通󠄁過税ヲ低減スルコトナク支拂フコトヲ要ス税關ハ該税金收納󠄁ノ後通󠄁過許可證ヲ發シ之ニ依リテ該許可證所持人ハ許可證ニ記載セル地ニ赴キ其ノ商品ヲ處分スルコトヲ得ルモノトス
內國税關及釐金局通󠄁過ニ際シテハ以上ノ諸條件ニ依ル外徵税スルコトヲ得ス
通󠄁過許可證ヲ請求セサリシ商品ハ內國生產物ニ對シ國內ニ於テ賦課スル一切ノ關税及釐金税ヲ課セラルヘキモノトス
第七條 淸國市場ニ於テ佛蘭西國國民若ハ佛蘭西國保護民ノ購買セル商品ハ輸入商品通󠄁過ニ關スル千八百五十八年六月二十七日ノ條約附屬規則第七ニ規定セラルル條件ニ依リ東京ニ輸出スルカ爲國境開市場マテ之ヲ輸送スルコトヲ得
淸國商品カ輸出ノ爲國境開市場ニ到着セルトキハ該商品ノ性質、分量竝之ニ隨行スルモノノ氏名ニ關シ税關ニ對シ届出ヲ爲スヘシ税關ハ檢證ヲ爲スヘシ通󠄁過許可證ヲ有スル商人カ國內ニ於テ購入スル商品ニシテ釐金税及關税ヲ支拂ハサルモノニ付キテハ先ツ淸國海關税一般規則ニ定ムル通󠄁過税ヲ支拂フヘキモノトス次ニ一般税率ヨリ三分ノ一ヲ減シタル輸出税ヲ支拂フヘキモノトス税率表ニ記載セラレサル商品ニ關シテハ百分ノ五ノ從價税ヲ支拂フヘシ此等ノ税金ヲ支拂ヒタル後商品ハ自由ニ之ヲ國外ニ出シ國境ヲ超エテ輸送スルコトヲ得ルモノトス
國內ニ於テ商品ヲ購入シ通󠄁過許可證ヲ有セサル商人ハ收税局通󠄁過ニ際シ關税及釐金税ヲ支拂フヘシ收税局ハ領收證ヲ下附スヘシ該商人カ税關ニ到リタルトキハ該領收證ノ點檢ヲ受ケテ通󠄁過税ノ支拂ヲ免除セラルルモノトス
佛蘭西國商人及佛蘭西國保護民ニシテ雲南省及廣西省ノ國境税關ニ依リ商品ノ輸入及輸出ヲナスモノ及淸國商人ニシテ東京ト商品ノ輸入及輸出ヲ爲スモノハ其ノ馬車及駄獸ニ關シ一切ノ通󠄁行税ヲ支拂ハサルモノトス國境ヲ貫流スル可航水路上ニ於ケル兩締約國船舶ハ兩國關税規則ニ從ヒ噸税ヲ課セラルヘシ
本條約前條ノ規定ニ關シテ兩締約國ハ若シ淸國及第三國間ニ淸國南西國境ニ於ケル陸路通󠄁商ニ關シ共同ノ協定ニ依リ新關税率ノ設定セラレタルトキハ佛蘭西國モ亦其ノ適用ヲ受クヘキコトヲ約定ス
第八條 販賣セラレサル外國商品ニシテ三十六月以內ニ淸國國境税關ニ就キ輸入税ヲ支拂ヒタル後爾他ノ淸國國境税關ニ向ヒ再輸送セラルヘキモノハ其ノ輸送中最初ノ税關ニ於テ檢査ヲ受ケ其ノ包装完全ニシテ何等抽出若ハ變更ナカリシトキハ最初支拂ヒタル税金額ノ免税證ヲ下附セラルヘキモノトス該免税證所持人ハ爾後新ニ支拂フヘキ税金ノ受領證ニ對シ之ヲ國境税關ニ引渡スコトヲ得ヘシ税關ハ亦同一税關ニ對スル爾後一切ノ支拂ニ對シ三年間有效ナル證券ヲ引渡スコトヲ得現金ハ如何ナル場合ニ於テモ之ヲ返還スルコトナシ
該商品カ淸國ノ開港場ニ向テ再輸出セラルル場合ニハ該開港場ニ於テ淸國海關税一般規則ニ依リ輸入税ヲ課セラルヘシ此ノ場合ニハ國境税關ノ免税證若ハ證券ヲ使用シ得ルノ限ニアラス又税金領收證ニ對シ第一囘納󠄁税ニ際シテ國境税關ノ下附セル受領證ヲ提示スルコトヲ得ス
