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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 労働者災害補償に付ての内外人労働者の均等待遇に関する勧告(第25号)(1925年の均等待遇(災害補償)勧告(第25号))

[場所] 
[年月日] 1925年6月5日
[出典] 国際労働機関
[備考] 
[全文] 

 国際労働機関の総会は、

 国際労働事務局の理事会に依りジユネーヴに招集せられ、千九百二十五年五月十九日を以て其の第七回会議を開催し、

 右会議の会議事項の第二項目たる労働者災害補償に付ての内外人労働者の均等待遇に関する提案の採択を決議し、且

 該提案は勧告の形式に依るべきものなることを決定し、

 国際労働機関の締盟国をして立法其の他の方法に依り之が実現を為さしむる目的を以て考慮せしむる為、国際労働機関憲章の規定に従ひ、千九百二十五年六月五日、千九百二十五年の均等待遇(災害補償)勧告と称せらるべき左の勧告を採択す。

I

 労働者災害補償に付ての内外人労働者の均等待遇に関する条約の実施を容易ならしむる為、総会は、左の通勧告す。

 (a) 一締盟国の法令及規則に従ひ補償の支払を受くべき者が他の締盟国の領域内に居住するときは、右補償の支払を容易ならしめ且前記の法令及規則に依り定めらるる右支払に関する条件の遵守を確保する為必要なる措置を執ること。

 (b) 補償請求権の発生せる締盟国の領域外に居住する者に支払はるべき補償の不払、支払中断又は減額に関する争議の場合に於ては、当事者の出席を求めずして右領域内に於ける権限ある裁判所に出訴するの便宜を与ふること。

 (c) 労働者補償に関連する目的の為、各締盟国の法令に依り許与せらるる租税の免除、公文書の無料下付其の他の特権に関する便益は、前記条約を批准したる他の締盟国の国民に同様の条件を以て拡張せらるること。

II

 総会は、保険其の他の方法に依る労働者産業災害補償に関する制度の存在せざる国に於ては、右の制度の設置ある迄、当該国政府が外国人労働者をして其の自国に於ける労働者補償に関する法令及規則に依り給付を受くるを得しむるの便宜を之に与ふべきことを勧告す。