データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ソ中友好同盟相互援助条約(ソヴィエト社会主義共和国連邦と中華人民共和国との間の友好,同盟及び相互援助条約)

[場所] モスクワ
[年月日] 1950年2月14日作成,1950年4月11日発効
[出典] 日本外交主要文書・年表(1),108‐109頁.多数国間条約集・上,641‐645頁.
[備考] 
[全文]

 ソヴィエト社会主義共和国連邦最高会議幹部会及び中華人民共和国中央人民政府は、ソヴィエト社会主義共和国連邦と中華人民共和国間の友好及び協力を強化し、日本帝国主義の復活及び日本国の侵略又は侵略行為についてなんらかの形で日本国と連合する国の侵略の繰り返しを共同で防止することを決意し、国際連合の目的及び原則に従って極東及び世界の長期にわたる平和及び全般的安全を強化することを希望し、ソヴィエト社会主義共和国連邦と中華人民共和国との間の善隣及び友好の関係を強化することが、ソヴィエト連邦及び中国の人民の基本的利益に合致することを深く確信して、この目的のためにこの条約を締結することに決定し、次のとおりその全権委員を任命した。

(全権委員氏名省略)

 両全権委員は、その全権委任状を交換しそれが良好妥当であると認めた後、次のとおり協定した。

第一条

 両締約国は、日本国又は直接に若しくは間接に侵略行為について日本国と連合する他の国の侵略の繰り返し及び平和の破壊を防止するため、両国のなしうるすべての必要な措置を共同して執ることを約束する。

 締約国の一方が日本国又はこれと同盟している他の国から攻撃を受け、戦争状態に陥つた場合には、他方の締約国は、直ちに執ることができるすべての手段をもって軍事的及び他の援助を与える。

 また、締約国は、世界の平和及び安全を確保することを目的とするあらゆる国際的行動に誠実な協力の精神をもって参加する用意があることを宣言し、かつ、これらの目的の最もすみやかな実現のために全力を尽す。

第二条

 両締約国は、相互の合意の下に、第二次世界大戦の間同盟していた他の国とともに日本国との平和条約をできる限り短期間内に締結するために、努力することを約束する。

第三条

 両締約国は、他の締約国に反対するいかなる同盟をも締結せず、また、他の締約国に反対するいかなる連合及びいかなる行動若しくは措置にも参加しない。

第四条

 両締約国は、平和の強化及び全般的安全のためにソヴィエト連邦と中国との共通の利害に関するすべての重要な国際問題については、相互に協議する。

第五条

 両締約国は、友好と協力との精神をもつて、また、平等、互恵、国家主権及び領土保全に対する相互尊重の原則、並びに他方の締約国の国内事項に対する不干渉の原則に従い、ソヴィェト連邦と中国との間の経済的及び文化的連携を発展強化し、互いにあらゆる可能な経済的援助を与え、かつ、必要な経済的協力を行なうことを約束する。

第六条

 この条約は、その批准の日から直ちに効力を生ずる。批准書の交換は、北京において行う。

 この条約は、三十年間効力を有する。締約国の一方が条約を廃棄する希望をこの期間満了の一年前に通告しないときは、条約はさらに五年間引き統き効力を有し、この規定に従い順次延長される。

 千九百五十年二月十四日にモスクワにおいて、ひとしく正文であるロシア語及び中国語により本書二通を作成した。

(署名省略)