[文書名] 国際博覧会に関する条約
国際博覧会に関する条約
後記の諸政府の全権委員である下名は、千九百二十八年十一月十二日から二十二日までパリで会議を開催し、合意により、かつ、批准を条件として、次の規定を協定した。
第一編 定議
第一条
この条約の規定は、公の又は公に認められた国際博覧会のみに適用する。
公の又は公に認められた国際博覧会とは、展示のための催し(名称のいかんを問わない。)であつて、諸外国が外交上の経路を通じて招請され、一般に非周期的性質を有し、その主たる目的が一又は二以上の生産部門における諸国の進歩を示すことにあり、かつ、その会場への入場について、購買を目的とする者とその他の入場者との間に原則としていかなる差別も設けないものをいう。
この条約の規定は、次に掲げるものには適用されない。
1 三週間未満の開催期間を有する博覧会
2 国際会議の際に開催される学術上の博覧会。ただし、その開催期間が1の期間をこえないことを条件とする。
3 美術展覧会
4 一国が他の国の招請により当該他の国において単独で開催する博覧会
締約国は、国際博覧会であつて、この条約を適用した場合においてこの条約に規定するその義務を履行しないようなものに対し、国の後援及び補助金並びに第三編、第四編及び第五編に規定するその他の利益を与えないことに同意する。
第二条
二以上の生産部門における人類の活動の成果を内容とする博覧会又は特定の分野(衛生、応用美術、近代的生活、植民地の開発等)において達成された進歩の全体を示すことを目的として開催される博覧会は、一般博覧会とする。
一の応用化学(電気、光学、化学等)、一の技術(織物、鋳造、印刷等)、一の原料(皮革、絹、ニッケル等)又は一の生活必需品(暖房、食料品、輸送等)に関する博覧会は、特別博覧会とする。
第十条の国際事務局は、前項の規定により一の特別博覧会の対象とすることができる業種及び物品を決定するための基礎となる博覧会の分類を定めるものとする。この分類の表は、毎年改正することができる。
第三条
国際博覧会の開催期間は、六箇月をこえてはならない。ただし、国際事務局は、一般博覧会については、これより長い期間(いかなる場合にも、十二箇月をこえてはならない。)を認めることができる。
第二編 博覧会の回数
第四条
この条約の適用を受ける国際博覧会の回数は、次の原則によつて規律される。
一般博覧会は、次の二種類に分類される。
第一種 被招請国にその国の陳列館を建設する義務を課するもの
第二種 被招請国にその国の陳列館を建設する義務を課さないもの
同一の国においては、第一種の一般博覧会は、十五年間に一回に限り開催することができ、また、種類のいかんを問わず、二つの一般博覧会の間には、十年の間隔を置かなければならない。
いづれの締約国も、第一種の一般博覧会には、それが前回の第一種の一般博覧会から少なくとも六年を経過した後に開催されるものである場合に限り、参加することができる。いずれの締約国も、第二種の一般博覧会には、それと前回の一般博覧会との間に二年の間隔がある場合に限り、参加することができる。この間隔は、当該博覧会が前回の博覧会と同一の性質のものである場合には、四年とする。
前項の期間は、締約国が開催する博覧会と非締約国が開催する博覧会との間に差別を設けることなく適用される。
同一の性質の二以上の特別展覧会は、締約国の領域において同一の時期に開催することができない。同一の性質の特別博覧会を同一の国において再び開催するためには、五年の期間を置かなければならない。ただし、国際事務局は、いずれかの生産部門における急速な進歩に照らして妥当であると認めるときは、例外的に、この期間を最低三年まで短縮することができる。同様の期間の短縮は、すでにいずれかの国において伝統的に五年未満の間隔を置いて開催されている博覧会についても認めることができる。
異なる性質の特別博覧会は、同一の国においては、三箇月以上の間隔を置かない限り、開催することができない。
この条に定める期間については、博覧会の開会日を起算日とする。
第五条
締約国はこの条約の規定に適合する博覧会が自国の領域において開催されるときは、第八条の規定に従うことを条件として、外交上の経路を通じて、次の時期までに諸外国に対し招請を行なうものとする。
第一種の一般博覧会については、開催の三年前
第二種の一般博覧会については、開催の二年前
特別博覧会については、開催の一年前
いずれの政府も、前記の招請が行なわれなかつたときは、当該国際博覧会に参加し、又はこれへの参加を後援することができない。