通󠄁過税ニ關シテハ税關ニ於テ一度支拂ハレタル後ハ開港場ニ適用セラルヘキ規則ニ依リ證券若ハ免税證ノ下附ヲ許サス
第九條 淸國商品ニシテ國境税關ノ一ニ就キ通󠄁過税及輸出税ヲ納󠄁入シタル後販賣ノ爲爾他ノ國境税關ニ向テ再輸送セラルヘキモノハ第二ノ税關ニ於テ再輸入税トシテ旣納󠄁輸出税ノ半額ヲ課セラルルニ過キス該商品ハ開港場ニ於テ設ケラルル規則ニ依リ外國商人之ヲ國內ニ於テ輸送スルコトヲ得ス該淸國商品カ一淸國開港場ニ輸送セラルルトキハ外國商品ト同樣ニ取扱ハルヘク且海關一般税率ニ依リ新ニ輸入税全額ヲ納󠄁付セサルへカラス
該商品ヲ入國スルカ爲ニハ通󠄁過税ノ納󠄁付ヲ免除セラル
淸國海港ヨリ安南國港津ニ向ケ輸出セラルル淸國商品ニシテ陸境ニ輸送セラレ次テ淸國版圖內ニ入ルヘキモノハ外國商品ト同樣ニ取扱ハレ且輸入地方税ヲ納󠄁付セサルへカラス該商品ハ國內ニ入ルニ際シテ通󠄁過税ヲ免除セラルヘキモノトス
第十條 淸國税關ニ對スル吿知ハ輸出入商品到着後三十六時間內ニ之ヲ爲スヘシ吿知を遲滯スルトキハ一日ニ付五十兩ノ罰金ヲ課ス但シ全額二百兩ヲ超ユルコトヲ得サルヘキモノトス
商品ノ分量ニ關シテ不正確ナル吿知ヲ爲セルトキ税金支拂ヲ免ルルノ意思ヲ以テ爲シタルコト立證セラレタル場合ニハ該商品ヲ沒收ス税關長ノ許可證ナク迂路ニ由リ隱密ニ輸入解荷販賣セラレ若ハ密輸入ニ關シ故意アル行爲ノ目的物タルモノハ全部之ヲ沒收ス通󠄁過許可證ノ利益ノ享受ヲ要スル商品ノ品質、數量、眞實ノ發送地若ハ眞實ノ仕向地ニ關シ税關ヲ欺罔スル一切ノ虚僞ノ届出若ハ取扱アルトキハ亦該商品ヲ沒收ス以上ノ處罰ハ千八百六十八年五月三十一日ノ規則ニ定ムル條件竝手續ニ從ヒテ之ヲ宣吿スヘキモノトス凡テ沒收ノ宣吿アリタルトキ當該商人ハ淸國官憲トノ協議ニ依リ正當ニ定メラルヘキ商品價額ニ相當スル金額ヲ納󠄁付シテ該商品ニ關シ其ノ責ヲ免ルルコトヲ得
淸國官憲ハ國境沿地ニ於テ密輸入ヲ妨止スルカ爲淸國內ニ於テ採ルヘキ處置ヲ檢察スル一切ノ自由ヲ有ス
佛蘭西國安南國若ハ淸國ノ船舶ニ搭載セラレ可航水路ヲ上下スル商品ハ僞罔ノ懸疑若ハ積荷ノ狀況ト積荷届出トノ間ニ相違アルニ非レハ國境ニ於テ必スシモ之ヲ陸揚スルヲ要セス税關ハ檢察ヲ爲スカ爲該船舶ニ對シテ税關吏員ヲ派遣スルコトヲ得ルニ過キス
第十一條 陸境ニ依リ東京ニ輸入セラルル淸國原產ノ生產物ハ佛安税率ニ從ヒ輸入税ヲ支拂ハサルへカラス東京ヲ出ツルニ際シテハ如何ナル輸出税ヲモ支拂フコトナシ佛蘭西國カ東京ニ於テ定ムル新税率ハ之ヲ帝國政府ニ通󠄁吿スルコトヲ要ス
東京ニ於テ內國產ノ物品ニ對シ消費税、間接税若ハ保障税ヲ定ムルトキハ淸國ノ同種生產物モ亦其ノ輸入ニ際シ之ニ相當スル税金ヲ支拂フヘキモノトス
