[文書名] 佛國郵便電信政廳及淸國關稅及郵便政廳間ニ於ケル小包郵便物交換ニ關スル協定（仏国郵便電信政庁及清国関税及郵便政庁間に於ける小包郵便物交換に関する協定）
（佛文、但シ英譯文ヨリ之ヲ譯ス）
千九百四年十月二十一日
千九百年二月三日佛國郵便電信政廳及淸國關稅及郵便政廳間ニ締結シタル郵便約定第八條ニ定ムル兩國郵政廳間ノ小包郵便物交換ハ左記各條ノ規定ニ從ヒテ之ヲ行フヘシ
第一條 小包ノ重量
價格表記タルト否トヲ問ハス小包ノ重量ハ十「キログラム」ヲ超過スルコトヲ得ス
但シ淸國關稅及郵便政廳ニ宛ツル小包ニシテ鐵道若ハ汽船ト連絡遞送セラレサルモノハ例外トシテ最重重量ノ限界ヲ三「キログラム」トス然レトモ此ノ限界ハ今後如何ナル時期ニ於テモ兩國郵政廳間ニ於ケル相互ノ同意ニ依リ之ヲ増加スルコトヲ得ヘキモノトス
第二條 小包ノ大サ
現在本條約ヲ適用スヘキ小包郵便物ノ大サハ一「メートル」五十「センチメートル」ヲ超過スルコトヲ得ス其ノ容量五十五立方「デシメートル」ヲ超ユルコトヲ許サス但シ名宛地ノ如何ヲ問ハス重量三「キログラム」以下ノ小包竝三「キログラム」以上五「キログラム」以下ノ小包ニシテ容量五十五立方「デシメートル」ヲ超過セス其ノ大サ六十「センチメートル」ヲ超ユヘカラサルモノヲ除ク
然レトモ洋傘、ステッキ、地圖、設計圖ヲ包有スル五「キログラム」以下ノ小包ハ長サ一「メートル」廣サ（若ハ厚サ）二十「センチメートル」ヲ超エサル場合ニ限リテ受理セラルヘキモノトス
本條ニ定ムル大サ及容量ノ限界ハ相互ノ同意ニ依リテ之ヲ増大スルコトヲ防ケス
第三條 小包郵便物ノ交換
兩國郵政廳カ別ニ協定スルトコロナキトキハ小包郵便物ノ交換ハ淸國ニ於テ設置セラルル佛國郵便局及該佛國郵便局ノ設置セラルルト同一ノ地域ニ設置セラルル淸國郵便局ノ媒介ニ依リテ行ハルヘキモノトス
第四條 小包ノ引渡
一、佛國郵政廳ハ其ノ維持スル制度ニ依リ一方淸國及他方佛國、佛國殖民地及其他ノ外國間ニ於ケル小包交換ノ媒介ヲ爲スヘシ
二、淸國關稅及郵便政廳ハ佛國郵政廳ヨリ引渡サルル一切ノ小包ノ其ノ制度ニ依ル引渡ヲ保障スヘキコトヲ約定ス
第五條 關稅及郵便料
兩國郵政廳ハ各自國郵便局ヨリ差立ツル小包郵便物ニ關シテ集收スヘキ稅金及課金ヲ定ムヘシ小包郵便物ニ關スル郵便料金ハ差立以前ニ豫納スルコトヲ要ス但シ配達料金ハ名宛人之ヲ支拂フヘキモノトス
尚鐵道若ハ汽船ト連絡ナキ支那國內ノ地點ヲ名宛地トスル小包郵便物ニ付テハ鐵道若ハ汽船ノ制度ニ依ラサル引渡ニ關シ名宛人ノ負擔トシテ支那國關稅及郵便政廳ノ定ムル附加料金ヲ課スヘシ
佛國郵政廳ハ支那國內ニ於ケル佛國郵便局間ニ於テ交換セラルル小包郵便物ニ關シ支那國郵政廳ノ課スル料金率ヨリモ低キ料金ヲ課スへカラス
第六條 繼越料金
一、支那國關稅及郵便政廳ハ佛國郵便及電信政廳ニ對シテ左ニ定ムル料金ヲ支拂フヘシ
佛國ヲ名宛地トスル各小包郵便物ニ付テハ
五「キログラム」以下ノモノ……三「フラン」十五「サンチーム」
五「キログラム」以上十「キログラム」以下ノモノ……四「フラン」八十「サンチーム」
「アルジエリア」若ハ「コルシカ」ヲ名宛地トスル各小包郵便物ニ付テハ左ノ附加料金ヲ課ス
五「キログラム」以下ノモノ……五十「サンチーム」
五「キログラム」以上十「キログラム」以下ノモノ……八十五「サンチーム」