第六条
国際博覧会の開催に関して二以上の国が相互に競合するときは、これらの国は、開催の権利を得る国を決定するため、意見の交換を行なうものとする。
意見の一致が得られないときは、これらの国は、国際事務局の裁定を求めるものとし、国際事務局は、提出された意見並びに、特に歴史的又は精神的な特別の理由、最近の博覧会の後経過した期間及び競合する各国がすでに開催した博覧会の数を考慮に入れるものとする。
第七条
締約国は、第一条に定める博覧会の特質を備えた博覧会が非締約国において開催される場合には、その博覧会への招請を受諾するに先だち、国際事務局の意見を求めるものとする。
締約国は、計画された博覧会がこの条約によつて要求される保障と同様の保障又は少なくとも十分な保障を与えない限り、その博覧会に参加しないものとする。締約国が開催する博覧会と非締約国が開催する博覧会とが同一の時期に開催される場合には、他の締約国は、例外的な事情がない限り、優先的に、締約国が開催する博覧会に参加するものとする。
第八条
この条約の適用を受ける博覧会を開催しようとする国は、第五条に規定する招請時期の少なくとも六箇月前に、国際事務局に対し、博覧会の登録を受けるための申請を行なわなければならない。この申請には、博覧会の名称及び開催期間を明示するものとし、また、分類表、一般規則及び審査委員会規則並びに人及び建造物の安全並びに工業所有権及び著作権の保護を保障するための措置並びに第四編及び第五編に規定する義務を履行するための措置を明示するすべての書類を添附するものとする。国際事務局は、当該博覧会がこの条約の条件を満たさない限り、その登録をしない。
いずれの締約国も、この条約の適用を受ける博覧会への参加の招請状に登録を受けた旨の記載がないときは、その招請を受諾しないものとする。
もつとも、招請を受けた締約国は、この条約の規定に従つて開催される博覧会に参加しないことについて完全な自由を有する。
第九条
いずれかの国が計画して登録を受けた博覧会の開催を中止したときは、国際事務局は、その国が新たな博覧会の開催について再び他の国と同等の資格を得る日を決定する。
第三編 博覧会国際事務局
第十条
この条約の適用を監視させるため、博覧会国際事務局を設置する。国際事務局は、分類委員会の補佐を受ける理事会と一人の事務局長とから成るものとし、事務局長の任命及び権限は、次条に規定する規則で定める。
国際事務局の理事会の第一会会合は、この条約が効力を生じた後一年以内に、フランス共和国政府がパリに招集する。理事会は、この会合において、国際事務局の所在地を決定し、かつ、事務局長を選任する。
第十一条
理事会は、各締約国がそれぞれ一人から三人までの範囲内で指名する者から成る。理事会は、国際商業会議所が指名する同会議所の二人又は三人の会員を顧問の資格で理事会に参加させることができる。
理事会は、この条約により付与された権限に係るすべての問題について決定を行なう。理事会は、国際事務局の組織及びその内部運営に関する規則を審議し、かつ、採択する。理事会は、収入及び支出の予算を決定し、並びに会計を検査し及び承認する。
第十二条
いずれの国も、その代表者の数のいかんにかかわらず、理事会において、一個の投票権を有する。いずれの国も、自国を代表することを他の国の代表団に委任することができる。この場合には、委任された国は、自国が代表する国の数と同数の投票権を有する。議事が有効であるための定足数は、理事会に代表者を出した国の数の三分の二とする。
表決は、次の事項に関する場合を除くほか、絶対多数によつて行なわれる。
1 規則の制定
2 予算の増額
3 締約国が提出した申請の却下又は二以上の国が競合する場合における申請の受理
4 一般博覧会を六箇月をこえる期間開催するための許可
これらの事項に関する場合には、国際事務局に代表者を出した国の三分の二の多数を必要とする。
第十三条
分類委員会は、十二の締約国の代表者でそれぞれの国の政府によつて指名されるものから成る。
これらの締約国の半数は、国際事務局が指定し、他の半数は、国際事務局の規則で定める条件に従い、順次交代するものとする。
分類委員会は、国際商業会議所が指名する同会議所の一人又は二人の会員を顧問の資格で同委員会に参加させることができる。
分類委員会は、第二条に定める分類の表及びこれに加えられる改正を理事会に提出して承認を求める。第四条に定める期間の適用に関し、分類委員会は、登録を申請された博覧会が特別博覧会であるか又は一般博覧会であるかの問題並びに、名称及び類別のいかんにかかわらず、当該博覧会が前回の博覧会又は同一の時期に開催される特別博覧会と同一の性質のものであるかどうかの問題について意見を提出する。