第十二條 淸國商品ニシテ淸國ニ輸出セラルルカ爲東京ヲ通󠄁シテ兩國境税關ノ一ニ依リ他方ノ國境税關若ハ安南國港津ニ向ケ輸送セラルルモノハ價額百分ノ二ヲ超過セサル特別通󠄁過税ヲ課セラルヘキモノトス該商品ハ淸國ノ版圖ヲ出ツルニ際シ佛蘭西國税關官憲ノ認證ヲ經ルコトヲ要シ税關官憲ハ東京輸送中竝積替港津ニ於テ佛蘭西國官憲ノ一切ノ請求ニ應シテ提示スヘキ原產地證明書ニ該商品ノ性質、數量及仕向地ヲ明記スヘキモノトス
佛安税關ヲ一切ノ密輸入ニ對シテ保障スルカ爲淸國生產物ハ東京ニ入ルニ際シテ輸入税ヲ支拂ハサルへカラス
該商品ハ積替港若ハ陸境ニ依リ出國スルニ至ルマテ通󠄁市免許狀ヲ具フルコトヲ要シ出國ニ際シテハ商品ニ關シテ所有者ノ支拂ヒタル金額ヨリ通󠄁過税ヲ控除シ尚殘額アル場合東京税關ノ下附セル受取書ニ換ヘ之ヲ拂戻スヘキモノトス
東京ヲ通󠄁過スル淸國生產物ニ適用セラルヘキ特別待遇ヲ享受スヘキ商品ノ品質、數量、眞實ノ發送地若ハ眞實ノ仕向地ニ關シ明白ナル方法ニ依リ佛蘭西國政廳ヲ欺罔スル一切ノ虚僞ノ届出若ハ取扱アルトキハ該商品ヲ沒收スヘキモノトス凡テ沒收ノ宣吿アリタルトキ當該商人ハ淸國官憲トノ協議ニ依リ正當ニ定メラルヘキ商品價額ニ相當スル金額ヲ納󠄁付シテ該商品ニ關シ其ノ責ヲ免ルルコトヲ得
東京ヲ通󠄁シテ淸國國境税關ニ達スルカ爲安南國港津ニ向ケ淸國港津ヨリ發送セラルヘキ淸國商品ニ對シテハ安南國ニ於テ同一ノ規則及同一ノ通󠄁過税ヲ適用スヘキモノトス
第十三條 左記物品ハ其ノ出入ニ際シ淸國税關ノ檢證ヲ經ルコトヲ要ス該物品カ眞ニ外國ヨリ來リ外國人ノ自用ニ充テラレ且其ノ數量ニシテ適當ナルトキハ之ニ對シ國境自由通󠄁過ヲ許容スル免税證ヲ下附スヘキモノトス
金銀長塊
外國硬貨幣
粉、玉蜀黍粉、沙穀澱粉
乾麺麭
肉類及野菜罐詰
乾酪、牛酪、糖菓
外國衣服
寶石
銀器
香料
各種石鹸
木炭
薪
西洋蠟燭及外國蠟燭
煙草
葡萄酒、麥酒、酒精飲料
家庭用物品
船舶材料
私人用行李
紙類
室內装飾品
刃物
賣藥及外國藥品
硝子器
此等商品ニシテ届出免税許可證ノ方式ヲ缺キ隱密ニ輸入セラルルトキハ之ヲ密輸入商品トシ之ト同一ノ罰金ヲ課スヘキモノトス
免税物品タル金、銀、硬貨幣及行李ヲ除キ前記ノ物品カ外國人ノ私用ニ充テラレ且其ノ輸入數量ニシテ適當ナルトキハ該商品カ淸國內ニ輸送セラルルニ際シ從價二分五厘ノ通󠄁過税ヲ支拂フヘキモノトス
佛安國境税關ハ淸國人カ携帶輸送スル自用物品タル硬貨幣、行李、衣服、婦人結髪用裝飾品、紙類、筆墨、書籍、動產及食料品竝東京ニ駐在スル淸國領事カ自用ノ爲ニ取寄スル物品ニ關シテハ東京ニ於ケル出入ニ際シ如何ナル税ヲモ課セサルモノトス
第十四條 兩締約國ハ發送地ノ如何ヲ問ハス一方東京及他方雲南、廣西及廣東間ノ陸境ニ依ル阿片ノ賣買及輸送ヲ禁止スヘキコトヲ約定ス