佛國殖民地及外國ヲ名宛地トスル小包郵便物ニ付テハ華盛頓萬國條約實施ノ爲ノ施行細則第一條ニ依リ佛國郵便政廳ノ作成セルＡ號表ニ定ムル料金ヲ課ス
二、佛國郵政廳ハ淸國關稅及郵便政廳ニ對シテ淸國郵便制度ニ依リ差立ラルルカ爲淸國郵政廳ニ引渡サルル各小包郵便物ノ引渡ニ付左ニ定ムル料金ヲ支拂フヘシ
五「キログラム」以下ノモノ
五百浬ヲ超エサル凡テノ海路繼越若ハ千「キロメートル」ヲ超エサル凡テノ陸路繼越ニ付テハ二十五「サンチーム」
五百浬以上千浬以下ノ凡テノ海路繼越若ハ千「キロメートル」以上二千「キロメートル」以下ノ凡テノ陸路繼越ニ付テハ五十「サンチーム」
千浬以上ノ凡テノ海路繼越若ハ二千「キロメートル」以上ノ凡テノ陸路繼越ニ付テハ一「フラン」
五「キログラム」以上十「キログラム」以下ノモノ
五百浬ヲ超エサル凡テノ海路繼越若ハ千「キロメートル」ヲ超エサル凡テノ陸路繼越ニ付テハ四十「サンチーム」
五百浬以上千浬以下ノ凡テノ海路繼越若ハ千「キロメートル」以上二千「キロメートル」以下ノ凡テノ陸路繼越ニ付テハ七十五「サンチーム」
千浬以上ノ凡テノ海路繼越若ハ二千「キロメートル」以上ノ凡テノ陸路繼越ニ付テハ一「フラン」五十「サンチーム」
第七條 價格表記小包
差立郵政廳ハ繼越料金ノ外ニ價格表記小包保險料ニ關シ他ノ郵政廳ニ對シ及各郵政廳カ責任保障ノ下ニ在ル場合必要アルトキハ引渡ニ關係セル各郵政廳ニ對シ左ニ定ムル保險料ノ分擔額ヲ支拂フヘキモノトス
三百「フラン」及其ノ未滿ニ付陸路繼越ニ於テハ五「サンチーム」海路繼越ニ於テハ十「サンチーム」
「コルシカ」及「アルジエリア」ヲ名宛地トスル小包ニ對スル佛國郵政廳ノ保險料分擔額ハ三百「フラン」ニ付三十五「サンチーム」ト爲スヘシ
第八條 小包郵便物受領證
小包郵便物發送人ハ二十五「サンチーム」ヲ超エサル料金ヲ支拂ヒテ小包郵便物受領證ヲ求ムルコトヲ得
小包郵便物發送後該小包ニ關シテ照會ヲ爲サムトスルトキハ以前ニ小包郵便物受領證ニ關スル特別料金ヲ支拂ハサルトキニ限リ前項ト同額ノ料金ヲ支拂フヘキモノトス
該料金ハ全部差立郵政廳ニ歸屬スヘキモノトス
第九條 引渡及關稅手續
名宛國ニ對シ名宛人ヨリ引渡及關稅手續ニ關シ各小包ニ付二十五「サンチーム」ヲ超過セサル料金ノ集收ヲ許可スヘシ
第十條 納付海關稅ノ失效
差立郵便局ニ對スル小包郵便物ノ再引渡若ハ返送ノ場合ニハ第一名宛國ニ於テ小包ニ關シテ支拂ヒタル海關稅ハ其ノ納付シタル效力ヲ認メラレサルモノトス
第十一條 責任
一、不可抗力ノ場合ヲ除キ小包郵便物カ紛失シ、掠奪セラレ若ハ破損シタルトキ該損害カ發送人ノ過失若ハ怠慢ニ起因スルカ又ハ小包郵便物ノ性質ヨリ生シタルニアラサルトキハ發送人若ハ之ヲ缺クトキ又ハ其ノ要求アルトキハ名宛人ニ於テ紛失、掠奪若ハ破損ニ依ル現實ノ損害額ニ相當スル賠償金ヲ請求スル權利ヲ有スルモノトス但シ該賠償金ハ五「キログラム」以下ノ普通小包ニ付テハ二十五「フラン」、五「キログラム」以上十「キログラム」以下ノ小包ニ付テハ四十「フラン」、價格表記小包ニ付テハ表記價格ヲ超ユルコトヲ得サルモノトス
尚紛失シタル小包ノ發送人ハ該小包郵便料金ノ返還ヲ受ケ且照會ヲ爲スコトニ關スル郵便費用ニ付照會ノ原因カ郵便局ノ過失ニ存スルトキハ之ヲ請求スルノ權利ヲ有ス但シ保險料ハ郵政廳之ヲ保留スヘキモノトス
二、賠償金支拂ノ義務ハ差立郵政廳ノ負擔スヘキモノトス而シテ賠償ニ關シテ責任アル郵政廳卽チ紛失、掠奪若ハ破損ノ發生セル土地若ハ制度ヲ管轄スル郵政廳ニ對シテ請求ヲ提起スルカ否カハ差立郵政廳ノ適宜トス