第十四条
国際事務局の予算は、暫定的に四千スターリング・ポンドと定める。国際事務局の経費は、締約国が負担するものし、分担金の額は、次の方法より決定される。
すなわち、国際連盟の連盟国である締約国の分担金の額は、それらの国が国際連盟に払い込む分担金の額に比例して定める。前記の予算を増額した場合を除くほか、最高額を割り当てられる国の分担金の額は、五百スターリング・ポンドをこえることができない。国際連盟の非連盟国である締約国は、自国の経済の発展の程度を考慮して国際連盟の連盟国である締約国を指定し、その国が払い込む分担金の額と等しい額の分担金を負担するものとする。
また、理事会は、分担金のほか、団体又は個人のために提供された役務の対価を収入として徴収することを認めることができる。
第四編 招請国及び参加国の義務
第十五条
国際博覧会への参加を招請する政府は、政府を代表し、かつ、外国の参加者に対する約束の履行を保障する任務を有する一人の政府委員又は代表を指名しなければならない。政府委員又は代表は、さらに、展示される物品の物的損害に対する保護について必要なすべての措置を執らなければならない。
第十六条
参加国政府は、政府を代表し、かつ、博覧会の際に制定された規則の遵守を監視するための政府委員又は代表を指名しなければならない。
参加国の陳列館及び陳列区域内における出品者間の場所の割当て又は配分の決定は、当該参加国の政府委員又は代表のみが行なう。
第十七条
一般博覧会においては、行政庁は、博覧会の実施計画において予定された場所で各参加国に割り当てられたもの(屋内であるかどうかを問わない。)について、いかなる料金も徴収することができない。
第十八条
この条約の適用を受けるいずれの博覧会においても、外国の物品で本来関税その他の租税を課されるべきものについては、再輸出されることを条件として、一時的な、免税輸入が認められる。これらの物品に添附される発送者の証明書は、これらの物品の数量及び性質、包装の記号及び番号の並びにこれらの物品の取引上の名称、重量、原産地及び価格を証明するものとする。これらの物品は、国境での税関検査を受けることなく、博覧会の会場で通関される。これらの規定は、博覧会開催国の税関規則に従うことを条件として適用される。
招請国の国内法令により前項の一時的な免税輸入の許可について担保が必要とされる場合には、各参加国の政府委員が自国の出品者のために提供した担保は、展示された物品で博覧会の閉会後所定の期間内に再輸出されなかつたものに課される関税その他の租税の支払のための十分な保証として認められるものとする。
本来の意味での見本ではない物品で博覧会の開催中に販売するためにのみ輸入されるものは、一時的な免税輸入の便益を享受することができない。
展示された物品が完全に又は部分的に損壊した場合において、次の条件が満たされるときは、出品者は、免税輸入の便益を享受する。
1 亡失した部分又は損傷した物品が博覧会の用に供されていたこと、又はそれらが損壊しやすい性質のためにもはや販売することができないことを出品者が証明すること。
2 関税率表が損傷し又は使用することができない物品に対し輸入税その他の租税を課していないこと。
前記の免税輸入の便益は、物品がその通常の用途で消費されたものであるときは、与えられないものとする。
第四項に規定する証明は、出品者が属する国の政府委員又は代表が提出するものとし、その判定は、博覧会の開催国の行政庁が行なう。
前記の規定の適用上、次の物品は、展示のための物品とする。
1 建設資材(博覧会の開催国に到着した後に加工されるため原材料の状態で輸入されるものを含む。)
2 博覧会の作業のための器具及び運搬用機器
3 出品者の陳列台及び陳列だなの内部及び外部の装飾のための物品
4 参加国の政府委員又は代表に割り当てられた場所の装飾品及び家具として用いられる物品並びにそれらの者の使用に供される事務所用の物品
5 展示される機械又は器具の据付け及び操作のために用いられる物品
6 審査委員会が展示された物品を審査し及び判定するために必要とする見本。ただし、その陳列区域の政府委員の証明書で消費される物品の性質及び数量を明示したものの提出を条件とする。
なお、次の物品については、租税が免除される。