第十五條 米及穀物ノ輸出ハ淸國ニ於テハ之ヲ禁止ス右物品ノ輸入ハ淸國ニ於テハ之ヲ免税ス左ノ物品ノ輸入ハ淸國ニ於テハ之ヲ禁止ス
火藥
彈丸
小銃及大砲
大砲彈藥
硫黄
鉛
亞鉛
武器
鹽
不道德ナル刊行物
違反アルトキハ該商品ハ之ヲ全部沒收ス淸國官憲カ武器若ハ火藥ヲ購買セシメ又ハ商人カ武器若ハ火藥購買ノ特許ヲ受ケタルトキハ淸國関税ノ特別監督ノ下ニ其ノ輸入ヲ許可セラルヘシ又淸國官憲ハ佛國領事トノ協議ヲ經タル後東京ヲ通󠄁シテ淸國ニ輸送セシメントスル武器及火藥ニ對シ佛安税關ニ於ケル一切ノ税ノ免除ヲ受クルコトヲ得
東京ニ於ケル武器、火藥及不道德ナル刊行物ノ輸入モ亦之ヲ禁止ス
第十六條 安南ニ居住スル淸國人ハ刑事事件、税務事件其他ノ事件ニ關スル裁判管轄ノ關係ニ付最惠國臣民ト同一ノ條件ヲ適用セラルヘキモノトス國境開市場ニ於ケル淸國臣民及佛蘭西國人若ハ安南國人間ニ起レル訴訟ハ混合裁判廷ニ於テ淸國及佛蘭西國ノ官吏之ヲ裁判スヘシ淸國開市場地帶內ニ於テ佛蘭西國人若ハ佛蘭西國保護民ノ犯シタル重罪若ハ輕罪ニ關シテハ千八百五十八年六月二十七日ノ條約第二十八條第二十九條ノ規定ニ據ルヘシ
第十七條 淸國人タル逃亡人若ハ淸國法ニ依ル重罪犯人カ淸國國境開市場地帶內ニ於テ佛蘭西國人若ハ佛蘭西國保護民ニ屬スル家屋若ハ船舶內ニ潛匿スルトキハ地方官憲之ヲ領事ニ通󠄁吿シ領事ハ犯罪人ニ關スル犯罪ノ證據ニ基キ直ニ犯罪人ヲ法律ニ依ル正規ノ處分ニ委付スルカ爲必要ナル處置ヲ採ルヘシ
淸國人タル犯罪人又ハ重罪若ハ輕罪ノ被吿ニシテ安南國ニ於テ潛匿ノ場所ヲ求ムルモノハ淸國官憲ノ請求ニ依リ其ノ犯罪ノ證據ニ基キ犯罪人引渡ニ關シ最モ寛大ナル待遇ヲ受クヘキ國ノ臣民カ佛蘭西國ヨリ引渡サルヘキ一切ノ場合ニ於テ之ヲ捜索シ、逮捕シ及引渡スヘキモノトス
佛蘭西國人及佛蘭西國保護民タル犯罪人又ハ重罪若ハ輕罪ノ被吿ニシテ淸國ニ於テ潛匿ノ場所ヲ求ムルモノハ佛國官憲ノ請求ニ依リ犯罪ノ證據ニ基キ法律ニ依ル正規ノ處分ニ委付スルカ爲之ヲ逮捕シ該官憲ニ引渡サルヘキモノトス
兩締約國ハ注意ヲ以テ一切ノ隱匿ヲ避止スルコトヲ要ス
第十八條 前條ニ定メラレサル一切ノ困難ニ關シテハ現行諾條約ニ依リ現在都府及開港場ニ適用セラルル税關規則ニ依リテ之ヲ決スヘキモノトス
該規則ノ不充分ナル場合ニ於テハ兩國吏員ハ之ヲ相互ニ兩國政府ニ照會スルコトヲ要ス
本條約ハ千八百八十五年六月九日ノ條約第八條ノ規定ニ依リ批准交換十年後ニ之ヲ修正スルコトヲ得
第十九條 本通󠄁商條約ハ兩締約国政府ノ批准ヲ經タル後佛蘭西國、淸國及安南國ニ於テ公布セラルヘキモノトス
批准交換ハ本條約署名ノ日以後一年ノ期間以內若ハ出來得ル限リ速ニ北京ニ於テ之ヲ行フヘシ
千八百八十六年四月二十五日卽光緒十二年三月二十二日
天津ニ於テ本書四通󠄁ヲ作ル
ヂェー、コゴルダン（署名）
エー、ブリュウエール（署名）
李鴻章（署名）
（支那文ハ之ヲ省略ス）