三、如何ナル注意ヲモ與ヘスシテ小包ヲ受理シ名宛地ニ對スル引渡及場合ニ依リテハ繼次郵政廳ニ對スル正規ノ遞送ヲ爲スコト能ハサル郵政廳ハ反證アル迄賠償責任ヲ保有スヘキモノトス
四、差立郵便局ニ依ル賠償金支拂ハ出來得ル限速ニ且請求アリタル日ヨリ一年ノ期間內ニ之ヲ爲スコトヲ要ス責任アル郵便局ハ差立局ニ對シ差立局ノ支拂ヒタル賠償金額ヲ遲滯ナク補償スルコトヲ要ス差立局ハ媒介局若ハ名宛局カ正當ニ通吿ヲ受ケタル上請求ヲ處理セスシテ一年ヲ經過シタルトキ小包發送人ニ對シ媒介局若ハ名宛局ニ代リテ發送補償スルコトヲ委任セラルヘシ尚一郵便局ノ責任立證セラレタルニモ係ハラス賠償金ノ支拂ヲ囘避シタル場合ニハ賠償金ノ外ニ支拂ノ遲滯ヨリ生スル附帶費用ノ支拂ヲ爲スヘシ
五、小包ニ關スル請求ハ小包發送ノ日以後一年ノ期間內ニ之ヲ爲スヘク該期限以後ハ請求人ニ於テ如何ナル賠償請求ヲモ爲スコトヲ得サルモノトス
六、小包ノ紛失若ハ破損カ兩國郵政廳ノ交換局間ニ於テ發生シ兩國郵政廳管轄區域ニ付損害發生ノ地點ヲ確定スルコト能ハサルトキハ關係兩國郵政廳ニ於テ損害ヲ均分負擔スヘシ
七、郵政廳ハ小包郵便物カ該小包郵便物ヲ受領スヘキ權利アルモノニ引渡サレタル以後ニ於テハ責任ヲ負フノ限ニアラス
第十二條 小包ノ交換ヲ許容セラルヘキ郵便局
佛國及淸國ノ郵政廳ハ小包郵便ノ交換ヲ許容セラルヘキ郵便局若ハ地域ヲ指定スヘシ
兩國郵政廳ハ相互ニ小包郵便物交換制度ノ爲ニ開カルヘキ地點表ヲ供與スヘシ
第十三條 禁止物品
小包郵便物ハ發送人及名宛人間ノ通信トスヘキ封緘若ハ開封シタル信書若ハ書牘ヲ包含スへカラス但シ專ラ小包郵便物ノ內容ニ關スル送狀、定價表及其他ノ開封書狀ハ此ノ限ニアラス
發送人ハ小包郵便物中ニ爆發性若ハ燃燒性ノ物品及凡テ其ノ遞送カ危險ヲ生スヘキ物品若ハ其ノ輸入カ法律若ハ關稅規則ニ反スルカ又ハ其ノ輸入カ許可セラレサル物品ヲ包有セシムルコトヲ禁セラルヘシ
貨幤、金銀製品及其他ノ貴重品ヲ包含スル小包郵便物ハ價格表記トナスコトヲ要ス
前各項ニ違反シタルトキハ單ニ小包郵便物ヲ差立局ニ返送スルモノトス
兩國郵政廳ハ相互ニ其ノ版圖ニ對スル輸入ヲ禁止セラレタル物品及生産物ノ表ヲ通吿スヘシ
第十四條 郵便制度ノ停止
各郵政廳ハ非常ナル事變ニ因リ正當ト認メラルル場合ニハ其ノ小包郵便制度ノ全部又ハ一部ノ實施ヲ一時停止スルコトヲ得但シ必要アルトキハ他方關係郵政廳ニ對シ卽時電信ニ依リテ通吿ヲ爲スコトヲ要ス
第十五條 條約ノ實施
佛國及淸國ノ郵政廳ハ本約定ノ實施ヲ確保スルカ爲一切ノ細目事項及規程ヲ定ムヘシ
兩國郵政廳ハ相互ニ媒介トナルヘキ國名ノ表ヲ供與スヘシ特ニ佛國郵政廳ハ本約定ノ凡テノ條項ノ完全ナル實施ヲ確保シ且交換制度ヲ組織スルカ爲鐵道會社及汽船會社ト商議ヲ爲スヘシ佛國郵政廳ハ該會社ト淸國關稅及郵便政廳トノ凡テノ關係ニ於テ媒介者タルヘキモノトス
第十六條 一般規定
本約定ニ規定ナキカ又ハ本條約ニ違反セサル凡テノ事項ニ付テハ各締約國國內法制竝華盛頓萬國條約ノ規定及其ノ附屬細則適用セラルヘシ
第十七條 約定ノ有效期間
本約定ハ兩國郵政廳カ相互ニ同意シタル日ヨリ實施セラレ無期限ニ有效トス但シ兩締約國ハ何時ニテモ相互ノ同意ニ依リテ必要ナリト思料スル變更ヲ加ヘ又ハ少クトモ六月ノ豫吿ヲ與ヘテ本約定ヲ終了スルノ權利ヲ留保ス