1 さし絵の有無にかかわらず、博覧会参加国が発行した公式のカタログ、パンフレット及びポスター
2 さし絵の有無にかかわらず、外国の物品の出品者が博覧会の開催期間中に限りその会場において無料で配布するカタログ、パンフレット、ポスターその他のすべての刊行物
開催国の法令により国の専売とされる部品又はその販売が禁止され若しくは許可制によつて規制される物品については、この条の規定は、博覧会開催国政府が定める条件に従つてのみ適用する。もつとも、これらの物品の展示は、その販売を防止するための規制措置を執ることを条件として、許されるものとする。
第十九条
いずれの国際博覧会の規則にも、出品者が博覧会への参加を承諾した後にその出品者の生産物に適用される税の税率が引き上げられた場合には参加の意思表示を撤回する権利をその出品者に与える旨の条項を設けなければならない。
第二十条
博覧会開催国の法令により禁止されていない限り、出品者は、博覧会の閉会の際に、展示された見本を販売し及び引き渡すことができる。この場合には、出品者は、通常の輸入をした場合に支払うべき税以外のいかなる税も課されることはない。
第二十一条
国際博覧会においては、いずれかの参加国に関係がある地理的名称は、施設又はその集団を呼称するために使用することができない。ただし、その国の政府委員又は代表の承認を受けた場合は、この限りではない。
締約国が博覧会に参加しない場合には、このような使用禁止は、その締約国政府の要請により、博覧会運営事務局が公表する。
第二十二条
博覧会においては、開催国政府又は参加国政府が第十五条及び第十六条の規定に従つて指名した政府委員又は代表の権限の下に設けられた区域のみが、その国の陳列区域と認められるものとし、したがつて、その区域のみが、その国の名を附して呼称されることができる。
第二十三条
一国の陳列区域には、その国に属する物品のみを展示することができる。
もつとも、他の国に属する物品は、当該他の国の政府委員又は代表の承認を受けたときは、展示を完全なものにするためにのみ使用されること、展示の主体である物品に対する褒賞の授与にいかなる影響も及ぼさないこと及びそれ自体が当該展示を理由するいかなる褒賞も受けないことを条件として、前記の区域に展示することができる。
一国の土地から採掘され、又はその領域において収穫され若しくは製造された物品は、その国の農業及び工業その他の産業に属するものと認める。
第二十四条
開催国の法令に反対の規定がない限り、原則として、いかなる種類の独占事業も、博覧会内において認めてはならない。ただし、博覧会の会場における照明、暖房、通関、会場整備及び広報について独占事業が不可欠であると認めるときは、博覧会運営事務局は、これらの独占事業を認めることができる。この場合には、博覧会運営事務局は、次の条件に従わなければならない。
1 独占事業があることを博覧会規則及び出品者に署名させる参加申込書に記載すること。
2 開催国において通常適用される条件により出品者に独占事業を利用させることを確保すること。
3 いかなる場合にも、各政府委員のそれぞれの陳列区域内における権限を制限しないこと。
開催国の政府委員は、参加国に対して請求される賃金の率が開催国の博覧会運営事務局に対して請求される賃金の率より高率にならないようにするため、あらゆる措置を執るものとする。
第二十五条
国際博覧会の各開催国は、その博覧会の用に供される物品のために鉄道、海運又は航空に関する自国の行政庁、会社及び企業から運送上の便宜が与えられるようにあつせんするものとする。
第二十六条
各国は、虚構の博覧会の発起人又は虚偽の約束、公示若しくは広告により参加者が詐欺的に誘引された博覧会の発起人を訴迫するため、自国の法令上最も適当であると認められるすべての措置を執るものとする。
第五編 褒賞
第二十七条
博覧会の一般規則には、出品者に対して、常に与えることができる参加証書とは別個に、褒賞を授与するかどうかを定めなければならない。褒賞を授与することとする場合には、その授与を特定の部門に限定することができる。
博覧会に参加する出品者(自国の陳列館に出品するとその他の陳列区域に出品するとを問わない。)で褒賞の授与の対象とならないことを希望するものは、博覧会の開会前に、自国の政府委員又は代表を通じて、その旨を博覧会運営事務局に申し出るものとする。
審査委員は、褒賞の授与の対象となることができない。
第二十八条
博覧会への参加は、無制限であるか又は事前の出品承認を要するかのいずれかとする。
