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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 千九百二十八年十一月二十二年にパリで署名された国際博覧会に関する条約を改正する議定書

[場所] 
[年月日] 1948年5月10日
[出典] 条約集(昭和四十年 多数国間条約),外務省条約局,40-50頁.
[備考] 
[全文] 

千九百二十八年十一月二十二年にパリで署名された国際博覧会に関する条約を改正する議定書

 後記の諸政府の全権委員である下名は、千九百四十八年五月十日にパリで会議を開催し、合意により、かつ、批准を条件として、次の規定を協定した。

   第一条

千九百二十八年十一月二十二日の条約中第二条、第三条及び第四条の規定を削り、次の規定を置く。

   第二条

 二以上の生産部門における人類の活動の成果を内容とする博覧会又は特定の分野(衛生、応用美術、近代的生活、植民地の開発等)において達成された進歩の全体を示すことを目的として開催される博覧会は、一般博覧会とする。

 一の応用科学(電気、光学、化学等)、一の技術(織物、鋳造、印刷等)、一の原料(皮革、絹、ニッケル等)又は一の生活必需品(暖房、食料品、輸送等)に関する博覧会は、特別博覧会とする。特別博覧会においては、各国の陳列館を設けてはならない。

 第十条の国際事務局は、前項の規定により一の特別博覧会の対象とすることができる業種及び物品を決定するための基礎となる博覧会の分類を定めるものとする。この分類の表は、毎年改正することができる。

   第三条 博覧会の開催期間

 国際博覧会の開催期間は、六箇月をこえてはならない。この期間は、博覧会の登録の時に確定されるものとし、国際事務局は、その後においてこれを延長することができない。ただし、火災、洪水、社会的混乱のような遇発事件で博覧会の準備中又は開催中に発生したものに起因する不可抗力により、開会日として正式に定められた日における開会が不可能となり、又は開催期間として定められた期間における正常な運営が不可能となる場合は、この限りでない。博覧会開催国が提出する期間延長の申請の審査は、国際事務局が行なう。

 認められる延長期間は、博覧会が運営されない期間の長さに応じて算定するものとする。この延長期間は、開催国が指定する日(いかなる場合にも、当該博覧会の閉会予定日から六箇月以内の日でなければならない。)から始まるものとする。

   第四条 博覧会の回数

 この条約の適用を受ける国際博覧会の回数は、次の原則によつて規律される。

 一般博覧会は、次の二種類に分類される。

 第一種 被招請国にその国の陳列館を建設する義務を課するもの

 第二種 いずれの被招請国にもその国の陳列館を建設する権能を与えないもの

 国際博覧会の開催に関し、世界を欧州地域、米州地域及びその他の地域の三地域に区分する。二地域にわたる領域を有する国は、自国が属するものとされることを希望する地域を選定しなければならない。

 同一の国においては、第一種の一般博覧会は、十五年間に一回に限り開催することができ、また、種類のいかんを問わず、二つの一般博覧会の間には、十年の間隔を置かなければならない。

 いずれの締約国も、第一種の一般博覧会には、それが前回の第一種の一般博覧会から、同一の地域においては少なくとも六年を経過した後に、他のいずれかの地域においては少なくとも二年を経過した後に開催されるものである場合に限り、参加することができるいずれの締約国も、第二種の一般博覧会には、それと前回の一般博覧会との間に、同一の地域においては二年の間隔があり、他のいずれかの地域においては一年の間隔がある場合に限り、参加することができる。この二つの間隔は、当該博覧会が前回の博覧会と同一の性質のものである場合には、それぞれ四年及び二年とする。

 前項の期間は、締約国が開催する博覧会と非締約国が開催する博覧会との間に差別を設けることなく適用される。

 同一の性質の二以上の特別博覧会は、締約国の領域において同一の時期に開催することができない。同一の性質の特別博覧会を同一の国において再び開催するためには、五年の期間を置かなければならない。ただし、国際事務局は、いずれかの生産部門における急速な進歩に照らして妥当であると認めるときは、例外的に、この期間を最低三年まで短縮することができる。同様の期間の短縮は、すでにいずれかの国において伝統的に五年未満の間隔を置いて開催されている博覧会についても認めることができる。

 異なる性質の特別博覧会は、同一の国においては、三箇月以上の間隔を置かない限り、開催することができない。

 この条に定める期間については、博覧会の現実の開会日を起算日とする。

   第二条

 千九百二十八年十一月二十二日の条約第十条に次の規定を加える。

 事務局長の地位が空席となつたときは、博覧会国際事務局の理事会は、締約国の国籍を有する一人の事務局長を絶対多数によつて選出する。事務局長は内部規則に定める任期で任命される。その報酬は、予算委員会の提案により理事会が決定する。

   第三条

 いずれの国も、フランス政府に外交上の経路を通じて書面で通告することにより、この議定書に加入することができる。通告書は、フランス政府に寄託するものとする。

 千九百二十八年十一月二十二日の条約への新たな加入は、当然に、この議定書への加入の効果を伴うものとする。

 フランス政府は、前記の通告書の受領の日を明示して、その認証謄本を署名国及び加入国の政府並びに博覧会国際事務局議長に直ちに送付する。

   第四条

 この議定書は、批准されなければならない。いずれの国も、その批准書をできる限りすみやかにフランス政府に寄託するものとし、同政府は、その旨を他の署名国に通報するものとする。この議定書は、各署名国について、当該署名国の批准書の寄託の日に効力を生ずる。


 千九百四十八年五月十日にパリで作成した。


フランスのために
 レオン・バレティ
 マルセル・リーヴ

アルバニアのために

ルーマニアのために

スウェーデンのために
 K・R・G・ストレムベリー

スイスのために
 ベルナール・バルベイ

テュニジアのために

モロッコのために
 オリビヴィエ・マラン

イタリアのために
 P・クワローニ

ベルギーのために
 ギヨ―ム

チェッコスロヴァキアのために

ポルトガルのために

デンマークのために
 ホッフマイエル

ポーランドのために
ギリシャのために

 ラファエル・ラファエル
 N・フォトプロ

ノールウェーのために
 H・プッゲ・マルト

フィンランドのために
 ヨーハン・ヘロ

オーストリアのために

レバノンのために
 アハマド・ダオーク

ハイティのために
 プラシド・ダヴィッド

ポルトガルのために
 アウグスト・ラート・ポティエル

グレート・ブリテンのために
 サー オリヴァー・ハーヴェイ