出品者が所定の期間内に参加申込を行なうこと及びその者が参加について設けられた一般条件に従うことを条件としてすべての物品について出品が認められるときは、当該博覧会への参加は、無制限なものとする。
出品を認められる物品が特別な条件(製品の優良性、独創性等)に適合するものでなければならないことを一般規則で規定しているときは 当該博覧会への参加は、事前の出品承認を要するものとする。
前項の場合には、被招請国の参考に供するため、一般規則において、開催国が自国の陳列区域への物品の出品を承認するために採用した手続を示すものとする。もつとも、各国は、この手続をその判断に従つて適用する権能を有する。
第二十九条
展示された物品の審査及び判定は、次の規定に従つて設置される国際審査委員会が行なう。
1 各国は、当該博覧会へのその国の参加の程度(特に、出品者(共同製作者及び協力者を含まない。)の数及び出品者の使用する場所の面積を考慮するものとする。)に比例して審査委員会に代表者を出す。
各国は、その国の生産物が展示されるいずれの部門についても、少なくとも一人の審査委員を出す権利を有する。ただし、博覧会運営事務局と関係国の政府委員又は代表との間で、審査委員会へ代表者を出すことがその国の当該部門への参加の程度に照らして妥当でないと認めることに意見が一致した場合は、この限りでない。
いずれの国も、一部門について、七人をこえる審査委員を有することができない。ただし、この制限は、液体及び個体の食料品の部門については、適用しない。
2 審査委員の職務は、必要な技術上の知識を有する者に割り当てなければならない。
3 審査委員は、自国の政府の承認を受けない限り、その職務につくことができない。
4 審査委員会は、審査の管轄により三階級から成る。
第三十条
褒賞は、次の五等級とする。
1 大賞
2 名誉賞
3 金賞
4 銀賞
5 銅賞
さらに、褒賞を受けた出品者又は審査委員の申出があるときは、共同製作者又は協力者に対しても授賞することができる。
審査委員会の委員は、出品者が自己の受賞の事実を表示することを許されるすべての場合において、審査委員の資格を表示することができる。
「無審査」という表示の使用は、今後は、審査委員についても、褒賞の授与の対象とならないことを申し出た出品者についても、禁止される。
第三十一条
博覧会の受賞者名簿は、国際事務局に登録するものとする。受賞者は、博覧会の正確な名称を附記する場合に限り、授与された褒賞を利用することができる。受賞者は、この記載に国際事務局の標章を附することが許される。博覧国際事務局は、ベルヌの工業所有権国際事務局に対し、登録した博覧会を通知し、及び受賞者名簿を送付するものとする。
第三十二條
国際事務局は、審査委員会の組織及び運営についての一般条件並びに褒賞の授与の方法を規定する標準規則を作成するものとする。開催国は、この標準規則を採用するよう勧告される。
第六編 最終規定
第三十三条
この条約は、批准されなければならない。
a 各政府は、批准書を寄託する用意ができたときは、フランス政府にその旨を通告するものとする。七の政府が寄託を行なう用意ができた旨を通告したときは、批准書の寄託は、フランス政府がこれらの通告のうち最後に行なわれたものを受領した後一箇月以内で同政府が定める日に行なわれるものとする。
b 批准書は、フランス政府に寄託するものとする。
c 批准書の寄託は、これをした国の代表者及びフランス共和国外務大臣が署名した調書により確認されるものとする。
d aに定める条件に従つて批准書を寄託することができなかつた署名国政府は、その後において、フランス共和国政府にあてた書面による通告に批准書を添附することにより、批准書の寄託を行なうことができる。
e 批准書の最初の寄託に関する調書の認証謄本及びdの通告書の認証謄本は、フランス政府が、この条約に署名し又はこれに加入した政府に外交上の経路を通じて直ちに送付するものとする。dに規定する場合については、フランス政府は、通告書を受領した日を同時に通報するものとする。
第三十四条
a この条約は、当然には、締約国の本土領域のみに適用するものとする。
b 自国の植民地、保護領、海外領土及び宗主権又は委任統治の下にある地域にこの条約を適用することを希望する国は、その旨を、批准書に記載し、又はフランス政府に書面で通告するものとする。この通告書は、フランス政府に寄託するものとする。
通告書による手続がされたときが、フランス政府は、当該通告書の受領の日を明示して、その認証謄本を署名国及び加入国の政府に送付するものとする。
c 一国の本土領域、植民地、保護領、海外領土及び宗主権又は委任統治の下にある地域の生産物のみを展示する博覧会は、この条約の適用がこれらの地域に及ぶかどうかを問わず、内国博覧会とし、したがつて、この条約の対象とならないものとする。
第三十五条
a いずれの非署名国も、この条約が効力を生じた後はいつでも、この条約に加入することができる。
b このため、非署名国は、その加入をフランス政府に外交上の経路を通じて書面で通告するものとし、通告書は、フランス政府に寄託するものとする。
c フランス政府は、bの通告書の受領の日を明示して、その認証謄本を署名国及び加盟国の政府に直ちに送付するものとする。
第三十六条
この条約は、批准書の最初の寄託に参加した締約国については、調書の日付の日の後一箇月で効力を生ずる。その後にこの条約を批准する国、これに加入する国並びに批准書に記載されない植民地、保護領、海外領土及び宗主権又は委任統治の下にある地域については、この条約は、第三十三条d、第三十四条b又は三十五条bに規定する通告の受領の日の後一箇月で効力を生ずる。
第三十七条
締約国は、この条約の効力発生の日から五年の期間が経過するまでは、この条約を廃棄することができない。
その後においては、廃棄は、フランス共和国政府にあてた通告により、いつでも行なうことができる。廃棄は、その通告の受領の日の後一年で効力を生ずる。フランス共和国政府は、通告書の受領の日を明示して、その認証謄本を署名国及び加入国の政府に直ちに送付するものとする。
この条の規定は、植民地、保護領、海外領土及び宗主権又は委任統治の下にある地域についても、同様に適用する。
第三十八条
フランス共和国政府は、廃棄の結果締約国の数が七未満に減少したときは、執るべき措置について合意するため、直ちに国際会議を招集するものとする。
第三十九条
フランス共和国政府は、また、すべての批准書、加入通告書及び廃棄通告書の謄本を国際事務局に送付するものとする。
第四十条
この条約には、千九百二十九年四月三十日までパリで署名することができる。
以上の証拠として、下名の全権委員は、この条約に署名した。
千九百二十八年十一月二十二日にパリで本書一通を作成した。本書は、フランス共和国政府に寄託しておくものとし、その認証謄本は、外交上の経路を通じて、パリ会議に代表者を出したすべての国の政府に送付されるものとする。
アルバニアのために
ドクトル スタヴロ・スタヴリ
ドイツのために
ドクトル ペーター・マチース
エミール・ヴィール
ドクトル ハンス・ハイマン
オーストラリアのために
F・C・ファレーカー
オーストリアのために{出典の条約集では「オーストラリア」となっているが、仏語ではオーストリア(l'Autiche)となっている}
グルンベルガー
ベルギーのために
E・ドゥ・ゲフィエ
ブラジルのために
F・ギマラエス
カナダのために
フィリップ・ロイ
コロンビアのために
ホセ・デ・ラ・ヴェガ
キューバのために
R・エルナンデス・ポルテラ
デンマークのために
H・A・ベルンホフト
ドミニカ共和国のために
ドクトル T・フランコ・フランコ
スペインのために
カルロス・デ・ゴイエネチョ
フランスのために
P・シァプサル
シァルメイユ
R・クーロンドゥル
J・ルスファシュ
G・ロジェ・サンド
男爵 テナール
グレート・ブリテン及び北部アイルランドのために
E・クロー
J・R・ケイヒル
R・W・C・コール
ギリシャのために
N・ポリティス
グァテマラのために
ホセ・マトス
ハイティのために
ヌムール
ハンガリーのために
フレデリック・ヴィラニ
イタリアのために
ジォヴァンニ・ベルリ
日本国のために
河合博之
モロッコのために
J・ナシヴェ
オランダのために
E・H・クレラーゲ
ペルーのために
M・H・コルネホ
ポーランドのために
オトン・ヴェクラヴォヴィッチ
ポルトガルのために
A・ダ・ガマ・オシォア
ルーマニアのために
C・ディアマンディ
セルブ・クロアート・スロヴェーヌ王国のために
ミリボイ・ピルヤ
スウェーデンのために
議会の承認を経て行なう国王陛下の批准を条件として
アルベルト・エーレンスヴァルト
ヨゼフ・ザックス
S・ベルジウス
スイスのために
デュナン
ドクトル M・G・リエネール
グスターフ・ブラント
テュニジアのために
H・ジオフロア=サン=イレール
ソヴィエト社会主義共和国連邦のために
N・トゥマーノフ
G・ラチケーヴィッチ
M・ラファロフ
{褒に「ほう」とルビあり}